大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年1月11日

(平成20年1月11日(金) 9:24~9:35  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今朝の閣議ですが、平成20年度税制改正要綱について、財務大臣と総務大臣から御発言がありました。総務大臣から、PFI事業に関する政策評価について、PFIの推進施策の政策評価をして、改善を勧告するという御発言がありました。
 改善を勧告する内容としましては、PFIの効果をバリュー・フォー・マネー(VFM)で算出をしております。これは、官が公共事業として行った場合と比較して財政負担がどれだけ削減されているかを算出するものです。この算出について、客観性、透明性が十分確保されていないということ。それから、官民でのリスク分担が円滑に行われていないということで、改善の勧告を受けました。PFIは私の担当ですので、これを受けて私から、評価結果を踏まえて今後ともPFI事業を効果的に推進されるよう一層の充実を図っていくとお答えしました。
 一言ご説明しておきます。
 この政策評価に基づいて、「意見」という手法と「勧告」という手法とあります。当然、「勧告」の方が強い訳ですね。大臣が必要と判断してその具体的な改善策を求められる場合は、勧告になります。今回PFI事業で勧告を受けましたけれども、PFI事業に関して、これまでよりも悪い評価が出た訳ではありません。総務省の方で政策評価をより実行あらしめるために、これまで伝家の宝刀的に使ってこなかった「勧告」というものをこれから使っていくと。つまり、原則「勧告」に変えていくということですね。具体的な改善内容を提案する場合は、勧告という手法を採るということです。
 政策評価については、充実させていかなければならないということで、諮問会議の場でも重点分野を何にするかを議論することにしています。そういう一環として、今回政策評価を受けて、単なる意見ではなくて原則すべて勧告にしていくということですね。PFIはその第1号ということで、これからは原則として勧告がなされるということです。
 このPFIも、このバリュー・フォー・マネーをどう算出していくか、そのリスク分担をどうするか。これが一番難しいところですので、更に私のところでもしっかり検討して、PFI事業がより良いものになるように努めていきたいと考えています。
 それから、甘利大臣から御出張の報告がありました。
 次いで、閣僚懇談会で、冬柴大臣から平城遷都1300年を記念する取組について御発言がありました。平成22年は平城京に都が置かれてから1300年だそうで、奈良県を中心にこの記念事業が計画されているということです。
 御報告は以上です。
 来週17日の諮問会議ですが、前回の3つの議題については既にお話しいたしました。「進路と戦略」の諮問・答申を予定しております。それから、成長戦略について民間議員から御提案がなされる予定です。あと一つ、今後の諮問会議の進め方ですね。毎年初めにやっている今後の諮問会議の進め方などに1つ追加して、国土形成計画について、冬柴大臣をお呼びして議論をいたします。
 国土形成計画というのは、御案内のように、これまでは全国総合計画、四全総とか五全総という形であった訳で、諮問会議で審議するということが法律上も書かれております。これは、実質的には国土交通省の審議会で議論しておりますが、諮問会議でも議論することになっております。
 前回、11月26日に公共投資の議論を行った時に、国土形成計画については改めて御説明をいただき議論することになっておりましたので、これを次回17日に行います。以上、議題は4つです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)1つだけお伺いします。先ほどのPFIですが、意見が勧告と形式的に変わって受けたとはいえ、先ほど仰られた客観性、透明性、官民のリスク分散などで一層の充実を図っていかれるということですけれども、具体的にどういうことに取り組んでいかれるようなおつもりでしょうか。
(答)PFI事業というのは、それぞれ自治体が中心になって行っております。その時に、公共施設の管理者がコンサルタントにVFMが幾らになるか算出を委託する訳ですね。そのチェックが不十分なものが16件あったということです。
 この従来の公共事業とPFIによる公的負担額を公表しているのが26件のみ。更に、コストの削減根拠や割引率の設定根拠まで公表しているものは1件ないし2件だったということで、全部公表しなければならない訳ですね。公共投資の場合、幾らであって、それをPFIやった場合にどうなるということの公表が不十分であったと。
 民間事業者を選定する時に、その民間事業者の事業計画に基づいて、VFMはどうなるということをコンサルタントにも委託して全部公表しなければならない訳ですが、それが不十分なものが見られたということですね。これが一つあります。
 それから、このPFIを委託した後、例えば物価変動などのリスクをどちらが負うかとはPFIで非常に重要かつ難しい部分なのですが、このリスク分担のやり方について事業間でばらつきがあったと。つまり、明確なガイドラインが出来ていなくて、そのリスク分担のやり方について、ばらつきがあったと。あるいはリスク分担の設定について、官民で意見の相違があったとするものが、官民双方で3割以上あったということですね。
 ということで、それ以外にも公共施設の管理者等によってモニタリングは必ずしも十分でなかったケースがあると。それから、民間事業者の創意工夫の発揮、それから応募しやすい環境が必ずしも十分整備されていない状況があったと。例えば発注者は性能発注のつもりでも、民間事業者は仕様発注だと認識しているものが15件あったといった指摘がなされています。
(問)それに対して、大臣は一層の充実というのはどういう形で進めていくのでしょうか。
(答)これは、国でガイドラインを作り、それを実際運用するのは自治体ですので、ガイドラインをより明確な形で作っていきたいと考えています。ガイドラインを充実させたり、それから参考事例の蓄積、情報提供といったことを行っていきたいと思います。あくまで実施するのは自治体です。国はPFI委員会を作っており、そこでガイドラインをさらに充実してくださいということは、私からももうお願いしてあります。それをやっていただくということです。
(問)話は変わりますが、日銀の武藤副総裁が講演で「景気は減速しており、当面減速し続けるだろう」ということを言明されましたが、大臣自身は「減速」という認識はどう捉えていますか。
(答)私自身は、今の時点では減速ということは考えておりません。減速という指標はまだ出ておりませんので、景気回復の基調は続いていると判断しています。ただ、下振れリスクは高まっておりますので、十分に今後の動きには注意していきたいと思っています。
(問)経済見通しの下方修正によって、国と地方のプライマリーバランスの、2011年度の状況は変わってくると思うのですが、この試算はそろそろまとまるのでしょうか。
(答)今、試算をしております。17日に「進路と戦略」を取りまとめ、答申いたしますが、その中に参考試算として出されます。今、作業の最終段階です。
(問)まだ出ていないですか。
(答)まだ出ておりません。

(以上)