与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年10月28日

(平成20年10月28日(火) 9:02~9:16  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 定例閣議は、特に御報告すべき点はございません。

2.質疑応答

(問)今日から本格化するかと思いますが、新しい対策、追加対策の進捗状況と今後のスケジュール、及び昨日、総理から指示がありました株価等の安定化策について、今後どう進めていくか、大臣として、お考えをお伺いしたいのですが。
(答)まず、与党、すなわち自民・公明の実務者と、私が今日午前中、お目にかかりまして、草案の最終的な出来上がりに向けての作業を始めます。相違点は、そう多くはないので、与党と政府の間では、決着に向けて大きく踏み出すと考えております。
 ただし、金融の部分は、今、党では柳澤さん……、昨晩、中川大臣も入れて詳細な御相談をしましたので、それに基づいて金融の部分は、柳澤さんが今日中に起草してくださると思いますけれども、これはまだ政府・与党の会議に出すほど完成度が高くないので、もう一度、自民党の中で御相談されるのではないかと思っております。一応、目指している30日に向けては、今まで想定された作業工程は守られていると思っております。
(問)昨日、為替相場の変動について、G7の共同声明が出ましたが、これについて大臣はどうお考えになりますでしょうか。
(答)すべての主要通貨のボラティリティーというのは、すべての国にとって好ましいことではないというのは、申し上げるまでもありません。ここ1週間ほどの動きというのは、目を見張るような円高の進行でございまして、決して日本の経済のファンダメンタルズをきれいに反映したものとは考えられない。やはり、いろいろな、例えばキャリートレードの解消とか、ファンドの株の投売りとか……、為替相場そのものの、基礎的要件による為替変動とはとても言いがたいと。そういう中で、G7の方々も、同じような憂慮、一国の通貨の相場が過度に変動するということは、日本だけでなく、仮に他国の通貨で起こっても、同じような立場をとられると。そういう為替の過度の変動、ボラティリティーが必要以上に高まるというのは好ましくないというのが、通貨の専門家のいわゆる共通した常識であって、それに基づいた声明であるというふうに理解しております。
(問)昨日、政府・与党ということで、株価等の安定化策の指示が総理からあったかと思うのですが、日本銀行について、これだけ株価等が変動しているときに、何かやるべきことがあるのではないかという意見も出てきたりしております。日本銀行が利下げすべきではないかという意見を言う専門家もいらっしゃるのですが、これについて大臣はどうお考えになりますでしょうか。
(答)そもそも、日本銀行の金融政策に政府が積極的な発言をするということは、日銀法では予定されていないことで、仮に意見があれば、政策決定会合に出かけていって、そこで議事を延期してもらう、あるいは意見を申し上げる、という正規の手順を踏むべきであって、記者会見で日銀の金利水準に関して私が発言するというのは好ましいことではないと思うので、お答えはできないというのが、最初のお答えです。
(問)経済財政諮問会議なのですが、月内にもう一度開きたいということをおっしゃっていたかと思うのですが、そのスケジュールと議題等がもし固まってきていて、お答えいただけるような状況であれば、お願いしたいのですが。
(答)一応、好ましいスケジュール……、実際に起きるかどうかわかりませんけれども、私どもにとっては、こういうスケジュールが大変好ましいというスケジュールはあって、それは今日、政府・与党の実務者会議をやって、今日の午後から、諮問会議の四人会のメンバーには、それについて説明を申し上げて、御内諾を得て、その上で30日に、政府・与党の新経済対策についての固めをやろうと。それで、もうあらかじめ御内諾を得ている内容ですから、とはいっても、やはり正式な諮問会議を、その翌日の31日に開こうという予定で組み立てておりますけれども、国会の情勢やら、解散の情勢……は関係あるのかないのか知りませんけれども、そういうことで、我々が好ましいと思っているスケジュールが、そのまま実行に移せるのかという問題はありますが、少なくとも今日の政府・与党の実務者会議と、午後からそれに基づいた諮問会議議員に対する下説明ということだけは、今日中にはやります。
(問)閣議に先立ちまして、給与関係閣僚会議が開かれたと思うのですけれども、大臣も御出席されたと存じますが、公務員給与に関する取り扱いにつきましては、今日の会議では持ち越しということでしょうか。
(答)いつも1回では決まらないような……。過去も1回では決まらない。1回、2回と開いて決まっていくと思います。
 ただ、今度の経済対策でも、各企業に賃上げを要請するわけですから、その中で公務員給与だけ下げるというのは、何か不自然だなと思っています。
(問)日銀の利下げに関しては、お答えする立場にないということは重々承知した上でお伺いしますけれども、各国中央銀行、ECBとかその他イギリスも含めて、追加利下げをしてもよいというようなトップの発言もありますけれども、そういう環境になってきたのかどうか、この辺、御認識をお伺いします。
(答)金融政策の幾つかの手段の一つである金利の水準を上下させるというのは、日銀の金利水準は0.5ですから、まず経済に対する効果からいえば、0.5で置いておいても、0.25に下げても、経済に対する効果は全くないと。ただ、象徴的な意味は持っていると思います。それから、各中央銀行が下げたときに、日本もそれに伴って下げるというのは、国際協調の重要な証しを立てるという意味では大事であろうと。
 ただ、実体経済にどのぐらい影響があるかといえば、0.5を0.25にしても、お金の流れが突然それによって変わるとか、企業が突然、設備投資の意欲が出てくるとか、そういう話ではない。
(問)関連なのですけれども、ほかの国の中央銀行が利下げをして、日本が、もともと利下げの余地も少ないですけれども、利下げをしないということでありますと、円高の方向に力が働くというようなことが指摘されていますけれども、それは日本経済にとっては、やはりあまりよいことではないように思いますし、その点、どうお考えでしょうか。
(答)円が高くなるという要素は、この次にアメリカが金利を下げても、せいぜい1%にしかならないという中で、実は日本の金利が高くて海外が安いという場合には円高になる可能性がありますけれども、日本が金利を0.5の水準に置いておいても、それから下げても、為替の水準には、私は、ほとんど影響がないのだろうと。
 ただ、円キャリートレードの解消とか、ファンドが市場でキャッシュアウトのために清算に向かっているとか、そういうことのほうが、やはり円高に効いているのではないかと思って、実は為替レートと普通は関係するであろう日銀の金利とは、今、関係が遮断されていると思っています。

(以上)