大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年12月12日

(平成19年12月12日(水) 15:08~15:40  於:記者会見室)

1.発言要旨

 先ほど、森下委員長から、ジョブ・カード制度の最終報告をいただきました。
 このジョブ・カード制度は、今年2月に構想がまとまりました成長力底上げ戦略の大きな柱の一つです。構想委員会に、具体的な構想の取りまとめをお願いしておりました。今回の最終報告は、森下委員長を初め委員の皆様方が、精力的に御議論いただいた成果でありまして、大変感謝しております。
 ジョブ・カードの大きなポイントは、お手元にまとめておりますので御覧いただきたいと思います。この横長の資料です。
 私から、特に強調したい点をかいつまんで申し上げます。詳しくは、また後ほど事務方が御説明いたします。
 まず、1枚おめくりいただきまして、冒頭にありますように、このジョブ・カード制度というのは、上から2行目、「企業現場・教育機関等で実践的な職員訓練等を受け、修了証を得て、就職活動などに活用すること等を目的とする制度」ということで、職種別に作られましたプログラムで、トレーナーについて職業訓練を一定期間受け、その後評価を受けて能力・技能が証明されたら、それがジョブ・カードに書かれるというものです。
 これは本格的なフリーター対策でありまして、これまでフリーターの場合は、いろいろなところに勤めても、その技能を証明するもの、キャリアを証明するものが職歴として書かれていないわけです。
 しかし、ジョブ・カードを利用すれば、どこどこの企業で、例えば半年間、この職種について訓練を受けたといったことが書かれていきますので、就職において一つの重要なキャリアになると考えております。
 私どもが参考にしましたのは、イギリスのNVQという制度ですが、イギリスでは800の職種に亘ってプログラムが作られておりまして、延べ400万人の履修者がおります。
 このジョブ・カードのポイントを、最初に3点申し上げておきます。
 第1点目ですが、これまで職業訓練は企業の中で行われてきました。したがって、正社員にならないとなかなか職業訓練の機会も得られないということがございましたが、ジョブ・カードは、企業の中で行われていた訓練を広く社会横断的なものに転換していくという意義が1つあります。
 2つ目に、職種ごとにつくられたプログラムで履修し、それが認められてジョブ・カードに書かれますので、広い職種に亘って、社会で技能を証明する制度であるということが言えます。
 3つ目は、先ほど本格的フリーター対策だと申し上げましたが、政策という面で見ても、これまでの失業給付を重視している消極的な労働市場政策から、能力開発を重視する積極的な労働市場政策へと大きく舵を切るものでもあります。
 以下、ポイントだけ申し上げます。
 1番に、「ジョブ・カードとは」と書いてございます。先ほどの資料です。このジョブ・カードは、今申し上げた企業の中で、OJTで受ける訓練――これを「ジョブ・プログラム」と呼んでおりますが、それを履修したという証明以外に、その人の取得資格、教育訓練、職務経歴など、要は職業に関わる就職に必要な情報がすべて書かれる、いわばパスポートのようなものです。
 それから、裏返していただきまして、5と書いてございます、このジョブ・プログラムの内容ですが、企業における実習と座学を組み合わせたものです。「有期実習型」、「実践型人材養成システム」、「委託型」の3種類があります。
 まず、真ん中に書かれております「実践型人材養成システム」、これは既に今年度から厚生労働省でスタートさせております。これは、主に新規学卒者を対象とする職業訓練の仕組みです。これも、企業の現場で行う職業訓練です。これを、今回、ジョブ・カード制度の中に位置づけ、さらに「有期実習型」ということで、新卒以外のフリーターや、母子家庭の方、子育て終了後の女性まで対象を広げたというものです。それから、この「委託型」というのは、公的職業訓練の一環として既に行われているものですが、この対象を、子育て終了後の女性や母子家庭のお母さん方に新たに広げました。後から申し上げますが、この「有期実習型」は、雇用して賃金を支払う形になります。
 同じページの7番を御覧いただきますと、1行目に「モデルカリキュラム」や「モデル評価シート」というものがございます。どんなカリキュラムでどんな評価を行うかは、今後、官民一緒になって進めてまいります。
 1ページおめくりいただきまして、3ページの上、8番ですが、ジョブ・プログラム受講中の生活はどうなるか、これが一番大きいポイントになるかと思います。訓練を受けている方のうち、「有期実習型訓練」と「実践型人材養成システム」、これについては、企業の実習期間については企業から賃金が支払われます。そして、フリーターなど訓練期間中の生活費に困るという方には、資金の融資制度の整備を目指しております。
 それから9番、参加企業に関しては、訓練経費などの助成の拡充を目指します。これは、20年度に概算要求しております。
 それから10番、どれぐらいの人が取得するかですが、ジョブ・プログラムの修了者は、当初3年間で総計20万人程度、5年間で40万人程度を目標としています。それから、カードを取得する人、つまり、ジョブ・プログラムによる履修証明は得なくても、カード自体を保有する人は、当初3年間で50万人程度、5年間で100万人程度を目標として考えております。
 11番にありますように、「ジョブ・カード推進協議会」を設置して、官民挙げて推進してまいります。
 このジョブ・カードは、日本の場合は企業の中での訓練が主流でしたし、イギリスのような職種別労働市場があるわけではありませんので、利用者が急速に400万人というような広がり方をするとは考えておりませんが、現在、企業の中での職業訓練もだんだん減ってきております。企業の外に出すケースも増えておりますし、ちょうど人手不足感も出てきて、導入には非常によいタイミングだと考えておりますし、第2新卒と言われる人たちも増えておりますので、全体としてこういう職業訓練を社会の中で受けて履修証明を得たいというニーズもあります。企業の中でも何らかの履修を証明する記録が必要だというニーズも非常に高くなってきておりますので、非常によいタイミングだと考えております。
 今日いただいた最終報告を踏まえて、これをしっかりと受け取めて、各省連携の下で平成20年度――来年度本格実施を目指して、さらに制度の具体化を進めていきたいと思っています。そして、すべての人が能力開発の機会を得られる能力開発社会というものを目指して、制度が実効あるように努力していきたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、中間取りまとめから最終報告までの間の主な変更点というか、新しい部分というと、この「有期実習型訓練」のところだと思いますが、これまでのシステムと大きく意味づけとか違う点というものを、どういうふうにお考えになっているか教えてください。
(答)資料11ページを御覧ください。この「実践型人材養成システム」という真ん中が、現在、実施されているものです。これは、新規学卒者を割と中心的な対象としておりますが、それをフリーター、子育て終了後の女性、母子家庭の母親などにも広げました。それから、「デュアルシステム」は、公的職業訓練の類型として行われておりますが、これをさらに女性にも拡大しているという対象の拡大ですね。
 ほかに何かありましたか。
(山崎審議官)先ほどの御質問ですが、中間報告から最終報告というのは、それほど内容的には変わってございません。最終報告において、これまでの取組から加えたものは、今、大臣からお話ししましたように、左側の「有期実習型」をつくったということと、右側の「デュアルシステム」に関しまして対象を拡大した、この辺が中心になっています。
(問)新しい訓練システムをつくったその意味合いというか、対象拡大、要するにフリーター対策だと思うのですが、それは今までカバーできなかった部分という意味で、その意味合いがあるということだったので、その意味合いをもう一度。
(答)まず、その対象を、新規学卒者だけではなく、フリーターや子育て後の女性に拡大したとことが1つです。それから、ジョブ・カードという履修証明の仕組みをつくることで、単に職業訓練の機会を提供するだけではなくて、その職業訓練の結果、一定の技能を獲得した、修得したという証明がなされるということです。これによって、ジョブ・カードを就職しようとする企業に持っていったときに、確実に例えば半年なり1年、トヨタであるとかキャノンであるとか、あるいは何々ホテルであるとか、そういうところで、この職種について、トレーナーについて、ちゃんと社会横断的につくられたプログラムに沿った訓練を受けて、そこで必要とされる能力を身につけたという証明ができるという点、これは今までになかった点です。これは、中間報告からという意味ではなくて、ジョブ・カード制度導入前と導入後という意味では、その意義が大きいと考えております。
(問)ジョブ・カードを持っていることが、どれだけフリーターの就職につながるかというのは、乱暴な言い方をしますが、要するに丁寧に履歴書を書くというのとジョブ・カードというのは、どこが違うのでしょうか。
(答)履歴書を書くだけでは、技能が証明されたことにはならないわけです。そして、実践的な職業訓練を受けませんと、なかなか職業能力の開発にはつながらない。やはり、重要なのは人が介在するということで、職を求める人がまずハローワークに行くと、そこでキャリア・コンサルティングを受ける。そして、その人の、これまでフリーターであってもアルバイトであっても何かやってきた職業などを参考にして、向いた仕事を人が介在して選ぶ。そして、トレーナーについて職業訓練を受ける。そして、評価する人が評価するということによって、それが社会的な意味を持つということですね。
 それと、履歴書自体、なかなかフリーターの場合は「何をした」ということを書きづらいのですね。それが、一応きちんとした形になるということです。
(山崎審議官)補足させていただきます。お手元の袋の中に、資料No.3-1という資料がございます。これは、厚生労働省で、まさにこのジョブ・カード制度について少しアンケート調査をした結果でございまして、この制度はまだスタートしてございませんので、あまり皆さん知っているわけではございませんが、この3-1の2ページ目を見ていただきたいと思います。
 実は、これに関しては、こういう仕組みについて参加したいという希望を持っている企業が実際に何をメリットと感じるかという部分でございますが、2ページ目に書いてございますように、やはり「応募者の能力が見極められる」と。やはり、企業の方からいいますと、どこの職種、どこの職歴というだけだと、その方の実際の能力はわかりませんので、非常にそういった面でいきますと、実際、この評価シートというのが、資料No.2-4の最後のページのあたりを見ていただきたいと思いますが、非常に詳細にわたる評価を行います。これを見ていただきますと、かなりこの方の実際にいろいろな現場で職業訓練をやった成果が出ますので、いわばそれが非常に汎用性のある基準でやれば、これをもってして、相当能力的には応募者について評価できると。ここの部分に大変関心があるというふうな御意見をいただいている次第でございます。
(答)フリーターといったときに、よく企業の方が仰るのは、きちんとした仕事が嫌でフリーターを選んでいる人もフリーターの中にはいるわけで、だけれども、本当に職業がなくて、正社員の職がなくて、やむなくフリーターをやって、最初がフリーターであったがために、ずっとフリーターを続けざるを得ないという人もいるわけで、そこの見極めがなかなかできないということを言われるわけですけれども、きちんと訓練を受けることで仕事をする意欲も持ち、きちんと半年なり1年訓練を受けているということは、それを証明されるわけですね。
 ただ、今、御質問にあったように、これが意味を持つためには、質を維持していかなければいけないわけですね。本当の意味でよい訓練がなされ、ジョブ・カードに書かれるものが安直なものではなくて、やはりきちんと訓練を受けたものであるという質的な証明をするものにならなくてはいけませんので、そういう意味でいうと、急いで数を増やすのではなくて、きっちりと訓練していただく企業に協力してもらって、きっちりと訓練を受けて、ジョブ・カード自体が質的な評価を意味するものになるようにしたいと考えています。
(問)参加する企業についてですが、大臣から先ほどお話の中で、トヨタとかキャノンのお名前が出ましたが、参加企業数はどれぐらい決まっているのかなど、その辺については。
(答)先ほどの例は、諮問会議のメンバーだった方を、口に出やすいので申し上げただけで、19年度、来年から先行的に御協力くださる企業については、モデルで始めるつもりです。
(山崎審議官)今、実は、これは経団連と私ども、もしくは厚労省などでいろいろと進めておりまして、20年度本格実施ですが、準備ができた企業があれば、19年度から先行的にやりたいと、そういう形で検討してございます。
 ただ、まだ具体的にどこだというのは決まってございません。したがって、もう少しお時間をいただければと思います。
(答)決まり次第、また発表させていただきます。
(問)何社ぐらいでスタートするという数的なイメージは、どのくらいと考えていらっしゃいますか。
(答)19年度は、まだ本格実施ではありませんので、準備ができて手を挙げてくださったところで、もう1社でも2社でも始めたいと思っています。
(問)来年度は。
(山崎審議官)こちらの薄い方の資料の3ページ目を見ていただきたいと思いますが、ここで10番目に、「ジョブ・カードの取得者は、どれぐらいの人数になる見込みですか」と書いてございます。特に、ジョブ・プログラムと呼んでいますけれども、まさに職業能力の訓練を受ける方ですが、当初3年間で20万人と書いております。これは、ある面でまとまった数字ですが、大体、できれば来年は5万人程度の方が対象になればというのを、我々は一つの目標にしてございます。ただ、これは企業の方がどれだけ出ていただくかによりますので、あくまでも目標でございます。
 といいましても、何社かというのは、ある面、それほど意味を持っておりませんで、むしろ何人ぐらいの方がこれを受けられるかということに、我々は力を置いております。
 ただ、何度も申し上げますが、これについては参加しようという企業の協力が当然必要でございますので、それを踏まえた上でという形になってまいります。
(答)ジョブ・カードは、地方でも割と関心は高くて、雑談の域に入りますが、グーグルでヒット件数が100万件なのですね。だから、結構関心は高くて、それだけ何らか、職業訓練というもののニーズはあるのだろうと。それから、地方でも、例えばIT企業の方で、何とか人を探したいのだけれどもなかなか自社内では訓練できないし、何らかそういう履修証明があると役に立つという声は、随分聞いています。
(問)この予算規模はどうなるのでしょうか。
(山崎審議官)1枚紙で、資料No.3-2というものがございます。後ろの方になりますが、「職業能力形成システム(『ジョブ・カード制度』)の構築」ということで、実は予算要求を、現在、厚労省を中心にやっておりますが、まだ要求段階で確定しておりません。19年度は、既にいろいろな実施しているものを含めますと108億円ですが、今回、概算要求では200億円ということで、倍増といいましょうか、そういう要求を出しております。
 これに関するものとしては、下にございますような、1つはジョブ・カード制度自体を普及していくという経費。さらに、右の方にございますが、キャリア・コンサルティングに関する費用でありますとか、4番目に書いてありますのは、実際に受ける方に対する支援、もしくはその訓練に協力する企業に対する支援の経費で131億円といった形で予算要求していると。これは、今回の要求でございますので、最終的にはもう少しすれば確定する、内容的にはわかってくるというものでございます。
(答)ハローワークに、キャリア・コンサルティングをする人が必要なわけですね。
(問)このキャリア・コンサルティングをしてくれる人は、どういう方でしょうか。
(事務局)今、雇用能力開発機構のアドバイザーという百何十時間の訓練を受けたコンサルタントが配置されておりまして、その方がハローワークを巡回するような形になる予定でございます。
(問)これだけお金を使って、実際、どれぐらい効果があるか、つまり、フリーターがどれだけ正社員になれるかという目安や、あるいはイギリスの場合、延べ400万人いるフリーターのうち、どれぐらいが正社員、あるいはその職についているかなど、何かそういったデータはありますか。
(答)どれぐらいの方が正社員になるかは、今の時点では何とも申し上げられません。職業訓練を受けて、そのままその企業に勤められれば一番ハッピーですが、そうならない場合はまた別の企業に行ったりするわけですし、そこは何とも申し上げられません。
 しかし、とにかく始めませんと、現在、そういう職業訓練の機会がない。そして、就職氷河期に社会に出た人は、今やもう30代前半になってきております。こういう人たちは、IT技能についてはまだ獲得できるぎりぎりの年齢にいますので、やはり本格的な職業訓練はとにかくスタートさせなければいけないということで始めております。
 イギリスの例は。
(山崎審議官)後で資料を御紹介したいと思います。イギリスについては、先ほどフリーターが400万人以上ということでございますが、これもやはり少し時間がかかって、大分増えたわけでございますが、調べている限りではイギリスにおいても、特にこれはブレア政権において大変発展したのですが、いわゆるフリーター、ニートについての切り札になったと言われております。ここで実際に、「誘導」と言っていますが、これを受けてもらうように一生懸命誘導するわけですが、受けた方については、イギリスの場合は社会的に非常に評価しております。NVQというのは国家職業資格という言葉になるのですが、いわば国家が認定した能力者ということで、基本的には企業の方でもこれを受け入れるという形で進んでいるということで理解してございます。
 資料については、後でお配りしたいと思います。
(答)イギリスの場合は、もともと職種別労働市場があり、いろいろな資格もあったわけです。それをNVQという形で統一しながら進めたので、日本の労働市場とは大分違います。日本は、職種別の労働市場というよりは企業ごとですし、企業の中で訓練も行われております。
 したがって、イギリスのように一挙に大きな風になるとは考えてはおりませんが、徐々に日本も企業内訓練ではなく、横断的な市場が必要になってきているし、第2新卒のように、社会で職業訓練を受け、何らかの履修証明、広い意味の資格、今、既にある資格ではなく、広い職種に渡る資格が必要な段階になってきているのではないか、そういう大きい転換点にあると考えています。
(問)大臣は、この訓練で取得する技能というのは、どういうものをイメージされているのでしょうか。
(答)既に、この職種ごとのプログラムは出来つつあります。
 少し例を挙げてください。
(山崎審議官)後で、これはまたご紹介します。実は、職業能力評価基準と呼んでおりますが、業界団体で、例えばホテル業界などは、顧客との接し方や、いろいろなトラブルに対してどう対処するかといった、要するに基礎的な一つのまさに対応能力、それからもともとベースになっていますいろいろな専門的な知識、これをそれぞれ細かくチェックする形になっています。いわば、一番基礎的な部分として必要な職業能力といいましょうか、その方が1人として立ち上がれるような能力を身につけてもらう、これがまずベースでございます。
 加えてプラスアルファ、上級というのはもっと上級で勉強していただくといいましょうか、管理職的なものもあったり、様々なコースによって、これは変わってきているというものでございます。
 後で、今ございますものを、少し紹介させていただきたいと思います。
(答)製造業は、割と細かくありまして、それがだんだん、サービスに広がってきております。とても800種という数字ではないのですが。
(山崎審議官)例えば製造業、印刷業とか、もちろん自動車のいろいろな部品でありますとか、様々な業種、職種によって、全部基準をつくっております。
(問)受入れ企業の話に戻るのですが、今年度から出来そうな雰囲気はあると。
(答)あります。
(問)では、一応、目途というか、名前は出せないけれども……
(答)あります。
(問)それは何社かあるだろうと。
(答)はい。
(問)基本的に、人件費の方は企業が負担するという理解でよろしいでしょうか。
(答)そうです。企業が賃金を払います。企業に対して助成するということです。
(問)一部、それを予算措置されるということですよね。
(答)はい。
(問)その資格の意義づけというお話を伺ったのですが、仰っているようないろいろな業界の技能というのが、世の中にもいろいろな資格というのがあって、それを仕事をしながら取るのと、今回の中で取るのと、何が違ってくるのでしょうか。
(答)今までの資格というのは、試験で1回限りなわけです。今回は、より幅広い職種で、しっかりと半年なり1年訓練を受けて、その訓練結果としての履修証明だという点が一番違います。つまり、資格試験を受けて、1回限りで決まるというようなことではないということです。
(山崎審議官)まさにその部分でございます。一発勝負の技能検定と違う点は、数カ月間に亘り、実際、トレーナーがやりますので、トレーナーが評価して、どういう形で作っていくか。実際、これは製造業であれば物を造っていただきますし、ホテルであれば、実際にサービスをやっていただくわけでございますので、ある種の技能というよりは、むしろ職業の実践そのものを一緒に作り上げていくという形の部分が違うという部分です。
(答)企業からしますと、そこで実際に雇うといいますか、企業の中に受け入れて訓練するわけですから、いろいろな面でその人を見られるわけですね。
 したがって、その技能の証明だけではなくて、そのまま雇うということにもなるわけですね。雇うというのは、そのまま正社員にするケースも出てくるのだろうと思います。
(問)基本的には、それを期待されている政策なのですか。
(答)できればそうなるとよいのですが、そうならないケースも恐らくあって、つまり、訓練を実施してくれる企業と人材が欲しい企業というのは、一致しないケースがあるわけです。大企業ですと、自社内に既に訓練システムを作ったりしておりますので、そこは御協力いただく企業もあるのだろうと思います。
(問)これを受け入れてくれる企業の割に、訓練を受けたい人が殺到してしまったらどうなるのですか。
(答)そこは、当然、選抜ですね。企業の方も賃金を払いながらトレーニングを実施するわけですから、それもまた一つの履修証明になるわけですね。
 例えば、業界ごとの専門的な職種で、電気通信工事業や金属プレス加工、コンビニエンスストア、石油精製、こういう業界で、それぞれ必要な職種でプログラムを作っております。
 それから、今申し上げたのが19年度予定で、事務系ですと、人事、労務、情報収集やマーケティングなどがあります。他にも、型枠工事業、印刷、セラミックス製品製造など、そんな形ですね。
 やはり、こういう職種でプログラムが出来つつあるということ自体、労働市場の変化なのだと思います。
(問)受け入れてくれる企業が大都市圏に集中してしまうと、研修だけでなくて、その先も考えた場合、ひょっとしたら大都市圏への労働人口の流入を助長する格好にならないかというのは。
(答)いえ、これは地方ごとに運営本部を設置して…
(山崎審議官)お手元の薄い方の資料の10ページ目を開けていただきたいと思いますが、実際にこれを進めていく時に、ジョブ・カードセンターということを考えておりまして、これは全国規模の事業主団体の方でこういう形のものを作っていただきたいと思っております。この中核になりますのは地域です。県もしくは市レベルで、協力企業、その開拓、登録、これが一番大事ですので進めていく。加えて、当然ですが学校と連携しまして、訓練を受けていくという方を、フリーターの方も含め発掘する。当然、これはハローワークとの連携がかなり大事になってくると思います。

(以上)