大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年8月31日

(平成19年8月31日(金) 10:21~10:30  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議の発言のうち主なものと私の部署に関係するものをご報告いたします。
 総務大臣から労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について、それから厚労大臣から有効求人倍率について発表がありました。あとは防災訓練などについての発言です。
 閣僚懇談会では格別の発言はありません。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)本日公表になりました完全失業率とCPIについての所感と、デフレ脱却への道筋を含めた景気認識についての御所感をお願いします。
(答)雇用につきましては、御存じのように失業率は0.1ポイント下がりましたが、内訳を見ますと、失業者も8万人減りましたが、雇用者も18万人減っておりますので、状況としては先月と変わっていないと見ております。今の数字は前月差ですね、前の月と比べてです。
 有効求人倍率も1.07、横ばいです。中身を見ましても、新規求人、新規求職ともに減少しておりますので、これも状況は変わらないと見ております。雇用情勢は比較的堅調に推移しています。
 それから、実質消費支出が前月比で1.2%減ですね。ただ、この背景としてはセールが6月に前倒しされていること、天候で台風が来たり梅雨が長引いたこと、それにガソリン価格の上昇が加わっているということで、マイナスではありますが、この背景を見ますとそれほど心配すべき状況ではないと見ております。実際大きく減っているのが被服、履物、家具、家事用品といったところです。
 それから、鉱工業生産指数がマイナス0.4です。ただ、これも御存じのように地震の影響で輸送機械だけが前月比マイナス7.3%と。そして8月の予測を見ますと、全体として6.8%のプラス。特に輸送機械については22.2%の増加が予想されています。中越沖地震で自動車部品が供給が止まったという特殊要因ですので、生産についてもそれほど心配は要らないと見ております。
 消費者物価指数ですが、生鮮を除いてマイナス0.1%です。エネルギー、生鮮その他特殊要因を除いたコアコアで内閣府は見ておりますが、コアコアがマイナス0.3%ということで先月と変わっておりません。先月と同じく石油製品の寄与度が0.1ということで、その前月5月よりは若干上がってきております。全体として先月から消費者物価の動向は変わっておりません。
 といわけで、デフレ脱却の動きというのは先月から基本的に変わっておりません。景気につきましても、基本認識は同じです。生産にやや弱さがありますが、7月は攪乱要因がありましたので、来月までしっかり見ていきたいと。全体の景気回復の基調はしっかりしていると見ております。
(問)最低賃金についてお伺いしたいのですが、今回の参院選の結果を受けて総理も格差に配慮すべきだという発言をしていまして、今日は民主党の新体制も決まるということで、今度の臨時国会では最低賃金について議論になると思うのですが、民主党は1,000円への引上げを目指すと。政府の円卓会議では、中小企業の生産性向上を併せた形で引き上げると、違いもあるわけですが、そうした違いをどのように認識しているのかということと、この与野党逆転の状況の中でどのように議論を進めていくべきかについてお願いします。
(答)まず、後者の方からお答えしますと、与野党ともに最低賃金はやはり引き上げていくべきだという方向は一緒なわけですね。そのプロセスが問題になっているのだろうと思います。成長力底上げ戦略では、中小企業の生産性向上とセットで引き上げていくと。やはりこの方向でこれからも進めていきたいと思っています。その理由としましては、生産性向上とセットでいきませんと、中小企業へのダメージが大きくなって、それが雇用を減らす方向に出かねません。結局、最低賃金というのは一番弱いところと弱いところがせめぎ合う格好になるわけですね。特にパート社員、非正規雇用のところで最低賃金は増えるわけですが、この弱い立場にある労働者と弱い立場にある中小企業が対立する構図になりがちですので、そうならないように生産性向上をしっかりセットにしながら最低賃金を引き上げていくと。そして、雇用へのマイナス影響を可能な限り小さくしていくことが必要だと考えています。これは秋に円卓会議で本格的に中長期的な最低賃金の引上げについて議論していきます。
(問)中小企業予算ですが、最低賃金の引上げのためにITや人材育成支援が必要になると思いまあす。今の予算規模は1,600億円ぐらいだと思うのですが、これは大幅に上げていくべきなのか、それともそうではないのか、どのようにお考えになりますか。
(答)それ程予算規模を上げなくても、例えばITであれば、ITを使えるようにする、すなわち、基本的にITを補助するというよりは、中小企業がITを活用できるようにするということが主眼ですので、予算規模自体よりもその運用が重要と思っています。したがって、予算について数値目標を明確に立てて、それを達成していくことが大事だと考えています。
(問)サブプライム問題の関連でお伺いしたいのですが、今週マーケットはまだ不安定な状況が続いているのですが、その中で今週アメリカの指標で消費者信頼回復指数が落ちたことが大きく影響していたと思うのですね。これはサブプライム問題がアメリカの実体経済に少し影響を与え始めているといった懸念が出てきたのかという点をお伺いしたいのですが。
(答)当然、景気の下振れリスクという形での懸念はリスク要因としてはあると思いますが、今の時点で明確な指標としてはまだ出てきておりません。来週発表される雇用統計などに注目していきたいと思っています。まだサブプライム問題が大きくなってからの指標というのは、それほど明示的には出てきておりませんので、実体経済に与えるかどうかは十分注意しながら見ていきたいと考えています。
(問)与謝野官房長官が、税財政の議論は財務省を中心にしっかりやってほしいというような考えを示しています。税財政の議論は今後諮問会議でもと思うのですが、財務省を中心に行うべきであるとお考えになるのか、それとも諮問会議で行うべきなのか、その辺をお伺いしたいのですが。
(答)当然諮問会議でも議論はいたします。与謝野官房長官の御発言も、実際の担当は財務省であると。議論というよりもたしか担当や運営といった言葉使いだったと思います。もちろん担当官庁は財務省です。税も制度の細部を詰めたりするのは政府税調ですし、担うのも財務省ですけれども、議論は諮問会議でも行っていきます。それはこれまでと変わりません。

(以上)