与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年11月25日

(平成20年11月25日(火) 9:32~9:46  於:記者会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
 総理御不在の閣議でございまして、案件が淡々と審議されました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先週末に、経済財政諮問会議の民間議員と税調の幹部が会われて、大臣も含めて非公式の会談をなされたと思いますけれども、その中で、消費税率の引き上げ率とか、あとは引き上げる時期、さらには中期プログラムの出口、どのような形で合意とするか、というようなことについて、方向感は出てきましたでしょうか。
(答)これは、非公式な意見交換なので、物を決める場所ではない。ただ、いろいろな事柄について、共通の知識と認識を持って進んだほうが、物事はスムーズにいくだろうということでやりました。党にとっても、また諮問会議側にとっても、有益な会合であったと思いますし、また、吉川教授のお言葉をお借りすれば、党と諮問会議の考え方は調整できる、というお話でございましたので、今後、調整に励みたいと思っております。
 具体的に消費税を幾ら上げるかという話ではなくて、社会保障制度を保険料方式であって、かつ、持続可能性を考えていく場合には、これから必要となるお金の額はこのぐらいだというイメージは、お互いに持ちながら議論したと。消費税をこう上げるとか、上げないとかという話ではなくて、社会保障にはこのぐらいの増分の経費がかかるし、機能強化を図った場合はこのぐらいかかるし、根っこのところにはこれだけの不足があるしと、具体的な消費税率で論じたのではなくて、少し大ざっぱというか、ざっくりした数字なのですけれども、規模のイメージをお互い持つために、何兆円という規模の数字をもって論じた。こういうことでございます。
(問)全体的な世界の景気対策との関連なのですけれども、今日の新聞に報じられていますけれども、イギリスが消費税率を2.5%引き下げるということを発表しておりまして、これは時限的ですが、'09年末まで。それからあと、アメリカのオバマ政権は、数千億ドル規模の景気対策をやるというようなことも報道されております。
 それで、翻って日本を考えると、麻生総理は景気対策というふうにおっしゃっていますけれども、この間策定されたものも、題名は生活対策ということでありますし、今までの小泉改革の路線を引き継いだ上で、つまり、金融危機対応でギアチェンジというのですか、必ずしも財政出動のほうに舵は切っていないということで、世界の景気対策と、若干、温度差があるように思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)いわゆるワシントンの会議でも、APECの会議でも、fiscal stimulusという言葉が使われておりまして、財政による景気の刺激をもって、それぞれの国は内需の振興に努めろと、これが共同宣言の中身であると思います。それが直ちに日本の財政出動につながるとは思いませんけれども、やはり世界経済を考えた場合、物の考え方としては、内需を強くしていくということを常に念頭に置きながら、政策に取り組んでいかなければならないと。具体的に、それがすぐ年度末の予算編成に何らかの形で実現するということは、今のところ、想像しておりません。
(問)先週末、税調幹部と会談したということですけれども、今後、このような会合をまた行う意思があるのかということと、あるいは大臣自身が党税調との調整に乗り出すようなお考えがあるのかということについてお伺いできますか。
(答)一度、税調の幹部に私のほうからお伺いして、いろいろ御意見を伺いたいと思っていますし、柳澤さんには「もう一回ぐらいは講義をしてください」ということをお願いしておきましたから、この種の会合は、まだ続ける必要はあると思っております。
(問)それは、スケジュール的には、割と頻繁に、あるいはごく近い段階でやるべきだというふうにお考えですか。
(答)この間の結果で、党の感じと諮問会議の感じの一致点、あるいは相違点というのがわかりましたから、それを整理して、どういうふうにそれを近づけていくかというようなことを考えながら、必要によっては御相談に上がる。そういう手順になると思っています。
(問)追加経済対策の定額給付金について、党内から見直したほうがよいのではないかという見直しの話が出ているようなのですけれども、これについて大臣はどうお考えですか。
(答)初めてお伺いする話なので、何も考えていません。
(問)先週金曜日の非公式会合の関連で、1点お伺いしたいのですけれども、諮問会議の議論の中でも、消費税と社会保障の関係では、機能強化を優先するか、現行制度を優先するか、2つのアプローチの仕方がありますというのが諮問会議での議論として出てきたと思うのですが、その点について党税調との間では、何かコンセンサスが得られたのでしょうか。
(答)党と諮問会議とがどこに差があるのかな、と思いますと、一致している点は、やはり社会保障を持続可能にし、充実させるためには、新たな安定財源が必要である、という点については、揺るぎのないコンセンサスがあると思っております。
 新たな財源をどこの必要性から論じるのか。新たな財源をどの分野につぎ込むのか。お金に色はついておりませんから、集まったものをどう使うかということよりは、集めるときに、国民に「こういうもののためにお金が必要です」という説明のしぶりというのが、実は大事になってまいりまして、社会保障国民会議のリーダーをされた吉川先生は、やはり自然の増分と、高齢化による増分と、機能強化、それから効率化、こういう分野で必要なお金をお願いすると。
 党のほうの、これは多分、柳澤さん御自身の御意見だと思いますが、やはり機能強化といっても、機能強化の具体的なことが出てくるまでは、実際の支出はわからないだろうと。したがって、機能強化は毎年の予算査定で財源を確保すればよいのであって、やはりむしろ、根っこのところの社会保障費の足りないところを充実させるべきだと。こういう御意見の差なわけです。
 ただ、これも本質的な差があるのかどうかというと、思想としては、本質的な差はあるのですけれども、国民に御負担をいただくという、その総額においては、お二人の考え方を数字の面で検討すると、そんなに差があるわけではない。ほぼ同一のものだと、こういうふうに思っております。
(問)シティグループの救済に、アメリカ政府が乗り出すという具体案が、昨日、発表されたわけですけれども、それで株価も、ニューヨークも昨日反発して、東京も今日、どうも反発で始まっているようなのですが、アメリカの追加的な金融対策について、大臣はどういうふうに御評価されていますか。
(答)今や古典的な言葉になったのですけれども、「too big to fail」という言葉、やはりシティのような全世界100国以上に展開し、従業員も30万人前後を抱え、非常に大きなバランスシートを持っているところの経営が不安定になると、金融機関自体だけでなく、米国の経済及び世界全体の経済に影響があるので、アメリカ政府は勇断をもってシティ救済に乗り出したと思いますし、今回の救済は、ほぼ規模、内容から、スイス政府がUBSに行った救済に似ていると言う方もおられます。

(以上)