増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年6月20日

(平成20年6月20日(金) 9:57~10:20  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議での発言は特にございません。それから閣議終了後に第4回地方分権改革推進本部会合を開催いたしました。私の方からその概要を申し上げます。本日の本部会合では地方分権改革推進委員会の「第一次勧告」についての政府の対処方針として、「地方分権改革推進要綱(第1次)」を決定いたしました。これは4月に開催した第3回本部で確認した手順に従い、本部長である総理の指示を踏まえ、官房長官と私が必要に応じて関係閣僚と意見交換などを行いながら取りまとめたものです。本日の本部会議の中で、出席大臣から特に発言はございませんでしたが、要綱の決定後、地方分権改革推進委員会の丹羽委員長から次のようなコメントがございました。
 「総理のリーダーシップにより、地方分権改革の推進のため、前向きな政府決定をして頂いた。一次分権で進まなかった直轄公共事業の地方移管、市町村への権限移譲について要綱に明記されたことを評価したい。年内の第二次勧告に向け、引き続き、総理の強い支援と関係閣僚の理解・協力をお願いしたい。」というような発言がありました。そうしたことを受けて最後に総理から次のような発言がございました。
 「今後、推進要綱で具体的な仕組みを検討するとした事項についても、委員会の勧告の内容に沿って制度設計が行われるよう、各閣僚が先頭に立ってほしい。また、各閣僚とともに、引き続き委員会の審議を積極的に支援して、内閣の最重要課題である地方分権改革をさらに推進していきたい。」という発言がありました。
 会議の状況は、以上でございますが、私としても総理の考えを踏まえて分権改革の推進に一層積極的に取り組んでいきたい、こういうことであります。
 それから、事柄は別になりますが、平成20年岩手・宮城内陸地震の関係です。この関係で、総務省として普通交付税の繰上げ交付を行うということを被災地の視察の際に、私から申し上げましたが、これは9月に交付すべき普通交付税の一部を繰り上げて交付をするということでありまして、対象となるのは災害救助法の適用を受けた7団体、すなわち岩手県北上市、一関市、奥州市、金ケ崎町、平泉町、宮城県栗原市、大崎市の5市2町、計7団体です。
 繰上げ交付額は、総額で60億1,800万円です。個別の市町村ごとの交付額等も決まっておりますので、後ほど、この関係は担当課から説明をさせたいと思います。
 また、「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会」を立ち上げます。地方公共団体の行政サービスの現場では、例えば、補助的な業務に従事する臨時・非常勤職員、本格的な業務にも従事できる任期付短時間勤務職員、これは最近の制度改正で導入されたものです。その他に、当然正規の職員がいるわけですが、こういった方たちが、それぞれ同じ職場で働いており、多様な勤務形態が活用されているということです。しかしながら、現場の実態を見ますと、例えば保育の現場で、臨時・非常勤の保育士が、低い処遇で正規の保育士と同じような業務に従事しているのではないかといったこと、臨時・非常勤職員は1年以内の任期で任用されるのですが、同じ当該者が、任期終了後に繰り返し任用されて、かなり常勤に近いような実態で任用されている。その何回目かの任用の際に、また次もこうなりますよというような、任期終了後の再度の任用を期待させていたような場合には、再度任用の拒否、いわゆる雇止めと言っていますが、そのようなことが起こると、期待権の侵害につながるのではないかというようなことも言われているわけでして、現行の短時間勤務の在り方について、この際、改善の余地がないか検討を進めていきたいということです。
 この研究会ですが、研究会の構成員等は決まっており、後ほど担当課から説明させますけれども、7月頃に立ち上げて、今年中に議論を整理していただきまして、今後の制度に生かしていきたいということです。
 最後に、「ダビング10」の関係です。昨日、開催された情報通信審議会デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会で、権利者団体から「ダビング10」の開始期日を、いわゆる「補償金問題」と切り離して確定するという提案がありました。これがその場で了承され、この結果、今、最終調整をしており、若干日にちが早まる可能性もございますが、7月5日を目途に、「ダビング10」が開始されるということになったものと承知しています。まず、貴重な提案をご決断された権利者団体に心より感謝を申し上げたいというふうに思います。併せて、「ダビング10」の検討にご尽力をされた審議会の構成員の皆様方、文部科学大臣、経済産業大臣はじめ、環境整備にご尽力いただいた関係者の皆様方に厚く御礼申し上げたいというふうに思います。
 いずれにしても日程は、間もなく決まると思いますが、7月5日目途ということです。本年の夏で1番大きなイベントとなりますと、北京オリンピックです。それには十分に開始が間に合うということになると思います。今回の「ダビング10」という利便性の高い機能が消費者に届けられて、北京オリンピックを契機とした地上デジタル受信器の普及に一層の弾みが付くことを期待したいというふうに思います。以上です。

2.質疑応答

(問)分権の関係ですが、要綱を決定ということですが、なお省庁からの反発が強く、これが骨抜きにされる懸念はないのかということと、あと、勧告に沿ってと、総理からも発言があったということですけれども、勧告どおりにどう実現していこうとお考えでしょうか。
(答)骨抜きにならないようにしていくということです。最終的には、来年の地方分権改革推進計画に全部投影すればいいわけですが、今回、要綱を決め、すぐに来週から分権委員会の審議が開始されて、8月の極めて早い時期になると思いますが、暮れの出先機関の縮小廃止に向けた第二次勧告に向けての中間報告が8月上旬に行われるということになっています。中間報告が出たら、すぐに地方分権改革推進本部を開きたいと思いますが、今後、出先機関の方に入っていきますので、すぐに次のものについて検討を進めていきたい。中間報告では、考え方を書いていただいて、暮れの具体的な勧告につなげていくということにしています。暮れの勧告をいきなり議論するのではなくて、それまでに大きな考え方、これは来週決める「骨太の方針」の中に、出先機関の整理の基準を書き込んでありますので、「骨太の方針」の中で決めて、それから8月の中間報告、そして暮れの勧告ということにつなげていきたいというふうに思います。そうしたことを行っている間に、各省で、今回の政府決定をした内容についての検討もそれぞれ積み上がってくると思うので、その検討の結果を見て、地方分権改革推進本部長等と相談をして、より具体化をしていくということで、すぐに次につなげていきたいというふうに思っています。
(問)大臣、今回の地震の関係とも絡むのですが、権限移譲されるですね、国から地方への道路や河川の移譲に対して、すでに市町村などから反対するという意見があるのですが、この辺はどのように説得していくとお考えでしょうか。
(答)今、「災害の関係とも」というふうにおっしゃったのですが、従来からも特に大規模な災害について国の果たす役割が大変大きく、河川の権限移譲においても、道路の権限移譲においても、災害復旧などについては国がやるべきだということだと思います。河川の管理ということについては、今回、大きな問題になるのは、治水のことだけではなくて、利水や、河川環境の維持ということがあって、個別の河川ごとの判断になると思いますが、平常時のそういったことについては、十分都道府県でやれると思いますので、それは都道府県がやり、大きな災害等が起きたら、国が迅速に立ち上がって事業を実施していくということが1番いいのではないか。むしろ、そうやって、都道府県も河川管理についての能力を常日頃から向上させればいいと思いますし、国は国で、余力を蓄えておいて、今回のような災害のときに集中的に仕事を実施していくということが本来のあるべき姿ではないかなと私は思います。そういうことについて、今回の震災を契機にしてまた議論が出てくると思いますので、私どもとしてもそういうことを訴えてきたい。それから、市町村に対してもそのことが市町村の不安につながらないように理解を求めていきたいと思います。
(問)交付税の前倒しの件ですが、改めて今回の前倒しについて、その狙いを伺いたいのですが。
(答)被災団体の資金繰りを円滑にするというのが1番大きな目的です。被災団体で当面、様々な財政需要、想定外の様々な出費が常に毎日毎日のように出てきて、現金が必要になってくる場面が多いと思いますから、その資金繰りをよくするということが今回の狙いです。われわれの方で9月に交付すべき普通交付税の額を想定する作業をやっていますけれども、そこの団体だけは額について早めに出して、前倒し交付を行います。通常ですと、2~3週間、1か月近くかかっているところを今回は特に急がせまして、異例の早さになると思います。来週23日にも現金を交付したいと思っていますので、本日が金曜日で、本日具体的に繰上げ交付額を確定させて、来週23日月曜日には当該団体に現金交付をしたいと思っています。
(問)大臣、すみません。分権の関係ですが、道路と河川について冬柴国土交通大臣が河川を40%、道路を15%と言っていますけれども、その数字を前提に交渉が進んでいくのではないのかというような心配が地方にあるのですが、政府内の調整でこれをさらに上増しを、やっていくというふうにお考えでしょうか。
(答)多く出てくれば、やっぱりそこをやっていきたいと思います。まず、40%とか15%という数字は、国土交通省の方の考え方です。具体的にどの程度の量かということは、本日の推進本部決定の中に入っていません。今後、多くの地方団体から手が上がってくれば、そして今、個別路線ごとにどうするということまで決めているわけではありませんから、全体を併せて、どの程度のものが出てくるかを見た上で調整したいと思っています。むしろ、私としては、沢山出てきてほしいなと思います。あまり少なくて40%ぐらいなのに、少ししか出てこなかったりすると困るので、40%を超えるぐらいの数が出てきてほしいなと思います。
(問)中でも道路については、15%程度では全く抜本的な分権型社会を目指すという目標に全然足りないというのが分権の考え方だと思いますが、そういうものについて、もっとどのぐらいを考えていらっしゃいますか。
(答)どれだけのものが出てくるかによると思います。難しいのは、体制、財源がどういうふうになるのかというところだと思います。地方団体全体としてどういうふうにするかという考え方について、全国知事会のところでも前提となる考え方をとりまとめようということを、この間、山田京都府知事と話したときに言っていましたが。そういったことが必要になるのかもしれませんね。要するに、当該団体で決めるということは、なかなか今の段階ではできないです。ただ、第二次勧告までには、対象を想定しておかないと勧告に結びつけられないのですが、実際に決めるというのは、どうしたって財源のことなどがはっきりしないと議会も決断できないでしょうから、われわれでやる用意があるというところまでを決めていただくようなことになると思います。
 ですから、どうしても不確定要素は残るのだけど、どのような条件かを国で整理してくれよということを地方団体全体として言ってもらうとか、そのやり方を全国知事会で取りまとめるとか、いろいろなやり方はあると思います。そうすると全体としてどの程度のものが出てくるかわかると思うので、本当に多くのものが出てくれば、当然、国土交通省とそれをよく調整をして、全体の量を決めていく。最終的には来年の地方分権推進計画にきちんと反映させるということ、予算要求等も必要になってくると思いますが、いずれにしても全体の量の調整は、今回の中では決まっていませんから、今後、調整をする。もっと多くのものを自治体の方でやる用意があるということであれば、当然、それを増やしていくということになると思います。
(問)大臣、骨太の素案なんですけれども、税財源の抜本改革の中に地方税のことがあまり触れられてないというか、全く書かれてなかったと思うんですが、これについての書きぶりはこんなもんだというふうなお考えでしょうか。
(答)地方税の書きぶりは、分権改革ではなくて、全体のところですか。
(問)そうです。
(答)税体系の抜本改革のところは地方税についてまだ議論されてないので、今、議論されてるところで書いたということじゃないでしょうか。議論されてない部分は書けないから、あそこの書きぶりは今後の検討に委ねていますよね。だから、今はこういう段階ではないでしょうか。
(問)分権について、マスコミの論評は専ら族議員と官僚のペースにはまっているという言われ方を示してますが、そこについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)関係者は多いですから。今回は、第一次地方分権のときと比べて、追い風というか、強力に後押しするというところについて、大分環境が変わってきていると思います。第一次分権の頃は、そういったいわゆる「族」と言われている人たちが、もしいるとすれば、それを跳ね返すだけの熱気のようなものが、地方団体でももっとあったような気がします。そこは、第一次地方分権のときとは大分様子が変わっています。地方団体の中でも利害対立というのが相当大きいですから、地方六団体が一致するという形には、多分なってないので、そういう中で分権を進めていくということでありますから、以前にもこの場で言いましたけれど、いずれにしても委員会の勧告について、二歩前進するぐらいのものを出してもらって、当然いろいろな議論を経た上で書きぶりが変わるところもありますが、二歩前進一歩後退でもいいですけれども、確実に前へ進めていけばいいのではないかなというふうに思います。
(問)「ダビング10」のところなのですが、北京オリンピック終わってから普及率50%と、それについてはその関連でいきますと、どういう受け止め方ですか。
(答)今回のことが追い風になるのは間違いないと思います。機器の出荷について「ダビング10」の問題が解決する、しないに関わらず、順調に流れているという話は聞いていましたけれども、これからボーナス商戦の時期でもありますし、それから、「ダビング10」が解禁されて、ユーザー、視聴者にとってもより使いやすくなっているということが伝わると思います。量販店や、販売店でも、いろいろそういったことをPRされると思うので、そのことによってデジタルチューナーが入っているものに買い換える需要の追い風にはなると思いますし、それを考えると普及目標に、一段と近づいていくのではないかと思います。
(問)関連なんですけど、今後、著作権者に対してどのような形で適正な対価の還元というものを果たしていくのが望ましいとお考えでしょうか。
(答)著作権者の皆様方との話については、今回は、大変大幅に現在の状況を考えて歩み寄っていただきましたが、ただ主張自身は変わってないと思います。ユーザーの皆様方のことを考えて、北京オリンピックということもありますし、それで今回、ああいう考え方を示してくださったと思っていますが、基本的な主張は変わらないと思います。先ほど、文部科学大臣ともちょっと話しをしたのですが、今後のことについては、また、改めてよく関係者の話を詰めていくしかないと思っています。結構深い問題なので、今、すぐにどうするというようなことではありませんが、今回のこういったことを契機に、話し合いのルートみたいなものをきちんと作っておくということは大事ではないでしょうか。
(問)大臣、分権ですが、今回の国から地方への権限委譲というのと、今後、地方の出先機関の統廃合を考えたときに、相当、温存される程度の移譲しかないように見えるのですが、それについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)今回の要綱の第二章で書いているのは、国と地方の役割分担で、象徴的な事柄なのです。それと同時に、一般的には二重行政というのがあって、その解消が当然叫ばれているわけで、来週決める「骨太の方針」の中でも出先機関の縮小・廃止の基準を書いたわけです。さらに、8月に中間報告で、出先機関を整理するときの考え方を書きますので、今回の、例えば河川についてどうする、道路についてどうするということだけでなくて、一般的な出先機関の廃止・縮小の基準と抱き合わせにして、暮れに出先機関の縮小・廃止の考え方をまとめるということになると思います。
(問)ありがとうございました。
(答)ありがとうございました。

(以上)