与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年12月2日

(平成20年12月2日(火) 10:21~10:38  於:記者会見室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)経済財政諮問会議ですが、12月3日と9日に予定されておりますけれども、中期プログラム等を含めてどんな議論をしていくのか、今仰れる程度で結構ですので、よろしくお願いします。
(答)3日の日は、中期プログラムに関する幾つかの原則等を確認してまいりたいと思っております。
 続きまして、石破農林水産大臣から農業政策について幾つかの御提言がある予定。また、食料自給率50%を目指すというのは、既に福田内閣の経済対策に書かれておりますので、それをどういう足取りでやっていくのかを検討してもらわなければならないと。いつまでにその検討を終えるか、ということも、一つの重要な諮問会議での論議の対象になると思っております。
 9日は、中期プログラムがだんだん煮詰まってくる、そういう過程になると思います。
(問)内閣の支持率が下がっておりまして、看板の景気対策に対する評価も芳しくありません。政策実行に至る前に、内定取り消しとか、自動車の売れ行きが悪いというか景気の悪化の進行が早くて、なかなか政策が機動的に対応できていないというような印象があると思います。経済財政政策担当大臣としての御所見をお願いします。
(答)支持率が下がったというのは、我々も含めて閣僚等が更に国民の期待に応えるように努力をしなければならないという、ある意味では大変厳しい御指摘だと思っておりますので、私としては、さらに職務に精励したいと思っております。
 経済対策というのは、つくるのもなかなか大変でございますけれども、これを実行に移すためには、法律の改正あるいは国会における予算の御承認……その中に、若干国会を構成する党同士の、いわゆる国会運営上のやりとりもあって、麻生内閣としては国会情勢をよく見ながら、ベストの方法で第二次補正の提出等の時期を決めたと私は確信しておりますが、そのことが国民の皆様方には十分説明され尽くしていない、また、御理解をいただいている段階に至っていない、というのは、むしろ我々責任を感じるところであります。
(問)今御指摘にあった経済対策について、大臣がイギリスの新聞とのインタビューで、現下の経済情勢の中では、財政支出をしてもすぐに解決策にならないんだということと、追加経済対策の効果も余りないのではないかとか、さらに公共事業を求める政治家に対しても牽制するような、そういった趣旨のことが書かれているんですけれども、これから更に景気が厳しくなる中で、大臣としては、もう財政を使う余地というのは本当にないのかどうかということを改めてお伺いします。
(答)経済対策は一次、二次とも効果が上がるということですけれども、使うお金の範囲内の効果でしかないということです。
 現在の経済状況というのは、一つ、二つの薬を飲むと良くなるというようなものではなくて、かなり耐えていく時期というものが長くなると。そういう状況です。
 そこで、内需を喚起しろという議論が一方であるわけでございますけれども、家庭が消費に向かうときに、身の回りを見れば、いわば需要は一巡しているということも言えるほど、それぞれの家庭の、例えば、耐久消費財等は充実してしまっているわけです。そこで、財政出動としての公共事業等を考えてみますと、なかなか「これぞ公共事業」というものが見つからない、積み上がらない。そういう側面もあります。
 ただ、あのフィナンシャル・タイムズのインタビューで申し上げたことは、やはりアジアが直面している経済危機には、日本は敏感でなければならないし、また、アジアの経済危機に対しては、日本の持っている力、余裕を、そういうものに捧げていくんだと。これは大事なところだと思っております。
 ですから、即効性のある薬を期待して経済対策を見ていただくと、即効性という点では、効き目はじわじわと来るのであって、今日薬を使っても明日快方に向かうというような特効薬というのは、経済にはないと。ましてや、今回はいわゆる需給ギャップが大きくなる、あるいは在庫が積み上がる、という従来型の不況ではなくて、金融危機から始まったという非常に特異な、いわゆる景気後退の局面だと私は思っておりまして、それは瞥見、複合的な要素を持ったものに対しては、一歩ずつできる限りのことをやっていくという姿勢で対応するのが、正しいんだろうと思っております。
(問)内閣の支持率についてなんですけれども、我々が先週末に行った世論調査だと27.5%と3割を割り込んでいるんですね。危険水域と言われる3割を割り込んでいて、福田前総理が辞任する1カ月前の数字を下回っているんですが、この数字について改めてお聞かせください。
(答)内閣の支持率は低いより高いほうがいいと思っておりますので、国民の御評価がそういう数字に表れているのは非常に残念だと思いますけれども、麻生内閣としては、そういうものを上げていく、国民の御理解、共感を得られるような働きをしなければならない、という御叱声だというふうに受けとめております。
(問)一つ前の質問と関連しますが、昨日と今日、自民党の政調全体会議で来年度予算編成の基本方針というのがかかっていますが、昨日も2時間半、シーリングを堅持するという、その一文についてかなり厳しい意見が与党内から出ておりました。金融危機を前に定めたものを、今この状況で改めて守る必要があるのかというのが基本的な意見だと思うんですけれども、この点について大臣のお考えをお聞かせください。あと、先ほど明日の諮問会議のお話の中でこの件の話がでませんでしたけれども、予算編成の基本方針は明日了承される見込みではないんでしょうか。その点も併せてお願いします。
(答)党内の議論は、当然一般的な経済状況の悪化のほかに、都市と地方の格差があって、地方では、より不況の風を強く感じておられるということで、地方出身の国会議員の方が、地方の自分たちの地元の実情をわかった上で発言されていることなので、その発言自体は尊重されるべきものだと思っておりますが、一方では、やはり予算編成の一つの大事な約束事として、シーリングというのはきちんと守るというのが私は財政のけじめである、と思っております。
(問)明日の諮問会議で了承される見込みというのは。
(答)党内の議論百出は続くと思いますけれども、党の執行部はしっかりしておりますから、よい結果が出ることを期待をしております。
(問)日米の株価について、また改めて伺います。円高も急速に進んでいますけれども、これについて御所見をお願いします。
(答)株については、直接的なことを申し上げにくいのでありますけれども、やはり株式市場では、米国の経済の将来、日本の経済の将来に対して不安を持っている、ということは、先行指標としての株価にあらわれていると思います。
 それから、円はやはり相対的に安全な通貨、安全な経済としての円シフトが行われているということです。円の価値が高くなるということは、円という通貨だけを見ると悪い話ではないんですが、やはりドル建てで輸出されている輸出産業は、相当つらい。また大企業で輸出をやっていますところも、大体、目論見は円の水準を105円ぐらいで今年度はやっておられたと思うので、それぞれの輸出産業の、あるいは輸出を中心とした企業の収益というものは、それだけ圧縮されると。
 円高と株価というのは理論的な相関は多分ないと思うんですけれども、グラフの上で書きますと、比較的相関関係がはっきりしているということはあります。
(問)全米経済研究所が2007年12月段階で、アメリカの経済が景気後退入りしていたと正式に宣言しましたけれども、この率直な受けとめをお聞かせください。
(答)多分、日本もその頃、景気後退に入っていたんだと、私は思っていまして、福田内閣で現在のポジションに就任したときに「去年の暮れから景気後退局面に入っていた」というふうに言ってしまった……のですが、まあ、直感的にはもう去年の暮れから、日本の経済は多分悪くなったんだというふうに思っています。

(以上)