与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年9月2日

(平成20年9月2日(火) 10:41~11:05  於:共用220会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございましたが、総理からの御発言で、昨日の記者会見のとおりのことを仰って、その後に、とはいえ最後の最後まで国務に力を尽くせと、こういう御指示がございました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)幹事者から3点ほどお伺いします。まず、その第1点目ですが、今日の朝のことも含め、総理から辞意表明があったということで、辞意表明について大臣御自身どうお受け止めになっているかということが第1点目。
 第2点目としまして、総合経済対策と補正予算を指示された総理がお辞めになってしまうと、この総合経済対策と補正予算の扱いが今後どうなっていくのかという見通し等があったら教えていただきたい。
 また、3番目として、今後自民党で総裁選が行われるかと思うのですが、大臣御自身が出馬する御意思があるのかどうなのか、以上3点お願いします。
(答)1点目は、相当びっくりしたのですが、今はそう驚いていないというのが私の心境です。
 それから、経済対策、これを実現するためには補正予算の成立が必要であって、これは果たして臨時国会で成立させることができるのかどうかというのは、やはり国民生活や日本の経済にとっては大変重要なところである訳です。
 総理の昨日の辞意というのは、色々な側面はあると思いますけれども、やはり国のために迅速にものが決まっていかないという今の政治状況を大変憂慮され、自らが身を引くことによって国政に進展がもたらされると心から願いながら辞意を表明されたものだと思っております。
 私としては、新しい総理が誕生し、臨時国会が開かれるということになる訳ですから、そういう中で国民生活、あるいは中小零細企業が必死に生きようとしている、その思いを政治も十分汲み取って行動していかなければならないと、そのように思っております。
 私自身については、実は何も考えておりません。
(問)受け止め方のところで、今はそう驚いていないというお話でしたが、それは、何か今となってみればそうだったのかなという思い当たる節が。
(答)私が記者会見があるということがわかったのが、8時20分頃で、国会議員何人かと何の問題だろうと、色々な問題について頭の体操をしたのですけれども、結局テレビを見るしかないよというのがみんなの結論で、意外な全く予想しないことが起きたのでびっくりしました。
 しかし、一晩明けてみると既視感があって、これは淡々と受け止めてやっていかなければならないという平らな気持ちになっております。
(問)閣議、閣僚懇では、総理から具体的にどういうふうに説明されたのですか、今回の辞意について。
(答)昨日の記者会見どおりですが、自分は党のためにやったのではないと。やはり国の政治が少しでも進展する、そのことが国民に対する責任であって、新しい体制をつくることによって、国政が進展、進むということを自分は願っているのだと。決して与党のためにやったわけでもないし、恐らく自民党のためにやったわけでもない。「党のため」という言葉を使われましたけれども、党のためにやったわけではない、そういうふうに仰いました。
(問)今、既視感という言い方をされましたけれども、安倍前総理もお辞めになるときに、小沢代表と話ができなかったということを挙げて、国会の運営の厳しさということを理由に挙げられましたが、1年間、福田総理もできなかったということで、これが新しい総理になって本当にまた民主党と話し合いを持った国会運営ができると大臣自身はお感じになりますか。
(答)それは、民主党次第の話でして、民主党が今のようにどんな話にも応じないという古典的な抵抗政党としての政治手法をとっている限り、政治はこう着状態に陥ると。しかしながら、その中でも新しい体制をつくって、少しでも話し合いの素地を構築しようと、これが福田総理の御意思だったと私は理解しております。
(問)今のお話とも絡むのですが、福田総理は確かにそういうふうに理由を説明されているのですが、やはり我々から見ると、総理が辞めたからといって状況が変わるのかと。今の質問にもありましたけれども、そこは大きな疑問でして、やはり国民の目から見ても、前の安倍総理と同じように政権を放り出したのではないかという見方があるのですけれども、大臣はどうお考えになりますか。
(答)内閣というのは、ほとんど生き物と一緒で、ある日ぱたっと命がなくなるということはあり得るわけで、放り出すというよりは、内閣としての寿命が来たと私は思っています。それを総理が自ら自覚をして、局面展開には、地位に執着することなく次にバトンタッチされようと。そういうお気持ちであって、放り出したというイメージとは違うのだろうと私は思っています。
(問)もう1点、大臣はまだ就任1か月足らずですけれども、1か月で総合経済対策をまとめて、いよいよこれから実行というときに、続投の可能性はあるものの、一旦大臣の職はお辞めになることになった訳ですけれども、それについては、どのようにお考えになりますか。
(答)私は、今5回目の閣僚経験をしているのですが、長さ短さで物事を判断するのではなくて、やはりその期間何をやったか、何に対して情熱を燃やすことができたか、そこで自分の心の充実感というものをはかりたいと思っております。
(問)政治空白が生じるということで、今景気後退の可能性が相当高まる中で、日本経済への影響というのも大きいものがあると思うのですが、そこら辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)民主党はもともと今月の29日まで審議に応じないと、こう言っていたわけですから、政治空白を最初に発生させたのは民主党だと思っております。この期間を使って自民党は新しい総裁をつくるということでございまして、福田総理が辞められる、辞められない、ということにはかかわらず、実は民主党の理由なき抵抗によって政治空白が生じようとしていた。私はそのように思っています。
(問)大臣、御自身の立候補について、「私自身は何も考えていない」というお話でしたけれども、それは立候補を考えていないということなのか、それとも白紙であるということなのか、どちらでしょうか。
(答)私が初当選してからそういうことは一度も考えたことはない。今もそういう状況が続いていると。
(問)それでは、周囲に頼まれて、やってくださいと言われたら、そういうおつもりになられるのでしょうか。
(答)そういう状況にはならないですから、御心配なく。
(問)次の首相が選ばれたとしても、今の国会の数の状況は変わらないわけですから、今日の新聞の論調を見ても、早期に解散総選挙をやって真を問うべきだという声が大勢だと思いますけれども、それについてはどうお考えでしょうか。
(答)政治というのは、都合よく企画すると大抵失敗するというのが私の体験的な判断基準なので、そうすべてうまく設計しても物事はうまくいかない。ですから、淡々と国政を進めていくという姿勢が新しい政権にもなければならないと思っております。
(問)関連ですけれども、総選挙が現実の視野に入ってきた場合に、歳出増を求める声というのが与党内から更に強まる可能性もありますけれども、大臣はこうした声にどう応えるべきかと思われますか。
(答)選挙を勝つために歳出増を求めるなどということは、今の良識ある自民党にはないはずだと私は思っています。
(問)それに関しては、以前、麻生幹事長が、今財政規律より景気対策だということで、例えば政府が掲げている2011年度プライマリーバランスの黒字化、これを先送りする可能性もあるというようなことを発言されているのですけれども、総裁選の候補について、そういった財政規律をなおざりにするという旗を掲げている候補がいる場合、やはり大臣としては支持はできないということなのでしょうか。
(答)多分その点は麻生幹事長も若干の軌道修正をされているのではないかと思うので、麻生さん自体の基本的な政策は、先送りはできないか、という疑問符つきの発言であって、やはりできないと、今は多分わかっておられると思います。
(問)自民党内には麻生幹事長の立候補を期待する声が非常に強いのですけれども、総裁候補としての麻生幹事長をどう御覧になりますか。
(答)麻生さんは過去何回か総裁選挙を戦ってきて、相当の地方票と相当の議員票を獲得されている立派な総裁としての資格を持った候補者であるというふうに私は思っています。
(問)そうすると、御自身が立候補されずに仮に麻生さんが立候補した場合、応援することになるのでしょうか。
(答)私は政策のことは幾らでも論じるのですけれども、園田さんなどには、与謝野さんは政局観はゼロだから論じないほうがいいと言われているので、あまり政局的な発言はしないことになっています。
(問)安倍総理に続いて福田総理も国民の目から見れば、政権を短期間で終えてしまったということですけれども、民主党の動きも含めて、国民の政治不信が非常に強まっているのではないかという指摘がございますが、国民から選ばれている国会議員の1人として、今のこの政治をどのように分析されますか。
(答)古い言葉で、信なくんば立たずという言葉があるのですが、やはり政治の基本、またベースになければならないのは、政治と国民の間の信頼感だろうと私は思っていまして、そういうものはやはり信頼感をより強いものにするために、自民党、個々の政治家、他の党の方々も自覚的に努力をしていく必要があると、そのように思っています。
(問)先週末に経済対策を発表されましたけれども、それほど国民の心に響いているととられていない、支持率にもそれほど浮揚効果がないというように言われますけれども、この経済対策は、色々な妥協とか調整があってまとめられたと思いますが、総理は満足されていたのでしょうか。
(答)満足されておられました。限られたお金の範囲内でやった経済対策ですから、赤字国債を出さないという限定がついていますから、そう大規模な予算編成はできないということですから、すべての方に御満足いただけるような大型補正というのは当初から不可能であったと。そういう中でも、総理は色々な小さな政策であっても、心配りをして、経済対策を作られたと、私はそう思っています。
(問)定額減税を入れたというところは、心残りはなかったのでしょうか。
(答)定額減税は、最終的には麻生幹事長、保利政調会長、津島税調会長、これに対応する公明党の幹事長、税調会長、政調会長で相談され、定額減税というものは年度内に実行すると。しかし、それを実行するためには幾つかのものをクリアしなければいけないと。財源を勘案しなければならない。また、税制の抜本改革とあわせて検討する。それから、やるとしても単年度である、こういうことですから、押し切られたというよりは、やはり今後の重要な課題として両党に残されたというように私は理解をしております。
 ただ、規模はどうであれ、20年度に実施するという、その約束はやはり自民党としても守らなければならない。
(問)改めてお伺いしますが、今回の辞任は一国の総理大臣の辞め際としてふさわしいものだったと思われますか。
(答)辞めるについての定められた儀式というのはないので、お辞めになる心境を十分国民に伝えることができたかどうかという点にすべてがかかっているということであって、そういう点では、昨日の会見がテレビ、新聞等できちんと報道されたということで、辞める場面にはふさわしいものとなったと私は思っています。
(問)新しく選出されるであろう総理大臣に求められる、特に経済財政運営において資質と申しましょうか、今何が求められていると大臣はお考えになっておられますでしょうか。
(答)やはり1つは財政再建の道筋をつけるということ。1つは社会保障制度を持続可能にする。そのための国民的理解を得る。3番目はやはり短期的な経済対策として原油、食料高騰等による激変緩和的な措置、これをやる。それから、そういう短期的なことだけではなく、やはり長期的に日本の経済が一定水準以上の豊かさを確保できるような国際競争力をどうやって維持していくのかということをやっていただかなければならない。
 また、今回の経済対策に入っておりますけれども、食料自給率を50%を目指すと。その工程表を作るということになっていますから、新しく総理になられた方も、やはり食料自給率50%を目指す。非常に難しいことですけれども、そのために一歩一歩進むための政策的な努力というのを、私は期待したいと思っています。

(以上)