野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年8月2日

(平成20年8月2日(火) 14:14~14:34  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 改めまして、皆様こんにちは。
 このたび、内閣府特命担当大臣を拝命いたしました野田聖子でございます。
 今日は初めての記者会見ということで、何を話せばいいかわからないのですが、福田総理のほうからは、党の方で消費者問題調査会の会長をさせていただき、そこで消費者行政推進会議の議論の多少の参考にはなったと自負しておりますが、現在、この国が抱えている消費者行政の問題、課題に精一杯取り組んできた、そのことを踏まえると、総理のお言葉を借りれば、「刈り取りの作業」をしてほしいということで、このたびこの職を頂けたものだと思っています。
 併せて、現在、日本は大変景気が悪い、先行き不安だ、不透明だ、閉塞感があるという状況の中で、科学技術は、やはりこれまでの日本の歴史においても我が国の魅力でありましたし、次の時代の魅力でもあるわけです。この仕事に携わることができることは大変チャレンジングであり、前向きな仕事をいただいたことを非常にありがたく思っています。
 ただ、大臣の中で一番仕事をたくさん頂いた気がしておりまして、それぞれ申し上げたいことがございますけれども、すべてについて御報告していると時間が幾らあっても足りませんので、今日は、もし必要であれば、皆さんから御質問いただいて、私なりにお答えをさせていただきたいと思っております。
 私のほうからはこの程度でよろしゅうございますか。

2.質疑応答

(問)大臣は、今回、消費者行政推進及び食品安全の担当ということですが、食品安全委員会が、いよいよ5年目の活動を始めておりますけれども、最近、食の問題がいろいろある中で、今後、食品安全委員会を含めた活動はどういう期待を持っていらっしゃるのでしょうか。
(答)福田総理の悲願と言いますか、国民にお約束している国民目線の政策が、すなわち消費者庁の創設であるわけです。消費者というのは国民すべてを指しますので、まさに皆さんすべてのことなのですが、一人ひとりが生きていく中で、不安を感じないように、不足を感じないように、暮らしていくことに安全や安心を感じてもらう、そういうサポーターと言いますか、ガードマンと言いますか、そういうものをしっかり作って、やはり国民が主役の国なんだという意識の転換を図っていこうとお考えになっていると思うわけであります。
 とりわけ、「食」というのがすべての人にとって、最もかかわりの深い問題ですし、最近様々な偽装問題などが出ておりまして、一体何を食べていいのやら、何を選んでいいのやらという不安の中で、多くの消費者がためらい、そして憤りを感じていることは事実であります。
 食品安全委員会という組織は、かつてBSEが問題となったときに、農林水産省と厚生労働省で様々な「お手玉」と言いますか、トラブルと言いますか、いずれにしても問題点が発生したことをきっかけに、やはり中立公正なリスク評価ができるということで、第三者機関をつくっていただいたものだと思っています。
 ですから、消費者庁の所掌の一つには食品関係もあるわけですから、当然、そこは連携し合って、今まではどちらかというと、直接、国民と安全委員会がリンクするようなケースというのはなかったかもしれないけれども、やはり消費者庁の仲間の一つ、だという位置付けになっていただきたい、そしてそういう連携の中でよりよいリスクコミュニケーション、専門家による食品安全委員会だけれども、むしろ、いわゆる「普通の」国民のために消費者庁とのタイアップによって、また進化してもらえるといいなと思っています。
(問)昨日、総理から辞令を交付されたと思うのですけれども、そのときの総理の言葉をもう少し具体的に、野田大臣にどのようなことを命じられたんでしょうか。
(答)若干緊張していたので、すべて記憶しているわけではありませんが、総理がペーパーを渡しながら、今まであなたがやってきたことをいよいよ刈り取る番ですよという言い方をされました。
(問)2点お願いします。1つは、これから法律を出して消費者庁をつくるという具体的な作業が始まると思うのですけれども、その中で、形だけではなくて実際に魂を入れて機能するために一番の課題と考えていることは何か。特に、予てから霞が関の意識改革と仰られていたと思うのですけれども、霞が関の役人の意識が変化してきているのかという点をどう思っていらっしゃるかが1点目です。2点目は、具体化するに当たって、民の力の活用について何かイメージとして考えていらっしゃることがあれば教えてください。
(答)まず第1点、皆さんはどちらかというと本丸の霞が関にできるであろう消費者庁のイメージばかりが先行しているのですけれども、消費者庁の主役はあくまでも地方です。地方の窓口の一元化、北から南へ一気通貫の、だれでもわかる、だれでも利用しやすい、そういう消費生活センターの窓口ができて、そこに専門性のある相談員がきちんと配置されることによって、初めて消費者庁は成功するのだと思っています。
 ですから、消費者庁、ここ霞が関の部分が大切なのではなくて、やはり多くの国民の生の声を迅速に吸い上げて、そして正しい状態へとコントロールできるために、やはり地方が一番の要であるということを申し上げたいと思います。
 ですから、これは現在作成中ですけれども、法律ができるのを待つのではなくて、この点に関しては、もうどんどん前倒しで先行させて、地方の隅々まで、消費生活センターの窓口を通じて、それも窓口機能の一元化を進める中で、速やかに事案の処理ができるようにやっていきたいと思います。
 民でできることという点では、まさに消費生活センターで頑張っていただいている相談員の方たちというのは民に近い、私たちのような公務員ではない人が多いですから、民の立場で頑張っていただいているし、また、消費者庁の中で、まだ確定ではありませんが、委員会組織ができた際には、民間の人たちに代表者として入っていただくことは当然のことだと思うし、併せて言えば、トップになる方が当然民間人出身であることも考えられます。
 官だ民だという言い方は、この消費者庁には何かそぐわないかなと。官であろうと民であろうとすべてが消費者ですから、そういう意味ではバランスを考えてやっていかなくてはいけないかなと思いますけれども、当然、民間と言いますか、すべての国民の代表がその中に入っていただくというのが大前提だと思います。
(問)今のトップというのは、消費者庁の長官を民間から招くこともあり得るというお考えですか。
(答)私がどんどんしゃべってしまうのもどうかと思いますが、私の理想とすれば、どなたさまでも、大臣であろうと、民間と官、又は性の区別なく、適任者がやっていただくべきではないかと、それが一番の透明性だと思います。この人ならという人が民間であればその人が抜擢されるべきであるし、いや、政界の中に専門家がいるからこの人だというなればそれでいいし、基本的には、そういうことはフリーハンドで私は構わないと思っています。
(問)その際に、適任者の条件というか、質で一番求められるものは何だと思われますか。
(答)たくさんあるでしょう。ただ、やはり決断力と言いますか、緊急事態に迅速に対応できる強靭な精神と言いますか、そういうものが求められるのではないかと思います。
(問)消費生活センターですけれども、強化というのは増員とか規模の拡大というものを目指すという趣旨なのでしょうか。
(答)もちろんです。
(問)消費者庁を来年度設立するには、まず臨時国会で法案を通さなければいけないと思うのですけれども、ねじれ国会の中で、民主党は権利擁護官という対案を出したのですが、それをどういうふうに乗り越えるということをお考えでしょうか。
(答)以前、党内の議論のたたき台を作るに当たって、カウンターパート、つまり相談相手としておつき合いいただいたのが、日弁連や各消費者団体の皆さんでした。この方たちは、従前は自民党に消費者問題の受け皿がなかったときには、やはり民主党を始め、野党の皆さんに消費者庁の創設を提案されておられ、行動を共にされたということも聞きました。ですから、そういう方たちと今回組んで消費者庁創設に当たっての基礎固めをしたわけですから、根本の部分では、民主党を始め、野党の皆さんとの齟齬はないと思います。
 あとは、与党として、政府としての責任の範囲内で確実にやれることをしなければならないわけで、そのことプラス政治的にできることがあれば、民主党と相談して、とにかくこれは決して政争の具になるものではなく、すべての国民にとって新しい日本の幕開けとなるような潔いスタートを、民主党を始め野党の皆さんにも御理解いただいて、協議して進めていきたいと思っています。
(問)国民の視点に立ってという福田総理の思いの中で、消費行政推進担当大臣を任されたということは、野田大臣のどの部分に総理は期待されていると思われますか。
(答)地味で、こつこつと与えられた仕事は一生懸命やると、取り柄は余りないのですけれども、そういうところで期待されているのかなと。他に思い当たるところがないものですから。
(問)総理は、消費者庁創設に当たって、広報、PRをしていくことを非常に重視されていると思うのですけれども、担当大臣としてどういうことをお考えでしょうか。
(答)実は、直前まで党の広報局長を務めておりまして、消費者庁というものは、日本で戦後初めて国民個人のための行政組織を作ることになったわけですから、大々的にPRをしたいなと願っていました。
 党内で検討チームを作りまして、今まさにそのPRをスタートさせようと思っていた矢先でした。他方、役所は役所なりの、内閣府は内閣府なりの考えがあると思いますけれども、なるべく周知徹底をして、国民一人一人に愛され、信頼されるような、パートナーとなり得る役所、機関をつくるんだということでPRできればなと願っています。
(問)大臣に2点お伺いしたいと思います。まず、科学技術政策なのですけれども、iPS細胞への支援は、大臣はどのようにお考えを持っていますでしょうか。あともう一つは、宇宙開発担当ということで、その所感もしくは所信ということでお願いします。
(答)私は官邸に呼ばれるまで何の大臣かということを教えていただけなかったんです。おそらく消費者の関係でお仕事を頂くのかなと思って福田総理にお目にかかったところ、あなたには科学技術政策と宇宙開発もやっていただくということを言われまして、驚きましたけれども大変喜んで感動しているところです。
 科学技術ということで、これまでの日本の、歴史を振り返ってみると、時代の魅力をつくってきた大きな宝であり、これからも残念ながら他国と違って天然資源を持たないこの国にとっての宿命として、やはり人の力によって、人の知恵から生まれてくる科学技術によって世界の中でリーダーシップをとることで、日本の新しい魅力ともなり、多くの国々が日本に関心を持ち、そして投資してくれるのだろうと思います。残念ながらこの国の中では科学技術に対する理解がちょっと厳しいのではないかと、アメリカ並みというと国防総省が軍事目的で研究開発をやっていますから、それとは違うにせよ、やはり次の時代の子供たちへのギフトとして、科学技術、特に基礎研究への投資はもう少し増やしてもらいたいなということはいつも感じています。
 そうした中で、質問にあったiPS細胞ですか、これはお金をかければそれだけでよいという問題ではないのですけれども、厳しい研究環境の中で、世界に先駆けて日本で研究開発していただいたということは大変うれしいニュースでありましたし、今後も、私は科学屋ではありませんのでここで深いことを申し上げることははばかられますけれども、やはりそうやって努力しておられる研究者の方たちへのエールということで、科学技術については一生懸命予算獲得に向けて頑張っていきたいなと思っています。
 宇宙開発につきましては、5月に成立した宇宙基本法がございますが、私もたまたま斉藤環境大臣と、宇宙の未来を語る会という集まりで、もう10年以上前に御一緒したことがありました。当時は、現在、民主党幹事長の鳩山先生も御一緒に、宇宙について勉強しようということで、何度か勉強会を持ったことがございましたので、いろいろと御相談申し上げたことがあります。
 宇宙に関心のある先生方によって宇宙基本法ができましたけれども、これはやはりこれまでの国会決議の縛りの中で「非軍事」という言葉があるわけですけれども、そういうことではなく、やはり国民の一人でも多くの人が宇宙空間の開発によって何か得るものがないかと、例えば無重力の中でのいろいろな研究開発で新しい薬が生まれてきたりとか、新しい道具が開発されたりとか、そういう夢膨らむことができる一つのプロジェクトとして応援をしていきたいと、そういうことだと思います。何せ生まれたばかりの政策ですので、これから皆さんにいろいろな知恵を借りて育てていきたいなというふうに思っています。
(問)大臣はちょうど10年前の1998年7月末に郵政大臣になられましたが、そのときの就任と今回の大臣の就任は、当然いろいろなところが違うと思うのですが、何が大臣にとって一番違いますか。
(答)今回は、本当に10年前と大変似ているところが多いなと思います。前回はちょうど暑い7月の終わりでしたし、今回は8月の初めということで、時期的にも同じぐらいですし、群馬出身の総理大臣ということで、小渕総理、そして福田総理。そして突然の御指名ということで、10年前に郵政大臣にしていただいたときと極めて状況が似ているなと思います。
 併せて申し上げるならば、皆さんが大変気にしておられる支持率ですけれども、10年前の小渕内閣の発足時もたしか23%ぐらいと、大変皆さんシビアで、仕事を始める前から厳しい批判にさらされていたことを思い出しました。
 今日同じような状況にあるわけですけれども、私は10年前の小渕内閣が、本当に総動員で汗をかいて頑張ったことで支持率を上げた数少ない総理大臣ということで、記憶に残っているわけでございます。同じようなことが必ず福田内閣でも起きるよう、起こせるよう、渾身の思いで与えられた仕事をしていきたいと、そういう気持ちでいっぱいです。
 どうもありがとうございました。

(以上)