増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年7月11日

(平成20年7月11日(金) 10:50~11:05  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今朝ほどの閣議で、「平成20年情報通信に関する現状報告」、いわゆる情報通信白書について報告をいたしました。特に地域活性化と自治体の情報通信の活用状況との間に相関関係があるといったようなこと。それから、経済活動が非常にグローバル化しているわけですが、近くはアジア太平洋市場ということになると思いますが、それにとどまらず、ヨーロッパ、北米・南米、アフリカも含め全世界で、日本の情報通信産業の成長を持続するためにそういった地域の市場での活動、展開が大変重要になるというふうに思っております。そういったことを今回、白書の中で分析をし、そしてその分析に基づきまして、今後も私ども、そういったマーケットでの活動を強化していきたいというふうに思います。そのあらましを私の方から報告しました。
 それから、閣議とは全く別件でありますが、これは地方再生担当大臣としての発表になりますけれども、今年度の地方の元気再生事業、これにつきまして選定が終わりましたので、今日発表をさせていただきたい。この地方の元気再生事業でございますが、平成20年度の予算額は25億円ということでございまして、できるだけ地域の発想を起点とした自主的な取組を応援するということで、新たに設けた事業でございます。応募は全体で1,186件ございました。総額でいいますと約230億円ということで、約10倍の競争倍率ということになりましたけれども、その中で、先導性、モデル性、それから持続性、複合性等の選定の考え方に基づきまして、さらに民間有識者からなる地域活性化戦略チームの検討・助言を踏まえて120件を選定いたしました。そして、その選定されたものを我々として地域の実情に即したような形で、具体的に地域が活性化する道筋がつけられるように、総力を挙げて支援していきたいというふうに考えております。これにつきましては、内閣官房の地域活性化統合事務局の方から説明させます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)分権推進委員会の議論に関してですが、地方整備局など出先機関の廃止について一部報道がなされているところですが、この出先機関の見直しに当たってはどういった方針に基づいて議論を進めるべきだとお考えでしょうか。基本的なお考え方をお伺いしたいと思います。
(答)出先機関について、これから地方分権改革推進委員会でヒアリングをしたり、昨日も一部が現地に行かれたようですが、現地調査をしたり、考え方をまとめるので、今の段階でどういうことという、議論の枠をはめることはできないので、むしろ地方分権改革推進委員会の方でこの問題について、幅広い観点から自由に御審議をいただいて、それを受けて政府としての対応を今後考えていきたいというふうに思っています。大きな分権の流れの中で、この出先機関の問題というのは常に議論の対象となっておりましたので、いよいよこの出先機関という1つの出城のようなところに、議論を及ぼすことができるということでありますので、幅広い観点から御議論をいただきたいというふうに思っております。8月の初めに中間報告をされるというふうに聞いておりますので、それを受けてから、また政府としての対応方針を年末にかけていろいろ決めていく中で、議論があると思いますが、最終的には年末に出されると聞いております第2次勧告を受けて、この問題について真摯に対応していきたいというふうに思っています。
(問)地方の元気再生事業なのですが、120件選ばれたということで、この120件の全体を見た感じの評価と、改めてこの120件の事業に対してはどういったことを期待されるのか、2点お願いいたします。
(答)地域的に見ると、いわゆる農山漁村、基礎的条件の厳しい集落からの選定が約6割、限界集落という言葉はあえて使っていませんけれども、限界集落と言われているような地域のものが全体の中で多くを占めている。逆に言うと、そこを何とかしたいという思いが地域でも多かったと思いますが、我々もその思いにできるだけ応えようとした結果であります。
 それから、農林水産業、地域産業それから観光・交流といったような分野からの選定が約6割。これは地域性と必ずしもオーバーラップしているわけではありませんけれども、やはり今回、地方の元気再生事業を行おうとしていた背景にある一次産業が非常に疲弊をしているとか、それから一次産業を活性化させるためには一次産業の範囲の中で考えていたらやはり限度があるので、観光、食文化などと結びつけるとか、そういうふうな発想が必要になってくるので、そういったことがこの選定結果にも反映されているというふうに思っております。それから合わせて、建設業が今、今後の先行きを考えても非常に厳しい状況であり、そこからどのように展開していくかということからも一次産業に回帰すると。ただし、今までの一次産業というよりも新しい一次産業でなければいかんと、こういうことだろうと思うのですが、そういう思いが、各応募プロジェクトにも表れてきているというふうに思っております。いずれにしても、今回の地方の元気再生事業は、1プロジェクトについていえば最長は2年ということなのですが、地域に効果が出てくる上では、その期間のみならず、より長期な視点で応援をしていかなければならないと思います。これは本当にとっかかりのところを支援するということなので、あとは、それをスムーズに各省の本来の施策につなげ、継続的な目でその地域振興をサポートしていきたいというふうに思っています。
(問)所管する、通信業界の方なのですが、ソフトバンクがiPhoneという新しい携帯端末を発売して、今、長蛇の列になっていると思うのですが、これについて何か一言、感想がありましたら。
(答)あれも1つの競争と、民間を基軸にした社会を変えていく起爆剤でしょうか。やはり活力につながっていくのでしょうか。日本の独特の携帯電話の文化というものがあるから、あれを見て、また他社も新たな戦略を練っているのではないかと思いますけれども、これが社会のいい意味での活力発揮につながっていけばいいなというふうに思いました。今朝の報道を見て、延々と列が続いていましたので、そんなふうに思いました。
(問)道路特定財源の暫定税率の失効に伴う4月の地方税の減収額について確定しておりましたらお願いします。
(答)4月分の減収額につきましては、総額で660億円程度と見込まれております。軽油引取税、自動車取得税、地方道路譲与税、この3税ということになりますが、軽油引取税が490億円強、それから自動車取得税が120億円弱、それから地方道路譲与税が50億円弱。端数の関係があるので、また担当課に詳しく聞いてほしいと思います。四捨五入の関係で少しずれるかもしれませんが、いずれにしても約660億円ということでございます。
(問)これについての財源措置はどのように対応されるのでしょうか。
(答)これについては、いずれにしても、国の責任において確実に補てん措置を講じていくということをこれまで申し上げておりますので、具体的に税収が固まりましたので、地方の意見も十分に踏まえながら財務省と協議をしていきたいというふうに思っています。
(問)分権の関係なんですけれども、出先機関改革では地方整備局が年間8兆円の予算を持ってやっているわけなんですけれども、それが最大の争点になるわけですけれども、大臣は知事もされておられたので、地方整備局の二重行政の弊害というものについての御所見を伺いたいと思います。
(答)二重行政であるということは、要は都道府県に、あるいは場合によっては市町村に執行能力があるということなのです。それを同じ行政について、多少範囲は変えているわけですが両者でやっているということ。分権のいつもの専門用語で、近接性の原理とか、補完性の原理とかありますが、要は住民に近いところでそういう事業を実施するというのは原則である。今までも、政府としてもそういう考え方を共有して、それで分権を進めてきた。ですから、二重行政は排除して、それで両方に執行能力があるのであれば住民に近い行政単位がやはりやるということだろうと思います。それは、1つは透明性がやはり住民に近ければ近いほど確保される。それから、身近な自治体であれば、そこにきちんと議会があるから、制度的には監視も働くといったようなことです。国の出先機関というのは、国会の監視が基本的にはある形になっていますが、やはり中央省庁に比べて見えづらい。そこに今は、中央省庁の中でも、地域に近いところでということで、補助金の配付権限が出先機関に移って逆に監視がきかないブラックボックスになっているのではないかといったようなことも指摘をされているわけです。 
 今回そういったところに地方分権改革推進委員会で光を当てるということです。地方分権改革推進委員会ですから、できるだけ住民に近いところで行政をするという原則に沿って御判断されると思いますが、そういった出先機関の改革について原理原則を十分に生かした分析をしていただきたい。個別具体論をいずれしないとこの問題はけりがつかないと思います。中間報告をまとめられると聞いていますが、その後いろいろヒアリングをされたり、省庁とやりとりを随分重ねられると思いますが、年末までにそういう改革について、政府にきちんとした勧告を出していただきたいと期待しております。
(問)分権委員会はですね、見直し対象機関を15系統というふうに指定しているのですけれども、その中で地方整備局というものを大臣はどのように位置づけていらっしゃるのですか。
(答)これから具体的な分権委員会の方での議論が深められていきますので、それをよくみたい。私自身、今の段階では各出先機関については平等に見ています。どこを個別に大きく捉えているということは、今、政府の段階ではないのですけれども、大変お金を多く持っていますし、それから地方の首長からすれば、地方行政に非常に影響のある機関であるというふうに見ているのではないか。この分権を議論するときにもいろいろと話題になる機関であります。これから、分権委員会でどのように分析がされるのか、よく注目をしたいと思います。
(問)住民基本台帳ネットワークですが、杉並区が国と都を訴えていますが、選択制の是非に関する訴訟で最高裁が上告を棄却するという決定がなされたところなんですけれども、選択制は違法だという判決が確定するわけなのですが、それに対する感想と、まだ住基ネットへの不参加団体がまだ2団体残っていると思うのですが、そちらへの対応を何かお考えでしたら。
(答)我々が考えている結論だというふうに思っています。それから、あと全国で2団体なので、我々の立場からしてもぜひ、また今回の最高裁の判決も踏まえてよく御判断をいただいて、住民基本台帳ネットワークに御参加をいただきたいというのが我々の立場です。具体的にどうするかというのは今後また考えたいと思いますけれども、いずれにしても、自主的に御判断をいただいて、あるいは県などとよく御相談をしていただいて、御参加いただくのが一番いい姿だというふうに思っています。あと2団体についてですね、矢祭町もそうですし、それから、国立市についても今回の判決をよくお考えいただければというふうに思っています。
(問)よろしいでしょうか。

(以上)