与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年11月21日

(平成20年11月21日(金) 18:08~18:40  於:記者会見室)

1.発言要旨

月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催されましたので、その概要を御報告申し上げます。
 景気の基調につきましては、「景気は弱まっている。さらに、世界経済が一段と減速するなかで、下押し圧力が急速に高まっている」と下方に変更いたしております。これは、金融危機がアメリカ、欧州だけでなく、アジア等へも広がりつつあり、世界経済が一段と下振れしていることを反映して、一つは輸出の判断を先月の「緩やかな減少」から「減少」に下方に変更したことに加えまして、第二に、企業部門を中心に足下で急速な状況の悪化を示唆する動きが見られることを踏まえたものでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば生産の予測では、10月、11月と大幅な減少が見込まれていること、また上場企業の収益予想が大幅に下方修正されていること、また、設備投資に関係の深い資本財出荷、機械受注などが弱い数字となっていることなどが指摘できると思います。こうしたことから、景気の下押し圧力が急速に高まっていると認識をしております。
 また、先行きにつきましても、原油価格等の下落による一定の効果は期待できますが、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念、株式、為替市場の大幅な変動から、景気の状況がさらに厳しいものとなるリスクが存在することに留意する必要があると認識しております。
 特に、雇用については、派遣労働者の雇用過剰感が急速に高まっていることなどもあり、十分な注意が必要であると考えております。
 このため10月30日に取りまとめました生活対策により、生活者の不安にこたえるとともに景気を下支えしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)まず今回、2カ月連続での下方修正で、今年になってから6回目の下方修正ということになります。先ほど大臣からも、非常に厳しい認識が示されたと思うんですけれども、前回のGDPの発表のときに、日本は景気後退局面にあるということをはっきりおっしゃったんですけれども、今、今回の月例を見て、そういうのがわかりやすい言葉で日本経済の現状がどうなっているというふうにお考えでしょうか。ちょっと改めてお願いいたします。
(答)日本だけでなくヨーロッパ、アメリカ、新興国経済、ともに同じ方向に向いている。すなわち、経済全体として下向きになっているということが、あらゆる指標から明白でございまして、日本の経済は、世界経済と同時に弱い方向に進んできていると。結局は、日本の経済というのは一国で成り立っているわけではなく、国際経済全体の枠組みの中での日本経済ですから、世界経済全体が下向きの状況の中で、日本も量的には違いますけれども、方向としては下方に進んでいると、そういうことだと思います。
(問)それからあと、今回、基調判断を下方修正ですけれども、個別判断で見ると輸出の判断を引き下げているだけということでありまして、やや今までの内閣府のこういう基調判断のやり方とは違ったやり方をしているように思われているんですけれども、なぜこういうようなことをやられたか。
(答)やはり、今までの慣例とは若干違う手法をとっていることは間違いないんですけれども、それが禁じられているような手法ではなくて、新たな数値を入れたほうが、より的確な、現時点での判断ができるというだけの理由でございます。
(問)それからあと、今回のこの月例も含めて、かなり厳しい状況になっていて、このまま自然体でいきますと、08年度、それから09年度、やはり日本もマイナス成長が避けられないんじゃないかという見通しが、民間のほうでは多くなっております。ただ、政府として、経済が縮小していることをそのまま認めていると、やはり雇用等にも影響してきますし、そのあたりどうお考えになっていますでしょうか。
(答)民間の研究機関の調査が大変信頼のあるものだと私は思います。
 直感的には、民間の研究機関の数字というものを私も物事を考える前提として考えるわけでございますけれども、やはり政策努力をどう積み重ねるかということによって、できるだけプラス成長になるような政策努力をするということが、やはり政府、政治に課せられた課題であると思っておりまして、いたずらに悲観的な見通しを立てるのではなく、厳しい状況ですけれども、それなりの政策努力をしていく。それがやはり政府や政治の使命であると思っております。
(問)それからあと、政府としての対応ということなんですけれども、既に策定されている追加的経済対策をなるべく早く実行に移すということが、まず最優先だとは思うんですけれども、それに加えて、マイナス成長が続くというような可能性があるとすれば、さらなる対策というものが必要になるんじゃないかと。そのあたりいかがでしょうか。
(答)それは、総理や与党全体の判断になると思いますけれども、補正予算については、我々がつくりました生活対策は定性的なものでございまして、今、中川財務大臣のもとで、これを予算にするための膨大な作業をやっていただいております。
 総理から、昨日ペルーに御出発する前に、この生活対策の中で二次補正となるもの、あるいは21年度の当初予算の中のものとなるもの、あるいは法律、制度の改正となるもの、自分が25日にAPECから帰ってくるまでに整理しておくようにという御指示がございましたので、それまでにはきちんと整理して、総理が帰国され次第、総合的な観点から御判断をしていただきたいと思っております。
 現在のような経済状況の判断が出ましたことは、当然、21年度の予算編成にも考え方としては影響を与えるわけでございますけれども、財政規律や、また既に決めたシーリングを守りつつも、やはり経済に対する予算の最大の貢献ということを考えながら、予算編成は行われるべきだと考えております。
(問)マクロ経済政策の一つの柱である金融政策ですが、一義的には日本銀行の専管ということですけれども、世の中の状況がかなり変わりまして、アメリカは12月にも大幅な利下げ等が予想されている状況でもありますが、日本は利下げ余地はもうかなり少なくなっておりますけれども、ゼロ金利とか、あるいは量的緩和、これは非常事態だと思いますけれども、こういった状態にすべきというようなことも起こり得るんでしょうか。
(答)これは最終的には日本銀行の政策決定会合において決定されるべきことだと思っております。ただ、日本銀行の政策決定会合では、CP現先取引等々、また企業のいろいろな資金繰り等に関しては、さらに一段と配慮を加えた金融政策をとりたいということを政策決定会合で既に決めておりますので、そういうものには大いに期待をしたいと思っております。
(問)11月の月例も2カ月連続で下方修正されました。今後、今月の下旬に鉱工業生産指数、あと12月の頭に法人企業統計が出てきまして、さらに悪い数字が出てくると思います。12月の月例判断についても3カ月連続で下方修正されるという、現下の経済情勢を考えますと、その可能性についてどのような御見解をお持ちでしょうか。
(答)世界経済は、1週間一月の単位で回復するというわけではありません。アメリカの最も平均的な予想を見ましても、09年に入りましてから、緩やかな回復基調で年末にかけて回復していくということでございまして、やはりここ当分は、世界経済全体の減速から日本も逃れることはできないと、そういう現実は覚悟をしながら政策的な努力をしていくという立場を政府はとらなければならないと思っております。
(問)先ほど総理からのペルーに行く前に御指示があった内容なんですけれども、これは大臣の理解では、そのうちの一部というものは、二次補正として、今国会で提出されるということを念頭に置いたということなんでしょうか。それは全く関係ないんでしょうか。
(答)それは、わかりません。それを見た上で、そういうことを国会運営とともに、総合的に判断されると私は思っております。
(問)月例と関係ない話で大変恐縮なんですけれども、総理の最近の発言の問題について、閣内あるいは党内からも批判の声が出ているんですが、この件に関して大臣はどう思われますか。
(答)私は、コメントする立場にありません。

(以上)