与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年1月16日

(平成21年1月16日(金) 10:32~10:50  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議は案件どおりでございました。

2.質疑応答

(問)税法の改正案の附則に「中期プログラム」の内容を盛り込むことについて、自民党内から異論が多く出ておりますが、見直す余地があるのかどうかを含めて、大臣のお考えをお聞かせ願えますか。
(答)「中期プログラム」の内容は、既に、自民党だけに関して言えば、政審・総務会を通って、党議として決定しているというものであります。かてて加えまして、与党の合意を受けて、政府としては閣議決定している案件でございます。
 そこには、附則に書くというところまで決めているわけでございますから、政府の立場は、あくまでも今まで決めてきたことを忠実に行うということが、我々に課せられた責任であり、義務であると思っております。
(問)昨日の財政審で、定額給付金について、他の使い道に使ったらどうかという意見が多く出たようで、西室会長も記者会見で、他の使い道に使ったらどうだということをおっしゃっておりますが、給付金の支給について見直すかどうかも含めて、こういった御意見についてどう受け止めておられるかをお聞かせください。
(答)財政審として決定された御意見ではなくて、多くのそういう御意見が出たということは、良識のある方々の御意見ですので、きちんとそれを理解するようにしなければならないと思っております。
(問)理解するようにしなければならない、というのは、具体的にはどういうことですか。
(答)理解する努力はするけれども、判断としては、なかなか財政審の言われているとおりの方向に進みがたいものがある、というふうに率直に感じているわけです。
(問)景気についてですが、昨日の機械受注も含めて、生産、輸出と、かなりスパイラル的に急降下しているわけですけれども、まずその回復がいつかという前に、下げ止まりが必要だと思うのですが、下げ止まる時期について、大臣としては、例えば、桜が咲くころとか、何かイメージはございますでしょうか。
(答)全くありません。
 今、日本の経済一国だけで議論するということはなかなか難しい時代になっていて、やはり米国を初め、ヨーロッパ、中国を含めたアジアの経済の動向によって、例えば、機械受注などというものが決まってくる要素が極めて高いので、ここで予言者のように時期を申し上げるということは、私の能力からはとてもできないということです。
(問)一部の週刊誌が取り上げた鴻池官房副長官の女性問題ですけれども、官房長官からの厳重注意を受けたということのようですが、このことについてどういうふうにお考えになりますか。
(答)官房長官が厳重注意をしたわけですから、厳重注意に相当する事項があったのだろうな、というふうに私は思っています。
(問)総理は「個人の話」としておっしゃっていますし、御本人も辞任の考えはないということをおっしゃっていますけれども、党内からは厳しい声も、一部出ていますけれども、その辺に関しては。
(答)こういう質問は、官房長官にされると、適切なお答えが返ってくるのではないかと思っています。
(問)先ほどの定額給付金の話なのですけれども、大臣も最近の会見では、経済効果があるということを説明されているかと思うのですけれども、2兆円の定額給付金を配れば経済効果がないわけはないわけで、問題は、2兆円というお金をもっと有効に使えるのではないかというのが、財政審の方々の御指摘でもあるかと思うのですけれども、もともと定額給付金の原型となった定額減税について、自民、公明で議論している中では、そもそも自民党内では慎重論が大勢だったわけですし、大臣も慎重だったと思うのですけれども、その辺で政府の説明というものが、論理的に破綻しているとしか思えないのですが。
(答)論理は、破綻はしていないと思っております。このもともとの原型は、定額減税であって、定額減税そのものなわけです。
 しかし、定額減税でやろう、というふうにまとまりかけたのですけれども、その場合の大きな問題点としては、税を実際負担されていない方々に、それが及ばない。また、定額減税する額まで納税額が及んでいない方々にも、定額減税の恩恵がフルには届かない。そういう問題があるということで、それでは一つの考え方としては、定額減税と給付金とを組み合わせてやるか、という御意見も、もちろんございました。
 定額減税と給付金とを組み合わせてやるというのは、割に見えやすい仕組みだろうと思うのです。例えば、民主党の言っている給付金付税額控除というのは、今やっている定額給付金と非常に似たものですが、民主党のほうは減税と「税」という言葉を使って、プラス給付金という言葉を使っているのですが、そこのところは、論理は破綻していなくて、すべての人に、いわば減税的な効果が及ぶということにしようというので、給付金ということにしたわけです。
 定率減税の場合と違いまして、所得階層の高い方々に対する、いわばリターン率というのを考えますと、納税額に対してリターン率は非常に低い。そういうことを考えますと、定額給付金は、社会政策的な傾斜は、ちゃんとその中にビルトインされているというふうに、私は最近、思っております。
 もう一つは、個人消費と諸施策という問題ですけれども、公共事業を仮に1%やった場合、個人消費がどのぐらい伸びるかというと、0.09%ぐらいしか伸びないのです。実は、公共事業というのは、雇用創出という何か景気のよさそうな話になりそうなのですけれども、個人消費との関連においては、0.09%しか伸びない。
 かてて加えて、公共事業の場合ですと、特定のセクターにお金は行ってしまう。それから、たとえ0.09%であっても、個人消費につながるラグタイムは、直接の給付金よりはるかに遅いというような問題。いろいろな問題も実はある。
 国会での御質問は、消費に結びつかないよと、こういう御意見があって、私は結びつくと思っていまして、全く購買力を付与しないで「消費を増やしていただきたい」と言うよりは、購買力を付与して消費をお願いしたほうが消費に回る確率がはるかに高い、というのは、自明の理だと思っています。
 ただ、こんなことを国民にくどくどと説明しても、おわかりいただけるまで時間がかかるという恨みがあって、そこのところを一言でうまく説明できる方法はないかと思って、苦慮しているところです。
(問)効果があるというのは、もちろん承知しているのですが、私の質問の趣旨は、コストパフォーマンスを考えたときに、この2兆円を、例えば緊急の雇用対策なり、あるいは公共事業でも学校の耐震補強とか、そういった緊急性の高いところに使うべきなのではないかと。まして、国の台所は火の車なのですからというのが、例えば民主党なども、そういう主張をしようとしているようですけれども、そういったことについてはどう反論されますか。
(答)社会全体として消費をするときに、個人がばらばらに自分の好みの方向で消費するのがよいのか、あるいは何かまとまったものをやるのがよいのかという問題だろうと思います。
 雇用対策に関して言えば、相当のお金が、もう既に投じられております。それから公共事業は、例えば学校の耐震補強などというものにも、相当お金を使っております。
 実は、第1次策、第2次策をつくるときの最大の悩みは何だったかということを振り返ってみますと、「よい公共事業はないのか」という話を勉強した。今の御質問に率直にお答えできるような「公共事業はないのか」と。これがまた、なかなかない。
 私は、「では、整備新幹線などはどうか」と言ったら、党の政調の幹部に言下に否定されて、だめと。「では、羽田空港の拡張工事を前倒してやったらいいじゃないか」と言ったら、「あれは海上工事でやっているので、船が足りなくて、そんな前倒しなんて言ったってスピードは早められない」とか、ことごとく私の言うことは否定されていまして、なかなか時代に見合った、あるいは将来に優れたパフォーマンスを発揮できるような公共事業がない。
 それから、「農業にお金を使ったらいいじゃないか」というのも言ったのですが、なかなかこれも、他の政党が言うようにあらゆる農家に100万円ずつばらまいて歩くという話なら、また別なのですけれども、なかなか農業政策もすぐには出てこない。
 いろいろなことを検討しましたけれども、国民に購買力を付与して、生活対策プラス消費の拡大ということに結びつけたいというのが、最後の瞬間の判断であったわけです。
(問)先ほどの「中期プログラム」の話なのですけれども、今、自民党のほうで、税法に附則として盛り込むかどうかという話がもめていると思うのですけども、「中期プログラム」の策定に当たって、大臣は御尽力されてきたわけですけれども、ここで改めて大臣が党との調整に当たるようなお考えはございますでしょうか。
(答)全くありません。党のほうは、幹事長、政調会長、総務会長を初め、政策を担当されている方々がおられますので、そういう方々にやっていただくということが、正しいやり方だと思っています。
(問)今年の春闘がスタートしましたけれども、賃金、雇用の両面で注目されていますが、大臣は経営側に対して、今回の春闘でどういったことを期待されますでしょうか。
(答)もう少し経済が好況のときに、やはり労働分配率を上げる作業を労働組合はやらなければいけなかったと、私は今でも思っています。
 春闘を主導しているのは連合ですけれども、連合の組織は800万人の組織労働者しか擁していない。それの外におられる雇用者というのは、5,000万人近くおられるわけですから、やはり労働者全体のことを考えて、連合は主導的な役割を果たしていただきたいと、私はそのように思っております。
(問)経営側に対しては何か。
(答)経営側は、やはり悲劇を回避するように心配りをしていただきたい。そのように思っております。

(以上)