大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年5月22日

(平成20年5月22日(木) 18:10~18:18  於:記者会見室)

1.発言要旨

 ただいま「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」が終わりました。
 今月の判断ですが「景気回復は、このところ足踏み状態にある」ということで、先月から判断を変えておりません。生産、そして、設備投資と消費という主要な需要項目が横ばい状態にあります。
 今月の動きとしまして、これまで持ち直してきました住宅建設が足下で横ばいになっております。したがいまして「おおむね持ち直してきたが、このところ横ばい」と、下方に判断を変更しております。
 それから、輸出の伸びが鈍化しています。アジア向けの輸出の伸びが落ちてきていますが、この背景にあるのはアメリカ経済の減速です。したがいまして「輸出は、伸びが鈍化」ということで、下方に判断を変更しております。
 先行きにつきましては、緩やかに回復していくと期待されますけれども、アメリカの景気後退懸念、それから株式・為替市場の変動、原油価格の動向などから、下振れリスクは高まっていると見ておりますので、先行きは慎重に見ていくことが必要だと考えております。
 今日の会議ですけれども、渡辺大臣から、まず金融担当大臣として貸出態度が厳しくなっているので、貸し渋りの動向はないか、よく調べるように事務方に指示した。不動産関連でややタイトになっているというお話がありました。
 同じく渡辺大臣からの質問として、いろいろ、物価、原油価格を始め資材価格が上がってきております。交易条件の悪化によって、その影響はどこに出てくるのかという質問がありました。
 白川総裁から、企業の収益に注意が必要で、特に中小企業の収益が悪化してきている。これが設備投資に影響しつつあるというお話がありました。
 それから、内閣府の方からは、国内総所得は1-3月はわずかにプラスだけれども、交易損失はマイナスに寄与している。第1次オイルショックのときというのは、物価も上がりましたけれども、賃金も上がって、結局は企業の負担がやや大きかったということになりましたが、今回は家計も企業もともに痛み分けの形になっていて、企業収益に影響が出ていますし、家計においては賃金が伸びない中で消費者マインドの悪化といった形で影響が出ているというお答えをいたしました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今朝、貿易統計の方も発表されているんですけれども、見方は分かれると思うんですが、今回の月例経済報告の輸出の下方修正等を含めて、貿易統計に関してどのようにご覧になるのか、お話し願えますでしょうか。
(答)今回の月例経済報告には、今朝出た貿易統計の数字は入れておりません。その前の時点までで判断しておりますけれども、伸びが鈍化という範囲内と思います。アジア向けの輸出が落ちているというのは、アジアからアメリカに向けての輸出が落ちていることを反映しておりますので、アメリカ経済の減速の影響が出てきていると思います。
 しかし、アメリカ向けはややプラスになっておりますし、それから、EU向けが大きいマイナスになっておりますので、ここは中身をやや詳細に見てみないと、まだ何とも申し上げられません。いずれにしても、輸出の伸びが鈍化しているという傾向に変わりはないと見ています。
(問)交易条件の悪化の部分なんですけれども、それに関してはかなり貿易統計に如実に表れているんですけれども、この中でも、先ほど企業収益と消費への影響ということで出てきましたけれども、今後の先行きに関してはどのようにごらんになりますでしょうか。
(答)原油価格がここへ来て更に上昇していますので、懸念しながら見ています。特に、企業収益への影響が顕著に目立ってきており、設備投資の動きというのが今後心配されます。やはり、中小企業への影響が目立ってきているという印象を持っておりますので、今後、これがどう影響するのか、特に設備投資にはどう反映してくるのか、今後とも十分注意して見ていきたいと思っています。
 今回の内閣府の資料の中でも、9ページの右下の図ですけれども、家計への影響で、収入の差によって物価上昇率がどう影響しているかというのを見ますと、やはり低所得層、第1分位により大きい影響が出てきている。これは食料品が上がっているといったことが効いていると思います。いろいろな意味で、原油価格、素材価格が上がっている影響は少し多面的に見ていきたいと思っています。
(問)今回、輸出の伸びが鈍化しているというように表現を下方修正されましたけれども、一方で1~3月期のQEでは、輸出と並んで、今回の景気拡大を引っ張ってきた設備投資がやはりマイナスに転じていて、先行きもかなり厳しいという見通しがありますけれども、両輪のどちらも厳しくなってきたという意味で言うと、ここにある先行き見通しで「景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要がある」という表現は変わらないんですが、リスクの水準自体はやはり先月に比べて上がっているとお考えでしょうか。
(答)上がっていると判断しています。やはりアメリカ経済の減速は続いておりますので、リスクは上がっている。ただ、一方でブッシュ大統領の減税策が4月末からスタートしておりますので、この効果がどう出てくるのかという点がございます。
 今、御指摘の輸出で言いますと、やはりアジア経由の影響がはっきりと出てきたという感じがあります。アジアからアメリカへの輸出が落ちている。したがって、日本からアジアへの電子部品・デバイスなどの輸出が落ちているという形で、間接的な影響も顕在化してきている。
 それから、IT関連の生産財については、やや在庫水準も上がってきておりますので、そういう意味でリスクが高まっていると見ております。
(問)原油のニューヨーク相場が1バレル135ドルになったんですが、これについてはどういうふうにごらんになっていますか。
(答)非常に高騰してきておりまして、これは先進国すべてで直面している問題でもありますが、国内で見ると、企業収益への影響を懸念しながら見ております。
 同時に、やはり先進国共通のことでもありますので、既に甘利大臣もいろいろな場で取り組んでおられますけれども、産油国との対話であるとか、国内でも構造的な取組みということはより一層力を入れていかなければいけないと思います。
(問)今、お話が出たんですけれども、生産者製品在庫指数がかなり上がってきているんですけれども、今まで在庫が余り伸びていないので後退ではないというようなお話をされていたんですけれども、今回のこの数字というのはどう見ていらっしゃいますか。
(答)まだそれほど在庫調整圧力が大きく高まっているというふうには見ておりません。ただ、徐々に上がっておりまして、特に、内閣府の資料では6ページの右側のグラフにありますが、情報化関連生産財で出荷・在庫ギャップがマイナスの領域に入ってきている。つまり、出荷の伸びよりも在庫の伸びが高い状態になってきております。ただ、今後の動きをもう少し見てみないと、何とも判断できません。

(以上)