増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年9月24日

(平成20年9月24日(水) 9:31~9:56  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今朝ほど、閣議がありまして、辞表を提出してまいりました。内閣総辞職ということで福田内閣、今日で最後ということになるわけでございますが、私自身は、昨年の8月27日に安倍前総理の下で入閣をして、今日でちょうど395日になるそうでございます。大変、皆様方にお世話になりましてありがとうございました。
 仕事の関係については、地方分権ですとか地方活性化、それから情報通信関係、特に地上デジタル化に向けての対応、放送通信融合法制についての準備、さらには様々な公益法人等の不祥事等がございました。公益法人改革ですとか、それから年金記録問題について、年金記録確認第三者委員会の対応といったようなことがございましたけれども、職員の皆さん方の助けをいただきながら、そういった問題に精一杯当たらせていただいたということでございます。特にこの記者クラブの皆様方にも様々な総務省の行政につきまして、マスコミの立場で厳しく、また時には情報発信ということで大変お世話になったわけでござまして、心から感謝申し上げたいというふうに思います。私の方から以上です。

2.質疑応答

(問)395日ということですけれども、分権改革とか郵政系の話とかを振り返られて、成果ともう少しやりたかったという点があったらお聞かせいただけますか。
(答)そうですね。私自身は安倍総理が突然、私にとりましては突然でしたけれども、辞意を表明されて辞職される。それから福田政権になりまして、改造後、またもう一度、再度入閣したわけでありますが、9月1日に、これも突然でございますが辞意を表明されるといったようなことがありました。ただ、前回の福田改造内閣に引き継ぐ時の8月1日の会見でも申し上げたのですが、私自身は、どの時点でいつ何時辞めても、それまでの間に自分自身として全力を尽くして、こういう政治の世界ですから、短い期間で代わるということも当然あるわけですから、いつ何時辞めても、次の方にきちんと引き継いで仕事をやっていただこうと、こういう思いでおりました。分権改革等についても、今、地方分権改革推進委員会が、スケジュールに沿っていろいろと仕事をしていますけれども、そういったものについての最大限のサポートをしてきたつもりでございます。既に第二次勧告等に向けての審議を進めているわけでありますから、それについてのサポートとして、特に8月に入って、政府として地方分権改革推進本部等で第二次勧告に向けてのいろいろな確認をしました。そういったことを受けて、次の方にまた分権改革等で成果を出していただきたいと思います。
 今日、新総理に就任されるわけですけれども、公約等にもそういったことがうたわれていますので、引き続き、新総理の下で、こうした問題に十分な対応がなされるものと思っております。
(問)分権改革など課題というか、たくさんある中で、改めてお聞きすることになるのですけど、これだけ改造とか、突然の総理の退陣というのが相次いで、多分、思うようにいかなかった部分がきっと多くあると思うのですけれども、これだけ何度も退陣が相次いだことについて、改めてどういうふうに思われるでしょうか。
(答)そうですね。改造や総辞職を、結構、経験しました。比較的、日本の総理というのは、任期は短期間だとは言われているけれども、いい悪いはそれぞれあって、議院内閣制の場合にはどうしても、そういう傾向になりがちですし、それから直接大統領制の場合には、任期がきちんと決まっているので、決められた任期の間で目標を立てやすいということはあるかもしれません。結局、大連立のような格好になれば、ドイツのようにかなり長く、議院内閣制でも続く場合もある。日本では、昨年、参議院議員選挙があって、その後、私は閣内に入ったわけですが、その参議院選挙の前と後でがらっと変わっていて、選挙の前はとにかく衆参絶対多数の与党ですから、与党の中で、ある種、対立構造を出して、その中でやっていけばよかったわけですが、昨年の7月29日以降は、それ以前にやられていたような、与党の中での話、あるいはその経済財政諮問会議というような場ではなくて、完全に、民主党とどういうふうに話をするべきか如何にかかっていて、そのルールがまだこの1年の間に十分確立してなかったということではないかと思います。それ以前に与党の中で、あるいは官僚機構と対立構造があって、それを国民の支持をどうするかと言っても、民主党ときちんと話ができてないとだめで、やっぱり民主党とのやり方、それは大連立が1つのやり方だろうということで、大連立を模索した時期もあったのでしょうけれども、それができなかったあと、民主党との間をどうするかということの十分なルールが確立してなく、結局、政府の立場で言うと、物事が思うように進められなかったというところが1番大きな原因ではないでしょうか。ですから、今後、政策を進めていく上で、もちろん今度の衆議院議員選挙でそういうことを大きな争点にすべきだと私は思うのですが、衆議院議員選挙で民主党が勝てば、衆参のねじれというのは解消するわけですが、引き続き、今の与党体制を維持するとすれば、その中で一体どういうふうにしていくのか、これは自・公だけではなくて民主党の方も、お互いに答えを出さければいけないと思います。そういう衆参で多数が違う中での意思決定をどうするかということを、まず、その答を出さないと、分権の問題だけではなくてほかの分野の問題も、国民の期待に応えられるような回答は、政府として、あるいは立法府として、なかなか出していけないのではないか。1年間対立構造が続いたから、そろそろそういったことについて我が党はこういう形で相手党と意思形成をしていくという答を出していかないといけない時期に来ているのでないか。ちょうどそういう産みの苦しみというか、与野党のねじれに対しての有効な解消策というか合意形成が、なかなかルールができない時期での仕事の進め方というのはやはり難しかったという思いはあります。安倍さんの場合は健康問題があったので別ですけど、やはりそれが原因、大きな底流にあったと思いますが、短期間に政権が代わったり、内閣の顔ぶれが変わったりということがありましたけれど、逆に言うと、そういうことについての仕込みの時期で、無駄でなかった。そういうことを経験して、新しいルールに到達すると、そういうふうになればいいなというふうに思っています。
 今、御質問にあったように、参議院選挙後短い期間で、今回で3人目の総理になります。安倍総理、福田総理、それから新総理ということになりますけれども、そういったことについて、近々、選挙があるでしょうから、選挙を経てどういうふうに答を出すかということを、どういう形にせよ答を出して、今の分権の問題もそうですし、金融の問題もそうですし、待ったなしの問題がありますから、政策を強力に進めるような、そういう合意形成の仕方を作り上げてほしいと思います。

(問)大臣、これまで分権改革にかなり力を入れてこられたと思うのですけれども、今日、辞表を出されて、今日の組閣でどういうことになるか、はっきりしたことは分からないのですが、大臣、これから地方分権等の政策に関して、何かしらかかわる部分というのは、御本人、どのようにお考えでしょうか。
(答)あると思うのですけれども、今日、辞めて、あと、特に何をするということ、全く考えていませんから、先のことは、なかなか言えません。一民間人に戻りますけれども、何かの形でいろいろ聞かれることはあると思います。地方で、今、どういう様々な試みが行われているかを、早くみたいと思います。私自身、地方をよく回って、いろいろ吸収したいと思いますが、それをどう生かすかはまだ決めていませんが、非常に、こだわりあることですから、そういったことで地方を歩いてみたいと思います。なかなか、知事時代にはどうしても岩手中心になりましたし、それから少し期間を置いて、すぐ大臣になったので、国会対応が多くて、なかなか思うように地方を回れませんでしたので、時間ができたら思い切って地方でいろいろな活動をしている皆様方、各地域に随分知り合いが多いので、よくそういうところを歩いて、吸収して、どう生かすかは別にしても、そういう人たちと話をよくしたいなと思います。
(問)度々お伺いして、お叱りをちょうだいするかもしれないのですが、国政への転身は、地元からも要望が強いようですので、再度確認をさせていただきます。
(答)地元の皆様方にはお断りをしましたので、出ることはございません。この間、来られて、お断りをして、それで地元で候補者も決められたようなので、今回の選挙はそういった決められた候補者で戦う構図がもう出来上がったのではないかと思います。私自身はこの間、地元の方が来られたので、国政ではない立場で、また地元に貢献したいということで申し上げてきました。
(問)今回の改造内閣でも大臣、唯一の民間からの入閣ということでしたけれども、3期12年、岩手県知事もされて、地方のそういうところから、改革派知事として、実際いろいろと自ら、いろいろと改革も進められてきましたけれども、395日間の永田町なり霞が関の生活の中で、もちろん建設省出身であるので、霞が関のルールというのをいろいろと御承知の部分はあるかと思うのですけれども、今までの感覚と比べて、こういうところがすごいおかしかったとか、もうちょっと何かどうにかならないのかというふうに思われた部分とか、普通の世間からちょっとこれはどうなのかと思われた部分はどういうところでしょうか。
(答)そうですね。やはり大きく言うと、なかなか情報を外に出すということに消極的、守りに入るということで、私はかつて、今、御質問があったように、この辺りで仕事していたわけですが、その時はそんな受け身のつもりはなくて、政策の善し悪しはあっても、かなり前向きにいろいろな政策を立案して、それを実行するということで、そのために、地域を回ったりという活動をして、仕事をしていたつもりだったのですが、久方ぶりにこちらに戻ってくると、叩かれていたせいもあるのか、相当受け身で守りに入っていて、情報を外に出せば叩かれる元になるというようなことで、なかなか外に出さない守りの姿勢が体に染みついているような感じがして、覇気が欠けているなと感じました。それだとますます民意から離れてしまうので、そういう意味で、情報を出すという意味では、これも自治体によっても差があり、トップの心構え1つですけれども、少なくとも私がいた自治体の岩手県よりは、はるかに消極的になっていて、それで本当に国民に向かって行政を展開しているということにつながっていくだろうかという思いがありました。
 これは政権を含めて全体として、国会対策で民主党との間で建設的な話をしていくという形になかなかならないので、何か、相手に材料を提供してはいけないという思いもあるのでしょうけれど、よけい情報を小出しにしたり、それで結局、後出しになって叩かれるとか、その辺りがもっと国民の立場に立って、必要なものを出していかないといけないのではないか。いずれにしても叩かれたり、それから批判されたりということでよくなっていく部分というのはあるので、あまり批判を恐れたりしてもいけないのではないかと思います。やはり、トップの人がきちんとやらなければいけないでしょうから、トップが、こういう場では会見するということは大変重要でしょうけれども、もっと、マスコミに対しても開かれた格好で、トップだけではなくて、それ以下の人たちも対応するようなことがないとだめなのではないでしょうか。マスコミで多少、批判されると、すぐ皆、何かおかしいとか言う。私も批判されて思うことはあるのですけど、やはり皆さんの後ろに国民がいると思って、そういう見方もあるなと思うのです。その辺り、もう少し批判をうまく建設的に受け止めるという考えを持つことが、霞が関あるいは永田町全体に必要なのではないかなと思います。やはりどうしても中央省庁ですから、国民との間の距離が遠くなるので、その辺りを、国民の声を伝えているのが誰かということを常に考えていく必要があるのではないでしょうか。
 県や市町村辺りでは、ダイレクトに声や批判が入ってきます。それはいい意味で緊張感を強いられるので、そういう関係は大事なのですが、なかなか、ここでそういうことを求めようとしても難しいですし、国民も仕組みが複雑で、直接、いろいろ意見を言いづらいところがあるので、それはある程度こなれている皆様方が間にいて、そういうことをしないとなかなかよくなっていかない気がします。早急に、アグレッシブでありポジティブな、受け身でない、そういう役人の姿ということにつなげていかないと、公務員制度改革も、受け身ばかりで対応していてはいけないのではないかと、私は思います。

(問)分権改革では、やはり総理のリーダーシップというのが重要になってくると思うのですが、先ほどもおっしゃいましたけれども、総務大臣を経験されている麻生さんに対する期待をお願いします。
(答)分権について、この間の総裁選挙でもお約束をされている話ですから、今、お話があったように、総務相としての土地勘がいろいろおありですから、そういった意味では積極的に発言をしていかれるだろうと思います。やはり地方分権改革推進本部なり、地方分権全体を指揮していくのは、本部長である総理であり、党の方を仕切っている総裁が、党をある時は抑え、ある時はまた発憤させるといったような役割を担っているので、地方分権についても果敢にリーダーシップを発揮されるであろうというふうに思っておりますし、またぜひそうしていただければ、私が在野の立場から見ても、今後、非常に全体が進んでいくのでないかと思い、そういうふうに受け止めています。
(問)大臣、ちょっと違う観点からお聞きしたいのですけれども、地方のこと、一生懸命されているわけですけれども、日本の国の国土構造は、ずっと明治以来、東京一極集中になっているのですけど、その点の弊害についての御認識と、今後、在野に行かれても、東京一極集中問題をどう考え、どう改善していけばいいかということを教えていただきたいのですけれども。
(答)東京がやはりいろいろなものが集中していて、それで日本の要であるということがしばらく続いていくわけですから、そこの勢いを殺して、それを日本という国だけを見て、それを地方に分け与えるということになると、確かに東京機関車論みたいなことを言う人たちから反対されることがありますが、やはり東京の勢いは、そのまま日本全体の勢いにつなげていく必要があると私は思っているのですが、しかし一方で、それが日本で東京だけじゃなくて、少なくとも各ブロック毎にそういう力をそれぞれのところで発揮できるような、そういう国土構造にしていくべきだ。そういうブロック毎にまた、ブロックの人たちで相談して、機関車のようなものを設定して、それでブロック全体を押し上げていくような形をして、そういうブロック毎の個性とか特性を出していくということが大事ですし、そういうことによって初めて自分たちが、そういう地域の力を引き出すということを担っている、自分たちがしっかりしていればそれを担えるという、そういう実感も湧いてくると思うのですが、日本というのは、全国を1つに捉えて、それでその中で東京だけが日本全体を引っ張っていくのだ、国際競争力があるのだということだったら、多くの国民の皆様方が、住民自治という力をあまり実感もしませんし、一方で東京に頼り切りみたいになってしまうし、特色のない面白くない国になるので、それぞれ、住民自治の力を生かしながらやっていくというためには、やはり地域で力があるようなところが引っ張っていく必要があるのではないかと思います。そういう国土構造を作るのが大事なので、それはかつては、全国津々浦々、中山間地域まで人口がものすごく増えている時期は、そういう考え方もあったかもしれないけれども、もうそういう時代ではないから、全国おしなべて一律ということはもう難しいので、やはりそこは集中をしていかなくてはいけないと思うのですけど、それを東京一極だけに集中させるということが決していいわけではなくて、東京の力も十分活かしつつ、もっと地域の力を引き出すような、そういう国土構造というのを考えていくべきではないか。だから、そういう意味で、地方に任せては駄目だというようなことを言われないためにも、地域、地域の人たちが懸命ないい地域作りの努力もしていかなければいけない。最近、都市住民が、ものすごく増えています。東京に住んでいる人たちの割合がどんどん高まっている中で、全体の国民の共感も得られないといけない。地域、地域がしっかりすることが大前提ですけれども、その上で地方にもっと力を発揮しやすい仕組み作りをしていくということが大事ではないか。人は任せられると、やはり意気に感じてきちんとやるので、全部こっちで決めてあとはそれに従えでは、誰も力を発揮しません。自治体もいっぱいありますけど、もっと一人前扱いして、それできちんと力を出させるような、そういう工夫をされたらいいのではないでしょうか。それが分権の話だと思うのです。ですから、任せるところは任せる。国も地方も、お互いにきちんと、国に委ねるところは委ねる、それから地方でもっとできるということはもっと思い切って地方に任せた方が、力を本当に発揮するのではないかというふうに私は思っています。
(問)よろしいでしょうか。
(答)それでは、どうもお世話になりました。ありがとうございました

(以上)