野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年9月25日

(平成20年9月25日(木) 10:33~10:53  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 昨日の組閣で、麻生内閣で再任されました野田聖子でございます。与えられた仕事は変わりませんので、昨日の朝の「さよなら会見」でいろいろと思いを申し上げましたが、それを誰かに託すのではなく、自らが全て受けとめてしっかりやっていくと、そういう覚悟でまた役所に戻らせていただきました。よろしくお願いします。
 昨夜、初閣議がありましたが、特に私からご報告することはございません。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)総理から再任を命じられたときに、何かやりとりなり指示といったものはありましたか。
(答)はい。「野田聖子、しっかりやれ」ということがまずありました。それから、総理だけということでなく、「食の安全」というものが、ここ数カ月の様々な事案を経て、全ての国会議員に問題意識として共有されていることが明らかでありますので、それについて全力で取り組んでほしいということ、また、消費者問題には様々あるという前提で、現在は「食」でいろいろ御迷惑をかけているが、振り込め詐欺を含め、金融の現場で発生している問題が多いと自分(麻生総理)は聞いているので、広範囲に消費者問題に取り組んでほしいということと、併せて、消費者庁の創設に向けて、なかなか厳しい状況であるが、厳しい中を掻い潜って設置に向けて頑張れという話でありました。
(問)現在、事故米の検討チームや第三者委員会が宙ぶらりん状態になっていますが、いつごろをめどに再開したいとお考えですか。
(答)私も、昨日の辞任に当たって、それが一番心配事だったのですが、幸いすぐに復帰いたしましたので、今朝、早速指示を出して、まずは第三者委員会、皆さんのところに議事録が回っているかいないかわかりませんが、非常にシビアなご意見、消費者行政全般にわたる、厳しいながらも前向きなご意見を頂戴していますので、それらの意見を踏まえ、早急に取り組んでいきたいと思っています。
 消費者安全情報総括官会議等は既にスタートさせていますので、私の役目というのは、ただ単にそこが情報共有のサロンになることなく、構成員それぞれが自分の関わっていない仕事であっても、関心を持ってリンクさせていくというような習慣付けをさせていただくことだと思っています。
 検討チームについては、増原副大臣の人事がまだどうなるかわかりませんので、その間はもちろん私が責任を持ってやらせていただきます。
(問)第三者委員会では、先の緊急取りまとめに当たり、文言一つの修正もできず、決まったことだからとされて、何のために私たちはここにいるのかということで批判が出ました。検討チームの記者発表の頻度や発表内容も、農林水産省が行っていたときと比べるとペースも落ち、範囲も狭く、データ自体が二重、三重で屋上屋を架しているだけではないかなど、何のために一元化したんだという声があります。そういったかなり手厳しい意見、批判があるのですが、実際その点どうお考えですか。
(問)そういうオペレーションの問題についての指摘は、先立っても他の記者さんから質問を頂きましたし、その都度、関係者には厳しく改めるように指示しています。
 以前に、発表される情報が遅くなっているですとか、内閣府に一々お伺いしないと情報が流せないとの農水省の話があったという質問がありましたので、早速、局長にその旨伝えました。私は予てより「情報を共有するように」とは言いましたが、「精査しなさい」と言ったのではないわけです。ですから、上がってきた情報は、どんな形にせよ、その担当者が迅速に、その都度発表していく、時期を定めてまとめてから公表するのではなく、必要なものは、その都度発出していくということを、これまでも指示しておりましたし、そういう指摘がございましたので、改めて担当局長に厳命いたしました。改善されていなければ、改めて、農水大臣にも申入れをさせていただきます。
 それから、第三者委員会の件につきましては、緊急対応策について自分たちの意見が反映されなかったというお話がございましたが、緊急対応策というのは先週末の土日に、ほぼ不眠不休で、増原チームで、私も含めて練り上げたものであります。
 本来ならば、第三者委員会にお見せして、その上で更なる御意見を付加して取りまとめるのがベストですし、私自身、若干懸念があったのは事実ですが、時間的な余裕がない中での作業でしたし、更に言えば22日の緊急対応策は最終案ではありません、今現在出来ることをこういう形で進めていくという決意の表明でありました。この問題については、三笠フーズを始め捜査が始まっているなど、22日で終了したわけではなく、今後も引き続き何が起きるかまだわからないわけです。そういった意味で、第三者委員会はこれからも存続するものでありますし、また私が願っているのは、第三者委員会のあり方というのは、直面している事故米の解決のみならず、消費者庁が出来るまでの間の、消費者との橋渡しと言いますか、消費者目線を堅持するという意味での非常にシンボリックな委員会であります。まだきちんと担当者と相談はしていないのですが、今後は、私としては、事故米のためだけの委員会ではなく、食料安全保障や消費者の安全も含めた、当然ながら、米以外の食べ物、食べ物以外の製造物にも関わっていただくという、もう少し幅広な、本当に事業者ベースであった今までの行政を消費者ベースに転換させるための大きな舞台を作っていただきたいと、そういう思いがあるわけでございます。
 事務手続上、総理が辞任されるという時間の制約の関係で、委員会の皆さんに事前に御報告できなかったことは今後の反省材料ですが、ただ22日で終わったわけではないということを踏まえて、これからますますそういう厳しい意見を受け止めつつ、更に良いものにしていくつもりです。全部答えられたかな。(「はい。」との声あり。)
(問)再任ということで、お仕事の方向性はそれほど変わらないと思うのですが、福田内閣から麻生内閣の閣僚になったことで、何か違う点というか、何か意識の中で変わった点のようなものがあればお伺いします。
(答)例えばカウンターパートである農林水産大臣は、今回、石破大臣になりましたが、既に御承知のように、石破大臣の会見等々の発言の中で、かなり厳しく農林水産省を見つめていく、今まで農水省が、ややもすると事業者寄りで消費者軽視の行政だったという点があるとするならばそれを厳しく正していくという、そういう立ち位置におられますので、そういう意味では、これまでの、ある意味でのバリアーをうまく崩していけるのではないかと期待しています。
 昨日、組閣本部で石破大臣にお目にかかって、開口一番「事務方を入れないで話がしたい」という申し出をさせていただきました。
(問)麻生総理と野田大臣の今までの関係、何か経緯のようななものはあるのでしょうか。
(答)仲が良いか悪いかという大雑把な区別をすれば、仲が良い関係であったと思います。
(問)麻生さんは幹事長の時代に、例えば太田農水大臣の発言に対して擁護する発言をし、それに対して野田大臣が苦言を呈される場面もあったと思うのですが、そういう失言といった部分について心配はありますでしょうか。
(答)今日この時点まで、大変御本人が注意されているような感じがしています。
 先の発言につきましても、総理大臣になられて、食の安全の危機感というものを直に受け止められれば、あのような発言はもう今後一切出てこないだろうと信じています。
(問)もし仮に、また同じような消費者軽視の失言があった場合には、直言されるお気持ちですか。
(答)当然です。
(問)科学技術政策について、これまで担当してこられて、その経験を踏まえた上で、今後どうしたいかについてお願いします。
(答)大事なことですから何度もこの場でも申し上げていますが、科学技術というものは、まさに日本の上げ潮のツールと言いますか、これまで天然資源にも恵まれず、ややもすると人的な交流も海に阻まれて、どちらかというと孤立した感のある日本の中で、世界との架け橋になってきたのは日本の高度な科学技術の発信力であったと思います。
 これまでもそうですし、現在も辛うじてそういう意味では世界のトップクラスを走っているわけです。ただ、最近、日本全体の財政の厳しさの中から、先行投資をしなければならない科学技術に関する予算も、かつてほどの伸びがないというところに不安を感じている中、やはり今後ますます少子化が進むこの日本にあって、マンパワーの数ではなく、質で経済を厚くするという意味では、やはり科学技術に注力していく、これが日本の生き残る道の一つであろうと思っています。
 幸い、私も短期間でありましたが、日本の先端科学技術に取り組んでいる現場に出向き、素人ながらも、かみ砕いた説明をしていただく中で、現場ではすさまじいことが起きている、私たちが知らないところで、もう世界のトップを走っている、これだけ多くの研究者、また研究の素材があるといったことに改めて感嘆しました。これはやはり、もっともっと多くの国民に知ってもらい、そして科学技術というものが自分たちの経済の伸長への寄与につながる、または日本の価値を高めることになるということをストレートに伝えていけるような、そういう言わば「通訳」をこれからも引き続き心がけていきたいなと思っています。
 また、満遍なく科学技術の様々な分野に予算を振り撒くのではなく、最近の傾向としては、やはり近い将来に国民生活の中で実用化され、国民生活が豊かになるような、そういう課題に集中投下をさせることも必要です。それから、日本の強みである環境ビジネス、これはトップを走っていたところ、私たちもいけなかったのですが、何もしなくても先を走ってくれているという安心感から、後押しが少なかったように思います。その結果、現在、世界中でぐいぐいと追い上げをかけている中で、ここでまた一気に抜け出す、そういう後押しを、この際、私なりにさせていただければということを感じています。
(問)麻生内閣は「選挙管理内閣」という表現をされていまして、昨日の官邸での会見で、大臣はそうではないとお話されていましたが、野田大臣は、この内閣を何内閣というふうに表現されますか。
 もう1点。選挙が実際に近いとされている中、閣僚を続けることで、地元にべったり張り付くこともなかなかできない状況ですけれども、この辺、焦りとか、辛さとか、そういうことはないですか。
(答)この内閣をどう例えるか、私、こういうキャッチコピー、苦手なんですよね。田中眞紀子さんがうらやましいと思っているんです。私は、オーソドックスに、「極めて自民党らしい内閣」という感じがしています。
 選挙が近いので焦らないかということですが、私は元来、選挙が弱いものですから、大臣になろうとそうでなかろうと、いつも焦っています。特に無所属のときはすごく焦っていました。だから、選挙に対しての不安や焦りというのは、365日、衆議院議員として抱えていることなので、これはやむを得ません。
 では、大臣になって地元に戻れないかというと、戻れるときには必ず戻りますし、更には、幸い後援会という家族のような母体があります。このような重要な、本当に消費者・国民と直接かかわり合う大臣という仕事を頂いているのだから、自分たちが足りない分も頑張るから、公務を疎かにしないように、という地元の皆さん方のエールももらっておりますので、バランスをとってしっかりやっていきたいなと思います。
(問)「極めて自民党らしい内閣」と言われた理由はどのようなものですか。
(答)私がいるということですかね。
(問)昨日、小渕優子大臣と長くお話しされていたようですが、先輩としてどういったことについて直接お声をかけられましたか。
(答)10年前、私が突然郵政大臣に抜擢されたときには、今だから申し上げますが、本当にパニック状態と言いますか、もう何をしていいのか、何をやってはいけないのか、とにかく、本当に自分としても不安だらけでありました。私は小渕優子大臣のお父上である小渕恵三元総理に大臣にしていただいて今の私があると思っていますので、せめてその恩返しをさせていただくにはと考えて、初入閣である小渕大臣が、そういう余計な煩わしさ、何をしたらいいんだろう、どうしたらいいんだろうという、そういう、何と言ったらよいのでしょうか、初めて経験するいろいろな形式的なことなどに振り回されないようにしてあげたいということで、私が、これまで大臣をしたときに経験したこと全てを、つらつらとお話をさせていただきました。
(問)宇宙開発に関連して、今日の夜に、中国が3度目の有人宇宙船を打ち上げます。先ほど、科学技術では日本はトップを行くというお話でしたが、有人宇宙開発においては、中国に既に抜かれているのではないかという指摘もあります。今回の中国の3度目の有人宇宙船打上げについて、どういう御所見ですか。
(答)今仰ったことについては、少々考え方の相違だと思います。そもそも日本の宇宙開発の枠内に「有人」という発想がないわけで、仮に有人という柱を立てていて、今のご指摘であれば負けてますねということになりますが、そもそも、その種目にエントリーしておりませんから、そういう心配はしていません。ですから、私たちは私たちの取り柄、例えばH-ⅡAロケットにしても、世界に冠たる技術を持っており、それに引き続き、現在いろいろ話題になっているGXロケット等々、次世代に向けて新たな動きがある中で、やはり日本らしい宇宙開発ができればよいのではないかと思っています。
(問)女性の政界進出について御所見を聞かせてください。小渕大臣も入閣され、野田大臣も再任されましたが、まだまだ少ないような気もします。いかがでしょうか。
(答)そもそも、政界に女性の数が少ない、衆議院で1割ぐらいかな、現在は。それでも増えてきていて、私が初当選した15年前に、自民党の衆議院議員は私1人でしたから、それを思えば増えたかなと。ですから、数が少ないところから引っ張ってくるのもいろいろ問題があるでしょうし、ただこれは政界に限ったことではなく、マスコミのトップを見ても、女性はほとんどいないわけです。私、男女共同参画担当大臣ではないのですが、現在の日本は、必ずしも政界だけに女性が少ないわけではなく、マスコミの現場には女性記者もたくさんいるけれど、日本の企業の中枢を握っている、マネジメントに携わるところには、女性の役員がほとんどいないというのが、残念ながら、各業界の実態ではなかろうかと思います。ですから、私はこの政治という「職域」の中で、一人でも多くの女性の仲間を増やしていきたいと思い努力をしていきますが、ここにおられるマスコミの皆様方には、マスメディアの世界の中で、多くの女性のトップを輩出してもらうよう、今から努力をしていただきたいなと願っております。

(以上)