大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年8月27日

(平成19年8月27日(月) 22:48~23:05  於:記者会見室)

1.発言要旨

 経済財政政策担当大臣を引き続き拝命することになりました。引き続きよろしくお願いいたします。
 総理からは、改革を継続し、成長路線をしっかりと続けていかなくてはならないので、引き続き尽力されたいという指示がございました。
 具体的には、「骨太方針2007」に基づき、関係大臣とも連携し、以下の3つの優先課題に全力を挙げて取り組まれたいと。
 まず第1に、人口減少や国際競争の激化といった状況の中で、我が国が将来にわたって繁栄していくためには、成長力を強化して経済成長を持続させることが極めて重要であり、(1)成長力底上げ戦略やサービス革新戦略等の成長力加速プログラム、(2)グローバル化改革、(3)労働市場改革、(4)地域活性化といった取組の加速、深化に努力されたい。
 2番目に、財政健全化に向けて、「歳出・歳入一体改革」の推進に努力されたい。
 3番目に、経済成長の成果を有効に活用しながら、持続可能な社会保障制度の総合的な改革、再チャレンジ支援、総合的な少子化対策等についての取組を進め、安全・安心で柔軟かつ多様な社会の実現に努力されたい。
 これに加えまして、2点、付け加わる事項があります。1つは、これはまだあくまで仮称ですが、地域力再生機構について検討し、その実現に努力されたい。もう1点は、市場化テストですね、公共サービス効率化法の着実な実施など、経済活性化に向けた規制改革をさらに推進されたい、ということです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)それでは、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 今の指示のお話とも絡みますが、再任されたということで、改めて大臣自身の抱負、今後御自身で考えていらっしゃる重点的な課題を挙げていただいて、それにどう取り組んでいかれるか、まずそのあたりからお尋ねいたします。
(答)「骨太方針2007」が、いよいよもう実行段階に入ります。これから1年間が、本格的な政策実現のための期間になりますので、これを着実に実行するということが、何より重要だと考えています。
 それから、2番目の課題としましては、この景気回復の成果を地域や家計に波及させるということが大事で、特に地域経済の建て直しということが重要な課題ですので、地域力再生機構を初めとした本格的な再生策に取り組んでいきたいと考えています。先ほどの官邸での記者会見でも申し上げましたが、民間議員が地方に出向いて、地方経済財政諮問会議を行いたいと考えています。
 それから3番目に、これから税制の議論が始まります。諮問会議では、社会保障と税をセットで捉えて、国民の皆様に選択肢を提示して、給付と負担の両面から議論していきたいと考えています。
 重点を特に置くべきは、その3点です。
(問)内閣全体を見渡してみて、新任の大臣がいろいろ各所に配置されたわけですけれども、その布陣について、特に改革の継続ということに関して、どのように御覧になっていらっしゃるかお尋ねいたします。
(答)経験豊富な方が大変揃われて、頼もしい内閣であると思います。それから、地域については増田大臣がお入りになって、国民から見ても分かりやすい布陣になっていると思います。地域力再生機構を一緒にやっていく大臣としては、増田大臣、渡辺大臣になります。それから、社会保障の議論は、舛添大臣になります。それから、歳出・歳入一体改革は、額賀大臣と御一緒にやっていくことになります。そういう意味で、しっかりと連携を取って改革を継続できると考えています。
(問)格差問題についてですが、直接の担当は総理大臣だと思うのですが、いろいろこの1年、底上げ戦略等で格差是正のための政策の土台は打ち出されてきたのですが、これからそういった格差是正のためにどういった対策が必要なのか、今あるメニューだけでよいのかどうかということについて教えてください。
(答)格差是正については、格差を固定化させないという観点から成長力底上げ戦略を企画して、今、実行段階に入るわけですね。1つは、職業訓練を誰でも企業の現場で受けられるようにするジョブ・カード制度。それからもう一つの大きい柱が、中小企業の生産性向上と最低賃金引上げをセットで行っていくこと。この2つは、私は必ず効果を持つと思っておりますし、不可欠の政策だと考えておりますので、まずはこれらをしっかりと実行していくことに尽力したいと思います。
 併せて、これは前から申し上げていることではありますが、この景気回復を長く長く続けることが、やはり根底にないといけません。経済の低迷というのが一番弱者にダメージを与え、格差を拡大させますので、景気回復を長く長く続けていくということが、私のもう一つの大きい課題だなと考えております。
(問)片やこの間の「経済財政白書」にも、景気が長く続いても格差は縮まらないという例が、アメリカとかイギリス、カナダで出ていましたが、そういった懸念はこの国にはないのでしょうか。
(答)前ほど縮まりにくくはなっていると思いますが、これまでの2002年1月の底からの歩みを見てみますと、どの地域でもやはり生産、雇用は少しずつよくなって、じわりじわり明るくなってきています。それから、明らかに雇用はよくなってきています。新卒の採用は確かによくなってきていますので、私は、確実に景気回復を長くすることで縮まっていく格差というのはあるというように考えています。その構造は変わらないと見ています。
(問)諮問会議ですが、存在意義が弱まっているというようなことも言われているのですけれども、それについて改めてお考えをお伺いしたいのと、メンバーが新たに替わって、運営の方法等について、これまでの反省を踏まえて何か見直す点があるのかどうかについてお伺いします。
(答)基本的に、役割は変わっておりませんし、重要性も変わっていないと考えています。ただ、小泉内閣の時と違ったのは、何をやるかということをまず作っていかなければいけない状態にありました。「骨太2007」までは、何をやっていくのかをずっと議論してきた段階でしたので、議論も幅広く行わなくてはいけませんでした。
 ただ、「骨太2007」で一応のメニューが出来ました。これは、このままタスクフォースで実行を検証していくと。併せて、今後議論していかなくてはならない課題、さっき申し上げた社会保障と税のセットでの議論、地域経済の建て直しの議論、あるいは歳出削減の制度改革の議論など、これから議論するものは徐々に焦点が絞られてきておりますので、これから年後半の諮問会議では、焦点を絞ってじっくりと議論していきたいと考えています。それによって、国民の皆様にも問題点がよりオープンに、よりクリアに示されるようになると考えています。
 やはり、与野党が拮抗した状態では、国民が政策の選択をできるように、逆に言いますと、選ばれる政策を作っていくことが非常に大事ですので、その意味で、これまでにも増して、分かりやすく、見せる議論というものを心掛けたいと考えています。
(問)今の質問に多少関連いたしますが、運営のあり方や見せ方の問題ですが、これまでは改革のエンジン役ということで、ある意味非常に分かりやすい改革の方向性を示してきたわけですけれども、選挙で示された民意を考えれば、これからは地方ですとか格差の問題、そういう弱者の方にどうやって視点を当てていくかというのも大切な視点になると言われております。そのあたり、諮問会議の中でそういう問題についてどう向き合っていくのか、何か考えはございますか。
(答)まず、地域については、先ほど申し上げました地域経済建て直しということで、地域力再生機構といった新たな政策メニューも含めて考えていきたいと思います。それから、格差については、成長力底上げ戦略を実行に移していくと。そのメニューで十分であるのか、あるいは十分ではないのかということも、問うていく必要があるのだろうと思います。私たちなりに「骨太2007」に向けて考えてきたことは、成長力底上げ戦略であり、地域に対しては地域力再生機構なわけですね。これらがこれから実行段階に入っていきますので、どのような効果が期待されるのか、残された問題点は何かということを議論する中で、なるべく地方の声あるいは幅広い声を受け止められるように、工夫していきたいと考えています。
(問)税制改革の議論もこれから本格化するのですけれども、消費税を含めた改革についての取組を、特に消費税問題をどう考えていらっしゃるのか。今回の選挙結果等のため消極論も出ているのですけれども、その辺を踏まえてお伺いしたいと思います。
(答)税の改革は2つの内容がありまして、1つは税構造ですね。これは、消費税だけではもちろんありませんで、所得税、法人税、消費税あるいは相続税、金融所得課税といったあらゆるものの構造をどう考えていくかということで、こちらは政府税調と連携を取りながら議論していきます。
 それからもう一つの御質問の消費税をどう考えるのかというのは、税負担、負担の量をどう考えるのかという議論の中でよく使われているように思います。これにつきましては、社会保障とセットで給付と負担の両面からどうあるべきか、選択肢を提示して議論したいと考えています。
(問)財政再建についてなのですが、与謝野官房長官が就任直後の会見で、基礎的財政収支の黒字化について、達成できるかどうかもう一度内閣できちんと確認する必要があるのではないかという趣旨の発言をされています。この発言についての受け止めとして、内閣府で試算の見直しなどを再度行うお考えがあるのかどうかお聞かせください。
(答)それは、プライマリー収支均衡に向けての試算ですね。これはこれまでも1回やって終わりではなくて、御存じのように「進路と戦略」を取りまとめる段階、それから今回の予算編成に入る段階でもその都度見直しており、前提も見直してきておりますので、既に御指摘の点はやってきているというように考えています。
 与謝野官房長官は、「骨太2006」の時と比較しておられるのかもしれませんが、「骨太2006」においては名目成長率3%として機械的に試算しているわけですね。対して今では、内閣府はモデルの中で試算しております。ですから、この計算の出し方が違っています。そのモデルにおいて、その時々の経済情勢を踏まえて、あるいは既に編成され実行に移された予算を組み込んで計算するということは、これまでもやってきておりますので、これからもやっていきたいと考えています。
(問)となりますと、与謝野長官がおっしゃっているような確認する必要は、現段階ではないということですか。
(答)はい。7月の時点で確認しておりますので、次にまた予算編成の要所で確認していきたいと考えています。
 直接はまだお話ししていませんので、与謝野官房長官の御発言が違う趣旨であるのか、それは確認をこれからしたいと思います。
(問)地方版の諮問会議という発言が最初の官邸での会見でもございましたし、先ほども触れられましたけれども、これはいつ頃、どういう形でやろうかという具体像はかなり分かってきていらっしゃるのですか。
(答)いえ、まだ分かっておりません。過去の例としては、郵政民営化を議論する時に、関係閣僚と民間議員が、地方3カ所でしたか、出かけて議論したという例があります。その時の例には特別こだわらずに、どういうやり方がよいかということを検討しているところです。
 では、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

(以上)