高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年6月19日

(平成19年6月19日(火) 9:30~9:43  於:合同庁舎4号館6階 605号室)

1.発言要旨

 本日の閣議案件は、国会提出案件が12件、法律の公布が2件、政令が3件、配布が1件あり、私どもの主請議が1件ありました。これは「平成18年度男女共同参画社会の形成の状況」、「平成19年度男女共同参画社会の形成の促進施策」についての閣議決定です。この男女共同参画白書は、男女共同参画社会基本法に基づき、毎年国会に提出するものです。本年は特集として、「国際比較で見た男女共同参画の状況」をテーマに取り上げております。政治・行政、働く場、生活の3つの側面から日本と諸外国との比較・分析を行いまして、男女が様々な活動についてバランスよく参画できる環境を整備することにより、男女とも自らが希望する生き方を選択し、活躍できる社会を構築する必要性について記述しております。 詳細につきましては、男女共同参画局にお問い合わせください。
 次に、本日閣議に先立ち、第5回の犯罪被害者等施策推進会議が開催されました。会議においては、昨年4月にこの会議の下に設置された「経済的支援に関する検討会」、「支援のための連携に関する検討会」、「民間団体への援助に関する検討会」の中間取りまとめについて報告を受けた後に、これを国民からの意見募集、いわゆるパブリック・コメントに付すことを決定いたしました。中間取りまとめにおきましては、犯罪被害者等給付金の最高額を自賠責並の金額に近づけるなどの抜本的な拡充、関係機関・団体による連携ネットワークの充実・強化、民間団体における支援者の研修や資格認定のための方策、民間団体への財政的援助の充実などが打ち出されております。
 私は、担当大臣として、犯罪被害者等の視点に立った施策をより一層強力に推進して、犯罪被害者等の権利・利益の保護が図られる社会を実現したいと考えておりますので、パブリック・コメントに当たり、広く国民の皆様から御意見を寄せていただきたいと思います。どのような方にとりましても、犯罪被害者になることは他人事ではございません。交通事故に巻き込まれてしまうなど、今日、どなたでも当事者になってしまう可能性のあることですので、是非ともたくさんの御意見を頂戴したいと思っております。この会議の詳細につきましては、この後、事務局からのブリーフィングの際にお問い合わせをいただければと思います。
 次に、本日開催される予定の原子力委員会で「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」が設置される予定です。これは、平成17年10月に策定された「原子力政策大綱」や本年6月1日に閣議決定された「21世紀環境立国戦略」及び「イノベーション25」に記載されている地球環境保全と世界のエネルギー安定供給のための原子力の取組について、その具体化等を検討するための懇談会です。
 ドイツのハイリゲンダムで開催されたG8サミットでも、2050年までに温室効果ガスの排出を少なくとも半減させるという我が国やEU等の取組について真剣に検討するとされているところです。国際社会において、原子力利用を拡大していくためには、核不拡散、安全及び核セキュリティの確保などの取組を一層充実させていくことが重要です。このような点も踏まえつつ、原子力委員会において、我が国の京都議定書の目標達成や世界的な温暖化防止対策への貢献に向け、原子力政策の観点からのビジョンを具体的に提示していただけることを期待しております。
 次に、先般発表をさせていただいた「アジア青年の家」構想につきまして、2点申し上げたいと思います。構想の推進に当たりまして、構想の理念や具体化の検討のお知恵をいただくために、お手元にお配りしましたように、私が主催して、「アジア青年の家構想推進に係る有識者会議」を立ち上げることといたしました。6名の識見高い方にお集まりをいただき、構想をいかに沖縄の若者をはじめ、参加するすべての若者のイノベーティブマインドを育成するものとするのか、沖縄の振興にどのようにつなげていくのかなど、様々な観点から御議論いただきたいと考えております。なお、座長は黒川清先生にお願いしたいと考えており、第1回の会合は7月の中ごろを予定しております。
 2点目ですが、構想推進のための事務体制として、本日付けで「アジア青年の家」推進室を立ち上げることとしました。推進室長には沖縄政策担当の大臣官房審議官の小河俊夫を充てることといたします。記者会見終了後、推進室発足に当たっての看板掛けを私が行いたいと思いますので、取材方よろしくお願いいたします。詳細は沖縄政策担当の政策統括官部局にお問い合わせください。
 次に、6月23日土曜日に行われる沖縄県主催の「沖縄全戦没者追悼式」出席のために沖縄出張に参ります。先の大戦では沖縄で地上戦が行われ、苛烈を極めた戦いの中で、多くの尊い人命が失われました。この追悼式に出席して、改めて沖縄県民をはじめとする戦没者の方々の御冥福と御遺族の方々のお幸せをお祈りしてまいりたいと思います。沖縄への出張に当たり、国会との調整がつけばですが、前日の午後から沖縄入りし、沖縄戦に関連する施設を視察させていただくことも考えております。詳細につきましては、事務方までお問い合わせいただきたいと思います。
 私からは、以上でございます。

2.質疑応答

(問)男女共同参画白書の国際比較について、日本の社会参加の状況が全体の平均より低い水準にあり、子育て中の男性、女性を比較してみても、活力なきという現状がありますが、この現状についてのコメントと、今後の取組をお伺いします。
(答)現状はまだ課題がたくさんあるということです。やはりこれからは、意識をぐっと変えていかなければならず、社会全体の空気を変えていかなければいけないと思います。男女共同参画会議でも、男女共同参画局でも様々な努力をしており、例えば企業でも女性の能力を十分に生かし人材として活用しているところは、生産性の面でも効果が出ているとの調査結果など、新たな視点を打ち出してもらっています。この視点が非常に大事で、男性であれ、女性であれ、その能力を十分に発揮できること、特に出産・育児で、一時お勤めを休まなければいけない時に、代わりの人を雇用したり、引き継ぎをしたり、経営者にとっても、周りの人にとっても負担が生じるかもしれませんが、周りがこれを負担と感じずに、むしろみんなで応援して、新しく視野を広げて帰ってきて活躍してねという形で産休・育休に送り出せるかということがポイントです。やはり働く方々の意識、周囲の方々の意識によって、随分状況は変わってくると思います。男性であれ、女性であれ、その能力に応じて、機会が平等であり、能力を生かせる、働ける環境をつくることは、企業だけでなく、日本国全体の生産性や活力に結びついていくということを発信していけたら随分変わってくると思います。各国の事例を加えて紹介するということは、女性を活用して、様々な良い成果が出てくるということを多くの人に知っていただくという意味で、大変効果があるのではないかと考えております。
(問)赤ちゃんポストの関係ですが、新たに2人の赤ちゃんがポストに入れられていたことが明らかになりました。このような事態が相次いでいることについて、どのように考えられますか。
(答)今回、報道等では承知しておりますが、病院、熊本市、熊本県とも、お子さんが放置された事実の有無も含めて、個別には公表しないと聞いております。ただし、もしもこれが真実であれば、私は親御さんに名乗り出ていただきたいと思います。最近、例えば望まない子を妊娠したとか、望んで産むことにしたが、生活が厳しくて育てられないという困難な状況に直面したときに、赤ちゃんポストにお子さんを置いてくる選択肢がなかったら、子供の命が奪われてしまうような選択肢しか考えられないということは私は異常な状況だと思っております。小さな子供にもかけがえのない命があるわけですから、少なくとも出産された方は、育てられないのであれば、児童相談所の窓口にきっちりと相談をしていただきたい。救いの手を差し伸べていく行政の施策は幾つもあるわけですので、必ず私は親御さんに名乗り出ていただきたいと思います。御自分が出産されたお子さんを放置するということは、絶対あってはならないことだと考えております。残念です。

(以上)