増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年8月2日

(平成20年8月2日(土) 13:17~13:46  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 皆様方、引き続きよろしくお願いします。総務大臣を拝命しましたので、改めて抱負を申し上げます。
 昨日、総理からは、地方行財政改革を推進するように。地方再生戦略、定住自立圏構想を推進して、地方の元気を早く回復させるように。地方分権改革を強力に進めるように。それから、郵政民営化を担当する大臣として、郵政民営化の実施状況を点検をして、必要な措置を講ずるように。こういうような御指示をいただいております。いずれにいたしましても、地方の問題について深くかかわっている役所でございますので、こうしたご指示を受けながら全力で取り組まなければいけないと思っております。当然のことながら、情報通信政策として、3年以内に確実に実行しなければいけない地上デジタル放送の問題など重要な課題を抱えています。それから、2010年に通信と放送の融合法制を作るということで、今年の後半から来年一年、じっくりとこの問題に取り組んでいかなければいけないということがございます。更には、年金問題についても、総務省で、国民の信頼を回復すべく年金記録確認第三者委員会の審議を加速して、少しでも記録の訂正に結び付けられるものを発掘していかなければならないと考えております。
 その他、「ムダ・ゼロ」、「政策の棚卸し」ということで、それぞれの省庁がこの問題に真摯に取り組んでいかなければならないわけですが、総務省では、行政評価・監視といった各省庁を横串で刺すような機能と役割を持っていますので、今言いました「政策の棚卸し」、「ムダ・ゼロ」といった政策の実施を総務省の中だけで実施するのではなくて、政府全体がそれに向かって動いていくということを、政府全体をにらみながら加速させていかなければならないという役割を持っていますので、その点についても、今後、積極的に取り組んでいかなければならないと思っております。非常に課題が山積しておりますが、引き続き、先頭に立って最善を尽くしていきたいということでございます。
 昨日、「お世話になりました。」と言った人間がまた出て来て同じことを言うのは気が引けるところはありますが、常に行政は継続性が求められますけれども、それぞれの時点で最善を尽くしていかなければならないと思います。
 昨日、退任の挨拶をした時、どこに行くのかと聞かれました。フリーになったので、昨日、上野の美術館に行って時間を過ごしていました。今日からの「フェルメール展」の内覧会があって、以前から観たいと思っていましたので、ゆっくり観ていたのですが、夕方呼ばれて、またこういう立場になりましたので改めて気を引き締め直して、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。引き続きというより、改めて一からお世話になるつもりで一生懸命やりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

2.質疑応答

(問)御就任おめでとうございます。初閣議を終えられての感想と新内閣の顔ぶれについて、留任のお立場からどういった感想をお持ちになっていれるかお聞かせください。
(答)初閣議がありまして、引き続きの職ということにはなりますけれど、もう一度原点に立ち返って、一から気持ちをフレッシュにして取り組む必要があるのではないか。常に初心に返ってやっていかなければならないので、また気持ちを整理して一から所管行政を全部点検し直してやっていきたいと思います。
 それから、閣僚の顔ぶれですけれども、これについては総理がお選びになった方々で、それぞれ素晴らしい政治経験をお持ちの方々ばかりだと思います。内閣として、常にそれぞれが一体となってやっていかなければならないと思います。内閣が連帯して立法府に責任を負うという原則になっていますので、各閣僚の皆様方とよく相談をしながら、内閣の一体性を持って政策課題の実現に向けて努力していかなければならないと思っています。昨日までの内閣より、少し国会議員の当選歴も長い方たちが今回選ばれたと聞いていますが、それだけ経験をお持ちの皆様方だと思いますので、こういう中で成果を求められている訳であります。国民の厳しい視線があるのは、重々承知しておりますけれど、それだけの内閣でありますので、その中で結果を出していきたいと思います。
(問)昨日の官邸での会見でも一部話題になりましたけれども、総務省の所管する郵政について、一部の閣僚の方と党の政策責任者の方が、法案の時に党を出られたというようなことまであった、結構反対派の中心的な方だったのですが、今後、国会で閣内不一致とか政策に齟齬をきたすのではないかというような指摘もあると思うのですが、その点についてどう受け止めておられますか。
(答)閣内不一致は、内閣の建前からも許されない話です。もちろん内閣の中で、一般論として、郵政の問題に限らずいろいろな議論があってしかるべきですが、内閣としては、全体で一体として行動していかなければならないと思います。それから、この方々も選挙の時はいろいろな立場がおありだったと思いますが、今の内閣としては、郵政民営化を法律に則って適切に推進していくということですので、その線に沿って民営化を推進していきたいと思います。その法律の規定の中で、3年ごとの見直しということになっていますので、実施状況についてよく検証して見直しの必要があれば、そういうことになっていくと思います。これは法律に基づくことであります。そのためには、まず郵政民営化委員会がこれについて判断をするということになっていますので、適切な審議をされると思います。その審議を事務局が当然その助けをしていくわけですから、きちんと支えて、郵政民営化委員会が下される判断を見たいと思います。
(問)昨日の総理の指示の中で、分権改革を強力に推進するということがあったと思うのですが、具体的に中身については何か言及があったのでしょうか。
(答)私の方には、地方分権全般ということでありました。国土交通大臣が私より前に総理のところに入られていますけれど、地方分権改革にも国土交通省としてきちんと取り組むようにという指示が特別にあったと聞いています。まだ、谷垣大臣と直接その点についてお話しする時間は持っておりませんけれど、これから出先機関の問題が出てくると思いますが、総理がそういう問題意識を持っておられるということではないかと思います。
(問)先ほどの郵政民営化のことですが、今回、野田大臣とかが閣内に入られましたけれども、現状をどのように認識されているのかという点と、昨日の会見の時に与謝野大臣が、消費者物価指数について、DVDとかデジカメとかが入っていて、実態に即していないのではないかという指摘をされていたのですが、これについて見直しとかというのは考えられているのでしょうか。
(答)まず、郵政民営化の関係ですが、5つ会社がある訳ですが、その中の特に4つの会社、ゆうちょ銀行と簡保生命は別にして、事業会社と局会社の経営については、民営化の中で十分に経営が成り立つようにしていかなければならない。今、民営化されて1年たっていない訳ですが、特にその2社については、経営基盤をきちんと確立させていかなければならないので、その点については十分注意が必要だろうと思っています。経営者の更なる努力を求めたいと思います。それから全国で2万4千ある郵便局ネットワークのうち、特に過疎地域の簡易局の閉鎖が減っていないということです。いろいろな取組、委託手数料を引き上げたり、移動郵便局の試みとか、時間とか曜日を限定する開局の仕方とか、いろいろ工夫を始めたところですが、やはり、2万4千のネットワークがあって初めて効率が発揮されるということなので、この問題も今後よく考えていかなければならない。これは過疎地域全般の抱えている非常に根深い問題の一つであると思います。ですから、間もなく民営化されて1年経ちますが、各地域で起きている状況については、十分に検証していかなければならないと思っています。その上で、郵政民営化法の目的がきちんと達せられるようにしていかなければならないと思います。
 消費者物価指数のとり方にかかわる話で、現実の経済というか、消費行動等をよく見ていく必要があると思っています。今御指摘のあった、昨日、与謝野大臣が言われたDVDとかといったものについてどういうふうに見ていくのかというのは、有識者の皆様方が常に気を配っているところですので、すぐに見直しをするということではなくて、どういうことがより正確に経済あるいは消費動向を表すか、そういったものについて品目をどう扱うか、我々も見てる訳ですが、改めて関係部局に指示をしておきたいと思います。
(問)今回の布陣を見て、出先機関の関係はいろんな省庁にまたがると思うのですが、その後は税財政の問題で特に財務省との協議が出てくると思うのですが、今回の布陣で分権改革は進むと考えておられるのでしょうか。
(答)進めなければいけないということです。布陣でそこがどう変わるかというより、常に進める布陣でなければいけない。進むように各閣僚にまたよく御理解を求めていきたい。そのことが大変大きな課題です。今日の閣議の時に渡された、改造に当たっての総理談話の中の重要項目に地方分権改革という項目が入っていますので、当然総理も意識をされている問題ですから、各閣僚とよく相談して分権が進むようにしていきたい。各閣僚には御理解していただけるというふうに思っております。
(問)各省や族議員との隔たりがあると思うのですけれども、改めて分権改革を断行する決意をお聞かせください。
(答)第2次、第3次勧告というのは、非常に分権を進めていく上で常に皆様から注目されるネタを持っていますので、そういうネタを皆様方に分かりやすく、ネタというのは国民の皆様に問題の所在を分かりやすく、御理解いただけるように見せていくことが大事だということです。その上で、分権改革が国民の皆様の理解を得て進むように努力をしていきたい。これは常々思っているのですが、制度を変えるということ、結果として地域がそのことによって知恵が無くて悪くなったということでは困るので、いろいろな仕事を地方に移す場合にも、全部地方任せというのもいささか無責任のような気がします。ですから、地方の皆様の知恵と工夫が出るように考えていくということが大事なので、何のためにやっていくのかということを常に忘れずにやっていきたい。
 もう一つは、地方分権ということについては、国が全部おぜん立てをして、その上で地方が受け入れてやるというのは、本来の地方分権の趣旨とはいささか違うのではないかと思います。確かに法律を変えるということですから、今の仕組みからいえば、最後は国が動いて法律を変えていかなければならないのですが、国が全部おぜん立てをして、地方がそれに乗って進む地方分権というのは、そもそも、地方分権とは違うような気がします。国が既成で作っているようなものを地方が奪い取るような気迫というか、戦いがあって、結果として地方に移ったというようなことでないと、本来の意味での地方分権ではないよう気がします。そのためには、今の仕組みの中で地方が最大限やれる範囲でいろいろな効果を出して、それで、どうしてもここの部分だけ壁があって、これを突き破るともっといいことがあるということを見せていく必要がある。地方にとってこれから先、進めていくためには今までの2倍、3倍の汗をかいていく必要があると思います。そのこともこちらとして忘れないようにやっていく必要がある。汗をかかないで、静かにおとなしくいることに対して、いくらこちらが制度を整えても、国民に対して本当のいい成果が出るのかというところがあるので、やはり、地方の皆様の意見を十分に聞く、あるいは地方の皆様と意見交換をする。そこで地方の皆様方が考えて行動していくということが大変大事ではないかと思います。我々が圧倒されてとても受けきれないような圧力を感じる、そういうことも大事ではないかと思います。非常に対立する役者が多いので、よく状況を見ながら進めなければいけないと思っています。そのためにどういうことをすればいいのか、よく考えて進めていきたいと思います。
(問)年末の第2次勧告に向けて、分権委員会と省庁側との交渉が難航するような局面もあるかと思うのですが、その場合には閣僚折衝に臨むということも考えておられるのでしょうか。
(答)第1次勧告の時にそうでしたから、当然そういうことになると思います。もっとそういう場面が増えるのではないでしょうか。それは容易に想像されるのですが、いずれにしてもタイミング等については、まだ何とも言えませんけれども、そういう場面は出てくると思います。
(問)先ほど言われた国民に分権改革の問題の所在を明らかにすること、出先機関は無駄遣いの温床になりがちだとブラックボックス化していて見えにくいという指摘があるわけですが、先ほど、おっしゃった行政評価・監視機能を使って「ムダ・ゼロ」を横串でやっていきたいというお話でしたけれども、分権委員会をバックアップするという意味でも、出先機関の無駄がどこにあるのかといったようなことを総務省として取り組まれるお考えがあるのでしょうか。
(答)まだ方法論を具体的に持っているわけではないのですけれども、そこのと ころは、分かりやすくやらなければならないと思っています。地方分権改革推進委員会の場で、出先機関の人たちを呼んで、どういう仕事をどういう意識で、地元自治体とどういう話をしながら今の仕事をしているのか、ということを明らかにしていくことが、その一つになると思っています。行政評価・監視の方はそれぞれテーマや対象が決まっているので、出先機関については契約状況のチェックに入ったりしていますので、その中で無駄というようなことがある程度出てくると思っています。地方分権と行政改革というのは、アプローチは違うのですけれども、行き着く先は同じで、国民にとってはどちらも無駄なことを止めることに繋がっていくので、その接点というか、交差するような方法をうまく見つけられればと思っています。まだ、次にどうするかということを具体的に決めてはいないのですが、二重行政ということが地方分権でも常に言われていますが、あれも切り口を変えると行政効率ということにもなるので、二重行政を止めるべきというのは誰が言わなくても憲法というか定理です。ではその二重行政を止める時に国と地方どちらにするか、という時に、基本的には、住民に近い方に移していくということが地方分権ではないかと思っています。
 現状の出先機関の仕事をよく点検して、無駄なことは地方に移す以前に止める。どちらかな、というようなものは、地方に移して地方の責任でやってもらう方が見えやすい。出先機関にガバナンスを効かせることにもかかってきます。そういうことを総務省としてもいろいろな権限を持っていますので、うまく交わらせることができないかということを考えております。
(問)先ほど話が出ました消費者物価指数のことですが、与謝野さんはですね、実際の生活者にとってどうなのかという形で提言されたと思うのですが、大臣自身は先ほどのお答にはなかったんですが、現在2.0%とか1.9%という数字が出ていることについてどういうふうに見てらっしゃるのでしょうか。
(答)与謝野大臣の発言は聞いていないのですが、消費者物価指数の数値について言えば、今までずっと統計的にとってきている中で出てきている数字なので、確かにいろいろな身近なものが毎月毎月、月初めに値上げ値上げということできていますので、やはりそういった傾向はその中で出てきているというふうに思っています。ただ、消費動向というのは何年かの範囲でみるとだいぶ変わってきています。それから経済のそういったかかわり方というのは、やはりそれだけ今非常に製品が以前と違って陳腐化するのが早いとかというのがあるので、いかにそれを的確に捉えられるか工夫が必要ではないでしょうか。
(問)数字は現在の実態を表していないというお考えですか。
(答)表わせていないとは私は言いませんけれども、議論とか、中身の点検ということは常にやっていかなくてはいけないし、常に見ていかなければいけない。それは従来からやっている訳です。ただし、よりその点について注意を払っていかなければならないでしょう。
(問)分権に絡めてですね、それぞれに地方が不安に思っていることがあるんですけれども、地方公会計制度の見直しによって、来年度以降、夕張と同じような破たんしてしまう自治体が出てくるのではないかといわれていますけれども、これからの自治体への支援、それから昨日もおっしゃられたように、地方再生対策費という暫定的な措置で、今後どうするのかということも絡めて、今後の自治体への支援ということについてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)地方財政健全化法の制定は、今、それぞれの各自治体の財政状況をできるだけ国民の皆様方に明らかにしようとすることなのです。そのことが明らかになったから何かを支援しようとすることではなくて、明らかにすることが狙いなのであって、直ちに財政支援とかには結び付かずに、それはそれでとにかく実態を国民の皆様方によく考えていただく。そのことによる効果としては、例えば、今までは公共事業などで地方債で資金調達をしていると、当面、なかなか借金の額とかが明らかにならないので、過剰な投資となっていることがあります。それを防ぐ意味で、財政状況を明らかにする幾つかの指標をとって、各自治体がまず注意していただく、住民の皆様と議会の皆様との抑止効果で注意していただく、そこにつながっていけばいいと思います。あとは地方交付税の額も限られたものですし、それからその中で地方の財政状況が当然厳しいわけですから地域間の偏在性をなくす意味で昨年制度をつくった地方再生対策費は、暫定措置ですから、これはこれとして、今後の在り方は暮れの税制抜本改革の中で議論をしたいと思います。それから消費税を充実させるというのは、その方向だと思いますので、その点について、総務省としては考え方をさらに明らかにしていきたい。もちろん暮れの税制改正がどの程度の規模になるのかといったようなことはあるので、消費税の議論というのは一般論としてどういうふうに行われるかという問題はありますが、地方再生対策費自身も暫定的な措置として仕組んでいますので、当然総務省として、地方税のあるべき方向は示していかなければいけないと思います。
(問)よろしいでしょうか。
(答)ではまた引き続きよろしくどうぞ。

(以上)