野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年10月10日

(平成20年10月10日(火) 10:26~10:36  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 本日の閣議では、お手元の資料のとおり、私から1件発言いたしました。
 今年のノーベル物理学賞を南部先生、小林先生、益川先生が、化学賞を下村先生が受賞されました。先ほど、小林先生、益川先生にはお会いしてお祝いをさせていただいたところですが、改めて4人の先生方にお慶びを申し上げます。この受賞を契機に、若い方々が科学技術に関心を抱き、自ら進んで積極的に新たな道を開拓するよう発奮し、我が国の科学技術活動全体の裾野が広がることを心より期待します。
 2つ目に、「第1回日本アフリカ科学技術大臣会合」を8日に開催したことを、本日の閣僚懇談会で報告しました。科学技術がアフリカの経済・社会の発展及び環境エネルギーや感染症等の問題の解決に重要との認識が共有され、科学技術分野における相互理解の促進及び科学技術協力の拡大などを図ることとなりました。また、本会合を今後も継続して開催していくこととなりました。
 3つ目に、お手元の資料のとおり、「平成20年度犯罪被害者等に関する標語」の最優秀作品を、長野県の高校生、小山愛理紗(こやまありさ)さんによる「乗り越える 勇気をくれる みんなの支援」に決定いたしました。本作品については、12月の「犯罪被害者週間国民のつどい」中央大会において表彰し、ポスターなどに利用いたします。
 それから、閣僚懇談会で与謝野経済財政政策担当大臣から、この度の物理学賞で3人の方が同時に受賞されたというのは大変喜ばしいが、これからもこの日本の得意分野と言うか、素粒子等の分野を強化していくためには、自分が旗振り役を担っているので言いづらいがと前置きされた上で、国際リニア・コライダー計画について、ぜひ総理にはこれを機にご理解いただきたいという発言がございまして、総理もよいのではないかということを仰っておられました。
 科学技術政策担当大臣である私に対しても「どうだね」という問いかけがありましたので、そうは言いましても、私が事務方から聞いたところでは、総額で1兆円ぐらいになろうかという非常に費用が嵩むものであるという話でしたので、そのくらいの額をご検討くださいと言ったところ、すかさず与謝野大臣からは、いやいや、5,000億ぐらいで済むんだという話がありまして、これは今後詰めていきますが、もう一つ申し上げたのは、このための予算を科学技術関係予算の中での取り合いにしないでほしい、新たな支出ということで、別枠で措置していただかないと他の科学技術分野に影響を及ぼすことになるので、それだけはお含み置きくださいということを申し上げました。
 さらに、「日本アフリカ科学技術大臣会合」につきまして、これは余りマスコミの皆さんもこの会合については報道してくださらないのですが、閣僚懇談会の中で、これからの日本にとって、地球温暖化等の様々な問題に関して、アフリカとの協力というものは不可欠であるという認識が環境大臣からも示されまして、環境省で取り組んでいる「クールアースパートナーシップ」、これと連動して、科学技術サイドでも、アフリカとの更なる親しいおつき合いをしてもらいたいというご発言がありました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今朝、自由民主党本部で開かれた消費者問題調査会で、議員立法でこんにゃくゼリー事故に対応するということが確認されたのですが、それについてどう思われますか。
(答)こんにゃく入りゼリーの事故については、この痛ましい出来事が、現在、私が担当大臣として取り組んでいる消費者庁の大きなきっかけになっていることは間違いありません。いわゆる「すき間事案」ということで、どの役所もきちんと受けとめることができていない中、この10年少々で17人、それが原因で亡くなったということは、これは本当に不本意なことであります。
 ただ、現在、消費者庁関連法案を動かしたいのですが、野党が乗り気でなく、足踏み状態です。与党はこういう事案があるのだからぜひ通せと檄を飛ばしてくださっているのですが、残念ながら、野党の方で、まだ先でいいんじゃないかというお話が出ている中、こういう事件、事案というのはいつ起きるかわからないのですから、自民党の方でそういう意思を示してくださったことは、ある意味、自民党の中で、どちらかというとマイノリティーであった消費者目線と言いましょうか、そういうものが非常に強く立ち上がってきたんだなということでうれしく思っています。
 現在、この件について、国側の窓口としては農林水産省が継続して事業者とお話をしているので、今朝も、農水省に対して、引き続き事業者任せではなく、自発的に農水省の方からも様々な調査・研究をするよう注文をつけたところであります。
(問)今日になって、また株価が一時8,100円台に急落していまして、いろいろな影響も懸念されているところですが、その辺、閣僚としてどのようにお感じですか。
(答)やはり一番心配なのは、株価が下がることで消費者の気持ちがダウンすることですね。実際に株を持っていない消費者でも、そのことだけを捉えて、何となく不安が高じて買い物を控えるですとか、いろいろ動きが鈍るということで、結果、実物経済にダメージを及ぼしていく恐れがあります。個人消費はGDPの約6割を占めているわけですから軽視できません。不安を払拭するために、今、国ができることを考えますと、この株安というのは日本発ではなく、むしろアメリカ発で全世界に広がってしまったものでありますから、日本が何かをすれば戻るという類いの安易なものではないわけです。けれども、実物経済や景気の落込みを支えるために、やはり昨日総理が仰ったような景気対策、日本としての景気対策というものを、きちんとメッセージとして打ち出していくことだと思います。厳しい状況ではありますが、その分、消費者一人ひとりにきちんと景気対策を通じて底上げがなされるんだと伝わるような取組を政府がすることが重要だと思います。
(問)今朝の自民党の調査会で議員立法の話が出ている件で、餅などでも窒息死の事案が生じているということで、餅などの規制についての整備をどうするのかという意見が出ていたのですが、どう受け止めていますか。
(答)これは、もう一度私の方でもしっかり精査しなければいけないことだと思いますが、やはりそもそもは、日本古来の食物である餅に対する消費者の知見と言いますか、それがあった上でのことと、こんにゃく入りゼリーという、いわば人工的に作られている製品の形状ですとか、そういうことによって起きる窒息とは、同じ窒息でも背景が違うのではないかと思います。例えば、お餅というものは、そもそも一般的に詰まるものであるという常識を多くの人が共有していて、それでやはり気をつける部分もあるわけでして、その辺りはもう少しきちんと私どものほうで精査します。少し話が横道に反れて申し訳ないのですが、直木賞を受賞された井上荒野さんの「切羽へ」という小説がありまして、そこで女性の主人公が年をとられて入院されているおばあちゃまにお餅を食べさせるシーンがあるのですが、お年寄りで喉に詰まるかもしれないからということで、その女性の主人公はお餅を軟らかくして、そしてそれを小さく千切って食べさせてあげるという、そういう描写があります。このように、日本では、餅については、そういう所作が小説の中にも自然に描写されるようなところがあると思うんですね。ただ、こんにゃく入りゼリーというものは、そうではないのだろうと思います。ましてや、事業者の方が、これは子どもやお年寄りに食べさせてはいけないとまで言っているものですから、その辺りはやはりきちんと区別をして、餅は餅でどういう注意をしなければいけないか、こんにゃくゼリーに関しては、どこまで消費者の注意が及ぶのかということも検討していかなければいけないと思います。それは農水省にもしっかり調査・研究するようにということは申し上げているのですが、私どもも餅との対比は常に言われることですから、答が見出せるよう、早急に検討します。
(問)ノーベル賞を受賞されたお二人と今日お会いになって、それぞれの方の印象をお聞かせいただけますか。
(答)雲の上の方だと思っていたので大変緊張しましたが、全くキャラクターが違うお二人なので、とてもおもしろい会話がありました。益川先生は本当にマシンガンのようにずっとしゃべられますし、気難しい方かなと思ったら、すごく乗りがよく、笑いをとることがすごくお上手で、例え話なども非常に平易でした。ただ、余り走り過ぎると、隣で小林先生が手を出して止めるという感じで、そういう絶妙なコンビネーションの中で、いろいろと現在の科学技術に対する心配、警鐘というものを教えていただいたので、大変よかったと思います。
 ちなみに、京都産業大学の学長さんが一緒にいらしていて、実は京都産業大学というところは笑いをとらなきゃいけないんですよということで、益川先生も努力されたということを聞き、本当にそういう意味でも楽しく有意義な時間が過ごせて感謝しています。

(以上)