大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年12月18日

(平成19年12月18日(火) 18:20~18:42  於:記者会見室)

1.発言要旨

 ただいま月例経済報告等に関する関係閣僚会議が終了いたしました。
 基調判断は「景気は、一部に弱さがみられるものの、回復している」ということで、先月から判断は変えておりません。「このところ」というのを取ってありますが、実質的に判断に変更はありません。
 今月の特徴といたしまして、まず生産と設備投資について上方修正しております。生産は「持ち直し」から「緩やかな増加」に転じています。それから、設備投資につきましては、4-6月期の減少が一時的なものであったということが確認されておりますので、上方修正しています。
 一方、企業収益と業況判断は下方修正いたしました。企業収益は、経常利益が2002年4-6月期以来、21四半期ぶりに減益となりましたので、「改善に足踏みがみられる」と下方修正しています。それから、業況判断も日銀の短観を踏まえ、「慎重さがみられる」と下方修正しております。
 それから、住宅建設については、前月比で着工が下げ止まりつつありますので、上方修正いたしました。しかしながら、依然として低水準が続いております。当面は、改正建築基準法施行の影響が続くと見られますので、引き続き動向に注意していきたいと考えています。
 先行きにつきましては、輸出と生産が堅調に推移していることから、企業部門が底堅く推移し、景気回復が続くとみておりますが、先行きの下振れリスクは高まっていると見られますので、より慎重に景気動向を見ていきたいと思います。特に、サブプライム住宅ローン問題を背景とした金融資本市場の変動や原油価格の動向が、国内、海外の経済に与える影響を十分に注意して見ていきたいと思っております。御報告は以上です。
 閣僚会議で出た発言を一つだけ御紹介いたしますと、内閣府の資料の9ページ右側をご覧いただきますと、消費者物価を基礎的支出と選択的支出、つまり、必需品とそうでないものに分けて最近の物価動向を見ております。ご覧いただくとわかりますように、基礎的支出については、足下で消費者物価指数は上昇に転じております。特に、食料、灯油、ガソリンといったものが押し上げ要因になっています。一方、選択的支出については、依然として消費者物価指数はまだマイナスにあるということで、基礎的支出と選択的支出に分けてみると、最近、身近な必需品が上がっているという動向が出てまいります。これに対して、公明党の北側幹事長から、単に生鮮食品を除くコアではなくて、こういう分け方をしばらくして、どこが値上がりしているのか注意して見てほしいという御意見がありました。そのようにしていきたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日銀の福井総裁から、景気の現状認識に関する発言、この間の短観も踏まえてですけれども、そういった御発言があったか。また、先だっての短観について、政府側もしくは与党側から何か発言があったかどうかというのは。
(答)日銀総裁からは、景気については、最初、政府側から御説明いたしましたが、それに違和感はないという御発言がありました。
 それから、先日の日銀の短観を今日は中心的に説明されました。企業の業況感に慎重さが見られるということを報告されまして、その背景として、原材料価格が上がっていること、建築着工が落ちていること、それから世界経済の先行き不透明感が高まっていることという3つの要因を挙げられました。
 これらに関して、質問、御意見はありませんでした。
(問)消費者マインドが悪化していることについて、どう見ていらっしゃるのか伺いたいんですが。
(答)景気ウォッチャー、それから消費動向調査で消費者マインドが悪化していることは、懸念しながら見ております。特に、景気ウォッチャーがこのところ低下しておりまして、景気ウォッチャー調査は、消費者マインドを比較的よくあらわしておりますので、注意しながら見ております。やはり原材料価格が上がっているために、足下で食料品価格などが上がっていること、それから原油価格の上昇でガソリン価格が上がっていることを反映しているんだろうと思っています。
(問)内需主導の回復ということには、何か悪影響を与えると思うんですが、その点についてはいかがお考えですか。
(答)今後、これが消費にどういう影響を与えるのか、もう少し様子を見たいと思っています。内需主導でいきますと、やはり今の時点では建築着工の落ち込みが大きく効いていると見ています。
 この原油価格の上昇というのは、企業もしくは家計に影響を及ぼします。今のところ、企業もなかなか価格転嫁が難しく、それから家計も食料品価格が上がって、一方で賃金は上がっていないという状態ですので、まさに、今年後半起こっている原油価格の値上がりというのは、企業と家計の痛み分けの形で負担が及んでおります。これはどちらにしても気がかりな点ですので、今後、中小企業の収益それから家計の消費、両方の影響を目配りしながら見ていきたいと思っています。
(問)先行きの見方について、これまで企業部門の好調さが家計部門に波及してという、それが景気回復の先行きについての堅調な見方の根底にあったかと思うんですけれども、今回そこのところも若干修正されているにもかかわらず、この景気回復が続くと期待されている根拠をもう少し教えていただきたいのと、企業部門から家計部門への波及のメカニズムが切れてしまったと認識されているのかどうか。加えて、福井総裁は景気認識について、同じような認識を持っておられるということなんですが、日銀もそういう認識を持っているのかどうか、この3点お伺いしたいんですが。
(答)まず最後の点でいいますと、今日、日銀の総裁から、その点については言及がありませんでしたので、日銀の見方について、私からはコメントを控えたいと思います。ただ、今日あった福井総裁の御発言は、政府側の景気についての説明に「違和感はない」ということでしたので、それだけ御紹介しておきます。
 先行きに関しては、ご指摘のように、「企業部門の好調さが持続し」というこれまでの表現を「企業部門が底堅く推移し」というように変えております。企業部門から家計部門への波及というのは、これまでと同じように、やはり非常に緩やかですけれども、それに加えて、今回は企業収益の改善に足踏みが見られますので、先行きの下振れリスクは高まっていると見ております。そのため、この表現を先行き慎重な見方に変えております。企業から家計への波及は、緩やかではありますが、このメカニズムは切れていないと見ています。
 それから、先行きの下振れリスクが高まっていると見ながら、今後も景気回復が続くと、なぜ見ているのかという御質問ですが、この点につきましては、企業収益の改善は足踏みが見られますが、生産は堅調に推移しております。IT関連財についても、出荷・在庫ギャップはプラスに転化して、在庫面からの下押し要因というのはなくなってきております。それから、輸出も今のところ堅調に推移しております。そういうことから、今後も景気回復基調は続くと見ています。
 ただ、先行きの下振れリスクは高まっていると、その背景としまして、アメリカ経済の動向、原油価格の高騰がどこまで続くかという点、それから改正建築基準法の施行に伴う住宅着工の落ち込みからの回復が、どれぐらいのペースで進んでいくのかということですね。この3つが大きなリスクだと見ております。

(以上)