大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年10月30日

(平成19年10月30日(火) 9:31~9:46  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日はたくさん御発言がありましたので、関連するもののみ申し上げます。
 まず閣議に先立ちまして、給与関係閣僚会議が開かれました。その結果、指定職職員については改定を見送り、その他職員については、勧告どおり改定を行うと。また専門スタッフ職俸給表を新設するなど、給与構造改革を引き続き推進する。それから、特別職の国家公務員、私どもですが、これも一般職の国家公務員の改定の趣旨に沿って取り扱うものとし、総理大臣、国務大臣のほか、指定職職員に相当する職以上の国家公務員の改定は見送るということになりました。
 今日の閣議では、まずこの結果について御報告があり、了承を得られました。
 それから、労働力調査と家計調査結果について御報告がありました。それから、有効求人倍率について御報告がありました。
 閣議での関連発言は以上です。
 閣僚懇談会では、随意契約の適正化の更なる推進について、総理、官房長官以下、総務、財務、国土交通大臣から御発言がありました。
 それで、私から先日、高松で開きました第1回経済財政に関する地方会議について、ご報告いたしました。それから、上川大臣から、27日土曜日の第1回目の国民対話、上川大臣と語る希望と安心の国づくりについての御報告がありました。
 私からは以上です。
 諮問会議は、11月1日、明後日開催いたします。テーマとしては、若林大臣をお招きして農業改革。それから地域経済建て直しについては、増田大臣が11月末までに取りまとめられる地域活性化の新しいプランについて、議論を行うことになっています。これについては、民間議員からも提案がある予定です。それから、日銀の展望レポートを受けて、マクロ経済についても議論をいたします。
 主な議題は以上です。

2.質疑応答

(問)今日発表になりました3つの統計について、特に失業率が6カ月ぶりに4.0%ということですがこういったものを踏まえて景気に何か変調等があるのかどうか、御認識をお聞かせください。
(答)失業率が4.0%、有効求人倍率が1.05ということで雇用の改善がやや弱まってきている数値が出ております。失業率につきましては、内訳を見ましても、失業者が17万人増え、一方で就業者は22万人の減少、雇用者は38万人の減少ということで、中身もよくありません。それから、有効求人倍率も新規求人が2.3%のマイナス、有効求人がマイナス1.6%のマイナスということで、こちらも中身が余りよくありません。ただ、生産は持ち直しの動きに入っておりますので、それほど深刻視する必要はないと思いますが、この失業率がどういう分野で、どういう年齢層で広がっているのか、もう少し中身を精査したいと思っております。中身を精査して、少し注意深く見ていく必要があると考えています。
 それから、実質消費支出につきましては、季節調整済みで前月比0.7%のプラスということで好調でしたけれども、7-9月で均してみますと、前期比マイナス0.9%ということで、夏場の消費はやや弱かったということになっております。
 消費につきましては、以前から申し上げていますように、天候要因に左右されるような弱さをまだ持っておりますので、これについても今後の動きを注意して見ていきたいと思っています。
(問)原油高の方が、じりじりと1バレル93ドルを超えていると。今までの為替換算を考えても、非常に水域としては高い水域になっておりますが、この辺の景気への影響をどうお考えでしょうか。
(答)原油高は、投機マネーの流入という要因もありますが、じりじり上がってきておりまして、日本でもガソリン価格が上がってきているなど影響が出てきています。これが最終価格に転嫁できませんと、中小企業の収益を一段と圧迫いたしますし、ガソリン高は今後消費者の消費にも影響を与えかねませんので、十分注意が必要だと思っています。
 日本の原油のエネルギー効率は非常に高いですから、これまでは持ち堪えてきておりますけれども、じりじりと影響が出る可能性はありますので、十分に注意して今後の動きを見ていきたいと思います。
(問)今日公務員給与の結論が出ましたけれども、その結果について大臣自身はどのようにご評価されますでしょうか。
(答)「骨太2007」あるいは「骨太2006」にもある、公務員人件費を削減するという全体的な行政改革の流れは踏まえなくてはいけませんが、やはり市場の動きに合わせるということも大事で、人材の確保という意味でも、市場の動きに合わせるということは重要です。その点から、若年者の給与については、労働市場の中でも若年層の内定率が上昇したり新卒の初任給が上がったりしてきておりますので、やはりその点は反映させる必要があるのだろうと思います。したがいまして、指定職については見送り、それ以外の若年層を中心とした勧告は反映させるということで、妥当な結論に至ったと思っています。
(問)人事院勧告の制度のあり方自体については、どのようにお考えでしょうか。
(答)今の制度の中では、公務員はまだ労働三権も認められておりませんので、人事院がこういう形で勧告を行うということは適切といいますか、そういうことなのだろうと思います。
 最近、地域間の給与の見直しですとか、人事院の方でも幾つか制度の見直しが進んでいます。今後も国、地方が取り組んでいる行政改革の動き、それと特に地域での民間との給与の差ですね、一時のラスパイレスというのは解消していますけれども、地域の民間給与との差、ここら辺はよりきめ細かく反映させていく必要があると考えています。
(問)1日の諮問会議ですけれども、民間議員ペーパーは、地域活性化の増田プランに対してということだけですか。農業改革については。
(答)農業改革もペーパーは出ます。5月に議論いたしました時に、民間議員から農地改革について幾つかの提案がありました。それを受けて、今農水省が農地改革の案を取りまとめているわけですね。それに対して、農水省もその提案をかなり受け取めた形での農地改革案を今取りまとめていただいているようです。民間議員からは、その案を受けて、更にこういった点をご検討願えないかというような御提案がされるものと思っています。
(問)逆に、その勧告が完全に実施されないことで、制度自体意味があるのかというような意見もありますけれども、それについてはどう受け取められておられますか。
(答)基本的には、勧告は守るべきものだと思います。今回も、やはり相当議論を重ねまして、4回開いたというのはやはり異例のことな訳ですね。相当長い期間、何度も何度も議論をして、実際、給与関係閣僚会議でも随分議論いたしました。意見が分かれて議論いたしました。そういう中で、簡単に見送った訳ではないということですね。簡単に見送ったわけではなく、若年層についてはしっかりと反映させ、指定職については見送るということで、そこは十分に検討をされた上の決断ですので、簡単に勧告が不要であるとか、勧告を軽視していいということでは全くないということですね。これはやはり異例のことなのだと受け取めていただきたいと思います。
(問)建設受注と住宅着工の影響がいろいろなところで出ていると思いますが、この建設と住宅の落ち込みはどのぐらい続くと見てられますか。それと、例えば第3四半期と第4四半期にどのぐらいGDPを押し下げることになるのでしょうか。
(答)今の落ち込みは、改正建築基準法の施行に伴うもので、申請の手続でやや混乱が起こっているといったことも反映されていると思っています。したがいまして、これは前回の月例経済報告関係閣僚会議でも、国土交通大臣に早急に改善のための一段の取組をお願いしたいということを申し上げて、国土交通大臣も今一生懸命改善策を講じているということでした。今回は、景気の需給によるものではなく制度改正時の対応によるものですので、早急に改善に取り組んでいただくということですが、どこまで続くかということは何とも申し上げられないと。要は、対応がどれぐらいスムーズにいくかということですね。したがいまして、どこまで続くかというのは何とも申し上げられません。なるべく早期の改善が必要だと思います。
 それで、需要が落ち込んでいない以上は、この先送りされた部分についてはいずれ着工が増えていくことになりますから、均すとそれほどの影響はないのだろうと思います。これは、均しますとそれ程の影響はないと。ただし、落ち込み幅が非常に大きいですから、足元のGDPには何らかのマイナスが出てくると見ております。
 御存じのように、GDP統計では新築着工ベースではなくて進捗ベースで出ますが、ここで大きく今6月の水準の半分になっております。それから、民間非住宅の建築着工、設備投資で建築の部分ですね、これが予測では相当落ちておりますが、これも進捗ベースで出てまいります。したがいまして、住宅と住宅以外の建築設備がGDPの5~6%を占めます。これが徐々に現れてきますので、何%程度というのは今の時点で申し上げられませんが、やはりGDPに対して住宅着工と設備投資の両面から下押し要因になることは避けられないと思っています。
(問)諮問会議の関係ですけれども、週末のテレビ番組で、竹中元大臣が、社会保障の試算について間違った前提で変な試算が行われているのではないかという、批判する趣旨の発言をされていますが、この社会保障の試算への批判をどのようにご覧になりますでしょうか。
(答)私自身、その番組全部は見られなかったのですけれども、批判について全般的に申し上げますと、改めて確認したいことは、まず2011年度までの試算「進路と戦略」のベースと何ら変わらないということですね。名目成長率を下げたということではなくて、もうこれは皆さんよく御存じのとおりで、1月時点で平均3.2%だったものが、8月の決算を受けて税収が1.4兆円下方修正されたことなどを受けて3.0%になりましたが、基本的には「進路と戦略」と同じものだということですね。
 それから、繰り返し申し上げているように、あの試算を通して指摘したかったことは、第1に、成長の重要性なのですね。実質成長率が0.8%違うだけで、2025年度の増税必要額が大きく変わってくる。だからこそ、今成長しなければ、成長力を付けなければ高齢化は乗り切れないということ。それから2番目に、歳出削減の重要性ですね。2011年度までに歳出削減をしっかりやってプライマリーバランスを均衡させないと、その後のシナリオはさらに厳しくなるということ。それから3番目に、給付と負担は常にセットで見なくてはいけないということですね。このメッセージがなかなか伝わっていない感じを受けます。
 それから、もう1点、これも皆さん方よくお分かりのことなのですが、赤字額を対GDP比何%、あるいはプライマリーバランス赤字を何%という書き方をすれば増税路線ではなくて、必要増税額という分かりやすい言葉を使ったら増税路線だというような、日本の政策論議がそういう薄っぺらなことであってはいけないと考えております。歳出削減、成長力強化の努力をした上で、それでもなお足りない部分は増税によって、2011年度にプライマリー収支をしっかり均衡させるというのが、歳出・歳入一体改革の趣旨ですので、その点は何ら揺らいでいないし、それに向けて成長力と歳出削減をしっかりやろうと。それでもなおかつ足りなければ、増税をしてプライマリーバランスはやはり均衡させる必要があるという、前からのメッセージを数字でお伝えしただけです。それを、プライマリーバランスの赤字を対GDP比何%という数字ではなくて、増税額に換算した時の数字で出しただけで増税路線だという議論は、非常に薄っぺらい。日本の政策論議はもっとしっかりしたものでなければならないと思っております。

(以上)