野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年12月26日

(平成20年12月26日(金) 10:41~10:49  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議においては、私の関係では、平成20年版国民生活白書の配布をいたしました。51回目の刊行となる本年の白書は、「消費者市民社会への展望」という副題の下、生活白書としては初めて消費者をキーワードとし、その現状と課題について考察しております。本白書が消費者・生活者が切り開く新たな時代を展望するための一助となることを期待しております。詳細については国民生活局にお問い合せください。
 その他、私のほうから2件ございます。
 1つ目には、お手元の資料のとおり、来年6月に、平成16年の改正から5年を迎える障害者基本法に関連して、障害者権利条約の締結に関し必要と考えられる改正事項などの検討を行った結果を取りまとめました。これは前回の同法改正時に、いわゆる検討規定が設けられ、法施行5年を目途として、障害者施策のあり方について検討を加えることとされたことを踏まえたものです。詳細につきましては、共生社会政策担当にお問い合せください。
 2つ目に、お手元の資料のとおり、本日、中部電力の浜岡原子力発電所を視察いたします。我が国の原子力政策を担当する閣僚として、現場を直接自分の目で見たいと考えてきましたが、これまで忙しくて時間がとれず、ようやく今日視察することができるようになりました。現地では、発電施設や耐震補強工事の現場などを拝見する予定でありまして、職員の方からの説明や意見交換を通じて、今後の原子力政策を進めるに当たっての参考にしたいと考えております。詳細につきましては、科学技術政策・イノベーション担当にお問い合せください。
 以上です。

2.質疑応答

(問)白書について、今回初めて「消費者」がキーワードとして前面に出ているということですが、この白書を通じて大臣が発したいメッセージ、国民にこんなことを望むというようなことはありますか。
(答)総理がよく使われる「底力」という言葉がありますが、消費者としての私たち国民の底力がこれまでは生かされてこなかったと思いますし、皆さん御存じのとおり、現在の役所組織は消費者のカウンターパートになり得ていませんでした。そういった意味で、今後ようやく審議入りのめどがついた消費者庁というものが新たなカウンターパートとして誕生することになりますから、消費者から発信される様々な知恵なり提案なりが生かされるように、また、そういう発信を通じて、消費者自らが自分の力で自分の生活を豊かにしていけるように、国民の皆さんもこれまでと角度を変えて生きていただきたいなと思い、そういうエールや願いを込めた白書にしたつもりです。
(問)今日、今年最後の閣議後会見になると思いますが、今年1年を振り返って、どのような1年でしたか。
(答)実は、そう聞かれるだろうなと思っていろいろ考えていたのですが、何しろ年明けすぐ1月5日から国会が始まりますし、消費者庁の法案のこともあれば、さまざまな懸案事項が待ったなしの状況ですので、振り返るほどの余裕がないなというのが正直なところです。
 ただ、印象として申し上げれば、科学技術政策担当を務めている時に、ノーベル賞を4人もの日本人が受賞されたというのは、何と言ってもすごく良い思い出になりましたし、向井千秋さんに続いて山崎直子さんが2人目の女性飛行士、ママさん飛行士ということでミッションが決まり、ご本人にお目にかかれたことも、自分を奮い立たせる、そういう瞬間だったと思います。
 科学技術の分野では、他にもiPS細胞研究をリードする京都大学の山中先生にもお会いして説明を聞くといったことを積み重ねて、私がそもそも持っていた科学に対する食わず嫌いなところをどんどん直してもらって、科学技術の深さとか、おもしろさというものに触れることができて、自分にとっても大変幸せな月日でありました。
 ただ、消費者行政に関しては、皆さんも連日報道されているとおり、食品をめぐる事件がとどまるところを知らない状況です。むしろこれだけ国民が、消費者が、食の安全について非常に憤りを感じている中、様々な事案が次から次へと、昨日も報道されましたが、発覚し続けています。「見つかるまではやってやろう」というような、そういうさもしい気持ちでおられるとするならば、これは許されないことです。国民の消費者庁に期待している部分というのは、そういう正義感から来ることもあるのだろうと思います。そういう事件が今年は余りに多過ぎましたし、その対応に本当に忙殺されましたので、その悔しさをバネに、来年は更にしっかり消費者行政に取り組んでいきたいと思っています。
(問)白書の件に戻りまして、白書で初めて消費者被害の損失額の推計というものを出され、これが最大で3兆4,000億円という記述があるのですが、この額に対する受け止めと、こういう損失をどう防止していくかについて一言お願いします。
(答)額をあえて出したということは、要するに消費者被害というのは社会面の問題だけではなくて、経済面での問題でもあるということなんですね。これまでは、どちらかというとそういう観点で消費者被害について取り上げていただけなかったのですが、消費者庁が目指していることも、単に消費者の利益を守るということだけではなくて、結果として経済のロスを未然に防いでいく、良質な事業者が利益を上げていくという、そういう相乗効果で日本の経済に寄与したいという思いを強く持っておりますので、そういうことで今回こういう切り口にしました。
 防止策というのは、ありとあらゆるタイプの消費者被害が発生していますので、国民生活センターに上がってきている様々な相談の事例を1つずつ検証しながら、たしか今日マルチ商法に関しては国民生活局に設置したチームの堀田審議官から検証結果を公表することになっておりますが、その他多岐にわたる被害事例についても個別に掘り下げて、何ができるかという検討を進めていかなければならないと思っています。
(問)今日視察される浜岡原発ですが、ここは古い1、2号機を廃炉にした上で、置き換えて新しい炉を作るという計画が発表されたことと、東海地震の予想震源域の真上にあるということなど、いろいろな面で注目されている原発だと思いますが、それぞれの論点についての考え方が何かあれば教えていただけますか。
(答)まず、古い炉をやめて、新しいものをつくるということに関しては、素直にそのとおりだと思っています。これだけ技術革新が進んでいる中で、古いものをメンテナンスしても、また、耐震工事を施したとしても、そもそもそれ自体の耐久年数が視野に入っている中、その耐震工事にかける同じコストで、新しい、より性能の良い、耐震性能も良いものができるとするならば、それは当然そういう流れになって普通ではないかと思います。企業が判断して決めたことですから、そのことについて私があれこれ触れる立場にはありませんが、一般論としてはそういう方向性は非常にスムーズじゃないかと思っています。
 東海地震の件につきましては、私も岐阜県が地元ですから、ここ数年は、明日来るかもしれないぞぐらいの緊迫感のある中、とりわけこの地域の地震については、かなり調査・研究も進んでおり、長い間調査・研究を続けてきた蓄積の上に立った耐震ということですので、調査空白域に作るものとは全く違うと、逆に、私は信じています。それだけ精度が良いものになるということを期待しています。
(問)新年に消費者庁法案が審議入りしますが、民主党側も、長官を外部から持ってくるといった内容の対案をまとめています。これについての大臣の意見をお聞かせください。
(答)久しぶりに国会らしく、政府与党と野党とが委員会で、それぞれの政策と言いますか、法案をぶつけ合う形での審議ができるということで、これは好ましいことだと思っています。法律というものは、誰が作っても完璧なものにはなりませんから、それぞれの立場でぶつかり合うことによって、新しい取組が生まれてきたりするものと考えれば、そういう意味では非常に健全だなと思います。
 本年1年、また就任以来5カ月、ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。よいお年を。

(以上)