野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年9月24日

(平成20年9月24日(水) 9:31~9:43  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議では、私から1件発言いたしました。
 お手元の資料のとおり、9月16日の総理指示に基づき、22日に取りまとめた「事故米穀の不正規流通事案に関する対応策緊急取りまとめ」について御報告いたしました。関係府省が協力しながら輸入食品の安全確保を図っていくことを確認させていただきました。 詳細については国民生活局までお問い合わせください。
 本日の閣議で内閣総辞職となりました。大変短い間でしたが、福田改造内閣の一員として約2カ月、全力で走り抜けたという思いがしています。先立って、秘書官からこの間に何をしたかを書いたリストをもらいましたが、普段怠け者の私にしては結構頑張って動き回ったなという思いがしております。
 私はこれをもちまして辞任するわけですが、私がこの間に全力で取り組んできた「食の安全」は非常に大きな課題でありまして、現在進行形でますます様々な形をとって複雑化し、広がりを見せ始めているような大変懸念を持っているところであります。
 ですから、私があえて今日の閣議で事故米の「緊急取りまとめ」のことを申し上げたのは、「緊急取りまとめ」が出来たことを報告するのではなく、道半ばどころか、「まだまだなんだ。」という思いからです。これまで「政治」の中にも、「行政」の中にも根付いてこなかった消費者優先という思想、哲学に近いような部分を根付かせていくための痛みの始まりだということを是非とも現閣僚にも御理解いただき、次の内閣においても引き続きその精神を忘れずにいていただきたいという思いから、今日は差し出がましいと思ったのですが、あえて発言をさせていただきました。
 また、当初は国内の消費者に対する食の安全ということで対応してきたのですが、メラミンの事案が発覚して以降は、自給率の低い我が国にあっては世界中が台所になっていると、日本国内ですらなかなか食の安全に対する監視の目が行き届かない中、たくさんの国々から食物を輸入している我が国の国民に対する食の安全というのは、本当に一言で簡単に言えるような代物ではないと痛感させられます。軍事面での安全保障については政府部内でも国会でも激論が闘わされるわけですが、それ以上に大きな問題であり、今まで放置してきたツケは大きいということで、私たちは必ずしも至りませんでしたが、その突破口を福田総理の下、国民目線、消費者視点という新しい考え方でスタートをさせていただき、取り組ませていただきました。
 これからも、内閣府の一大臣の仕事だけではなく、やはり次の内閣の一つの大きな仕事として、本当の意味で豊かさのある社会というのは、そういう心配をしなくて済む、一々物を買うのに大丈夫かしらと不安にならなくて済む、そういう信頼できる国家づくりにかかっているのではないかと思っているところであります。
 皆さんとはこの場で、会見を通じていろいろと議論をさせていただいたことが非常に自分にとっても勉強になりましたし、短い間でしたが、たくさんのことを学ばせていただいたなと思って感謝しています。ここにお集まりの皆さんは、恐らく他の記者さんよりずっと消費者という意識を強くお持ちになった先駆者であろうと思いますので、使者として各方面でその意識を持って良い記事を書いていただきたいなと心から願いまして、私からのごあいさつといたします。
 短い間でしたが、大変お世話になりました。ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)閣議や閣僚懇で、大臣の報告以外に、何か感想的なことは各大臣からありましたでしょうか。
(答)閣僚懇で伊吹財務大臣からの御発言で、伊吹大臣は財務大臣になられる前は幹事長ということで、ずっと福田内閣において福田総理の女房役をお務めになってこられましたが、それを踏まえて、ねじれ国会の凄まじさというか、本当に正直誰がやっても前に進めないようなジレンマの中で総理が辛抱されたということを、やはり皆で讃えてほしいということで、閣僚の皆さんからもそのとおりだという声がありました。また、公明党唯一の大臣である斉藤環境大臣からは、いろいろ世間では言われたが、次の総選挙に向けて共に勝つということをお誓いしたいというような心強い御発言がございました。
(問)総理から何か発言はありましたか。
(答)最後の最後に、総理からは、とりわけ、改造内閣で任命された私たちに対して、短い間だったが、本当によく頑張ってくれたと。それから、総理御自身の思い、先ほども申し上げましたように、新しい考え方と言いますか、国民目線ですとか消費者視点ですとか、そういう言葉というのはこれまでの総理はほとんど使われてこなかったのですが、それを根付かせていただきたいということで、それぞれ大臣を辞めたとしても、国会議員として、また他方面で活躍する機会に、そういう思いで取り組んでいただきたい、ありがとうございましたというごあいさつがございました。
(問)まだ早いかもしれませんが、大臣は留任ではないかと報道ではよく出ています。そういったご連絡は現時点でありましたでしょうか。
(答)全くありません。
(問)打診といったことも今のところはありませんか。
(答)ありません。
(問)できれば留任して、引き続き取り組みたいというお気持ちはありますか。
(答)今日が最後だという思いを持って、例えば次の大臣がどなたになっても、やるべきことを初日からやっていただけるような組立てはしました。消費者庁の関連3法案も閣議決定していますから、これについては惑わずにそのまま審議に入っていただければいいわけです。それから、今抱えている汚染米、更にはメラミンに関するこれからの取組については、「プレ消費者庁」、そして第三者委員会を立ち上げて動かしています。これにつきましても、一部報道ではぎくしゃくしているのではないかと言われるのですが、当たり前でございまして、今まで経験のないような混成チームが最初からうまくいったら、それこそ気持ち悪いわけで、それぞれの役所の伝統ですとか歴史観ですとか、いろいろなそういう違いを乗り越える大切な草創期を迎えている中、徐々に垣根が下がってきたなという実感を持っています。この形を作りましたので、そのまま次の大臣には、更に垣根を下げていただくことと、本当の意味で横断的な、そして消費者の側から政治や行政を見つめる、消費者の側から政策を作る、そういう意識改革を続けていただければよろしいのではないかと思っています。
 消費者行政推進会議のある委員の方から、ようやく自民党に「消費者族」というものが出来てうれしいと言われまして、私がその第1号なんだそうであります。ですから、その名誉ある消費者族という看板を掲げて、どんな立場にせよ、このことを肝に銘じて自分の政治活動に生かしていきたいなと思っております。
(問)2カ月間で出来たことと、出来なかったこと、それぞれ具体的に何でしょうか。
(答)出来たことは、先ほど申し上げた消費者庁の関連3法案をまとめて法律案にして、そして閣議決定させていただいたこと、また、食品安全や消費者行政と言われながらあまり実態をお示しすることができなかったのですが、先の汚染米の事案を契機に、この役所の中で検討チームを作って具体的に活動し、具体的な姿で国民に対して取組を発表できたこと、さらに、出来たことというよりも、これはお膳立てがあった上なのですが、宇宙開発担当大臣として、新しい国家戦略を作る宇宙開発戦略本部の第一歩を関係の皆さんと一緒に踏めたことを挙げておきます。
 出来なかったことはそれこそたくさんあるんでしょうね。細かく分けると4つの肩書きの他に、21も担当がありまして、すべてに全力でコミットできたかというと、時間的な制約もあり、出来ないことがあったことは非常に悔まれますが、この限られた時間で、無駄なくやれることはやらせていただいたのではないかと、そう思っています。
(問)最後に、今日の心境をお願いします。爽やかなのかどうか。
(答)爽やかですね。
(問)やり切ったというような。
(答)やり切っては…。仕事自体はもちろん継続していくのですが、自分は時間も限られていましたから、消費期限が、まさに今日までなんですね。そこまでで出来ることは、自分のいろいろな煩悩を振り切って、やりたいことも我慢して仕事に取り組めたかなと。意外と普段の私には似つかわしくなく、本当に仕事一筋という感じで頑張れたかなと思います。
 ありがとうございました。

(以上)