大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年8月13日

(平成19年8月13日(月) 10:01~10:11  於:合同庁舎4号館643号室)

1.発言要旨

 本日、平成19年4-6月期のGDP1次速報値を公表いたしました。実質成長率は前期比0.1%、年率0.5%、10四半期連続のプラスです。名目成長率は、0.3%、年率1.1%、3四半期連続のプラスです。名目成長率が実質成長率を下回るという逆転は2四半期ぶりに解消されました。ただ、前年同期比で見ましたGDPデフレーターはマイナス0.3%ということで、依然としてマイナス圏内にあります。
 需要項目で見ますと、民間最終消費支出が前期比0.4%で、伸びが鈍化いたしました。この背景は、所得の伸びが非常にゆっくりであることを反映していると見ております。雇用者報酬の伸びが前年同期比で見ますとプラス0.2%、これを1人当たり賃金で見ますと、マイナス0.7%ですので、賃金が伸びない状況が依然として続いております。ただ、消費は3四半期連続でプラス基調は持続しております。それから、民間企業設備投資は、前期比1.2%。これは6四半期連続のプラスで、堅調な伸びです。
 それから、外需の寄与度が低下いたしました。これは、アメリカ向けの輸出が落ちていることが背景にあると見ております。ただ、アメリカ向けの輸出も、月例経済報告で見ますと、足元下げ止まって、若干のプラスに転じておりますので、今後の動向を見たいと考えています。
 以上を踏まえまして、景気の現状として基調に大きな変化はなく、回復が持続していると見ております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)改めて今の最後の御発言について確認いたします。成長率について見れば、プラスは維持したものの、実質の成長率は大幅に鈍化した結果に今回なっているわけです。その要因について、景気の基調に対する判断が変わらないことですが、今後、何か注意点などがあれば大臣の方からお聞かせください。
(答)今回落ちましたのは、消費支出の伸びが鈍化したこと、それから外需の寄与度が低下したことですが、消費もプラス基調は維持しております。それから、雇用者報酬も緩やかながらプラスで、これは雇用者の数が増えていることですが、緩やかながらプラスを維持しておりますので、まだそれほど悲観的ではないと、消費の持ち直しは続いていると見ております。
 それから、外需の寄与度は、先程申し上げたアメリカ向け輸出が減少したことが大きい背景にありますが、アメリカ向けも足元では、これは月例経済ベースですのでちょっと数字の取り方は違いますけれども、若干プラスになっておりますので、今後の様子を見たいと思っております。
 今後の動向として、やはり留意点は、アメリカ経済の動向それから原油価格の動向が景気に与える影響ですね。これらの点を注意したいと思っております。
(問)ただ、0.1%はかなり大幅な鈍化だと言えると思うのですが、それでも回復は持続していると思っていらっしゃいますか。
(答)はい。設備投資は堅調な伸びですし、企業、生産は、月例で見られるように生産の一部に弱さはありますが、設備投資、企業の収益は堅調に伸びておりますので、景気を牽引していることに変わりはないと。企業がしっかりと回復している点に変化はないと見ておりますので、回復基調はしっかりしていると見ています。
(問)ただ、やはり従業員の賃金に……
(答)そうですね。賃金がなかなか伸びてこない。これについて、今回の白書でも様々な観点から分析しております。団塊世代の退職があることですとか、地方公務員の給与の伸びですとか、構造的には幾つかの要因が作用していると考えられますが、足元の需給で言いますと、雇用の環境は良いですし、4月に初任給が良かったわけで、こうした需給の逼迫が徐々に現れてくると見ております。
(問)外需の寄与度が落ちた背景として、アメリカ向けの輸出が落ちたことを理由に挙げていらっしゃいますが、このところのサブプライムローン問題が、アメリカ経済あるいは金融面に与える影響について、改めてお伺いしたいのですが。
(答)まだサブプライムローン問題が今後どう展開するかは、今の時点では読みづらい点があります。まだ、実体経済への影響はそれほど大きい波及はなく、金融資本市場への影響になっています。これが、今後、例えば消費者のマインドを冷やすような実体経済への影響があるかは注意深く見ていきたいと思っています。
(問)1人当たり賃金の伸びの鈍化が引き続き留意点ということは。
(答)先ほど申し上げた留意点はリスク要因ですが、これはリスク要因というより現在上がっておりませんので、今後の様子を見たいということですね。
 ユニット・レーバー・コストも、今回のQEを受けて計算しますと、マイナス2.06です。1-3月期はマイナス2.21でしたので、若干マイナス幅は減少しているとは言え、横ばいですね。依然として賃金は伸びておりません。ここが安定的に上がってきませんと、なかなか消費の伸びが堅調な動きにはなってこないと見ています。
(問)日銀の金融政策への関係でお聞きしたいのですが、サブプライムローン問題による消費者マインドへの影響も今後懸念される材料になり得るかと思うのですが、今回のGDP速報の結果を受けて、日銀の利上げへの影響をどのようにお考えになりますでしょうか。
(答)金融政策は、日銀が来週行われます金融政策決定会合でお決めになることですから、私の方からのコメントは控えたいと思います。今回のQEを含めて、さまざまな経済の動向をつぶさに点検して、日銀が決定されるものと思います。
(問)改めて、先行きの景気について、もう一言いただけますか。
(答)今後も、民間需要主導の景気回復基調は続くと見ております。足元で生産に弱さは見られますが、2004年後半の踊り場の時は、ITが世界的に需給が軟調だったのですね。世界的にITの需要が落ちて、特に中国、台湾向けの輸出が明確に落ちたことがありますが、今回はITの生産につきましても国内に留まっておりますので、あの時の状況とは大きく異なると思っております。
(問)デフレ脱却に向けてですが、仰った通りユニット・レーバー・コストとGDPデフレーターについて、依然として改善のスピードが遅々としておりますが、今後の見通しをどうお考えでしょうか。
(答)GDPデフレーターは依然としてマイナスにありますが、今回内需デフレーターがプラスに転じました。内需デフレーターが前年同期比0.2%です。1-3月期はマイナス0.1%でしたので、内需デフレーターはプラスに転化しております。デフレ脱却に向けての動きは続いていると見ておりますが、CPIはマイナスですし、今仰ったユニット・レーバー・コストもマイナス圏内にありますので、デフレ脱却が視野には入っておりますけれども、まだデフレ脱却が確実なものとは言えないと見ています。

(以上)