与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年1月20日

(平成21年1月20日(火) 17:59~18:21  於:記者会見室)

1.発言要旨

月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催されました。その概要を御報告いたします。
 景気の基調につきましては、「景気は、急速に悪化している」と下方に変更いたしております。これは、世界経済が一段と減速する中で、第1に、輸出や生産が極めて大幅に減少するなど、企業部門の状況が異例の速さで悪化していること。第2は、雇用情勢が急速に悪化しつつあり、所得が弱い動きとなっている中で、個人消費がこのところ弱含んでいることなどを踏まえたものでございます。
 我が国経済の先行きにつきましては、当面、悪化が続くとみられ、急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念されます。加えて、世界景気の一層の下振れ懸念などのリスクに留意する必要があると認識しております。
 政府といたしましては、当面は「不安の連鎖」の阻止に向けた大胆な対応、中期は「安心」の強化と責任ある財政の中期的枠組みの確立、中長期には潮流変化を先取りした成長の実現という3段階の政策に同時並行で取り組んでいくこととしております。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)個人消費が、久しぶりに「弱含み」というマイナス方向の表現に変わったわけですけれども、これまでは基本的に企業部門を中心に世界経済悪化の影響を受けていたと思うのですが、ここに来て家計部門にも波及してきたという認識でしょうか。その辺の分析をお願いします。
(答)やはり、世界経済が不振である、日本経済の先行きの見通しも明るくないということで、個人消費も大変用心深くなっている。俗な言葉で言えば、財布のひもがかたくなり始めた、そういう現象であると思っています。
(問)今回の月例経済報告は、基本的に昨年11月時点での指標をもとに判断されていると思うのですけれども、年明け以降、なかなか当面、厳しい動きが続くということですけれども、何らかの明るい兆しというか、そういったものはございませんでしょうか。
(答)あらゆる指標は、悪い方向にベクトルが向いているわけです。12月、1月と、明るいニュースはないか、明るい方向はないかということですが、政府は、とにかく日本の成長率を何とかゼロに持っていこうと、その気構えでいろいろな政策もやってまいりますし、予算も早く国会に御承認いただきたい、こういうことでやっております。
 ただ、各企業別に見ますと、例えば自動車産業では、ある会社では月に7日間しか操業しないとか、あるいは生産目標を昨年の半分にするとか、それぞれの企業が、世界経済の全体の潮流の中で減産などに取り組んでおりますし、また、恐らく企業全体としては、設備投資意欲なども衰えているのだろうと思っております。
 日本の経済、世界の経済がここ数カ月で好転するということは、多分、あり得ない話だろうと思っています。
(問)今回、「急速」という表現を使われているのですけれども、足元の指標を見ると鉱工業生産も、特に輸出も過去最大規模の下落ということになっていますし、過去の例、過去の景気後退の局面と比較して、今回の落ち方のスピードというのを、大臣はどのようにお考えですか。
(答)多分、「悪化している」という表現は、過去、使ったことがあると思いますが、「急速に悪化している」というのは、今回が多分、初めて使う表現であって、これは機械受注とか実際の機械の生産とか、あらゆる指標を見ても、「急速に悪化している」ということははっきり指標で出ておりますので、指標から考えられる状況というのは「急速に悪化している」ということを、率直に表現しているわけです。
(問)それは、過去の例から見ても例がないぐらいに急だという御認識ということでよろしいですか。
(答)1つは、世界同時不況ということですけれども、日本を除く各国で金融危機が同時に発生しているということで、金融危機プラス実体経済の不振ということが、相互に振幅して大きさを増しているというような状況ではないかと思います。
 それからまた、生産と消費の関係も、お配りしている資料を見ていただくとわかるのですけれども、アメリカの消費が急速に落ち込んでいる、輸入も落ち込んでいる。結局、いずれ生産の落ち込みにつながっていくということで、これは生産と消費が、らせん状に両方とも悪化していくという可能性を含んでいるわけで、恐らくオバマ政権もそういう状況を回避するために、金融・資本市場における資金の供給と、それから流動性の供給のほかに、有効需要をいかにつくり出していくかということに政策を集中していくと思っております。

(以上)