上川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年6月24日

(平成20年6月24日(火) 10:46~11:06  於:合同庁舎4号館 6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議、一般案件が3件、国会提出案件が76件、公布条約3件、政令12件、計94件の案件がございました。このうち、私の所管案件はございません。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)昨日の公文書有識者会議で中間報告案が大筋で了承されましたけれども、大臣御自身はこの案をどのように評価し、また中間報告をどのように受けとめていらっしゃるか、お聞かせください。
(答)この有識者会議は、3月12日の初会合の後、非常に短期間で集中的に、また熱心な御議論をいただきました。もちろん、6月から7月にかけて中間報告をするということで、有識者の皆さんにも力を入れて取り組んでいただいたということで、その密度も含めて心から感謝しております。また改善ではなく、改革の方向性についての大変前向きな考え方を共有しながら議論していただいてきたということで、これをしっかりと固めていただき、次のステップにしっかりと結びつけていくことができるような、そうした御議論をさらにお願いしたいと思っております。
(問)中間報告の段階では、文書管理体制について2案が併記されるという形になりました。座長のお考えとしては、昨日のブリーフで政府に判断を委ねるという発言もありましたけれども、大臣御自身は組織形態について何らかのお考えはお持ちでしょうか。
(答)座長の昨日の会見時のお話については、私は直接伺っていないのでわかりませんけれども、2案を出すということについて、それぞれの案にメリット、デメリット、長所と短所があるという御認識ではなかったかと思います。問題は、実態をしっかりと踏まえ、より移管の率を高めるための方策をとっていくか、これは法律の改正及び創設も含めてしっかり議論していくということで進んできましたけれども、それにふさわしい体制と機能については十分な検討を踏まえた上でその2案の中の一つを選択するという、そうしたプロセスの時間をいただいたものと思っております。この間、各省庁については私も視察をさせていただきましたけれども、さらに他の国々における専門機関の機能についても十分に検討、調査をさせていただき、そして結論ありきということではなく、より得失を見定めた上で、最終的な結論に向けて有識者の先生方にも御議論いただきたいし、政府としてもそうした趣旨で動きたいと思っております。
(問)今のお話ですけれども、今回は中間報告では現在は2案、最終案では1案にしていただきたいというお考えだということでよろしいですか。
(答)尾崎座長の御発言がどういう趣旨かわかりませんけれども、最終案については、できる限り一致していくことが大切なので、1案に絞っていただくことができれば、それはそれで大変ありがたいことだし、またこの間、いろいろな実態も含めてそれぞれの得失もありますので、そういう中で最終的に政府として判断をという御提言であれば、その流れの中でしっかりとそのことの意味を踏まえて、政府としての考え方を最終的に一つにまとめていくことになろうかと思います。今はまだ中間段階の前段ですので、そこはある意味では白紙状態であります。
(問)別の話で、中間報告は、まだ決定には至っていないわけなんですけれども、人員の規模など、これからどうするかというところが一番焦点になると思うんですが、その辺りは一応座長一任ということですけれども、大臣も含めて決定まで今検討されると思うんですけれども、表現の問題になってくると思うんですけれども、どういう書きぶりが望ましいと大臣として考えていますか。
(答)昨日のペンディングになっていた「ふさわしい規模」という表現そのものに対しては、各委員の先生方からいろいろな意味で、そこのところに具体性を持たせることが大変大事ではないかという御意見がございました。それこそ座長が御一任ということで御判断なさると思いますけれども、できる限りしっかりとしたメッセージが国民の皆さんに届くように、効果的に、また同時に大切な項目でありますので、私としては前向きに是非書いていただきたい、提案していただきたいと思っております。
(問)昨日の総理会見で、5つの安心プランの中に子育ての項目も一つ入っていましたけれども、大臣としてはどういったプランがつくれればいいなとお考えでしょうか。
(答)今日の閣議で5つの安心プランについて総理からの御指示がございました。もっぱら社会保障については厚労大臣の所管ではございますが、関係閣僚力を合わせて協力してしっかりと安心の5つのプランをつくってほしいということでございますので、私はその中の少子化及び子育て支援については積極的な提案をしたいと思っております。今日指示があったばかりでありますので、厚労大臣とよく相談しながらということでありまして、7月いっぱいという目途でありますから、早急な取りかかりが必要ではないかと思っておりますので、積極的に頑張っていきたいと思います。
(問)これまで重点戦略ももちろんですけれども、その前、新しい少子化対策とか、子ども・子育て応援プランもあって、あとは今年に入って、「新待機児童ゼロ作戦」が策定されていますけれども、それらとは違った視点を盛り込むことになるのでしょうか。
(答)昨年の「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の大きな枠組みについては、社会保障国民会議の中でも、先日の合意の中でその大きなフレームワークについてはしっかりと、再位置づけをしていただいたと思っております。むしろ今までやってきたことの再構築もそうですけれども、やはり施策的な安心が国民に対して力強いメッセージとして、この間の取組とともに、また来年度の予算や税制改正などの議論もございますので、そういう中でこの問題をしっかりと位置づけるということについて、力強いメッセージが出てくるようなものになればと思っております。今まで議論してきたことや政策として打ち出してきたこと、そのものの筋は私は大切にしていくべきことではないかと思います。そこのところも含めて、もう一度冷静に議論しながら7月に向けての最終案に持っていきたいと思っております。
(問)先ほどの公文書のお話に戻るんですが、昨日の中間報告案で大臣、たしか論語の一節をとられてタイトルをつけておられましたけれども、これは大臣の御発案ということでよろしいのでしょうか。
(答)タイトルを今回御提案させていただきましたのは私でございます。
(問)このタイトルが時を貫く記録としての公文書管理の在り方ということで、これに込められた意味合い、思いを解説していただければと思うんですが。
(答)私は公文書の管理というのは、民主主義国家の土台、礎になるものだと考えています。そういう思いを持って大臣を拝命し、この間、3月12日以降もその思いで取り組んで参りました。国家としての基盤、民主主義国家の基盤としての公文書、この公文書はどうして大事か。過去における私たちの意思決定のすべての記録、その記録をひもときながら、現在あるいは将来の皆さんが過去に学び、そして将来に生かしていくという、そうした時間のつながりを大切にしていく意味がこの記録の中に込められていると思います。つまり、今がよければということだけではなく、私たちは過去から様々なものを託され、またこれから先にも託していくという、そういう意思や行動の集積、意思決定の集積、決断の集積というものがこの記録のつながりの中にあるわけであります。そういう意味でこの思いをしっかりと短い言葉であらわすにはどうしたらいいのかということをずっと考えておりました。論語に「我が道は一(いつ)を以てこれを貫く」という一節があります。この言葉に込められた、一つの時を貫いたしっかりとした揺るぎないものを、国家の背骨のところに置きながら、公文書をしっかりと位置づけ、これを大切にしていくことを国家事業として、今私たちが取り組むという意味を込めて、サブタイトルも含めてつけさせていただきました。
 論語の孔子の言葉には、この「一」ということについての様々な議論がございます。その後段には「一とは何ぞや」という弟子の問に対して、それは「忠恕」であると。思いやりということですね。つまり人の人生の一番土台になる部分として、「忠恕」というものを大切に位置付け、しっかりとした哲学を持って生きていくべきであるという。これは人の生き方ということでありますが、国家の生き方、国としての生き方ということについても、そうした貫くものとしての記録の大切さを国民の皆さんとしっかり共有していただきたいと思うのです。そして公文書そのもの、つまり記録を大切にしていく文化そのものを育んでいこうという気持ちを持っていただきたい。私もこの間、様々な公文書、地方自治体やそしていろいろな機関の公文書、外交史料館を始めとして、宮内庁の書陵部、国立公文書館に所蔵してあるものも拝見させていただきましたし、また様々な展示会場等で各国の公文書も交えての企画、その中の最新の企画としては先日ペリーの来航の時期の明治の開国の時代の公文書の役割というものを拝見させていただきました。過去の100年前、150年前の歴史そのものが実は今につながっていると、日米関係もあのときの明治の時代に生きる人々、幕末から明治にかけて生きる人々の大変緊張感あふれる中で決断をし、そしてその一歩を踏み出していったことが今もつながっていると。つまり時を貫いて公文書がその姿を見せてくれることによって、私たちは過去から現在を触れることができると。こうしたことが大切なことではないかと思っています。
 今回、先ほど中間報告について、どのような評価というお話がありましたけれども、まさにこの間、公開の懇談会でございますので、様々な皆さんが審議会に傍聴していただいている。その方たちの参加も含めて、あるいは直接参加はしないでも、ホームページ等で御覧になっている国民の皆さんお一人一人も含めて、全員の参加とその意思でしっかりとした公文書の在り方を検討していくこと、これがいいものをつくっていくための大変大事な財産になると思います。より開かれたところで、より皆さんの共感を得られるような、そうした取組をこれからの最終報告、その後の法案作成等の活動の中にも皆さんに共有していただくべく、今回タイトルとして提案させていただいたものでございます。
(問)長かった国会が一応終わったんですけれども、その感想というか、総括を改めて。
(答)福田政権が誕生して以来のねじれ国会、その前から参議院選挙がありますけれども、ねじれ状況での通常国会ということで大変厳しい情勢の中、国民の皆さんの目線に立った政策の展開を心がけて取り組んできました。国会が終了したからそれで終わりということでは全くなく、むしろ国会がないこの時期こそ、施策の丁寧な積み上げ、スピーディーな決断、そして実行ということが求められていると思います。先ほどの5つの安心プランについても、そういう趣旨で総理の御指示があったものと思っております。
 安心や信頼をいただくということはなかなか大変でありますけれども、結果として信頼をいただくためには、一つずつの政策や所掌について、やはり一生懸命、丁寧に、思いを込めてやっていく、取り組んでいくことが大切であると、この通常国会の中でも感じました。また、直接対話ということで、「オープン!子ども・家庭大臣室」も13回になりますか、取り組んでまいりましたけれども、本当に期待されているなという思いであります。つまり、大臣に直接声を届けて、実現してもらいたいという必死な思いが、政策に力を与え、その効果を発揮していくものと思います。その姿勢は国会会期中のみならず、これからも貫き通していきたいと思っています。
 特に少子の問題は、一人一人の人生や家族の在り方や、生き方そのものにかかわる課題でありますので、そうしたことを大切にして希望が実現できるように、また子供と家族を地域全体で、国全体で支えているんだという温かな気持ち、力強い気持ちを皆さんに実感していただけるように、そういうことを心がけながら全力でぶつかっていきたいという思いを今もいたしているところでございます。

(以上)