高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年3月9日

(平成19年3月9日(金) 9:45~10:14  於:合同庁舎4号館6階 会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議案件は、一般案件が10件、国会提出案件が15件、条約の公布が1件、法律案が8件、政令が2件、報告が1件あり、私どもからの主請議はございませんでした。
 私の方から御報告を申し上げますが、本日の閣議におきまして、エネルギー基本計画の変更について、甘利経済産業大臣より、基本計画に基づきエネルギー政策の積極的な展開を図ってまいりたいという旨の御発言に続き、私から、エネルギー関連施策の推進に当たりましては、第三期科学技術基本計画及び原子力政策大綱を踏まえることが大変重要であること、また、内閣府においては、環境と経済の両立による持続可能な発展を実現するための科学技術政策及び原子力政策を推進してきており、引き続き各省庁と連携して取り組んでまいる旨を申し上げました。最後に、松岡農林水産大臣より今後ともエネルギーの安定供給にも資する形で、国産バイオ燃料の生産拡大を図っていくという御発言がございました。
 次に、内閣府のホームページに寄せられた少子化に係る意見の集計結果について申し上げます。2月は「奨学金の充実について」「放課後子どもプランについて」という2つのテーマで募集を行い、その結果を取りまとめましたので、配付しております。寄せられた意見総数は262件あり、「奨学金の充実について」が19件、「放課後子どもプランについて」が197件、その他46件となっております。「奨学金の充実について」の主な意見としては、地方から都市部に出てくる学生に配慮した奨学金制度にしてほしいという御意見、親の収入に関係なく貸与を受けられる制度にしてほしいという御意見、奨学金の返済を無利子にしてほしいという御意見などがございました。「放課後子どもプランについて」の主な御意見としては、時間延長を望む御意見、放課後児童クラブについて、国が運営基準、ガイドラインのようなものを整備してサービスの一定の質を確保してほしいという御意見、指導員の質、人材の確保を望む御意見、放課後児童クラブが許容人数を超えているのではないかという御意見、放課後児童クラブの対象年齢を6年生までにして欲しいという御意見、財政支援について利用料の地域格差の是正を望む御意見などがございました。これらの意見につきましても、今後対応策について鋭意検討したいと思っております。
 次に、苦情相談情報の効果的活用の検討会議について申し上げます。昨年9月29日に、この場所で消費者の安全・安心に向けた取組の一環として、苦情相談情報の効果的活用のための検討会議を開催するということを皆様に申し上げましたが、8回にわたって検討を重ね、3月7日に最終回の会議を開催し、取りまとめを行い、本日公表することにいたしました。報告書の詳細な内容については、この後、事務方から説明をさせますが、簡単にポイントを御紹介いたします。これまで国民生活センターと各地の消費生活センターとの間でのみ利用可能でありましたPIO-NETについて、法執行への活用など国の行政機関による消費者被害の未然防止と拡大防止を図るために、関係省庁に端末を置いて情報の閲覧を可能とすることにいたしました。端末の設置に当たりましては、情報の安全管理や消費生活センターの業務負担増への配慮が問題でしたが、利用ルールを定めてこれらの問題をクリアすることといたしました。また、情報を一層有効に活用できるように、情報収集の迅速化についても盛り込んでおります。私としては、今回の報告書も踏まえて、着実な実施に向けて消費者被害の拡大防止に努力をしてまいります。
 次に、大変お待たせをしましたが、私から沖縄の科学技術研究基盤整備機構の運営について改善を求めるということを申し上げまして、それに関して、ブレナー理事長の御名前で改善策について御返事がまいりました。これは3月5日付けで向こうで決裁をしていただき、一昨日だと思いますが、私の手元にも届きましたので、先般の2月23日の聴き取りと、その時にお願いした改善措置の方向性について、文書を合わせてお配りしております。 今回の聴き取りに関しては、平成17年度に実施された旧白雲荘の改修工事の発注自体には、法令に違反するような問題点、法令違反事項はなかったという報告を受けております。今後、メインキャンパスの施設整備が本格化し、工事が大きくなっていく大変大事な時期を迎えることから、国民に対して、納税者に対して説明責任を十分に果たさなければなりません。私からは公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の趣旨を尊重して、一般競争入札をより積極的に活用するということ、外部の監査法人によるチェックも含めて、機構の業務運営の総点検を早急に行うことを要請したところです。また、入札、契約に関する情報の公表が最近まで行われておりませんでした。今年の1月からは行っていただいておりますが、やらなければならない公表を行っていなかったということ、文書管理上の不備があったということで、業務運営の一部に適正を欠く事項が確認されたので、これについても機構に対して改善を要請しました。ブレナー理事長からは、皆様のお手元にあるとおり、私あてに法令遵守・事務管理に関する事項について、早急に是正措置を講ずる旨の意向表明の文書を提出していただきました。独立行政法人制度の趣旨を勘案しますと、独立行政法人の独立性をまず担保するということですので、機構みずからが襟を正して業務運営の適正化に向けて最大限注力をいただくことが不可欠と思います。しかし、内閣府は事後チェックをしっかり行っていくという役割がございます。所管をしておりますので、内閣府としても、内閣府独立行政法人評価委員会を通じた事後評価をより一層適切に機能させること、機構の業務の状況を的確に把握して適切に助言も行ってまいります。沖縄にいるために、東京で変わったことについてのアンテナを高くできない、余裕がないということも伺いましたので、適時適切に助言をもう少し頻繁に行っていくことや、情報提供を行っていくことを部局に指示いたしました。整理や向こうからの文書の取り寄せ等で時間がかかりましたけれども、皆様に御報告を申し上げます。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)旧白雲荘の改修工事の件ですが、これで一通りの調査は終わられたということでよろしいでしょうか。
(答)内閣府としての聴き取りや機構に対する資料の提出要求、この資料に関しては国会にも既に提出しておりますが、そうした作業は終了いたしました。ただし今後は、私から、外部の監査を受けるようにということも申し上げておりますし、ブレナー理事長からこの様な形で改善をしていくという意向表明はなされましたが、それらが的確になされるかどうかを私どもがフォローし、報告を求めるということです。
(問)今回の件に関して、機構や内閣府内の方に注意をなさったりなど、処分等については特にはなかったということでよろしいでしょうか。
(答)処分については考えておりません。一昨年の時点での業務、特に事務処理が非常にずさんで、例えば契約関係の文書に日付が入っていないなど、今はかなり改善されているようですけれども、機構発足当時からの事情をよくわかっているメンバーで、改善措置を徹底的にやってほしいと考えております。
(問)この件ですが、先日、理事を上京させて聴き取り調査をした以降、新たに判明した事実は出てきましたか。
(答)3時間に及ぶ聴き取りで理解できたのは、何月何日の時点で何をやって、何月何日の時点でどの様な判断をしたか、特に何故分割発注にしたのかとか、何故随意契約を用いたのかとか、何故非常に遅い段階で内装工事にかからなければいけなかったのかとか、予算との兼ね合いも含めて時系列的に理解をいたしました。その後新たに判明した事実としては、国会からの要求もございましたけれども、私どもからも要求して、聴き取りの際に機構の方々が持ってこられていなかった書類を新たに取り寄せながら、聴き取った内容と符合をしていった追加的な情報はございましたが、それらはほぼ聴き取りの内容を裏づけるものであったと思います。
(問)ちなみに、追加的に求めた書類というのはどの様なものですか。
(答)大変な数です。書類の名前までは全部今申し上げられないですが、例えば国会で一人の議員から60数件の提出要求がありましたが、聴き取りの日にその書類を持ってきていないなど、こちらも追加的に取り寄せていますのでたくさんの件数です。詳細は事務方の方で多分一覧表があります。後でお聞きいただいたらと思います。特に私が見せて欲しいといったのは、機構のブレナー理事長をはじめ、今でしたら運営委員会のメンバーの方々が、例えば研究環境を十分に充実させるとのことで様々な御意見も言われ、それを受けて、特に内装などは1月10日の運営委員会で研究者に提示をして御意見を求めてからの発注、なおかつ年度末までに終えなくてはいけないという、大変期間が差し迫っていたという話を聞きましたので、その日手持ちで十分でなかった分も取り寄せました。また、最初は実施設計を発注するときに本体の改修と、国会では工事2といっていた外構、それから工事3といっていた内装を一括で予算内でおさめるつもりで設計事務所にお願いしていたが、粗々どれぐらいになりますかと問い合わせたら大幅に上回っていました。大幅に上回っていたからといってすぐに分割を決めるのは余りにも荒っぽいやり方です。ところが、聴き取りの日の機構からの説明によると、当時、上回っているようだということがわかってから、設計事務所や機構の職員も入ってどこまで減額できるかの会合を行っております。その時に、どの様な形で、どの様に減額の検討がなされたのかをあらわすものも私どもの方から求めたし、細かい説明を聴きました。また、運営費交付金を使って、最後は内装をやらざるを得なくなったということもございましたが、それをどの段階で判断したのかということについても、聴き取りもいたしましたが、再度確認をいたしました。
(問)今までも伺っていますけれども、一連の流れに関して特定の政治家の関与等がなかったと先日大臣は仰っていますが、改めてその状況に変わりはありませんか。
(答)特に公共事業の発注について、政治家がこの業者にやらせろといった関与をするのは、重大な事態ですので、それがないかどうかは私も一番気になっていた点でございました。聴き取りの時に私も聞きました。絶対ないのかということを聴きましたけれども、それだけは絶対ないと言っておりましたので大丈夫だと思います。
(問)聴き取りの際も大臣が要請されたと言われましたが、外部の監査と一般競争入札の積極的な導入は今後も求めていくかという点と、改めてになりますが、今回のこの不適切な処理について、この様なことに至った一番の原因は、機構側のどこに問題があったと考えられますか。
(答)外部の監査については、私の方から理事長に要請しましたので、やっていただけるものと思います。その結果も聴き取らせていただきたいと思っておりますし、その外部の監査の中には、旧白雲荘の改修工事に関しても、私どもにもたくさんの資料を出していただいたし、ヒアリングもいたしましたが、当然これは含まれるべきものと思っております。また、公共事業をこれから一般競争入札でやってくれという話ですが、実は独立行政法人制度の趣旨ということでは、規定上も私ども内閣府は発注業務そのもののやり方について、あれこれ口を出すということにはなっておりません。発注のやり方というのは、これは独立行政法人が独自で判断できるものでございます。しかしながら、独立行政法人の規定等の中にも随意契約ができる要件が定められておりますので、十分に今後も守っていただきたいと思います。国全体では、基本的には一般競争入札を中心にやっていくことになっています。納税者の大切なお金ですから、より高い品質で安くという趣旨がしっかりと反映されることが担保されるという意味では、私は今後の工事も特別な事情がない限り、例えば今でも国の方で公共事業を発注するときに、何か大規模な災害が発生したという場合や、明らかに同じ場所を、非常に関連のある事業をやっていて、随意契約の方が早く仕上がって非常に安いという場合に関しては仕方がないのかもしれませんが、基本的には、一般競争入札でやっていただきたいと思っております。最後の一問をもう一度お願いします。
(問)今回のこの様な問題に至った機構側の一番の原因は何と考えますか。
(答)機構が発足したのが9月であり、工事そのものは年明けの3月には竣工していなければならなかったということがあります。何故かというと、研究活動、特にワークショップの開催等が予定されていたので、内装まで終わっていなければいけないという状況になっていた。立ち上がったばかりの機構の中で、なかなか仕事が荒っぽかったということはあると思います。事務的に書類に日付が抜けていたなど、書類管理の問題もあります。もう一つは、竣工を急がなくてはいけないという事情の中であっても、私は設計事務所にもう少し予算について厳しく言って、ぎりぎり詰めておいて欲しかったと思います。最初から設計事務所にはトータルで3億円ですと言って、その前提で発注したと聞いておりますが、それにしても最初に提示した金額は本当に大き過ぎました。結果的に、その見積りを見て、減額の調整をしてみて、それでもその時点で外構工事は来年度に持ち越すかと考えたり、内装は運営費交付金でやらざるを得ないと考えたりという状況に至ってしまいました。
 短期間で判断しなければいけないことですが、それでも私は実施設計を頼むところに対して、もう少し丁寧な発注の仕方をして密に連絡を取り合っていればよかったのではないかなという感想を持ちます。一番の問題は、公表義務を果たしていなかったことであり、私は内閣府にも責任の一端があると思います。当然、独法ですから自立的に法令や国の方針を守っていただくことは大切ですが、立ち上がったばかりの機構であるという先方の事情も勘案しながら、私どもの方で丁寧にアドバイスをしたり、情報提供を行っていればよかったと思っておりますので、私たちが改善する点として皆で意思統一をしたところです。
(問)事務的な確認で申し訳ないのですが、先ほど大臣が仰った一般競争入札の積極的活用と外部の監査は、いずれもこの報告を受けてお願いしたという理解でよろしいでしょうか。それとも、最初の聴き取りの段階でお願いしたのですか。
(答)ブレナー理事長からの報告事項は、聴き取りの段階の時に、私からもかなりきつく申し上げているような内容を向こうでさらに検討して整理いただいたものです。外部の監査につきましては、ブレナー理事長からの手紙が着く前に、当然お願いしようということを考えており、改めてお願いをしたものです。
(問)苦情相談の活用についてですが、行政機関でのPIO-NETの端末設置のシステムをいつ頃までに整理してスタートさせますか。また、国民生活センターはこれに対して一時期難色を示していたと思いますが、その辺はどのように調整なさるのか教えてください。
(答)設置の時期は、できるだけ早期に必要な調整を図りたいと思っております。どのようなことに時間がかかるか、難色を示した理由ですが、一つは入力の方法です。個人情報を守る意味から結構複雑な入力の方法が採られております。ですから、実際に皆さんが使いこなせるようになるには研修も必要です。単に、キーを叩いて、簡単に閲覧できるようにはなっておりません。これはあくまでも消費者個々からのお声で、個人情報であったり、特定の企業や個人が内容から類推できるものであります。消費者の苦情が必ずしも全部正しいかどうかは分かりません。ですから、情報提供者の個人情報を守る意味からも、入力方法や検索の方法も難しい操作が必要になっておりますので、研修もしっかりやらなければなりません。閲覧するにしても、利用規定を整備していかなければなりません。研修と利用ルールの各省への徹底をしっかりやっておかないと個人情報が守れないことがございます。
 また、PIO-NETのシステムの変更です。これもセキュリティーの確保と処理結果情報へのアクセスを制限するためのシステム変更についても調整しなければなりません。PIO-NETの目的を拡大することになります。これについてまず消費者に周知をしなければいけないと思っております。今までは、PIO-NET自体が、各地方の消費生活センターの相談員が様々な事例を理解しながら的確に相談に応じられることをそもそもの目的とするものでしたが、今後はこの様な消費者事故の発生を未然に防止するとか、場合によっては所管官庁がその業者に対する勧告や、法令上の処分など、行政側が活用することになりますので、消費者の御理解も求めなければいけません。地方公共団体においても、個人情報保護の条例がございますので、この条例上の手続も進めていただかねばならず、一定の準備期間は必要になると思います。できるだけ早くということでございます。

(以上)