高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年7月31日

(平成19年7月31日(火) 11:21~11:43  於:合同庁舎4号館6階 会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議案件は、一般案件が4件、国会提出案件が3件、政令が20件、配布が7件あり、私どもの主請議はございませんでした。
 私の方からですが、今年の4月から国民生活局において開催している国民生活センターの在り方等に関する検討会におきまして、昨日、中間報告が取りまとめられました。
 中間報告では、独立行政法人国民生活センターが政府全体としての独立行政法人改革の方針に沿って、事業の整理合理化を図りながら、情報の収集、分析、活用の強化、紛争解決機能の整備充実など、消費者トラブルの未然防止、拡大防止に向けて中核的な機関としての役割に重点化して今後取り組むべきことについての考え方をまとめていただいております。私も全部拝読をいたしましたが、大変有意義な御示唆をいただいたものと考えております。中間報告の趣旨を踏まえ、8月末の内閣府としての独立行政法人整理合理化計画案の策定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。報告書の具体的内容につきましては、国民生活局消費者調整課の方にお問い合わせください。
 次に、お手元にお配りいたしている資料のとおり、「有害情報から子どもを守るための検討会」の第2回会合を8月7日火曜日に開催いたします。この検討会とあわせて、御専門の立場から御意見を伺うために、首都大学東京法科大学院教授の前田雅英先生、さらに地方自治の現場の立場からのお話を伺うために、北海道環境生活部生活局参事の加藤修さんをお招きすることを予定しております。会議には私も出席いたしまして、積極的に議論に参加をしたいと思っております。
 三つ目に、お手元に資料があると思いますが、来週の8月6日月曜日、財団法人社会経済生産性本部が主催する「次世代のための民間運動〜ワーク・ライフ・バランス推進会議〜」が開催されます。私も出席して推進委員の方々と懇談を行うこととなりました。推進会議は、民間が主体的かつ積極的にワーク・ライフ・バランスの実現を目指す運動を展開するために、昨年8月に設立されたものでございます。今回の懇談は、民間運動の中心的な役割を果たしている労使や有識者と直接意見交換ができる非常に貴重な機会でございますので、今後のワーク・ライフ・バランス憲章や行動指針の策定の参考にしてまいりたいと思っております。詳細につきましては、事務方にお問い合わせください。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)先日の参議院選挙で自民党が歴史的大敗ということになりました。今回の敗因というのは、大臣はどのように感じられておりますか。
(答)敗因は様々にあると思いますが、私なりの解釈を申し上げます。一つは、やはり閣僚が様々な問題について不用意な発言をしてしまったこと、一部に政治資金に関してまだ分かりにくいという国民の思いがあったこと、そしてもう一つは、これはあくまでも私自身が地元も含めて選挙戦に参加をして感じたことですが、年金問題に関し、政府として7月5日に、皆様に御不安のないように対応することを明確にしたわけですが、それでもなお、問題が起きたことに対する不信感や、本当にできるのかという不安な思いなどが大変国民の厳しい世論として表れたのではないかと思います。
(問)今回の結果は、事実上、安倍内閣に対する不信任という形とも思われますが、それでも総理は続投を表明されました。この件に関しては、世論と乖離しているという指摘もありますが、そのあたりについてはどのように思われますか。
(答)日本は憲法上も明らかなように、二院制をとっております。衆議院の一つの一番大きな機能は政権をつくることであると思います。私自身も衆議院議員ですが、首班指名の一票は、自分の政治家として一番重たい一票であると考えております。それに加えて、衆議院には予算や条約に関する優先的な権限が与えられております。一方で、参議院は良識の府として、衆議院の決定に対して強いチェック機能を持つ場であると思っております。ですから、今回の結果を受け、参議院でのチェック機能が政府に対して非常に厳しい形で働いてくる事態になっていると思います。ですが、2年前の衆議院選挙では政権をつくる衆議院の機能に対して、与党が多数の議席を獲得して付託を受けたことも、事実でございます。ただ、政権の側にいる者として反省しなければならないのは、2年前の世論は2年前の世論として事実ですが、現時点の世論は、非常に政府与党に対して厳しいものであったと十分に認識をしなければならないと思っております。総理が続投を明言されたということですので、内閣の一員として、行政に一刻の停滞もないように、精一杯私の与えられた職務に専心して、仕事を行っていくことが何より必要だと思っております。特に、私自身に関しましては、年末までに取りまとめます少子化対策の重点戦略をしっかりと仕上げることや、ワーク・ライフ・バランス憲章もきっちりと仕上げていくこと、沖縄の普天間移設協議会も早期開催も含めてしっかりと議論を続けていくこと、青少年の有害情報対策、特に暴力的な内容のソフトウエア、そしてインターネット上の有害情報から青少年を守るための仕組みをしっかりとまとめていくこと、銃器対策もこの秋の臨時国会でしっかりと法案の形で進めていかなければならず、いつまで私自身も現在の立場でいるのかわかりませんが、今は一刻の停滞もなく仕事をしていくことが大事だと思っております。ただし、国会対応に関しては、現時点での国民の世論は、今の政権・与党に対する非常に厳しい御批判が表れた結果ですので、一つ一つの法律案審議は大変難しいものになると思います。しかし、現時点で国民の皆様が不安に思われていることや強く不満に思われていることに対して誠実に対応していくことに尽きるのではないでしょうか。先ほど申し上げた敗因に係る部分をまず一つ一つ検証して改善していくことは、真っ先にやらなければならないことだと思っております。
(問)確認ですが、総理の続投の判断は当然であるという感じですか。
(答)内閣総理大臣が御自身で強い思いを持って、自ら掲げている政策を実現したいという判断をされたということです。私はあくまでも一人の閣僚です。総理が続投を決断され、今までどおり政策を進める、ただし、総理も今回の選挙で表れた国民の強い不満に対してしっかりと対応していくことも併せて仰っています。例えば、人事の問題で、今の内閣ではだめではないかというお声があるのであれば、人心を一新しようということだろうと思いますし、政治資金に関しても、より国民に分かりやすい説明の方法を早速検討しろということで、党の方にも指示を出されると聞いておりますので、一つ一つこれは国民の御不満を誠実に受けとめて対応することになるのではないでしょうか。私は、総理が続投すると言われているのであれば、今、総理から仰せつかっている仕事をスピーディーに、精力的に、力一杯実行していくことが私の務めと思っております。
(問)今回、一人区でたくさん負けていますが、大臣がおっしゃる国民の不満の中には、地方と都市の格差問題が含まれているというふうにお考えでしょうか。
(答)それも確かに感じました。小泉改革で進められてきた様々な施策が過渡期においては、都市と地方の格差といった形で表れることは仕方のないことだと思っております。ただし、その痛みを和らげるためにもっと打てる施策があるのではいか、地方を応援してほしいという切実な声だと思いますので、安倍政権は誠実に応えていかなければいけないと思います。現在でも、改革の痛みを和らげるために交付金などを活用した様々な取組も行われておりますが、よりきめ細やかに地方に目配りをすることも問われたと思っております。
(問)先ほど普天間飛行場の移設措置協議会の早期開催について言及されましたが、以前は8月下旬から9月上旬にと仰っていましたが、前倒しになる可能性とは出てくるのでしょうか。
(答)今も、一番早い段階で8月の下旬の時期で、9月上旬ぐらいまでの間で調整をしたいと考えております。
(問)内閣改造などの時期と普天間移設協議会の開催日の時期は特に影響はないということですか。
(答)内閣改造には、今の時点で何月何日と判っているわけではありません。ただし、協議会をまず開催すると皆様にお約束しました。前向きに一歩でも二歩でも話を進めていくということで、沖縄にまいりまして、知事や関係、市町村長とお話を進めてまいりましたので、何としても前向きに開催をして、今後、概算要求もございますので、これに向けていい形で話を進めたいと思っております。早期開催に向けて全力で取り組ませていただきます。
(問)選挙の話にまた戻りますが、選挙期間中に安倍総理が、私がふさわしいのか、小沢さんがふさわしいのかということを国民に問いかけた場面が何回かあったと思います。今回これだけの大敗があり、それにもかかわらず退陣しない、あるいは解散もしないというのはちょっとどうかという感じもしますが、大臣はいかがお考えですか。
(答)今、総裁を取り替えたとしてもその人がふさわしいのか、小沢さんがふさわしいのかという選択は、もうできないのではないかと思っております。例えば総裁が代わった上で解散総選挙をするということならば仰る意味も理解できますが。衆議院の選挙も、参議院の選挙もそうですが、比例代表で、政党を選ぶ形というのはまず一つ仕組みとしてあります。特に一人区では、与党か野党かを選ぶことになります。こういった意味では、私はどちらの党が皆さんにとって一番シンパシーが持てるのか、ふさわしいのか、どちらの党首が皆さんに一番近いのかという問いかけの仕方は別に変なことではないと思います。憲法上も日本の法制上、やはり衆議院が首班指名の場でございますので、内閣総理大臣の選択は衆議院で行われるべきものであると思います。
(問)そうすると、あの問いかけは、今おっしゃったようにどちらの党首にシンパシーが持てるのか、あるいは近いのかということを問うたものだという御認識でしょうか。
(答)例えば、衆議院選挙をして与党が負けた場合は、これは自動的にどう考えても内閣総理大臣、政権が丸ごと変わるわけでございます。参議院で議席を減らす、負けるごとに総理を変えるのかということになったら、日本の政治には全然継続性がなくなってしまうのではないでしょうか。政権選択の機会は、衆議院選挙であると思います。また、解散の時期等も含めて、これは内閣総理大臣が判断されることでございます。
(問)安倍総理は、選挙期間中に消費税のアップについての議論を極力避けていたように思われますが、最優先課題に掲げる少子化対策については、一定規模の財源を振り向けることの必要性が中間報告でも指摘されています。今回の選挙結果を受けて、財源に裏打ちされた少子化対策は遠のくのではという懸念もありますが、その辺は大臣いかがお考えでしょうか。
(答)少子化対策は12月までに重点戦略を取りまとめます。そして、私が安倍総理から言われているのは、絶対将来に負担を残さないということですので、新たな施策を展開する場合に、今やっている施策の有効性を確認して、効果がそれほどでないものをやめて、より効果のあるものに重点的に振り向けるという方法も一つだと思います。今、様々な政策の効果も検証しておりますので、もしも増税をしてでも必要な財源措置を行うべき政策、税制で対応してでも必要で大変効果がある政策が明らかになり、それを政府として決定したということになると、12月に税制の議論とともに財源の確保も考えなければいけません。ただ、現時点では、そのほかの施策との有効性比較の中で対応できる、つまりメリハリをつけることで対応できる程度のものになるのか、メリハリをつけたとしても対応できない規模になるのかは、まだ決まっておりません。いずれにしても、将来の世代に借金を残さないことが基本で、ぎりぎりまで詰めてまいりたいと思っております。
(問)沖縄の件ですが、西銘さんが糸数さんに対して13万票差ぐらいで負けました。糸数さんは普天間の県外移設を訴え、西銘さんは県内移設で現行案の修正を訴えていたと思いますが、その結果を見ますと、県民世論は県外移設を望む声の方が多いという見方もできると思いますが、その点いかがでしょうか。
(答)参議院選挙の争点が、この普天間基地の移設先をどこに持っていくかということ一点であれば、その様な判断を県民がされたと理解せざるを得ませんが、沖縄でも、全国的な傾向と同じように、閣僚の発言や政治資金の問題、年金に対する不安など、様々な要因で敗戦になったと思います。ですから、糸数さんが当選されたことだけで、移設先を変更するのかという議論にはならないと思います。知事選挙もあったわけでございますし、地元の市町村長選挙もあるわけですので、その中で北部地域への受け入れの了解がなされ、調査を進めている状況の中で、基地の問題に関しては、今、政府の方針を覆す状況にはなっていないと考えております。
(問)北部振興策の第一次配分の実施についてですが、例年8月上旬ごろに行われていますが、それに関して防衛省の方が環境アセスが進んでいないことなどを理由に反発しているようですが、執行の目処はどうなっていますか。
(答)私は、防衛省がどのように仰っているのか詳細に把握していないのですが、何もかも止まっている状態ということは一切感じておりません。この間から沖縄にまいりまして、直接知事や市町村長さんとも意見交換しましたし、その後電話などでもやりとりをしております。地元で代替施設の受け入れや現況調査には同意しておりますので、私は関係者間の調整は継続していると思っております。関係省庁と調整しなければなりませんが、適切な時期に配分をしたいと考えております。

(以上)