泉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年11月2日

(平成19年11月2日(金) 8:50~9:04  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 今日は、私どもの所管に関する問題で、直接かかわるようなものはございませんでした。
 閣議では、「平成18年度少子化の状況及び少子化への対処政策の概況」が発表されました。それから、総理から、安心で質の高い暮らしに向けた総点検をやるようにという発言がございました。これは、生産第一の視点でつくられてきたということで、社会のあり方、仕事のやり方というようなものが生産第一という視点があったけれども、国民生活の安全、安心の確保という視点が、政策の立案の中心に置かれていないのではないか。そのような中で、耐震とか食品の問題などが起き、国民に不安を与えていると。このことに対して、消費者や生活者の視点に立った行政に転換する必要がある。一層それを進める必要があるという御趣旨でございます。特に、岸田国民生活担当大臣にこの仕事を担当してもらい、各大臣協力してほしいということでございまして、国民生活の基本である食べる、働く、作る、守る、暮らすの分野について、法律、制度、事業など幅広く行政のあり方を総点検してもらいたいと。各大臣には、地方視察、地域住民との対話等を通じて、現場感覚で具体的な政策を検討してもらいたいということでございました。年内を目途に具体策の取りまとめをしてもらいたい、これが総理の御発言でございました。岸田大臣からは、その御発言を受けまして類似のお話がございました。

2.質疑応答

(問)中部・近畿圏の地震の被害想定が中央防災会議から出されましたが、最大で、死者が4万2千人など、 今後の政策で、特に何かお考えとかございましたら。
(答)昨日、近畿圏・中部圏の地震被害想定について、専門調査会での結果を発表していただきました。いろんな条件をつけてありますが、基本的には首都圏直下地震の分析と同じような事柄でございます。
 私自身もびっくりしたのは、大阪の想定が、首都圏よりも住宅の被害そして死者が多く、出ているということで、この問題がこれからの一つの課題かなと。それからまた、いずれそれぞれの対応をしていかなければなりませんけれども、近畿圏を中心に文化財がありますので、首都圏とはまた違った意味で、その手当をさせていただかなければならない課題があるという思いを持っております。
 これから、首都圏と同じように、どうやれば死者を半減できるか、あるいは火災を抑えることができるか、耐震の強化をどうしていったらいいかという、そうした軽減を図るための対策を20年度内を目途にして、まとめさせていただくという予定でいきたいと思っております。また、ライフラインとか公共施設、あるいは経済への影響等につきましても、これから具体的な検討をしていきたい。それでまた、それを公表させていただいて、当該地域に住む方々、それ以外の方々にも問題の重要性を改めて認識をしていただければと、対応策を一緒に考えていただければと思っております。
 もう一つつけ加えますと、首都圏とこの近畿圏等の被害の実態を専門の先生方に分析をしていただきますと、これは大都市圏の問題あるいは国土のあり方、災害から見た国土計画についても考えていかなければならないのではないか。地震の予防あるいは被災者救済、復旧、復興という当然のことをやっていかなければなりませんけれども、国土そのもののあり方、あるいは大都市のあり方を災害という観点から取り組んでいかなければ、なかなかこれは大変な問題を専門調査会の分析は提起しているのではないか、というのが私の率直な思いでございます。
(問)捜査における取調べの適正化に関する昨日の国家公安委員会決定に関して、警察庁の方針がいろいろと明らかになってきていますが、どのようなことが期待できるのか、また、問題点があると感じられることがあればお聞かせ下さい。
(答)昨日、国家公安委員会として、取調べに対する監督の強化、取調べ時間の管理の厳格化、捜査に携わる者の意識向上など4項目につき、対応を検討するよう、警察庁に指示したところでございます。今の時点では、国家公安委員会として特に具体策を持っているわけではありませんが、我々自身も、警察庁での検討と同時にいろいろと考えていかなければならないと思います。長官も思いを述べているようでありますが、そのようなことも含めて対処していくことになると思います。鹿児島、富山の事案の反省が今回の決定のベースであります。このような事案が二度と起きないよう、できるだけ早く、できることから具体化したいと考えております。
(問)中部・近畿の地震の件に戻りますが、最後に国土計画のあり方についても考えていかなければいけないとおっしゃっていたのですが、そこは具体的に、例えばアメリカのように活断層のそばに住まないとかということを決めるとか、今密集しているところを移転するとか、その国土計画のあり方というのは具体的にどういうことをお考えですか。
(答)これは、私が首都圏の河川のはんらん等に対する大規模水害対策が大問題だと思っているときに、今度は近畿圏と中部圏の話が出てきたものですから、ここでも最大4万人以上の死者が出るというような想定が出された以上、具体案を今私は持ち合わせているわけではありませんが、もう少し国土の分散政策みたいなものを災害という観点から検討する必要、検討の要素に入れる必要があるのではないかと思っているわけです。
 今おっしゃったように、活断層のところから排除するとか具体策まで、まだ考え合わせておりませんが、大都市圏の集中を今までも排除した時期もありますし、やや流れに任せたという気もありますが、これからの国土政策の中に、災害という要素をもう一度織り込んで、これから考え直す必要はあると思ったところです。
(問)要するに、昨日4万2,000人という死者の数が想定されましたけれども、人口の集中とか都市の集中というのが、やっぱり一因だとお考えでしょうか。
(答)そうですね。住宅を耐震化するとか、あるいは救急策をきちんと整えるとかで、かなり防げる面もあると思っております。しかし、それでもうまくいかないという事態が想定されないわけではないと思っておりまして、ここは今慌てて住民の方々に余計な不安感を与えることも、決して望むところではありませんので、これからのライフラインの問題とか、交通インフラの問題とかの成果を出していただく中で、いろいろな事柄を国土計画なり地域計画なりに反映をさせていくということではないかと思います。

(以上)