大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年2月22日

(平成20年2月22日(金) 18:19~18:43  於:記者会見室)

1.発言要旨

 ただいま月例経済報告に関する関係閣僚会議が終了いたしました。
 今月の景気の基調判断ですが、「景気は、このところ回復が緩やかになっている」ということで、下方に判断を変更いたしました。
 これまで、景気の弱い部分としておりました個人消費、それから住宅建設、これは先月と状況は変わっておりません。住宅建設も持ち直してはおりますけれども、依然として低い水準にあります。今月はこれに加えまして、輸出の伸びが緩やかになっています。それを受けて、生産の伸びも鈍化しております。ということから、判断を下方に変更いたしました。
 先行きにつきましては、緩やかな景気回復が続くと見ておりますが、サブプライム住宅ローン問題に端を発する金融資本市場の動揺、アメリカ経済が減速しているということ、それから原油価格の高騰が続いているということから、景気の下振れリスクが高まっております。先行きについては、より慎重に見ていく必要があると考えております。
 閣僚会議では、冬柴大臣から、住宅投資の回復に向けて一生懸命取り組んでいると。大臣認定プログラムが出来上がって、承認第1号の認定がなされたということで、これから回復していくと思うと。だんだん状況は改善している、という御発言がありました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例の表現というのは常にわかりにくいところがあるので、ちょっとその表現から離れて大臣に景気認識を伺いたいんですけれども、今の下方修正された状況は、景気のいわゆる踊り場ないしは踊り場に近い状況にあるというような認識なんでしょうか。
(答)いえ、まだ踊り場であるとは見ておりません。輸出も生産もマイナスではなくて伸びているんですね。伸びが緩やかになっております。これは、かつて踊り場に入った2004年後半の状況とは、やはり様相が異なります。したがいまして、今まだ踊り場というふうには考えておりません。
 ただ、生産は予測指数はマイナスになっております。しかも、このところ、実現は予測よりも悪くなっておりますので、この点は十分に注意が必要です。それから、輸出も昨日発表されました貿易統計では、全体としては1.4%の伸びですけれども、アメリカが14.4%のマイナスになっておりますので、これが今後どうなっていくか注意が必要です。したがいまして、踊り場に入る可能性がないわけではありませんが、今の時点では踊り場とは見ておりません。
(問)先行きとして下振れリスクが高まっているというふうに指摘されていますけれども、景気を下支えするため政府として何かすべきことというのがありましたら、教えていただけますか。
(答)今の時点で考えて、いわゆる景気対策的なものを打つ段階ではないと思っています。まだ、景気は、テンポは緩やかになっておりますが、回復基調が続いています。
 サブプライムローン問題については、その震源地であるアメリカで、今財政、金融両面で対策が採られております。金融面では、昨年9月から2.25%の利下げが行われて、この効果が表れてくると考えられますし、5月から戻し減税もスタートいたします。震源地であるアメリカの状況を見て、それが日本にどういう形で影響してくるのかということを見極めませんと、仮に日本の景気の減速が踊り場という状態になる、あるいは更に下振れがあるとしても、その処方箋は描けませんので、今の時点では、まだ震源地の動向を見極めるという状態だと考えています。
(問)確認なんですけれども、踊り場に入る可能性がないわけではないというのは、やはりアメリカ経済の減速が強まれば、当然そういうふうになるという判断ということでよろしいでしょうか。
(答)はい、そういうことです。
(問)個別の判断ですが、個人消費の中で、今回横ばいということなんですけれども、消費総合指数を見ると、3カ月ぶりにマイナスになっていると。一方で、雇用もよくないと。今回マイナスが出たというのはどのように見ていらっしゃるのでしょうか。マイナスの数字、消費総合指数がマイナスというのは、この数字の意味はどういうふうに御覧になっているでしょうか。
(答)消費総合指数はマイナスではありますが、単月の動きがマイナスで、10-12月をとると横ばいという状態が続いています。この単月の動きは振れますので、やはり3カ月の移動平均、3カ月を均して見ておりますが、ここはまだ横ばい圏内であると見ております。
 それから、雇用につきましては、失業率はやはり低いんですけれども、新規求人が弱いということ、それから雇用者数が少し落ちているという点で、改善の足踏み状態は続いていると。ただし、失業率はまだ3.8%という水準ですので、決して悪い状態ではありませんけれども、足踏みという表現を使っております。
 家計部門の動向は、先月と状況は変わっていないと判断しています。
(問)確認なんですけれども、02年2月から景気拡大が続いているということなんですけれども、足元もまだ続いているということでよろしいのかという点と、あと踊り場というのは、それが途切れる可能性があるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
(答)2002年から確か2回踊り場があるんですね。1つは、イラクに侵攻したときだったでしょうか。それと、もう1回は2004年の後半から、このときはIT関連の生産財の調整が始まりました。これはアテネオリンピックの後だったと思います。更に、台風と地震が続きまして、消費が大きく落ちたということで、生産、輸出、消費が落ちました。つまり、踊り場というのは、階段の踊り場のように一時的な足踏み状態です。これは、上り階段でいずれは上っていく段階で、まだ景気の回復過程は続いている状態の中での一時的な足踏みが踊り場です。今の状態も、回復基調はテンポは緩やかながら続いております。これが一時的な回復過程の中の足踏み状態に入る可能性はないわけではないと見ておりますが、今は踊り場ではない。
 それから、全体としまして、企業の体質も長い景気回復過程の中で強くなってきておりますので、これがバブル崩壊後、3つの過剰を抱えていた状態とは違いますので、大崩れするリスクは小さいと見ています。
(問)今回の判断は、主に昨年12月までの指標で判断されているということなんですけれども、判断を下げられたという原因は、米経済の減速が日本の実体経済に影響を与え始めたからだというふうに見ていいのでしょうか。
(答)そうですね、輸出の伸びが、特にアメリカは昨日の貿易統計を見る前の段階から、もう横ばいでした。全体としては伸びておりますけれども、アメリカは横ばいになってきております。それから、私どもはデータだけではなくて、ヒアリングをしたり、なるべく足元を、1月の段階のなるべく近くまで見るようにしております。そういう中で、生産、輸出の伸びが弱くなっているというような情報が出てきているということですね。
(問)先ほどの質問に関連してあえてお聞きしたいんですが、踊り場になる可能性はないわけではないということですが、先ほどおっしゃったように企業の体質も改善していることから、後退局面に今後も入っていくという可能性はないというふうに見ていらっしゃるのですか。
(答)先のことは本当に何とも申し上げられませんが、今の時点でそういうふうには見ておりません。つまり、生産も輸出もまだ伸びておりまして、その伸びが緩やかになっているというのが現在の段階です。
 ただ、注意しなければいけないのは、伸びている輸出の中で、昨日公表の1月の貿易統計では、アメリカが14.4%のマイナスになっているということ、それから生産も予測指数が1月、2月マイナスになっているということですね。この生産が予測指数どおり、あるいはそれを上回る形で落ちていく可能性はもちろんないわけではありません。それから、アメリカへの輸出の減が今後も続く可能性は当然あります。ということになりますと、踊り場に入る可能性も視野には入れておく必要があります。
 一方で建築着工は回復してきておりますので、全体として需給に与える影響、これはだんだんプラスに働くという点もあるかと思います。その辺りを総合的にこれから見ていくと。ただし、冒頭に申し上げましたように、先行きは慎重に見ていく必要があると考えています。

(以上)