大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年9月21日

(平成19年9月21日(金) 10:24~10:43  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日も閣僚懇談会でした。総理は御欠席でした。審議事項は後で総理の決裁を待って閣議決定になります。
 閣僚懇談会では、私から一つ御発言申し上げました。国民経済計算調査会議の廃止について。これは、統計法の一部施行により内閣府に統計委員会が設置されることに伴い、昭和49年4月12日の閣議決定により設置された国民経済計算調査会議について、平成19年9月30日をもってこれを廃止しますということです。
 その他、独立行政法人の人事案件が幾つか御発言がございました。
 閣僚懇談会の報告は以上ですが、統計委員会について少しお話をいたします。
 法律的には、今年の10月1日に統計委員会が設置されることになります。この統計委員会というのは、皆さん御存知のように大変重要な意味を持つものです。日本の統計は、縦割りの状況の中で作られてきまして、時代のニーズや社会の変化から大きく遅れています。例えば、サービス業をきちんと包括的に捉えることが難しい、あるいはGDPのように加工して統計を作る場合に、一次統計との間の整合性が取れておりませんので、一次統計と二次統計、基礎統計が出来て、それをなかなかGDPという形で予測できないといった問題が出てきております。IT化への対応の遅れや、国際的な標準からの遅れといったものも出てきております。
 遅まきながら、ここで統計委員会という統計の司令塔を成す委員会が出来て、根本から統計の在り方を見直します。
 統計というのは、言うまでもなく、いわば政策運営のインフラですので、大変重要な意味を持ちます。是非ご注目いただきたいと思います。
 人選については、今任命手続を行っております。1回目の統計委員会は10月5日に開催の予定です。これについては、また統計委員会発足、それから1回目の統計委員会の時に大臣からお話があることと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)1つは日米の金融政策なのですが、米国が予想を上回る利下げをして、日銀は現状維持をしたのですが、この金融政策についてどうお考えでしょうか。
 それからもう1点、公明党の北側幹事長が、2011年のプライマリーバランスの黒字化目標について、こだわる必要はないのではないかという発言をされておりますが、この点についてどのように考えておられるか、この2点についてお願いします。
(答)まず、金融政策に関しては、国内の金融政策は日銀の専管事項ですので、私からコメントは控えたいと思います。経済や物価の状況をつぶさに点検されて、日銀が判断されたものと受け取めています。
 アメリカで0.5%のFFレートの利下げがありました。これは、今の時点でサブプライムローンの問題が実体経済に明確に波及しているということはありませんが、まさに予防的に事前に不安を和らげていくということで、柔軟に、機動的に対応されたものと見ております。
 それから、北側幹事長の御発言ですが、政府としましては、2011年度にプライマリーバランスを黒字化するということを「骨太2006」「骨太2007」で閣議決定しております。政府としては、やはりこの目標に沿って最大限努力していくことが必要です。
 この2011年度にプライマリーバランスを均衡させるという歳出・歳入一体改革には、2つの大きな意味があると思っております。
 1つは、中期的な計画であるということです。短期の景気変動を吸収しながら、中期で目標を達成していくという中期の計画であるということですね。したがいまして、足元の景気なども見ながら、しっかり中期としては目標を守っていくということが大事であると。これが1点です。
 それからもう1点、歳出と歳入をセットで議論することが大事です。この「骨太2006」で書かれたプログラムを超えて何らかの歳出が必要である、あるいはそれを超えて何らかの社会保障を見直していくということになれば、それはやはり負担とセットで議論していく。これが非常に大事なポイントだと思っています。つまり、歳出歳入一体ですね。歳出と負担をセットで見直していくということがこのプログラムの2つ目の大事な点ですので、この点は軸がぶれないようにしていく必要があると考えています。
(問)昨日、神戸に行かれたようですが、意見交換の狙いと、どういう話があったのかということ、また神戸を選ばれた理由をお聞きしたいのですが。
(答)地域力再生機構でこの8月から出来るだけ地域に出向いて、実際のニーズを踏まえていきたいということが1点。それから、ジョブ・カードなど、底上げ戦略は、地方での円卓会議の議論も踏まえながら、地方の商工会議所を始め経済団体の御協力を得ながら進める必要がありますので、それについても意見交換したいという2つの目標がありました。
 昨日は、まず商工会議所、中小企業を担当されている委員、これは実際の企業の経営者ですが、そういう方々と議論をしてきました。地域力再生機構にこういう点が必要であるとか、地域の零細企業が今こういうことで苦しんでいるとか、そうした率直な意見を頂いて、大変有益でした。
 次いで、神戸市長の、矢田市長にお目にかかりまして、地元の三セクの状況について御意見を伺ってきました。
 神戸を選んだ理由ですが、それほど大きい理由があるわけではないのですが、日帰りでなければならないという時間的制約があった点、それから神戸市の方と前に意見交換をした時に、やはり神戸で幾つか三セクで問題になっている点が具体的にあるということでしたので、市長に会って直接意見を伺ってきたということです。
 できれば、もっと他の自治体にも出かけて行って、神戸のような比較的大都市のところ、あるいはもう少し地方部に行きたいのですが、今回は少し時間切れでしたので、今手分けして回っております。私は兵庫県しか行けなかったということです。
(問)先程の北側幹事長の御発言に関連してですが、閣議決定事項であるにもかかわらず与党の幹部がああいった発言を出されたことについては、どのように受け取められますでしょうか。
(答)北側幹事長の一言一句を詳細に存じているわけではありませんが、これから議論が必要だという御発言なのだろうと思います。財政再建の道筋はしっかり示していかなければいけないということで仰っているわけで、これから議論したいという公明党幹事長としての御意見だと受け取めています。
 先程の私の発言は、あくまで政府としては閣議決定された「骨太方針」を守っていくということですね。
(問)1年先延ばししたところでどれぐらい意味があるかよく分からないのですが、そういった目標の見直しということを検討する余地はあるのですか。
(答)閣議決定事項ですので、政府としてはこれを守っていくということです。
(問)そこについて議論するという予定も可能性もないということですか。
(答)党としてどう判断されるかは、私の与り知るところではありませんが、少なくとも政府としては、「骨太方針」はいわば内閣府のマニフェストですので、これをしっかりと守っていくということですね。
(問)昨日、経団連会長が基礎年金の全額税方式について、これもやはり議論してもらいたいという形で提案されていらっしゃいますが、大臣はこの御発言に対してどのように受け取められているのか、お聞きします。
(答)あくまで経団連の会長としての御発言であって、民間議員として諮問会議の席上で御発言になったということではありませんので、あくまで経団連の意見である、見解であると受け取めています。
 基礎年金の国庫負担割合の引上げについては、政府はまず2分の1に引き上げるということは決めているわけですから、まずそれは行っていくと。それを更に超えて行うかどうかは、議論そのものはもちろん排除する必要は全くありませんので、広い角度で議論があっていいと思っています。これを実際に諮問会議の場で、どういうタイミングでどういう角度で取り上げるのか、あるいは取り上げないのかというのは、新しい総理、新しい大臣、新しい民間議員の下で御検討になることだと思います。
(問)今、社会保障の受益と負担の観点で、内部的には次の大臣にバトンタッチするまでに議論を進めておきたいというお話だったのですが、その内部の議論の中では、全額税方式というのも一つ検討項目として上がっているのですか。
(答)今、受益と負担の選択肢は作成しています。ただ、税方式かどうかというのは、負担の総量には関係ないのですね。要は、税か社会保険料かで負担の帰着が違うということですが、税と社会保険料を合わせれば負担の総量は一定ですので、大きく受益と負担というところでは違いはないと。制度としてどうかということになりますと、帰着は変わってきます。どんな形で選択肢を出すかは、今全体的な選択肢を作りつつあります。その負担の中でどうなっていくのかというのは、大きなベースとなる選択肢の中の幾つかの下部の議論としてあり得るんだろうと思っています。
 と言いましても、もう今日しかありませんので、今日も頑張って選択肢は作りたいと思っています。
(問)政府税調の方で、香西会長が負の所得税や給付付きの所得控除について議論したいという話をしていたのですが、大臣はこの考え方についてどのようにお考えでしょうか。
(答)議論としては大変重要な論点だと思うのですね。所得控除というのは、高所得者には有利に働きますし、所得控除がいいのか税額控除がいいのかというのは、税の在り方として、所得再分配の観点などから議論の余地は十分にあります。
 もう1点、歳出と歳入を一体化していくと。今、手当は手当で払っている。税は税、所得控除は所得控除、手当は手当となっていて、役所も違いますし、それぞれ別個に議論されておりますので、それを一体として給付を例えば税額控除の形でやり、課税最低限以下については還付の形でつまり負の所得税という形でやっていくというのは、先進諸国も取り組んでいることですし、十分に検討の余地があると思っています。「骨太方針」の中でも、議論の中身としてはそれを含むような書き方もなされています。
 ただ、これは例えば番号制のようなものができませんと、なかなか現実的には難しいということもあります。税というのは個人単位なわけですね。ところが、手当などを含みますと、これは世帯単位になってまいりますので、現実的には幾つもの準備がいるのだろうと思います。したがって、そうした議論を行っていくということは十分に必要ですが、来年度税制改正でどうするというようなことは、なかなか難しいのではないかと思っています。
(問)今仰られた番号制の導入については、大臣のお考えは。
(答)これは、民間議員が前から納税者番号を導入すべきだと主張しておりますし、私も必要だと考えております。
 これでもう一つ、社会保障番号についても社会保障カードの議論と併せて進んでいますので、政府全体の中でどう設計していくのかというのは、重要な論点ですね。今後の諮問会議の中で議論される論点の一つだと思っています。
(問)歳出・歳入一体改革の関係で、公共事業について自民党総裁選で色々と一律3%の削減には反対だという話もされていますが、この公共事業についての発言、考え方についてはどのように。
(答)たしか麻生幹事長は一律3%は反対だと言っておられますが、福田先生もそう言っておられますか。
(問)一律というのは……。
(答)一律と言う時の意味が私にはちょっと分からないのですが、麻生先生のお考えは、多分地方によって色々な状況を見ながらと、どの地域も3%ということではなくて、地方の状況を見ながらという意味で「一律でない」というならば、それはこれまでもやってきたことですし、安倍総理も地域の実情をよく見ながらというのは言っておられますので、それはそうなのだろうと思います。
 3%じゃなくてそれを2.数%にしていこう、つまりシーリングとは違う枠でということまで仰ってはいないように思うのですが、「一律」の意味が分かったらまた教えてください。
(問)例えば、今年度5%にする代わりに来年度は3%でなくもっと下げるということは考えられると思うんですけれども。
(答)それはまさに歳出・歳入一体改革でも短期の景気変動も見ながら行うようになっており、景気がうんと悪くなるのに、あくまでも3%削減だというようなことはないのだろうと思うのですね。それで幅を設けてあるわけですね。そういう意味だったのですか、麻生先生は。
(問)よく分からないですけれども。
(答)少なくともシーリングでは3%になっているわけですね。政府としてはそのシーリングでやります。
(問)1~3%の範囲でやれば、ある程度の変動はあってもということですか。
(答)歳出・歳入一体改革自体はそういう考え方で組まれているのだと思うのですね、1から3%。それは、景気変動だけではなくて素材価格の変動といったものも入れて1~3%が書かれているのだろうと思います。今の時点でそれほど大きい景気変動はありませんので、シーリングではマイナス3%になっているわけですね。今政府としてはマイナス3%のシーリングでいくということだと思うのですが。
(問)実際に地方から、自分の地方こそ公共事業の予算を増やしてくれという県が出ていて、社会保障を含めて歳出増の圧力が、総裁選の期間中ということもあって高まっていると思うのですけれども、この動きについてはどのような御所見を持っていらっしゃいますか。
(答)普通、政治の動きとしては歳出増に働きがちなのだろうと思うのですね。歳出減に働くことはないのだと思うのですが、やはり負担の面というのも常に併せて議論していかないといけません。後世代との世代間格差を広げることになってもいけませんので、諮問会議としてはやはり歳出削減で、あくまでもメリハリを効かせていく。必要な歳出ならばまずはメリハリの中で吸収していくと。それを超えてどうしても必要ならば、それは負担とセットで国民に選択を問うという形でなくてはならないと考えています。
(問)新しい首相に替わった場合、民間議員のメンバーも替わる可能性があると思うのですが、大きくメンバーが替わった場合に、今までの改革の流れも変わる可能性があると思います。現在のメンバーの構成なのですが、民間議員をがらりと変える必要があるのか、それともそのままでいいのかというところはどうでしょうか。
(答)これは新しい総理の御判断です。諮問会議の議長は総理ですし、民間議員は総理の任命ですので、総理の御判断によります。私の判断ではありません。
 ただ、今の民間議員は本当によくご発言下さり、いい提案をしていただいたと感謝しています。

(以上)