増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年7月1日

(平成20年7月1日(火) 10:41~10:56  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今朝ほど閣議がありましたが、私の方から特に発言事項はありませんでした。
 それから、1点発表事項があります。選挙の関係でありますが、政見放送に付する手話通訳の対象選挙を拡大するということであります。
 少し経緯等も含めて申し上げますと、今年の2月に、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会から、選挙の管理執行について要望等がありました。その中で、政見放送については、現在、持ち込みビデオ方式である衆議院小選挙区選挙以外の選挙について、ぜひ政見放送に手話通訳を認めていただきたいという要望がありました。現在は、参議院比例代表選挙のみで実施されており、衆議院小選挙区選挙、参議院比例代表選挙以外では認められないということになっています。それが一つ。それから二つ目は、政見放送に字幕を付していただきたいということです。これはいずれの選挙でもまだ実施をされておりません。この二つが要望事項として挙げられておりました。
 最初の手話通訳の関係ですが、日本手話通訳士協会及びNHKと協議を重ねてまいりましたが、その調整状況を踏まえまして、政見放送に手話通訳を付すことができる選挙の対象を衆議院比例代表選挙にも拡大をするということといたしました。具体的には、総務省として、今後速やかに「政見放送及び経歴放送実施規程」を改正するとともに、日本手話通訳士協会が行う研修に対して支援を行っていきたいと思っております。
 それから、字幕につきましては、技術的な課題についてNHKと協議を行ってきたのですが、総務省として引き続き、こうした技術上の課題、管理執行上の課題などについて、有識者からの意見をお聞きするなど、より具体的に検討を進めていきたい。また、NHKに対して、技術上の課題の解消に向けて一層の努力を、強く要請してまいりたいと考えております。
 字幕の関係につきましては、引き続き今後も検討するということになりますが、手話通訳につきましては、衆議院比例代表選挙に拡大をするということにいたしまして、次の選挙に間に合うようにしていきたいと思っております。
 現時点では、遅くとも平成21年4月には適用させることができるものと考えております。実施規程の改正は速やかに行いたい。それから、NHKの実施体制の確立に概ね6か月程度必要だということになりますので、現時点では遅くとも平成21年4月には適用させることができるものと、こういうふうに認識をしております。選挙の時期がいつになるかでちょっといろいろ変わってくると思いますが、いずれにしても、できるだけ早く準備を、前倒しをするようにしていきたい。NHKに対しても極力こうした準備を前倒しするよう要請しているところですので、この「概ね6か月程度必要」というのは、さらに前倒しもあり得るものと考えております。以上です。

2.質疑応答

(問)今日、「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会」の第1回会合が開かれますけれども、改めてこの検討会についてどういった議論を期待されるか、ご所感をお伺いいたします。
(答)公立病院ですが、特に過疎地域に立地をしている公立病院の経営環境が著しく悪化しているという状況があります。そこで、昨年末に「公立病院改革ガイドライン」を策定して、各地方団体に公立病院改革に取り組むことを要請しているわけでありますが、その後の地方団体との意見交換、あるいは国会等での質疑におきましても、「経営効率化の努力が、ほぼ限界まできているけれども、他に民間病院等がなくて、もうそこに欠くべからざる、無くすことができない公立病院について、地方交付税措置などを充実していただきたい。」という強い要望が寄せられております。
 そこで、そうしたものにどのように応えていくのか。地方財政措置といいましても限度があって、限られた中で割り振りをしていかなければならないということでありますから、地方財政措置を講じるためには、そのことによって、その地域の医療をどういうふうに守っていくのかの議論がきちんと行われていなければいけないということになります。具体的な成果は、年末に決める平成21年度の地方財政措置に反映させたいというふうに考えていますので、それまでに議論を取りまとめるということになります。地域医療の確保を今後どのようにしていくのか、一方で、その際に、公立病院改革を推進するという観点からどういうことを行っていけばいいのかといった点について検討会で幅広くご議論いただきたいと考えています。
(問)一部報道で、福田内閣が進めている公益法人改革について全貌が明らかになりました。物足りないということで7月4日まで、総理の指示で、検討をもう少し進めるということですが、一部大臣官房等で公益法人を所管されていますけれども、何か作業の進捗状況について、現段階で報告できることがありますでしょうか。
(答)7月4日に取りまとめて公表するというふうに聞いています。確か、「骨太の方針」にも6月中と書いてあったと思います。全体の取りまとめは、内閣官房でやっているので、あちらの方でいろいろ調整していたと思うのですが、4日に公表すると。それで、当然、総務省分は4日に申し上げられることは公表したいということで今準備を進めています。他省庁の取り組みがどうなっているか、私の方で情報を持ち合わせておりませんが、いずれにしても4日に内閣官房で公表するということですから、総務省分は4日に公表するということで準備を進めています。
(問)最初の政見放送の手話通訳の対象拡大、これは参院の選挙区は対象になっていないのですか。それとも、全部対象になるという理解でいいということですか。
(答)参議院選挙区選挙と知事選挙が不可です。参議院の比例代表選挙は、今対象になっている。残っているのは、参議院選挙区選挙が対象にならない。それから、衆議院小選挙区選挙も、候補者届出政党については、今、持ち込みビデオ方式になって許されているので、それに手話通訳を挿入することは可ということです。政党から立候補している方たちで、必要な方たちはそれをやっているのですが、無所属の方たちは、持ち込みビデオ方式が認められていないので、対象外になっています。細かな点ではそういう違いがあります。
 対象を一概に広げられないというのは、手話通訳士の皆さん方の数等の問題もあって、国家技能検定試験のようなものがあるのですが、「手話通訳技能認定試験」というものがあり、全国で約2,000名いらっしゃるようですが、関東の1都3県で合格者が約870名と全体の約4割が関東の1都3県の方たちです。一方で、合格者数が未だ10名未満という県も少なからずあり、地域間のバランスに非常に違いがあるので、そういったこともあり、選挙区選挙までは今回も広げられないということであります。
 今後、高い技能を有した手話通訳士をどのように確保するかというのが課題であり、ブロック単位で手話通訳士を確保できる目途が立ったということで、衆議院の比例代表選挙まで拡大するというのが今回のことなので、もう少し手話通訳士の養成が進むと、参議院選挙区選挙でできれば、知事選挙も同様に可能になり、そこも拡大に向かうということになると思います。
(問)政見放送の対象拡大、手話付きを拡大するということの狙いを改めてお願いしたいのと、実施規程については、いつぐらいを目途に改正をする予定ですか。
(答)まず狙いですけれども、国民の一番基本的な権利である選挙に臨む際に、やはりこうした手話通訳というのが非常に重要でありますので、その対象となる選挙をできるだけ拡大をしたいということです。
 それから、実施規程の改正でありますけれども、これは速やかに行うということで、できれば今月中に、その実施規程は改正をしたいということであります。
(問)教育振興基本計画ができたのですが、当初文科省案にあった教員増とか教育投資等の数値目標が盛り込まれない形の決着となったのですが、そのことについての受け止めをお願いします。
(答)財政的な数値、投資目標や定数等については、まだ議論は必要だろうということで、教育の現場における様々な状況等を踏まえ、さらに議論をする。ただ、一人一人の子供たちと向き合うという体制をつくることは大事なことなので、教師の負担を極力軽減して、そういう向き合う体制をつくる等全体として教育現場を充実させるということは最大の努力をしていくということであります。
 一方で、地方団体全体にかかる行革推進法や、定数の適正化の計画等、集中改革プラン等を各地方団体は持っていますから、それはそれできちんと履行していただくということは原則になっていますので、その考え方の中で、今後文教関係部局と、我々とで建設的に議論していきたい。
 教育振興基本計画が10年計画で、様々な財政あるいは定数については、計画がもっと短期の目標になっていますから、全体として10年間で教育を充実させるというやり方について、十分実のある議論ができるのではないかというふうに思っています。
(問)ほか、よろしいでしょうか。
(答)ありがとうございました。

(以上)