与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年10月17日

(平成20年10月17日(金) 10:01~10:22  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議は案件どおりでございました。

2.質疑応答

(問)今日、諮問会議が開かれると思いますが、今回の諮問会議でのテーマ等について教えていただければと思います。
(答)まず、諮問会議は新しいメンバーの方が入ってこられるので、半ば初顔合わせ的な様相があります。それから、当面の経済対策、すなわち総理が昨日お示しをされた方針があります。その方針に対して、諮問会議の議員の方から、自由な意見を言っていただいて、そして総理の方針をオーソライズしていただければなと思っております。
 第2は、社会保障と財政、この件につきましては、吉川先生が社会保障国民会議の責任者であり、大体報告書の最終的な姿もまとまってきたと伺っておりますので、吉川先生から、所要時間は15分ぐらいですけれども、社会保障と財政について、今日第1回目のお話をいただくということ。
 それから、経済財政諮問会議の性格ですけれども、従来はいろいろな使われ方をしてまいりました。1つは、与党に先駆けて議論をして、先行的な議論で与党を説得したという側面、それから諮問会議の場での議論を広く国民に周知せしめる目的で使われたこと。しかし、今回の麻生総理のもとでの諮問会議は、大きな戦略を企画していくと。戦略企画的な要素、これを最優先の性格にしようということで、昨日、麻生総理の御了解をいただいたわけでございます。もちろん、そのほかの使い方も場合によってはある。
(問)昨日の会見で、大臣は税収見通しが非常に厳しいということを仰っていたかと思うのですが、今後、税収見通しが厳しいということになると、年末に減額補正ということになると思います。その場合に、どうしても赤字国債発行は避けられないと思うのですが、減額に伴う赤字国債の発行というのは、容認されるべきものだとお考えですか。
(答)これは、諮問会議の議員をこの前まで務めてくださっていた八代教授の御意見ですけれども、もともと当初予算編成に時には、赤字国債を出していたと。したがって、税収見積りが狂って、当初予算に関して赤字国債を出さなければならないような事態は、これは理論的に許されると。ただし、補正予算、追加対策等をやる時に、赤字国債を出すというのは好ましくない、これが八代先生の理論でしたけれども、私もそのように思います。
(問)大臣は、諮問会議の新しい役割ということで戦略企画というのを今仰ったと思うのですけれども、このイメージというのは、要するに、これまでも党に先駆けて物事の流れをつくるという意味で、戦略企画と言えないこともなかったと思うのですが、違いをもう少し詳しくお聞きしたいのですけれども。
(答)私は、政調会長をやっている時に随分泣かされたわけです。「政調会長、政調会長がそう仰っても諮問会議で既に決めました」と。私らそれで押し切られたことが何度もあります。そのような悲しい思いを党の方にさせないために、やはり与党とは十分、諮問会議とは別に、打ち合わせをしていかなければいけないということが1つ。
 それから、諮問会議は単なる物事を広報・宣伝する場所ではなくて、大変優秀な学界の方、経営経験や国際経験の深い実際の経営者が来られているわけですから、物事を宣伝するとか、広報するということだけでは役割は足りないと。現実化していくための戦略を考え、企画を考え、それを総理のリーダーシップと党の協力で実現をしていくと。そういう意味の戦略企画という言葉です。
(問)要するに、制度の細部までこの諮問会議で決めるという流れは作らないにしても、もっと大くくりな進むべき方向、基本方針というのは、諮問会議でこれまでどおり、党とも連絡はとるにしても、打ち出していくという、そこは変わらないことなのでしょうか。
(答)諮問会議は、やはり総理の諮問機関であって、大きな権威を持っているわけですから、大きな権威自体は存在し続けると。その悪しき利用は避けるということです。
(問)本日の日経平均株価は反発をしているのですけれども、ニューヨークの反発を受けてということだと思いますが、最近は1,000円上がって、1,000円下がってなどと変動幅が非常に大きい相場になっていますけれども、これについてどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)皆様方も経済問題の取材の第一線にあって、恐らく経済記者一生の中で、今回限りの体験だと思います。株価が10%を超えた幅で上下するというのは、極めて異常なことだと思いますし、アメリカ経済も具体的な決算等の数字が出てまいりますと、これにどう株式市場が反応するかというのは、予断を許さないと思っています。どこかで底値が安定してくるはずですけれども、今のところ、日本の経済自体の有様が株価に反映しているというよりは、ニューヨークのいわば写真相場的なことで、日本の株価が揺れていると。
 ただ、株の資産効果がなくなるということは、個人の消費も減退をする可能性もありますし、会社の資産が劣化をしますと設備投資意欲も薄れてくるでしょうし、株の保有率の高い生命保険会社等の資産内容は劣化しますし、それから地銀等の自己資本比率というものも厳しくなってきて、それがまた貸出抑制につながるというような問題があって、この問題は、やはり非常に変動が激しい時期の資産の評価というものをどう考えることが正しいのかという議論をせざるを得ないと思っています。
 また、例えば通常ですと、市場に出すと市場価格がついたのですけれども、今は本来の理論値とは全く関係なく、値段がつかない、売却先が見つからないというような状況もあって、資産が劣化していても、平常時に劣化したものよりもはるかに低い値段がつけられてしまう、評価がされてしまうというような問題は、やはり非常時、平常時で資産をどう考えるか。このことは金融証券の御関係者も、経済関係のジャーナリズムもお考えいただかなければいけないテーマだろうと思っています。
(問)今の御発言は、時価会計について、今少し見直すべき、議論をすべきときだと、こういうお考えですか。
(答)時価会計そのものを見直すということよりは、時価会計主義をとりながら、時価とは何かという問題にきちんと触れなければいけないと。特に、資産価値の変動が激しいと、例えば、日経225にしても、1,000円上がって、1,000円下がってというような、こういう時期の資産の評価というのは、どういうふうに考えることが正しいのかと。時価会計自体を否定しているのではなくて、時価会計を行う時の正しい資産評価は何かということを申し上げているわけです。
(問)マルチ商法の件で質問なのですが、大臣御自身でこの問題に関係してないのですが、今までマルチ業界から献金をもらったり、パーティー券を買ってもらったりというようなことがあったかどうかという確認なんですが。
(答)マルチ商法というのは、昔から全く付き合いがない。
(問)それでは、過去に国会でそれに関連して、マルチ商法に関連しての質問というのもされたことはないですか。
(答)ないです。
(問)新しい経済対策の財源についていま一度お伺いしたいのですけれども、赤字国債には極力依存しないということですが、地方対策などの目的で建設国債を出すということについては容認されるでしょうか。
(答)公的資本形成であって、国民生活に資するもの、あるいは日本の経済社会の生産性を高めるような公的資金、公的資本形成というのは、もともと是認されるべきものであって、それに対して財政特例法によらずとも、国債は発行できる。これは原則だと思っています。
(問)今回の新しい対策の中で、発行する可能性というのはありますでしょうか。
(答)うまい公共事業があればということです。「うまい」というのは、2つの条件を私は付けましたけれども、そのような正当化される公的資本形成があれば、それは是認されるべきだと思います。
(問)国交省は、今のに関連してですけれども、新幹線の建設についても今回の追加の経済対策で要求する方針を固めているようなのですが、これについて大臣の今の2条件に当てはまると思われますか。
(答)あまり、園田政調会長代理が、国がやる公共事業でうまいものがない、うまいものがないと。「どうだい、整備新幹線は」と半ば冗談に言ってみたら、「与謝野さん、やめてください」とたしなめられましたので、二度と口に出さない。
(問)山梨リニアに対してはいかがでしょうか。
(答)山梨リニアは、あれは福田さんの時の経済対策に入っていて、やれと言ってもあれはもう時間のかかる話で、まず本格調査をしろというところから始まるので、それはこの秋やるのですが、急に長いトンネルを掘ったりするという話はないですね。しかも、あれはJR東海が、ぼちぼち自分のキャッシュフローを使ってやろうという、時間のかかる話です。

(以上)