増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年1月8日

(平成20年1月8日(火) 10:17~10:33  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 今朝ほど閣議がございまして、私からの発言事項はございません。
 それから、その後、事務次官と共に、総理のところにまいりまして、「定住自立圏構想研究会」というものを立ち上げるということで、総理に御報告して御了承いただきました。今月に立ち上げたいと思っております。あとで事務方から再度説明はさせますが、総理の方から昨年末に指示を受けておりまして、内々に私どもの中で検討していたものでございます。現在、地方圏におきまして人材の確保・育成、地域間交流、医療の確保などが喫緊の課題になっているわけでございます。そうしたものが確保されないと、住民に安心感が生み出されないということなのですが、限界集落と言われているような地域も数多くございますし、今後、更に増えていくということもございます。今申し上げましたような、そういった地方圏において人材の確保・育成、地域間交流をどうしていくか、これは移動手段の確保の問題も含めてです。それから医療の確保等々、様々な問題が生じているところでございます。こういった問題の解決が喫緊の課題になっております。
 そこで、総務省に、総務大臣主催の「定住自立圏構想研究会」というのを設置して、都市と地方が共に支え合う「共生」の考え方というものを具体化して、地方圏の人口の流出を食い止めるダムのような機能、例えば、地方圏から東京の方に若い人たちが集まっていくということではなくて、地方圏で人口の流出を食い止める、いわゆるダムのような機能を確保する、こういうことを目指して、日常生活に必要な機能を備える圏域の在り方やその実現方策について検討を進めていきたいというのが研究会の目的です。
 メンバーは、11名の方々をもう選定しておりますが、座長には、前の東京大学の総長で、現在、学習院大学の佐々木毅教授にお願いをしました。都市・農村地域政策、地方行財政、地域医療などに関わっています有識者、地方公共団体の長など11名の方々、それから関係する省の局長クラスに御参加をいただく予定にしてございます。国土交通省、農林水産省、厚生労働省です。メンバーは、それぞれの分野で活躍されて、識見を備えられた方々ですので、実りある議論が進むものと期待をしてございます。1月に立ち上げまして、毎月1~2回のペースで議論して、ゴールデンウィーク頃には、一定の報告を取りまとめていただくよう座長にお願いしたいというふうに思っています。それから、研究会の趣旨、検討項目、スケジュール、メンバー等の詳細は後ほど、担当参事官より資料配付させますが、1月中に開催ということで今、スケジュール調整に入っています。
 例えば、今後全体として人口減少は進むのですが、全国を見ましても、いわゆる地方の県の中でも、県庁所在地にはある程度人口が確保されると。ところが、県庁所在都市以外の圏域は、急激な人口減少、高齢化、過疎化、限界集落化が予期されて、それを個々の町村ごとに見ていくのでは、大変限界があるだろうと。そうではなくて、一つの県で、三つか四つくらいの圏域で、それぞれの機能を一定程度備えて、人口流出が更に外に行かないように、そして、更に県全体として見れば、少なくとも県から外には出ないで、1つの県の中に何とかとどまっているような機能、その圏域の中で限界集落を助けるような相互補完機能を創出できないか、あるいは県全体として、県庁所在地1か所くらいかもしれませんけど、3次医療などは県の中でとどめられないか。更に言えば、ブロックで、東京にみんなが集まるのではなくて、東北なら東北の中でそういう各圏域の中に人をとどめられないか。人口流出を食い止めるダム機能と呼んでいますけれども、もっといい言葉をそのうち探しますが、そういう自立して定住するような圏域の機能の在り方、それから実現方策について検討する研究会でございます。
 あとは担当の参事官から御説明させます。私の方からは以上です。  

2.質疑応答

(問)今の関連で2点、詳しくは後で伺いますけれども、昨年、総理から具体的にどのような趣旨、どういう言葉で指示があったのかという点と、あと自立ということですけれども、当然、地域経済の振興方策とか、そういうものも含めて議論するということかどうかということの2点をお願いします。
(答)総理の方からは、それぞれの地域できちんと生活ができるような、定住できるような政策こそ今必要ではないかと、そして、医療をその地域できちんと受けられるような、そういう地域づくりを目指すと。総務省として、地方交付税の問題、地方税財政の問題、そういう制度論をきちんと組み立てていくのは当然のこととして、更にもっと踏み出して、地域の実態は、一番総務省の人間が地方に行って知っているはずだから、地域にきちんと国民としての生活ができるような、あるいは将来を見越して、人口減少下でもそういうことが可能な地域、圏域の在り方、その実現方策を考えることが、これから一番重要な役割であって、そのことについて問題の所在と、実現方策を国民にきちんと提起してほしいと、こういう指示を受けまして、それに応える研究会ということになります。少し研究会で議論して、いろいろな方々の御意見を聞きながらまとめていきたいと、こういうことでございます。
 それから、地域経済のことも当然関係してくるということでありますが、かなり産業的にも疲弊しているような地域をどうするかということでありますので、一方で、内閣府で地方再生事業ということで、各県2か所、できれば各県1か所で、地域経済を牽引していくような地域についての仕組みづくりをしていますが、そういったところからも外れるような地域の在り方を主に考えるのが、この定住自立圏構想の考え方になるというふうに思っています。これから研究会でいろいろ検討を加えていく中で、その辺りをよく整理をしていきたいと思います。
(問)今の件に関連するのですけれど、改めてなんですが、これはやはり地域活性化の一環として打ち出していくものなのか。あと、この研究会を立ち上げるねらいについて、改めてもう一度お願いします。
(答)地域活性化といえば地域活性化だと思うのですけれど、更に大きく言えば、これからの人口減少、そして急速に高齢化が進む中で、国土全体の在り方を考えるための研究会ということになると思います。
 この問題はやはり、税財政の問題、地方の財政格差是正の問題、権限財源の地方への移譲の問題、地方分権とか、そういう制度的な議論はもちろん一方では、大変大事なのですけれども、実体の社会・経済の動向を踏まえて、どういうふうに現実に地域、地域で医療を確保していくのか、教育を確保していくのか等、要は地域の生活をどういうふうにこれから守り、確保していくかということ、そこの検討もあわせて行わないと、地域が生きてこないと思います。国から地方に全部委ねれば全部うまくいくかというと、なかなかそれだけでは済まないわけで、そういう地方で工夫できる土台があった上で、実際に、そこでの知恵をどうやって生かしていくのかということが大事になります。人材育成の関係で、高等教育機関の在り方を今後どうするか、各県に国立大学もあれば県立大学、私立大学もある中で、人材育成ということで教育機関をどうするのか。それから医療をどうするのか。例えば、遠隔医療を進めるといっても、いろいろな制度的な問題もございます。そういった問題の所在と議論の方向性、それから、目指す方向が明らかになったとしても実現方策について具体的に考えていく必要があるだろうということで、この研究会を立ち上げるということです。範囲は非常に生活全般に及ぶ話ですが、その中で柱になるようなところは幾つか見定めてやっていかなければいけないと思っています。
(問)総理から指示を受けたのは、どのような事態のときであったのかということと、将来的には、見通しとして財政支援みたいなものを検討していくのか、その2点について教えてください。
(答)総理から指示を受けたのは、地方の問題を総理に説明に行ったときに、総理からそういう問題意識で、総務省としてきちんと検討するようにということを言われました。多分11月の下旬か12月の初めぐらいだったと思います。それから、定住自立圏構想ですから、個々に見ていけば、制度を変えたり、法律改正もしたり、財政をまた何か考えるということもあるかもしれませんが、そういう財政支援ということでなく、一方で、地方分権、税財源の問題、税の偏在是正、地方交付税の問題、そういう制度問題として別途今、制度を考えたりしているわけですが、こちらの方では、財政支援というよりも、もっと別の側面から問題をえぐり出して検討していくということになると思います。
(問)救急搬送なのですけれども、大阪で、年末に続いて年始にも搬送拒否ということで、亡くなったのですけれど、消防庁として今後、何かお考えはあるのでしょうか。
(答)昨年、産科と周産期についての救急搬送が問題になりました。奈良県でたらい回しがあったので実態調査をしたのですけれども、今お話があったように、暮れと正月にまた起きました。一方は、三十数病院に当たって、もう一方も、本当はすぐに受け入れをしなければいけない救命救急センターで、手術中等の理由、応答がなかったという理由で、うまく救急患者を運べなかったということがありました。年度内にまとめるように、産科・周産期だけではなくて、全部の事案について実態調査をするように消防庁に言ってあります。すぐに実態調査をして、その上で、厚生労働省と共に、どういう態勢を築いていったらいいのか検討していきたいと思います。
 細かく言いますと、平成19年中の救急搬送に関して、医療機関搬送時の傷病程度が重傷以上の事案、救命救急センターに搬送した事案、昨年調査しました産科・周産期傷病者を搬送した事案。それから、小児傷病者を搬送した事案、この4区分ごとに、受入照会回数ごとの件数、現場滞在時間ごとの件数、受入に至らなかった理由別の件数などについて調査を実施します。全体の件数は、50万件くらいになるようなので、ちょっと時間は掛かりますが、年度内にまとめるように指示してあります。それで、公表いたしますが、昨年調査した産科・周産期については大体3万9千件くらいだったのですが、今度は50万件くらいになるのですが、そういう深刻な事案が出ましたので、実態調査をして何が原因だったのかを解明して、その上で対策を厚生労働省と共に立てると、こういうことで考えていきたいと思っています。
(問)ありがとうございました。
(答)本年もよろしくお願いします。

(以上)