大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年5月22日

(平成19年5月22日(火) 18:20~18:45  於:記者会見室)

1.発言要旨

 ただいま、月例経済閣僚会議が終了いたしました。
 その概要を私から御報告いたします。今月の判断ですが、景気は生産の一部に弱さが見られるものの回復していると、先月から判断を変えておりません。今月の動きとしまして、家計消費については持ち直しの動きが見られると判断しております。その一方で、生産の一部に弱さが見られます。この背景としまして、昨年末、自動車などで生産が高い伸びになりましたが、その反動があります。それと、IT関連生産財の生産が横ばいになっております。こういうことが背景にありますが、企業収益が改善しているといったことから、景気回復の基調はしっかりしたものであると見ております。
 先行きにつきましては、原油価格の動向が経済に与える影響等を注視する必要がありますけれども、景気回復基調が続くと見ております。
 それから、基本的態度につきましては、お手元の資料の2ページ目にございます。ご覧いただければと思います。
 主な意見を御紹介いたします。
 まず、質問としまして、渡辺大臣から3月の日銀短観は中小、中堅が弱かったと。それから、3月のCPIは0.3%の低下、景気動向の一致指数が3ヵ月連続でよくないと。デフレ脱却というのはいつごろだと見ているのかと。デフレ脱却が視野に入っているというふうに私どもは見ておりますけれども、それはいつごろまでが視野に入っているのかという質問がありました。
 それから、日銀に対しては、同じく渡辺大臣ですが、より長い目で見て、物価のプラス幅は拡大すると、日銀の方から御説明がありましたけれども、そのより長い目というのはどれくらいの長い目なのかという御質問がありました。これに対しまして、まず日銀の方からは、具体的な数字として長い目というのはどれくらいの期間というのは、数字としてはなかなか答えられないという回答がありました。内閣府からは、4つの指標で見ていると。今回の内閣府の資料の8ページに物価を見る指標が幾つかございますが、CPIは足下でコアも、コアコアも下がっていますと。それから、GDPデフレーターはまだマイナス圏にはありますけれども、これは水面上に向かっていると。需給ギャップもプラスになってきつつありますが、気にしているのが単位労働費用で、これがなかなか上がらないということが気になると。この背景はいろいろな形で分析をしているけれども、なかなか説明が難しいと。この状況からいつ脱却できるかということは、なかなか言える状況にないということを高橋統括官の方から御説明いたしました。
 次に、御意見として中川幹事長から、2006年度中のデフレ脱却ということを政府は言っていたわけですけれども、これが実現できなかったと。できない上に、CPIが今下がってきていると。果たしてこれは日銀が言うように一時的な現象であって、いずれ物価のプラス幅が拡大すると見ていいのか。ここに構造的な問題はないのか。世界的に競争が激しくなる中で、労働需給は逼迫しているからといって、物価や賃金が本当に上がっていくのか、そこに構造的な問題はないのか。日銀も、金利の正常化ありきではなくて、市場がよくわかるようなメッセージを出していく必要があるのではないかという御意見がありました。
 同じく中川幹事長の御意見として、今回の内閣府の資料の一番最後のページに、地域がいろいろな人的資源を観光の目玉にしているという例が書いてございますが、この中で、松山の坂の上の雲ミュージアムについて、これは6,000万円の目標で寄附を募ったところ1億円の寄附があったそうで、こういう動きを支援していく必要があるのではないかという御意見がありました。
 それから、質問として、冬柴大臣から家計の金融資産が、同じく内閣府の資料の10ページにございますが、この中で株式・出資金の比率が増えているわけですけれども、家計の金融資産が今1,541兆円になっており、株価はこの家計の金融資産にどういう影響を与えたのかという御質問がありました。内閣府の方から、株価が上がったということがこの株式・出資金を膨らませ、それが家計の金融資産の上昇につながっていると見ているという回答がありました。主な御意見は以上です。

2.質疑応答

(問)中川幹事長の質問に関連するんですけれども、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、デフレがなかなか脱却できない理由として、その構造的な問題がありやなしや、この点について大臣の御意見を聞かせてください。
(答)4つの指標の中で私どもが気にかけているのは、単位労働費用です。昨年の夏から賃金がなかなか上がらないと。この背景に構造的な問題があるのではないかということで、幾つかの角度からいろいろ分析を試みています。例えば、団塊世代がリタイヤする効果があるのではないかとか、あるいは地方公務員の給与が下がっているという影響がないのかとか、幾つもの角度でやっているんですが、なかなか説明がつきにくいんですね。確かに、中川幹事長がおっしゃるように、労働需給が逼迫していることが賃金に跳ね返りにくくなっていると、この関連性が弱まっているということと、労働需給と物価の関連性も薄くなっているというのはあるというふうに思っております。それが本当に構造的な要因と言えるのかどうか、もう少し精査してみたいと思っています。
(問)月例経済報告とは直接関係のないことですが、平岩外四経団連元会長がお亡くなりになりました。大臣は、細川首相の私的諮問機関のメンバーでいらっしゃって、平岩レポートの作成におかかわりになっていらっしゃいます。平岩元会長がお亡くなりになったことについてと、平岩レポートがその後の日本経済や構造改革に与えた影響について、大臣のお考え、お思いのところをお聞かせいただければと思います。
(答)先ほど知って大変ショックを受けています。平岩レポートのときも、穏やかなんですが、本当に芯が強く毅然としたリードをしてくださいました。平岩レポートの後も本当に温かく見守ってくださいましたので、ショックを受けています。非常に幅の広い読書家で尊敬しておりました。本当に今ショックを受けています。
 平岩レポートのその後の成果ですけれども、あのときに中心になった課題が規制改革でした。規制改革で経済的規制は原則廃止すると、社会的規制についても本当に必要性があるかどうかを厳しく判断するということがありました。それを受けて行政改革委員会がつくられ、規制緩和小委員会で規制改革の本格的な議論が始まりました。そういう意味ではその後の規制改革の流れをつくったというふうに見ております。規制改革や行政改革の大きい動きの原点になったというふうに見ています。
(問)アメリカ経済について、今回の基調判断を下方修正しましたけれども、アメリカ経済に対する動向について今思っていらっしゃるお考え、それから、減速感が出てきた中で、やはり日本経済への影響をどういった点で一番憂慮されるか、あわせて伺いたいと思います。
(答)アメリカ経済については、将来に向けてのリスク要因ではありますので、大変注目しておりますが、これまでの動きを見ますと、住宅建設も足下で少し上がりました。設備投資も足下でやや回復してきておりますので、ソフトランディングへの動きが続いているというふうに見ております。消費が比較的強さを保っており、このままソフトランディングの動きが強まっていると見ておりますので、今の時点で日本経済にそれほど大きい影響はありませんが、アメリカ向けの輸出が足元少し落ちているということもありますので、今後の動きは注視していきたいと思っています。

(以上)