増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年9月21日

(平成19年9月21日(金) 10:42~11:01  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今朝ほども、閣議ではなくて閣僚懇談会という形で会議が開催されました。その中で、人事案件がかなり多くありましたが、私の方から1件だけ人事案件として、独立行政法人平和祈念事業特別基金理事長の任期が9月30日で切れるものですから、現理事長の青木健さんを10月1日付けをもって再任をしたいということでお諮りをしています。これは閣議で口頭了解ということになります。一応、閣僚懇談会という会議でありましたけれども、閣議で口頭了解ということになるということであります。
 これは閣僚懇談会とは別で、この場での発表でございますが、総務省として「モバイルビジネス活性化プラン」というものを策定いたしましたので、その関係について発表いたします。9月18日にモバイルビジネス研究会の第10回が開催されまして、私も挨拶をいたしましたが、そのモバイルビジネス研究会でモバイルビジネスの活性化に向けた検討を年初から進めてまいりまして、9月18日にその報告書が取りまとめられたということであります。その背景は、我が国の携帯電話の加入数が1億加入を超え、高速データ通信が可能な第三世代携帯電話、いわゆる3Gですが、も世界に先駆けて普及するなど、モバイルビジネス分野の成長が大変目覚ましいものがあります。こうした中で、社会経済基盤の一つとなったモバイルサービスの一層の活性化を通じて、新事業の創出や既存事業の再活性化、これらを通じた国民利用者の利便性の向上を図っていくことは極めて重要だと、こういう問題意識がございます。これを受けて、研究会で検討してきていただいたわけですが、その報告書が取りまとめられたということを受けまして、速やかに総務省としての施策展開を図っていくために、2011年を目標年限として展開をいたします政策パッケージとして「モバイルビジネス活性化プラン」を策定したと、こういうことであります。この活性化プランにおきましては、モバイルビジネスにおける料金の透明性・公平性向上に向けた検討、MVNO、自分で設備を持たない移動体サービス事業者のことで、モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター、その頭文字のMVNOですが、その新規参入の促進を始めとする競争促進策のほか、モバイルビジネス活性化に向けてこれから展開する様々な関連施策について、何をいつまでに実施するのかという、具体的・総合的な行動計画になっているということであります。この活性化プランを着実に実施することによって、国民生活に不可欠なモバイルサービスの多様化・高度化が図られて、地方の活性化や国際競争力の強化にも貢献できる、世界最先端のモバイルビジネス環境を我が国において実現できるように、総務省としては取り組んでいきたいと、こういうことであります。
 この活性化プランの詳細につきましては、後ほど事務方の方から御説明申し上げます。

2.質疑応答

(問)そのモバイルビジネスの関係で、料金の透明性の向上ということと国際競争力の強化というのは、どのように関わりがあるのかというのを、大臣の方から、ちょっと御説明いただけますか。
(答)まず、料金の透明性については、随分これまでも御指摘をいただいていた、特に販売奨励金と通信料金の関係ですね、これについて御指摘をいただいていたということがあります。そこを、それぞれの事業者の通信あるいは携帯電話本体についての販売戦略があろうかと思いますが、その内容の透明性が高いということが大事であるという我々の認識がありますので、その料金体系の透明性を確保するためにも、各通信事業者は、そこについては確実に、利用者にきちんと分かるような形にしていただきたい。それを促しているということであります。そうしたことによって、更に我が国の中で社会経済基盤となっている、いわゆる携帯電話を始めとするモバイル環境がよりビジネスとして成熟していくだろうと、そして、技術的には、世界の最先端を行っているものでありますので、そうしたものが国内で十分に確立されるということは、国際的に見ますと、我が国のこうした技術的には優位でありながらも、ビジネスとしては十分に成熟していない、他国の方が優位な場面が多いですが、そうした他国への進出にも有利に今後働いてくるであろうというふうに考えております。
(問)今日の過疎問題懇談会のことでお尋ねしたいのですが、過疎地域を対象に財政支援する法律が2010年に期限切れになるのを受けて、総務省で懇談会が開かれる。で、その財政支援について、政府内でも縮小を求めるような声があるとは思うのですけれども、大臣としては、過疎地域に対する財政支援について、どういうふうな考えをお持ちでしょうか。
(答)過疎地域については、まだまだ、医師不足の問題ですとか、それから雇用の問題、そもそもベースには人口減少と高齢化の問題があるわけですが、こうした問題についての答えが出てきていない。そして、更に事態が深刻化しているというのは、最近は「限界集落」という言葉に見られるがごとく、集落の存在自体が危ぶまれるような状況になってきてしまっている。ですから、この過疎問題というのは、従来よりも更に、いわゆる社会的に見れば深刻さの度合いを増してきているというふうに思います。その中で様々な財政支援を中心にこれまで行ってきて、何度か法律が延長されてきていますが、そうした施策が、どれが有効であったのか、それからどれが効果があったのかなどをきちんと、まずこの段階で検証することが必要ではないか。その上で、今後の、次の過疎対策に反映をさせていく必要があるのではないか。財政支援なども、今後、当然必要になってくると思います。全体としては、財政の規律を確保するということで、大きな枠は今、2011年のプライマリーバランスの問題、黒字化ということで枠がはめられているわけですが、そうしたことの先に、どれだけ財政支援できるか、次の議論として考えていかなきゃなりません。また必要な財政支援というのは当然行っていかなければならないと思いますが、しかし、過疎地域のみならず、国全体でも、今、人口減少化に向かっているという、従来とは違う新たな局面にこの2年ばかり差しかかってきて、将来は、更に人口減少が国全体でも加速化される。そして、過疎地域でより「限界集落」等の問題が広範に起こってくるという中で、財政支援ですが、従来通りの施策が有効なのかどうかということを、もう一度きちんと根っこから検証する必要があるのではないかというふうに思っています。
(問)過疎問題懇談会の関係ですが、特別措置法の期限が切れたあと、また新たな措置を講じるのは、どういうような形になるのでしょうか。
(答)どういう法律でやるのかとか、そこのところはこれからの議論になると思いますけど、しかし、この問題が政府の施策から抜け落ちるということは決してないわけで、むしろ、そこに対しての答えを見つけていくことが今喫緊の課題として、より重要性を帯びているのではないかと思います。ですから、それをどういう形でやるかというより、まず、今の、ここ一、二年は、この研究会などで、具体の中身の話で、今までの施策が有効であったのかどうか、それから、今後も、より過疎化が進んでいくであろう現状の中で、今後そういうやり方が通じるのかどうかといったようなところを様々な角度から、まず議論してもらいたい、その上で、有効策と考えられるようなこと、これは都市住民にも十分理解してもらわなければいけない。そういう、国民共通の共通認識という土壌を築いていかなければなりませんが、その上で、普通ですと法律だと思いますけど、過疎法に代わるような新しいものか、延長になるのかどうかはあれですが、従来は基本的には、延長、延長で、ずっと来ていますが、そこはこれからの議論ですけれども、やはり法律の根拠に基づいたようなものが必要ではないかというふうに思います。
(問)昨日、日本経団連の御手洗会長が年金の基礎部分については全額税方式でという提言をされたのですが、これに対して大臣はどのようにお考えですか。
(答)多分、背景としては、例の基礎年金充当部分について、税方式で今、政府は考えているわけですが、3分の1から今度2分の1に上げていくのは、基本的には多分消費税で1%相当分になると思いますが、1%かどうかは別にしても、消費税を充当するという考え方が今までの基本的な考え方だったのだろうと思いますが、そこが今の政治情勢からみるとなかなか難しい状況がありますし、もう一歩原点というか手前に戻って、それで、経団連の立場で幅広く問題提起したということではないかなと、報道で見る限り、それ以上の背景を聞いていませんから、少し手前のところでいろいろ提言も、民主党は全額税方式と従来から言っていますし、もっと手前のところで議論を引き起こそうという御趣旨で発言されたのではないかなというふうに、私はとっています。それについての議論は、恐らく間違いなく今後も国会で、黙っていても大きな議論になると思いますが、今、政府の閣僚の立場で言えば、やはり従来の政府の考え方に沿った内容で考えていくというのが今のところの政府としての考え方です。それ以上のものを今ここで言うことはできないだろうというふうに思います。ただ、基礎年金の2分の1に引き上げる部分を、どういうふうに財源を充当するかという話はありますけれど、しかし、今のところは、政府としては、従来の政府の見解で考えていくという立場だと思います。
(問)週明けには、安倍内閣の総務大臣の努めを終えられますが、ここ一か月間の仕事を振り返って、今の思いを伺いたいのですが。
(答)そうですね、確実に火曜日に総辞職ということになると思いますが、やることがいろいろ多くて、まだ振り返る余裕はないという状況でしょうかね。地方の問題ということが、今度の総裁選挙の大きな論点にもなっていますし、取り組むべき問題が大変多いと、やらなければいけないことが。総務大臣の立場でも、もう一方で、内閣府の特命担当大臣という立場もありますので、この間、内閣府の特命担当大臣の立場で、地方の問題について議論する政府の組織を一元化したり、それから、今後は、地方がもっとそういう場に参画するような仕組みを作っていかなければならないと思いますし、その上で具体的な内容を練り上げていかなければならない。大まかな指示は向こうの方でしてありますが、それに総務省としての施策をくっつけていかなければいけないので、こういったことが考えられるのではないかと、こういう検討をしてほしいという検討は指示してあります。1か月間では、そういう段階である。あと数日ありますから、まだそういうことをやるということではないでしょうか。
(問)携帯電話の話なのですが、2年前に周波数の割当を受けたアイピーモバイル(株)の混乱が続いていますけれど、割当先が適当であったのか、また、Wimaxの割当の方向がありますけれど、そういう仕組みが問題なかったのかどうか。また、経済産業省の方では、そういう時代になってきたということで、過去の政策の混乱について責任者を処分するという話も出ていますけれども、そのあたりについてお考えがあれば、お伺いしたいと思います
(答)アイピーモバイル(株)の関係については、今、一旦経営権を移したり、また戻したりということが行われているので、もう少し様子を見る必要があると思います。様子を見る必要があると思うのですが、3社に、当時周波数を割り当てて、2社のうち1社は買収したりということで免許を返上していますけれども、当時の手続として、そういった3社をきちんと審査をして割り当てたということ自体について、今のこの段階で特段何か大きなミスがあったとか、そういう認識は持っていない。アイピーモバイル(株)の様子はもう少し見る必要があると思いますけれども、その後、例えば何かの経営状況が変化したことによってきちんとした事業が開始されなければ、それはまた、免許を与えるのと同じような手続をきちんと経て、免許を返上してもらうとか、そういう社会的に目に見える公正な手続で、その割当権を返上させていくということで、事業者にとっての責任を果たしてもらうし、こちらとしても、正に公共の周波数帯ですから、それについての割当の適正さというのを担保していけばよろしいのではないか。もう少し時間があるので見ていきたいと、そういうふうに思います。
(問)関連して、先ほど、MVNOの新規参入を促したいとおっしゃったり、2.5GHz帯のWimaxの方も新規参入を目指すようなのですが、事実上は既存の携帯事業者がどこかと組んで事業を行うなど、実際はもう携帯のインフラをやるには新規は難しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(答)かなり先行しているところの体力というのは、確実についてきていますから、地力がついてきていますから。ただ、競争を促進するという観点で、総務省としてできるだけ競争を促すという原点に立って、個々のこうしたモバイルビジネスの新規参入の道を新たに広げていったり、既存のものに対しても、例えば接続料ですとか、様々な面で新しい事業者が何らかの形で参加できるようにしていくということが必要ではないか。もちろん、かつてはNTTであったり、それから、ソフトバンクモバイルといった先行者の体力が非常についてきているということは事実だと思います。しかし、常にそれに対して様々な分野の事業者が、部分部分かもしれませんけれども、競争を促して新規参入できる余地を常に広げていくということが全体としての競争力を高め、業界の地力をつけていくことにつながるので、それが国力ということになるのでしょうか、そこにつながるのではないかと思います。

(以上)