上川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年12月18日

(平成19年12月18日(火) 9:46~10:09  於:合同庁舎4号館 6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 12月18日の閣議、国会提出案件が20件、公布3件、政令2件、配布1件、計26件の案件がございました。このうち私の所管案件はございませんでした。
 また、私から報告事項が2件ございます。
 まず、本日、官邸におきましてワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議が開催されまして、仕事と生活の調和を推進するための憲章及び行動指針、重点戦略がそれぞれ取りまとめられました。
 トップ会議におきましては、政労使それぞれから決意表明を行いますとともに、その証として委員全員から憲章及び行動指針に署名をしていただきまして、経団連の御手洗会長、連合の高木会長とともに、樋口作業部会長から総理に直接お渡しをいたしました。私といたしましても、憲章及び行動指針は社会を動かす大きな起爆力になると考えております。平成20年をいわば「仕事と生活の調和元年」とし、今後、官民連携のシンポジウムの開催や労使団体への協力要請を行うなど、仕事と生活の調和の推進に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 また、その後に行われました重点戦略検討会議では、分科会の主査から重点戦略の案が示されまして、意見交換を行った後に了承をされました。
 私からは、重点戦略の内容を20年度予算案に反映するように努めるとともに、具体的な制度設計につきまして、税制改正の動向を踏まえながら速やかに検討を進め、先行して実施すべき課題については、必要な法律の見直しなどを行っていただきたい旨発言をいたしました。
 最後に、総理からは、重点戦略の取りまとめを受け、仕事と生活の調和の推進及び多様な働き方に対応した保育サービス等の子育て支援の社会的基盤の充実に内閣の総力を挙げて真剣に取り組むという旨の御発言がございました。
 これら2つの会議の後に開催された閣議におきまして、お手元に配布いたしました資料のとおり発言をいたしました。
 なお、トップ会議におきます総理の御挨拶の中で、幅広く様々な立場におられる国民の皆様に御参加をいただき、公にどのような役割を期待し、そのためにどのような負担を分かち合っていかなければならないかを国民の方々が具体的に思い浮かべることができるような議論を行うための社会保障に関する国民会議を開催したいとの御発言がございました。閣僚懇におきまして、関係大臣への協力要請がございました。少子化担当大臣としても、全力を尽くして子育てに優しい国づくりのために取り組んでいく旨発言をいたしました。
 本日の会議の詳細につきましては、共生社会政策統括官付の少子・高齢化対策担当にお問い合わせいただきたいと存じます。
 2点目でございますが、男女共同参画会議の下に設置されております「監視・影響調査専門調査会」におきまして、「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」の中間的な論点整理を取りまとめ、本日公表いたします。
 高齢者と一言で言っても、女性の方が男性よりも寿命が長いわけでございますし、また生活実態や意識、身体の機能などの面で様々な男女間の違いが見られるわけでございます。更に働き方をはじめとして、若い時期から男女の置かれた状況の違いが影響し、それが高齢期の男女間の差の固定化につながっているものと考えられます。
 これらを踏まえまして、長期的かつ世代横断的な視点に立って、施策の在り方を検討することが重要であるとの視点で検討を進めてまいりました。
 中間的な論点整理では、まず第一に経済的な困難を抱えている高齢女性の問題に対応した人生の各段階における女性就労環境の整備、2点目として、高齢女性向けの就業相談、幅広い活動領域における高齢女性の能力活用、3点目として、性差に配慮した医療、介護予防への取組等の重要性について述べております。
 なお、今後、この中間的な論点整理につきましては、国民の皆様からの御意見を1月にかけまして幅広く募集し、来年の春には最終的な取りまとめを行うことを目指しております。 
 とりわけ高齢期の男女間の生活実態や意識は世代によっても大きく異なりますので、それらの状況の違いにもきめ細かく配慮しながら、高齢者の自立支援施策の在り方について更に議論を深めてまいりたいと存じます。
 なお、論点整理の内容及び意見募集等につきましては、この会見後、引き続き男女共同参画局より御説明をいたします。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)行動指針と憲章ですけれども、今日、経団連の御手洗会長などから発言もありましたが、どう実行していくかということが一番大事になってくるということですけれども、先ほど大臣からは労使への働きかけなどを全力でやっていきたいという御発言がありましたけれども、具体的にこれからつくった後、どういう取組を政府として行っていきたいとお考えでしょうか。
(答)今回のワーク・ライフ・バランスの憲章と行動指針ということで、国民の運動として来年はワーク・ライフ・バランスの「仕事と生活と調和」の元年ということでスタートしたいと思っております。精力的にそれぞれ自主的に取り組んでいただくということではありますが、国民運動として政府も国を挙げて取り組むということでございますので、具体的に実行できるものはすぐに実行するということで、まず頑張っていきたいと思っております。
 企業の皆様におかれましては、特に経営者の側と、そして働く側の皆さんが一つのテーブルについて、協調して取り組んでいただくということでございますので、そうしたことがより推進していくことができるように、こちらから出向きまして、この間の検討の経過でありますとか、国としての取組、あるいは地方での取組等幅広く情報交換をしていきながら、具体的な取組をそれぞれの企業の風土に合った形で実践していただけるようにお願いをしていきたいと思っております。
 そして、同時に企業のみならず、国民の一人一人の皆さんに対しても自らの仕事と生活の調和の在り方を御家庭の中で、あるいは地域の中で話し合っていただきながら、自らの意思で積極的にこうした指針の実現に向けて取り組んでいただくということに対して、啓発活動も含めて頑張ってまいりたいと思います。
 それから、特に地域の中で地方自治体の果たす役割ということが大変大きいものでございます。地域の実情に応じた展開をそれぞれ図っていただくということでございますので、行動指針におきましては、各主体ごとにどのような取組をしていだたくのか、また社会全体としての達成目標につきましては数値目標も掲げられておりますので、そうしたことについて十分に理解をいただいて、自らの行動に結びつけていだたくことができるようにしていきたいと思います。
(問)福田内閣では少子化を喫緊の重要課題と位置付けていて、大臣も就任当初の会見で、財源確保については消費税も含めて聖域なく議論することが大事だという御発言もありましたが、今回、財源論というのは先送りになりましたけれども、少子化対策を進めるという観点から、これは適切な判断で、内閣府としての責任も十分果たしているというふうにお考えでしょうか。
(答)少子化の対策については、この間、様々な計画を立てながら精力的に推進し、メニューはある意味では出そろっているという問題意識でスタートしたところでございます。しかし、実態的には出生率がなかなか思うような数字に至らないという中で、若い方が希望する子育てをしながら就業を継続するとか、お子さんの数も2人あるいは地域によっては3人欲しいと言いながら、それを顕在化していくことができないとか、そういったことの根本にある働き方の改革をしていかないと、様々な経済的な支援を尽くしたとしても、それが効果を上げることができないのではないかという大変深い問題意識というか、悩みがあったところでございます。
 そうしたことを受けて、今回、仕事と生活の調和の憲章と行動指針をまとめ、これと子育て支援のための様々な施策を両輪として推進していくという大きな枠組みをつくること、そしてこの枠組みを通じてそれぞれの主体に頑張っていただき、更に広げて、この両輪の部分にしっかりと歩調を合わせて進めていくという、そうしたステージの積み上げが大事ではないかと思っております。まさに、来年は仕事と生活の調和の元年として出発するという意思を国民合意ということで明確にしていただきながら、これから必要な財源等も含めて費用分担の在り方、これにつきましては、具体的な制度設計について税制改正の動向をしっかりと見据えながら、速やかに進めていくことが大事であると考えております。
(問)ただ、税制改正の動向というのは、消費税を含めて、いつ頃までにどういった形でというのがはっきりしない中で、税制改正の動向を踏まえてと言っても、子育ての社会基盤整備をするため、車の両輪の片方ですね、それに必要な財源がまたさらに先延ばしされる心配というのはないのでしょうか。
(答)少子化対策の車の両輪ということでございますが、そのことに必要な保育に係るサービス、先行して取り組むことについては、20年度予算に計上するということで今最後の詰めをしているところでありますが、更にその先につきましても、この車の両輪がしっかりと回ることができるように少子化対策には財源がこれだけ必要だということ、今回1.5~2.4兆という試算をいたしておりますので、その実現に向けて私としても税制改正の議論を進めていくための動きを積極的にしていくということが、待ったなしの状況の中での私の役目ではないかと思っております。
 そういう意味では何かが動かなければすべて物事が解決できないというような後ろ向きな議論ではなく、この2つの両輪を本当に加速して回すことができるように、あらゆる階層の皆様に御協力をお願いをして、そういう動きを強めていくことによって、むしろ税制改正の議論に弾みがつくのではないかと思っているところでございます。
(問)今年は政治的な要素というか、参院選の自民党大敗とか、そういうこともあって財源の部分がそのままという部分もあると思うんですけれども、その点について。
(答)私は8月27日に少子化担当の大臣になりまして、そしてこの間の少子化対策の取組、そして地方自治体や各企業においての取組、いろいろな形で対応しながら現状を見てまいりました。そして、今回、生活と仕事の調和に関する憲章及び行動指針の立案作業にもかかわらせていただきながら感じることでありますが、もちろん喫緊の課題であるという意味では、私自身、黄色信号からもう赤信号になっているんだという本当に切実な危機感を痛切に感じております。
 ですから、長くきちっと成果を上げていくためには、やはり制度があるからそれに向けて皆さんが理解していただいて、というふうに考えるのではなくて、一緒に取り組んでいき、それをお一人お一人のところまでしっかりと浸透させて初めて制度が効果を持つことができると思っております。今、2つの大きな両輪が目の前に出てきておりますので、それについて国民の皆さんに十分に理解していただき、そして安全で安心して子供を生み育てることができる希望の社会に向けて前向きに取り組んでいくということで、じっくりと熟成していく時期もあってよろしいかと思います。
 もちろん、資金的なこと、経済的なことについて許されるならばと思いますけれども、その前に理解していただき、そしてそういう土台をつくる意識改革を含めた活動を丁寧にしていくこと、これが大きくジャンプできる鍵になるのではないかと私自身考えております。ここはじっくりと取り組むという落ち着いた姿勢と、そして希望を目標に全部で頑張ろうという、そうした運動を1月1日から発信していく。この決意を皆さんと共有していき、そして様々な施策の実効あるものに対して、知恵が回り、協力が得られていく中で、若い世代の人たちが安心して子育てができる環境の整備につながっていくものと確信をしておりますので、少しスパンを長く考えていきたいと考えております。
(問)そういう状況の中で、今日、総理から社会保障の国民会議という御発言があった訳ですが、それは大臣としてはどう受けとめていらっしゃいますか。
(答)社会保障というのは、国民生活の安心と安全のための大変大事な基盤でございます。地域の国民の皆さんが受け手でございますし、かかわり手でもあるということでありますので、それぞれの雇用にしても、福祉についても、介護にしても、医療にしても、子育てにしても、男女共同参画にしても、そうしたことの全体像をよく見ながら、政策間の総合的な調整も含めて検討するということだと思っておりますので、まさに時宜を得た形で国民会議を立ち上げていただくことができたと思っております。
(問)法改正や予算案等は、どうしても厚生労働省がメインになってしまうというのを就任されてから感じているのではないかと思うんですが、どういうふうにこれから担当大臣としては、政策を進めるのにかかわっていきたいと思っていますか。
(答)今回の仕事と生活の調和の憲章及び行動指針、更には次世代育成のための子育て支援の再構築という施策のそうした諸々のことにつきましては、厚生労働省を筆頭に文部科学省や農林水産省もかかわるものでございますし、様々な省庁がかかわっているテーマであると思います。
 そういう中で今回の作業につきましても、省庁で連携をして、一つになって施策をつくってきたわけでありますので、そうした政府の大きな目標に、更に連携を深めてそれぞれの所掌の中で頑張って取り組んでいただくと同時に、連携した形で政策効果を上げていくような、そうした相互調整の機能をまさに内閣府としては要求されると思います。
 この点につきましては、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
(問)先程の社会保障国民会議ですけれども、いつ頃までにとか、そういった具体的な話は何か総理から指示がございましたでしょうか。
(答)今回、官房長官が中心になって今御指摘のどういう時期だとか、体制とかということについて取りまとめられると聞いておりますので、官房長官の御指示をしっかりと待ちたいと思います。
(問)確認ですが、関係閣僚といいますとどのようになっていますか。
(答)少なくとも、少子化担当としては関係する閣僚ということで、私自身、今日閣僚懇でも発言をいたしました。

(以上)