増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年9月4日

(平成19年9月4日(火) 10:00~10:17  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日、閣議がございましたが、私の方から特に発言をする案件はありませんでした。
 それからこの場をお借りして、私の方から「ユビキタス特区に関する提案の募集について」ということで御紹介をしたいと思います。この「ユビキタス特区」について募集をしたいと思っているのですが、その背景は人口減少化で我が国経済を新たな成長のトレンドに乗せるため、ICT(情報通信技術)産業の国際競争力を強化することは、6月の骨太の方針にも盛り込まれている重要課題であるという認識をしています。こうしたことを受けて「ユビキタス特区」では空き周波数帯の利用環境整備、予算をも活用した総合的なプロジェクトの推進と、この予算については、ちなみに来年度の概算要求では20億円を要求しているところであります。今申し上げましたこういう空き周波数帯の利用と予算の活用ですね、こういう2つの特典を組み合わせて新たな付加価値につながるICTサービスの社会実証を推進したいということで提案募集するものであります。北海道、沖縄及び研究開発拠点の集積している場所というものを実施地域として予定をしているわけですが、具体的に「どこで、どのようなプロジェクトを推進すべきか」について、民意をよくお聞きするのが今般の提案募集の趣旨であります。ばらまきにつながることではなくて、選択と集中を図ることによって、地域発・国際展開可能なICTサービス・事業のモデルの確立を企図しております。こうした施策によって地域の産業振興を通じた活性化にも取り組んでいきたいと考えておりまして、関係各方面から積極的に提案が寄せられることを期待したい。詳細につきましては、この記者会見が終わった後すぐに、事務方から説明をさせたいというふうに思っております。私の方から以上です。

2.質疑応答

(問)遠藤農相や坂本外務政務官、閣僚やそれに関する方がカネにまつわる不祥事で相次いで、辞任されてます。重要な時限立法を抱えるなど、国会運営にも影響があると思われるんですが、大臣、その点いかにお考えでしょうか。
(答)率直に、スタートの大事な時期でありますので、多少出鼻をくじかれたような感じはしています。特に農林水産大臣の場合には、農林水産行政というのは、地方問題を解決する上でキーの一つですから、早く農林水産行政が正常化されて、後任の若林農林水産大臣は大変その方面には造詣の深いわけでありますが、早くこうした地方の問題を解決する上で手腕を発揮していただきたいなと、こんなふうに期待しています。いずれにしても、政治とカネの問題については、透明性を高くするということが国民の側の大変強い要望でありますから、それに沿った行動をきちんとしていかなければならないというふうに思っております。
(問)昨日の年金検証委で、市町村職員の国民年金保険料横領が社保庁発足以来49件、2億円余りあることが報告されまして、その中には今回新たにわかった分もあると、地方を所管する大臣としてそういった自治体職員の不正について、どういうふうに受け止めるかという点と、今後自治体職員の不正は構造上ないと思われるんですけれども、新たな社保庁に代わる組織で職員の不正というのは起こり得ると思いますが、今回、年金関係の3つの委員会を通じて、適正化に関わる総務省としてその委員会でどのようにして適正化を今後図っていくのか、お考えをお願いします。
(答)市町村職員も同じような不正行為に荷担してたというのは、大変残念でありますし、またこれは、それぞれの市町村の首長さんが思っている思い、共通であると思いますけれども、市町村民、県民、それから国民の皆様方に大変申し訳ない思いでいっぱいであろうというふうに思います。年金記録問題検証委員会の中で初めて市町村職員が着服をするという事案が出てまいりましたので、検証委員会の方で、昨日出てきた事案について今後、深掘りをしていくというふうに聞いています。大分以前の事案なわけですが、それについて当時もう既に何らかの形で処分なり再発防止策が取られているのだろうと思いますので、そうしたことが果たして適切な措置であったのか、そして年金行政を遂行していく上で十分なものであったか等も含めて、今後、事案の検証がなされると思いますから、そうした事案の検証結果を今後に活かしていきたいというふうに思います。
(問)今発表された「ユビキタス特区」というものなんですけれども、総務省、よくユビキタスという言葉を使っているんですけれども、我々、ちょっとわかりにくいなと、大臣から御覧になってユビキタスと言う言葉は十分に浸透しているのかどうか、大臣の理解でどういう意味なのかというのを教えてもらえますか。
(答)私自身は結構、考えてみると、ユビキタスという言葉は知事時代も使っていたような気がしますね。東京大学教授の坂村健さん等が盛んに用いていましたし、いろいろお話をしょっちゅうしていましたからね。いつでも、どこでも、何でも、誰でも、ICTの技術を身の回りの生活を向上させるのに十二分に活用していくというようなことなのだろうと思うのですが、それだけのアクセス環境を整備していくと言いましょうか、そういう意味だと思います。私自身は、かなり定着しているというふうには思っています。一方、国民への説明という意味で、「ユビキタス」ということが、いわゆるIT弱者と言われる人たちに対してうまく伝わってないということであれば、言葉は言葉として使いながらも、何か別の説明を考えなければいけないのかなと思います。
(問)今、IT弱者とおっしゃったんですけれども、「ICT」という言葉もあまり耳慣れない言葉でありまして、「IT」じゃ駄目なんでしょうかということを教えてほしいのですが。
(答)「IT」から、途中で「C」が入って、「ICT」に変わりましたよね。今、知事時代の感じでうっかり「IT」(Imformation Technology・情報技術)と言ったのですが、「ICT」(Information Communication Technology・情報通信技術)と言わなくてはいけないんでしょうけれども。「コミュニケーション」ということが入ったという意味は大きいと思いますが、情報通信分野というのは、日々機能や果たしている効果は変わってくるから、「IT」と言うだけではなくて、「ICT」というのが、本来、今の時代の要求であり、行政の求められていることだろうということなのだと思いますので、そこは「ICT」というふうに言って、ただそのことについて、よく説明を尽くすということではないかと思います。「IT」の時も最初、「IT」とは一体何だという話がいろいろあったので。
(問)例えば、経済産業省なんかとも話をするのですか。
(答)向こうはどうかというところまでは、着任したばかりなので。とにかくいわゆる弱者と言われている、あるいはこうしたブロードバンド環境に恵まれてない人たちにも、その意味を十分理解して、その施策の効果を行き届かせるという意味ではよく説明するということが大事だと、そういうこととして受け止めて、今後も努力していくということだと思います。
(問)農林水産大臣の話に戻りますけれども、総理の任命責任について、どう考えるかということと、大臣は補助金行政の見直しなんかについても、これまで発言されていますが、今回の事案を考えてどのようにお考えですか。
(答)総理御自身の任命責任については、昨日、私もテレビで見ていまして、総理御自身が「任命責任は私にあります」とおっしゃっていました。その上で確か「農林水産行政が停滞しないように責任を果たしていくことが自らの責任の果たし方だ」とおっしゃっていたので、正にそのとおりだなと思います。御自身がおっしゃっていたとおりの認識の上で新しい後任の大臣を、素早く決められたわけですから、今後、若林農林水産大臣だけでなくて、内閣全体としてきちんとした責任を国民の前に果たしていくということが内閣としても必要だというふうに思っています。それから、補助金行政ですけれども、構造的には補助金行政がよくないというのは、こういう不祥事云々というよりは、むしろ全国で同じような面白みのない地域が出来上がったりという意味でも、今の地方の問題を考える上でも補助金行政では適切ではないのではないかという認識です。一方で、今回の不祥事は、補助金行政なのか交付金なのか、あるいは自治体に税源移譲して自治体としてなのか、いずれにしても公金を扱う上で、適正に扱わなければいけないという問題であると思います。もちろん補助金行政としてのいろいろな問題というものは持ちつつも、そもそも公金をどういうふうに取り扱うのか、あるいはその責任者としてどういう意識を持つべきかということとして、身を正し襟を正さなければいけないのではないかというふうに思います。
(問)農相の問題で2点、関連なんですが、まず入閣候補のいわゆる身体検査について、限界があるとお考えでしょうか。もう1つ、再発防止策で政治資金規正法の改正ということで領収書添付のあらゆる支出について1円以上に引き上げる案というのがあるんですが、その案について大臣は賛成の立場を取られるのか、2点、お願いします。
(答)いわゆる身体検査ですけども、恐らくどこまでやるか、内閣改造というのは、ある時期にやるときに、どれだけ時間的に国政の停滞が許されるかということとの関係があるので、与えられた時間をどれだけ取って、その間にどれだけやれるかというと、やっぱり限度があるのではないかなというふうに思います。こういう国民意識が政治とカネで非常にレベルが高くなっている時に、今回もそうでしたけれども、多少時間を掛けて、厳密にやるというのは、大事なのだろうと思います。身体検査というと、昔は身長と体重を簡単に計るぐらいでしたけど、人間ドックでもないですけども、もう身体検査ではなくて精密検査をしないといけないというふうに国民の意識が高まっているのは間違いないです。ただそういったことにふさわしいCTスキャンのようなものが、どういうふうにあるのかというのは、何かスキルとか技術が開発されれば別ですけれども、一定の限度があるのだろうと思います。それから、領収書添付の方ですが、法律を所管している立場から言えば、透明性を確保するのは大変重要なことでして、それはこちらとして常に言い続けていることでもあります。それから、透明性を高くするということは大変大事なことでありますが、政治資金は、立法府を構成している構成員の活動に関わる話なので、我々としては透明性を是非高くするということは申し上げますが、それが1円がいいのか、1万円がいいのか、5万円がいいのかというのは、正に立法府の方として、具体的には各党各会派で、国民に対して見識を示していただいて、透明性が高いというラインがどういうものなのかを各党各会派としてお互いに合意をしていただく。我々は合意されたことを誠実に法律改正で中身を実現していきたいと思いますが、1円、あるいは1万円とか5万円とか、そこのラインは、各党各会派できちんと国民の前にお示ししていただきたいというふうに思います。
(問)政治とカネの問題で、かなり国会運営が厳しくなっていくかと思いますけれども、大臣は身分が議員でないことで、与野党とか、省庁間の折衝、調整みたいなのが困難になるのではないかという指摘がありますけれども、このような指摘にどのように応えていかれますか。
(答)国会のことについては、与党、野党あるいは政府と対立法府との関係ではなかなか厳しい国会であると思います。いわゆる衆参ねじれ国会ですから、激突する場面も多いと思いますし、ルールもなかなか決まらないでしょうから、大変厳しい局面は多く予想される。私自身は、民間からの入閣ということで、政党の中に所属しているわけではありませんが、そういったことが前提の上での入閣、別の面での立場というのが期待されているんですね。地方自治に携わっていたという経験を請われての入閣でしょうから、その期待されている側面を出していくということで責任を果たせばいいのではないかと、正にそこに果たすべき責任があると思います。地方の問題というのはある種、構造的な問題ではありますが、一方では、これは与党も野党も大変悩ましい問題ではあると思うのですけれども。ですから、いい案があれば、私は積極的にどなたがおっしゃるものでも取り入れていくべきだと思います。ただ、総じて言えば、厳しい国会になるであろうということは予想しております。
(問)「ユビキタス特区」の話なんですけれども、大臣、地方対策で、できることはできることからやっていこうということで、これは第一弾という位置付けということでしょうか。
(答)私は、具体的にこれについて当初から携わっているわけでは決してありませんけれども、各提案を各界各層から取るということですので、この段階でできるだけ早く発表して、それで地方の皆様方からアイデアを提案してもらおうということで、すぐ次の記者会見のときに発表するからということで、今日御紹介したものであります。

(以上)