岸田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年12月18日

(平成19年12月18日 9:32~9:53  於:中央合同庁舎4号館742号室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 本日の閣議は、国会提出案件が20件、法律の公布が3件、政令が2件、配布が1件あり、私どもの関係案件はございません。
 今日は、私の方から2つございます。
 まず1つ目が、遺棄化学兵器処理事業の執行体制の見直しについてであります。大量の遺棄化学兵器を処理する本事業には、未知の要素が多く、また、膨大なリスクを伴う特殊な事業であったため、当初、内閣府は、随意契約により、民間会社に対して業務委託を行ってきました。こうした仕事の進め方が特定の企業に依存する体質を生み、不透明であるとの批判を頂戴するに至ったことは御存知のとおりであります。
 10月19日の会見で見直しに言及して以来、今後の事業の進め方について、執行体制の見直しも含め検討してまいりました。当初は、先ほど申しましたように、特殊な事業であったために、特定の企業に依存しなければいけない、こうした事情があったわけですが、その後3年の期間の中で、必要な知見、ノウハウが蓄積されていたことから、事業の実施体制、新たな体制をとることが可能になってきたという判断に至りました。
 お手元の資料にありますとおり、今年度から本件事業に関する各種の調達を行うに当たっては、一般競争入札により事業を選定することとし、内閣府がより直接的に事業実施の全般にわたり、適正な執行を監督する体制を強化いたします。さらに、第三者機関を設置し、事業全般に関し、幅広く意見と助言を求めることとしております。
 我が国は、化学兵器禁止条約に基づき、中国の遺棄化学兵器を廃棄する義務を負っており、また、この事業は中国との関係で必要かつ重要な事業であります。今回の改革により、事業執行の透明性が高められ、今後とも事業の適切な執行が行われるよう、担当大臣としてしっかり監督していく所存であります。
 詳細につきましては、遺棄化学兵器処理担当室にお問い合わせください。それがまず1つ目です。
 2つ目は、北方領土関係の、「四島交流等の実施及び後継船舶の確保に関する方針」についてであります。ビザなし交流等の四島交流事業等に使用されてきた船舶は、船齢が24年と老朽化しており、安全面等の性能が劣ることから、後継船舶の調達が喫緊の課題となっておりました。  そこで、事務方に対し、本年中に政府方針を策定するよう指示し、関係省庁間の調整や保有形態の検討を鋭意進めてまいりました。
 その結果、お手元の資料にあるとおり、私が取りまとめ役を務めまして、官房長官、外務大臣、財務大臣、そして私、北方対策担当大臣、この関係四大臣による閣僚申し合わせ、「四島交流等の実施及び後継船舶の確保に関する方針」を策定いたしました。  このうち船舶の確保に関する主な内容としましては、平成24年度を目途として供用開始に努めること、船舶の保有及び運航管理は民間にゆだねることを明記したほか、後継船舶の仕様について定めております。
 本方針により、政府の責任において、内閣府所管の独立行政法人である北方領土問題対策協会が長期傭船契約を締結し、この船舶を利用して、四島交流等事業を安定的かつ安全に継続させるという国の堅固な姿勢が明確になったと考えております。平成20年度には、本方針に基づき、民間企業に公募をかけ、後継船舶の建造及び運航を行う事業者を選定いたします。
 詳細につきましては、北方対策本部にお問い合わせください。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、お話ありました四島交流の船舶の調達について、民間委託にすることに決めた理由をもう一度お聞きしたいのと、あと、関係閣僚の申合せというのは、閣議の場で申し合わせたということでよろしいのでしょうか。
(答)閣議の場ではなくして、これは持ち回りでやりました。
(問)民間業者に委託した理由は。
(答)よりこの事業を効率化し、そして機動的に運用するということから、民間での運営、運航を考えたということであります。ただ、先ほど申し上げましたように、国としましても、長期傭船契約を結ぶということで、この事業を安定的かつ安全に進めていく、この強い意思は示せたというふうに考えております。
(問)遺棄化学兵器事業ですけれども、以前の会見で、岸田大臣は事件について調査をするというふうにおっしゃっていたのですが、遺棄化学兵器処理機構をめぐる不正経理が指摘されていますけれども、その調査の結果については何か考えが出たのでしょうか。
(答)おっしゃるとおり、この事業につきまして、我々の所管する部分につきまして、関係者からの聴取あるいは関係書類の点検等、調査を進めてまいりました。現在のところ、私どもの所管する部分において、報道等で報じられているような不正な事実は確認されていないというのが現状であります。
(問)不正の事実は確認されていないけれども、執行体制については特定の事業者に依存し過ぎたという反省はあるということなのでしょうか。
(答)先ほど申しましたように、当初は、この事業の特殊性、長期にわたって大量に埋設された遺棄化学兵器を処理しなければいけない、こうした世界に類を見ないような事業を進めなければいけないというようなことから、技術、ノウハウにおきましても、また、リスクということにおきましても、特定の企業に依存しなければいけないという事情はあったわけでありますが、そうしたことが背景となって、疑惑、不透明という指摘を受けることになったという認識のもとに、やはり、より透明化を図らなければいけない、そういったことから、今回、一般競争入札を導入したということでございます
(問)この関係で、これまで機構が知見を蓄積していて、機構にしかできないというようなことが言われて、一般競争入札にしたところで、果たして受ける会社がたくさんあるのかということがずっと指摘されてきたわけですけれども、そこら辺の見通しというのはついているのでしょうか。
(答)当初は、そういった心配から随意契約という形で機構との契約を続けてきたわけですが、3年間の間に、この事業を進めていく中で、さまざまな知見、技術を習得することができたわけであります。こういったことから、内閣府、担当室自身がより大きな責任を担うという形で、一般競争入札にすることが可能になってきたと。この3年間の間に状況が変化した、この変化を踏まえて、内閣府の担当室が大きな責任を担う形で一般競争入札をすることができるようになったという判断に至ったわけです。この3年間の状況の変化がこうした体制の切りかえを可能にしたというふうに考えています。
(問)担当室が知見を蓄えてそういうことができるようになったというのはわかるのですけれども、実際に一般競争入札をしたときに、それに応募してくる企業がたくさんあって、そこに選ぶだけの企業が来るのかという点については見通しはついているんでしょうか。
(答)これは技術的な知見、ノウハウを把握している範囲内で可能だという判断をしたからこそ、こういった切りかえに踏み切ったということです。
(問)担当室の方でアドバイスをしながらやっていくという理解でよろしいのですか。
(答)今までより、より大きな責任なり指導力を発揮して、新たな体制を担当室が中心となって作るということになります。
(問)より大きな責任を担うことになったということで、今の体制のままの執行は可能ですか。例えば、人数とかそういうのを含めて。
(答)そうした人的な体制も、もちろんこれからしっかり検証していかなければいけませんし、加えて、有識者による第三者委員会もつくり、アドバイスも受けながら、しっかりと責任ある体制を組んでいかなければいけない、そのように考えています。
(問)第三者機関とはどういった人たちですか。
(答)今、人選を行っている最中ですが、イメージとしましては、化学兵器あるいは対中国との外交、あるいは会計監査、こういった分野における専門家の方々、人数としては5名程度でしょうか、そのぐらいのイメージの組織を考えたいと思っています。
(問)新体制に移行する時期なのですけれども、これは20年度からこの新体制をとっていくということでよろしいですか。
(答)20年度からその新体制に切りかえたいと思っています。
(問)改めて、銃規制についてお伺いしたいのですけれども、昨日、福田総理が合法銃の管理体制を点検したいという意向を示したり、警察が審査状況を、また点検を前倒しするといったような動きがありますけれども、改めて、銃器対策担当大臣として、銃規制のあり方についてどのようにお考えでしょうか。
(答)この問題、まずは、それぞれの担当省庁が具体的な対応を急がなければいけないと思っています。私自身、銃器対策推進本部の副本部長という立場でありますが、この本部におきましては、省庁横断的に対策を考えなければいけないということになれば、本部として総合的な調整を行わなければいけない、そういった立場にあると考えております。  今後、各省庁での検討状況、対応の状況を見て、必要であれば、本部としても考える必要が出てくるのかなと思っていますが、まず第一に、今回の事件の真相究明があり、そしてそれぞれの個別の省庁の対応があり、そしてその上で必要であれば、本部で総合的な政策調整も行わなければいけない場合も生じる、そのように考えています。  ありがとうございました。

(以上)