菅内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年3月2日

(平成19年3月2日(金) 9:16~9:32  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 閣議の内容を御報告します。一般案件は「経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第5条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の承認について」です。国会提出案件として質問主意書。それと条約ですが、「経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第5条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書」、法律案は、「道路交通法の一部を改正する法律案」等であります。後、政令、人事でありました。
 私から閣議の中で発言をしました。一つは日本郵政公社総裁 生田正治氏が3月31日付で任期満了となりますので、その後任として日本郵政株式会社代表取締役社長 西川善文氏を4月1日付を持って任命したいので御了解をいただきたいということで、了解を得ました。
 もう一点は、「労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について」報告をしました。そのほかに、柳澤厚生労働大臣から有効求人倍率、また塩崎官房長官から秋篠宮親王殿下のタイ国旅行について、渡辺内閣府特命担当大臣から平成20年度の配置転換採用抑制等に関する実施計画の決定について、麻生外務大臣からパレスチナ人の人道状況改善のための緊急無償資金協力、同時にアフリカに対する平和の定着支援のため緊急無償資金協力、こうしたことについて閣議で発言がありました。
 また、閣僚懇談会において松岡農林水産大臣から宮崎県及び岡山県で発生した鳥インフルエンザについての発言がありました。また、甘利経済産業大臣から日本経済団体連合会への要請がありました。以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、NHKの橋本会長らが受信料の二割程度の値下げについて改めて否定的な見解を示されたんですけれども、これに対する大臣の御見解と、それから受信料義務化の今国会の法案化について、どういうふうに御判断されるのか、お願いします。
(答)NHKの問題については、「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」の中でNHKの内部改革、受信料引下げの在り方、受信料の義務化について早急にという合意があります。かねてよりNHKは義務化をしてほしいということを私どもに申し入れてきているわけですけれども、私自身も義務化というのは現在の受信料の体系を考えるときに、今お支払いを頂いている方が約3,200万ですよね。そして、私は母数の取り方も若干見直しをする必要があると思っています。NHKの母数の取り方は5,000万件ということでありますけれども、日本の住宅は5,400万戸あります。そういったことももっと私は精査をする必要があるのではないかと思っていますし、更に事業所、ホテルの部屋数等を考えた中で3,200万の方の負担に負うだけではなく、公共的放送でありますから、多くの国民の皆さんから広くというのが私の基本的な考え方でありますが、現時点で1,500万前後の方がお支払いを頂いていないわけです。また、受信料支払いについて裁判になっている方は、支払い契約を結んだ方だけが対象でありますから、様々な不公平感というのがこの問題には出てきています。そして私も多くの国民の皆さんからこのことについて指摘をされています。そういう観点から考えて、私は義務化を行いたいということを表明してきました。
 しかし、それと同時に「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」にありますように、NHKの内部改革、具体的に見えるような改革と、受信料引下げ、受信料義務化、当然この三点がセットでなければ、私は理解を得られないということを言い続けてまいりました。そして、私はある意味で受信料を引下げるということは、NHKに改革の意欲があるかどうかという一つの試金石だと思っております。義務化だけして国民に還元をしないということは、国民から理解をされないと私は考えておりまして、そのことについてはNHKの内部改革と受信料義務化と受信料引下げというのはセットであるという考え方をかねてより私は主張し続けてきております。そういう意味で、NHKが受信料引下げを明言できないということは非常に残念なことであると思います。
 そして、今国会にどうするかということでありますけれども、私の基本的な考え方というのは、党幹部にも伝えてありますし、党としても政府与党で合意した三点でありますから、そこは十分考えられると思います。ですからもうしばらく党と調整をし、しかるべきときにこの問題については判断を出さなければならないだろうと思います。いずれにしろ、国民の視点に立ってNHKの内部改革を進めていく、このことについては全く変わりませんし、NHKにおいても内部改革を見える形で行わなければならないというふうに思います。特に6,000億円の受信料を集めるのに800億円近い費用がかかるということは、全く国民から理解をされない。経費率が12%を超えているわけです。海外で受信料を義務化しているところは4%前後で90数%の受信料を集めています。そうしたことも含めて、これは何も今始まったことではなくて、昨年以上前から指摘されてきたことでありますから、NHKはやはりこうしたことについて改革をしてほしいと思います。また、私は肥大化した子会社についても整理・合理化ということを強く求めているわけですけれども、こういうものが見える形で行われていない。さらに、昨年の「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」の中で、音楽、スポーツ等の制作部門の分離ということもうたわれていますから、そういうことにも早急に手をつけていかなければいけない、こう思っております。以上です。
(問)郵政公社の人事なんですけれども、西川さんを選ばれた理由というのを教えていただけますか。
(答)3月31日で生田総裁の任期が切れるわけであります。そして一つの大きな注目点としては、10月1日、システムが間に合うかどうかということが一つの大きな焦点であったと思います。このことを生田総裁の下でしっかりと行っていただきまして、システムは間に合うということを決定していただきました。その後に私、生田総裁と二人でお会いしました。生田総裁からは3月31日というのは一つの区切りである、そして一番懸念をされていたシステムも間違いなくできると。そういう中で自分の進退については大臣に御一任をしたい、出来れば身を引かせていただきたい、そういう趣旨のお話がありました。私としては、10月1日に郵政民営化が西川社長でスタートするわけであり、そういう中で日本郵政公社と日本郵政株式会社が新しい西川総裁のリーダーシップによって行われることが郵政民営化を推進するについて、体制としていいのかなという判断をしたわけであります。もっと言いますと、国鉄民営分割について、私なりにいろいろ検証しました。国鉄民営分割が非常にうまくいったというのは、やはり国鉄再建監理委員会の人たちがそれぞれの分割した会社の指導部になっている。そういうことも参考にさせていただいて、今回このような人事をさせていただいた。こういうことであります。
(問)生田さんとお会いになられたのは何時ですか。
(答)後で調べて間違いなくお伝えします。二週間前ぐらいだったのかなと思いますけれども。
(問)生田総裁が辞められるというのは、生田さんは全国特定郵便局長会の改革を一生懸命やられていましたね、特定局長制度の改革を。参院選を控えて、自民党側から何らかの要請なり、圧力、そういった力は働かなかったんでしょうか、今回。
(答)全くありません。生田総裁は特定郵便局長改革を含め日本郵政公社の民営化に向けての改革を積極的にしっかりやっていただいて、今回、基本的な方針を出していただいたと心から感謝をしています。
(問)これまで公社が生田さんで日本郵政は西川さんという、いわば存在感のある方がお二人いらっしゃって、それで調整がどうなのかという指摘もあったと思うんですけれども、大臣、これまでにお二人分かれていることで、例えば民営化の準備サイドにおいて問題なり、支障なりというのをお感じになったことはありますか。
(答)今日まで私は、ないと思っています。それはやはり日本郵政公社の仕事と日本郵政株式会社の仕事は当然別でしたから、準備に時間がかかりました。しかし、これからは一体で行わなければならないことが非常に多くなってきます、半年後でありますから。そういうことを考えたときに、一体で仕切って早い方が民営化の成功につながるだろうと、そういう判断を下したということです。
(問)閣議後、安倍総理と会ったようですけど、何をお話されたのでしょうか。
(答)閣議口頭了解した後の郵政民営化の状況について総理に説明しました。10月1日から間違いなくシステムを稼働できると。そういう形の御報告をしたということです。
(問)大臣のお話ですと、生田さんがむしろ辞めたいとおっしゃったというようなイメージだったんですが。
(答)生田総裁は、やはりあのような方ですから、自分の任期が3月31日であるという事も十分御承知ですから、そういう意味で一つの節目ということで、私にそういう話をされたというふうに思っています。
(問)生田さんの方からされたんですか。
(答)そうです。
(問)大臣が引導を渡したということではないんですか。
(答)そうではないです。
(問)丹羽総務会長が北京を訪問しているんですが、連休前の内閣改造に言及したんですけれども、重ね重ねになりますけど、大臣の受け止めはどうでしょうか。
(答)内閣改造というのは総理の専権事項であって、私はあり得ないと思っています。
(問)党三役の一人が公式に発言したということですけど、それに関しては。
(答)それぞれの立場で発言されたと思いますけれども、総理の指示を受けたわけでも何でもないと思います。政治家個人としての見解じゃないのかなと思いますけれども。あくまでも総理が決めることであって、私はあり得ない、こう思います。
 先ほどの生田総裁にお会いしたのは2月22日です。
(問)放送法に関してなんですけれども、NHKの受信料の支払い義務化がもし盛り込まれないとなった場合に、ほかにも放送法には持ち株会社の解禁であるとか、いろいろなものが含まれているんですけれども、義務化が盛り込まれないんであれば、放送法そのものを今国会の提出を見送るとか、こういう考えというのは。
(答)全くないです。必要なものは今国会で処理する。そういうことです。

(以上)