大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年04月20日

(平成19年04月20日(金) 9:05~9:26  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日の閣議ですが、まず日本学術会議が共同する国際会議について、次に多重債務問題改善プログラムの決定について、最後に松岡農林大臣のインド及びパキスタン訪問の結果について御発言がありました。その後の閣僚懇談会ですが、能登半島の地震対策について、総理大臣、防災担当大臣、総務大臣、経産大臣、国土交通大臣から御発言がありました。閣議の報告は以上です。
 諮問会議ですが、今日開催します。今日は、以前ご案内しましたように、生産性加速プログラムの2つ目の柱であるサービス革新戦略について高市イノベーション担当大臣、それから規制改革の関連で渡辺大臣と草刈議長をお呼びして議論を行います。それから2つ目の柱の中に、地域経済の本格的な再生に向けての議論も含まれますので、それに関連して渡辺大臣には引き続きおいでいただき、また山本大臣にもおいでいただきます。今日の諮問会議については以上です。
 それから、前回この場で来週23日と25日に開催すると申し上げましたが、既にご案内しているとおり国会日程の関係で23日には開催できなくなりました。25日は予定どおり開きます。税制改正の議論は、香西会長においでいただいて25日にいたします。他の議題については、少し時間の変更もありますので、今最後の調整をしております。生産性加速プログラムの取りまとめは25日に行いたいと考えています。
 あと1点、昨日物価安定政策会議が開かれまして、東京地区のタクシー上限運賃改定についてさまざまな議論があり、意見が大きく分かれました。この会議でこれほど意見が分かれることは異例ですので、私からも御報告をいたします。東京地区につきましては、既に御案内のように車両ベースで90%を超える事業者から、7.2%から28.6%、平均で18.7%の運賃引上げを求める申請がなされています。これに対して、反対の意見や引き上げる場合でも引上げ幅を含めて慎重に検討すべきであるという意見が多数出されました。タクシー運転手の賃金の状況を考えるとある程度の運賃引上げはやむを得ないという意見もありました。併せて一層の経営合理化、タクシー運転手の労働条件の改善の確保、多様なサービスの提供の必要性についても意見が出され、取りまとめが行われました。議事概要につきましては、既に皆様にお配りしてあると思います。
 これに加えまして、タクシー会社の経営や賃金体系のあり方、運賃改定した場合にタクシー会社の収益や運転手の賃金は実際どうなるのか、申請されている運賃引上げ幅の根拠や妥当性はどうなのかといった意見も多く出されたようです。運転手の賃金が非常に厳しい状態にあることはデータでも示されておりますし、今回の運賃改定申請が10数年ぶりであるということも事実です。ただ、消費者物価が上がっていない中での申請ですので、この物価安定政策会議の意見を踏まえて政府部内でしっかり検討していく必要があると考えています。
 また、公共料金については消費者への説明責任が一番大事ですので、昨日の議論でもありましたように、上げる場合の根拠、運転手の賃金が下がっている背景に何があるのか、労働条件の問題はないのかといったことを、厚生労働省も含めて検討する必要があると思います。経営努力は本当になされているのかといった面からもしっかり検討して、今後の運賃改定を議論する必要があると考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)来週の23日に政府部内の教育関係の会議が合同会議を開くとのことですが、諮問会議の方でも大学・大学院会議を議論しているということで、この合同会議の意義について大臣からコメントを頂けますでしょうか。
(答)前回の諮問会議では、幾つかの場で教育の議論がされているので、関係会議間の意見を出し合って教育再生会議の場で取りまとめてほしいという御発言が総理からありました。今、幾つかの場で教育の議論がされているということは、改革していく機が熟しているということだと思いますので、ここでしっかりと議論をしていくと。それぞれ検討しているのは大学教育なのですが、アプローチが異なります。経済財政諮問会議は成長力の強化、イノベーション25はイノベーションを行う人材、教育再生会議はまさに教育のあり方、規制改革会議は大学に関する規制が適正かという観点からそれぞれ議論しております。それぞれアプローチが違いますので、大いに議論していただくべきだと思います。 これまでもプロジェクトXという教育再生会議での検討の場があったと聞いておりますが、それを拡大させて政府全体で議論していくというのは大変意義があることだと思っています。
(問)会議を作り過ぎて、もう一度会議を引き合わせる会議を作る必要性が出てきたのかと思うのですが、その辺りはどうでしょうか。
(答)教育ということに関して幾つもの会議が出来たわけではありません。諮問会議、イノベーション25、規制改革会議は従来からございました。それぞれの中で教育改革というものが議題に上がってくるということは、やはりここが日本の将来にとって極めて重要な改革イシュー、政策課題であるということなのだと思います。会議が多いのではなく、いろいろな会議で教育改革が議論になった、このことが重要だと思っています。
(問)合同会議という形式では、定期的に開催する方向なのでしょうか。
(答)合同会議の進め方そのものについては承知していません。回数や期間は未定ですが議論をし、また教育再生会議にその意見を反映させていくということだと思います。骨太方針の取りまとめに当たりましては、また諮問会議でも引き取って議論をしたいと考えています。
(問)今お話のあったタクシーの件ですが、国土交通省の発言を聞いている限りは、一応いろいろ意見は聞くが、幅はともあれ値上げはありきだというトーンを強く感じました。確かに大臣が仰ったようにCPIが上がらない中で平均で18%の上げがどうなのかという議論はあると思うのですが、大臣自身どのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。また物価については関係閣僚会議というプロセスもあり得ると思うのですが、どのようになりそうか伺いたいと思います。
(答)物価については閣僚会議で最後に決めますので、国土交通省が始めから上げることを前提にしているのではないと思います。閣僚会議に諮るに当たって、物価安定政策会議の意見を聞いておりますから、昨日の意見はしっかりと踏まえていただきたいと思います。
 通常規制改革とは、供給サイドの効率化や、多様な需要を生み出す工夫がなされて消費者のメリットになるという議論です。このタクシーに関しては、業界の中で効率化努力や需要を掘り起こす努力がどれぐらいなされたのかがはっきりせず、運転手の収入が下がったという面だけが表に出てきております。
 運転手の賃金が下がっているから、では値上げをして消費者負担の下でそれを改善するという運びは、すぐには納得しがたい点があります。昨日の意見も踏まえつつ、もう少しいろいろな根拠、データをお示しいただいて、政府部内で議論する必要があると考えています。
(問)昨日の物価安定政策会議ではタクシーの規制緩和についてはいろいろな意見がありました。需要がまず増えておらず、運転手の賃金は非常に下がっているとのことです。さらに運賃が上がってしまうと、規制緩和というのは本当にいいものなのか疑問が出ると思います。規制緩和の良い効果が今一つ出ていない背景について、御所見がありましたら伺いたいと思います。
(答)規制改革の効果がどうあったのかということも、やはりきちんと分析する必要があると思います。規制改革によって多様なサービスが出てきたり、価格が全体的に下がったり、業界が効率化するということなのですが、タクシー業界については分析がほとんどなく、直接運転手の賃金の話になっているところに疑問があります。何か業界の構造的な問題はないのか、歩合制が規制緩和前に比べ増えているわけですがそこに問題はないのかという分析が必要だと思っています。規制緩和そのものが悪いとまず言うのではなく、その利益は一体誰に行ったのかという分析もないままに消費者の負担で運転手の賃金を上げるというのは、少し議論としてはおかしいと思っています。
(問)大臣としては、きちんとタクシー業界の構造分析が済まないと値上げには踏み切れないと考えるのか、あるいは値上げしてからそういう分析をしてもよい、構造改革が進めばそれでよいというお考えのどちらなのですか。
(答)昨日私は出られませんでしたので、議事概要を見ておりますが、やはり議員の皆様も同じように、今のまま値上げをして本当に問題は解決するのかということを考えておられるようです。
 例えば運転手の労働条件の改善については、運賃引上げだけでは解決しないのではないか、歩合制の賃金体系も含めて業界全体のあり方を見直さないと業界にとっての解決にならないのではないかといった意見が出ています。17年度では車両数自体が増加していると。現行の価格体系でタクシー事業への参入があるということであり、そうであれば運賃引上げに反対だという御意見があります。構造改革とどちらが後先ではなく、まず運賃を上げることの背景説明がしっかりあって、その中に何が原因で賃金が下がってきたのか、業界は何が変わったのかということが必要です。先ほど御質問の中にあったように、このまま運賃が上がると更に需要が減りますので、そのしわ寄せが運転手に行きかねないと思うのです。運転手も消費者もどちらもデメリットを受けるということではいけませんので、そこはしっかりと説明責任を果たし、データも見ながら検討する必要があると思っています。
(問)今日の諮問会議ですが、地域経済について取り上げるということで山本大臣がご出席されるとのことですが、渡辺大臣と山本大臣からもそれぞれ御意見やペーパーが出るということなのでしょうか。
(答)ペーパーが出されるかどうかはまだ承知しておりません。地域全体を考える時には、企業、自治体、金融機関が一体となる必要がありますし、ヒト、モノ、カネ一体となって改革する必要がありますので、おいでいただきます。そしてその中で御意見を頂き、議論に加わっていただくということを考えています。
(問)今、東京や都市部はいいが地域はあまりよくないといった格差の議論がありますので、そういったことへの対応ということも含めての施策だと思うのですが、現時点でどこに問題がありどういう方向性で切り込んでいこうとされているのでしょうか。詳しくは今日の諮問会議で議論されると思いますが、現段階で仰れることをお願いしたいのですが。
(答)今の地域間のばらつきの原因の一つですが、公共事業に依存していたところほど厳しい状態が続いております。ということは、公共事業に代わる強みのある産業が育ってきていないのだと思います。そこをどう育てていくか、そしていろいろなところで話を聞きますのは、やはり人材、特に経営人材が鍵だということを聞きます。
 単純にどこかを支援してそこだけ扶養するというのではなく、地域が自ら強みを作っていける鍵になるのは、やはり人材です。そういうことを総合的に、人材、資金、あるいは自治体とが一体となった改革への取組が必要なのだと思います。今日は民間議員からそういう提言がなされると見ています。
(問)地域の自治体については、地域の活性化に積極的に寄与する一方で、現在地域の自治体や三セクが地域の経済に悪影響を及ぼしているという問題もあるのですが、その是正についての話も出るのでしょうか。
(答)詳しくは諮問会議の議論を聞いていただきたいと思いますが、当然そういう問題も含めて考えなければならないと思います。
(問)さっきのタクシー運賃の確認ですが、上げる上げないはまだ審査中ということで、先行して長野、大分に関しては値上げが認められる方向ですが、大臣のお考えの中では東京都に関してはまだ白紙だと思っていいわけですか。
(答)東京都に関してはまだ白紙だと思います。白紙だから、物価安定政策会議を今開いてご議論いただいたわけですね。
(問)昨日の議論を聞いていると、厳しい意見がかなり出ているのですが、最終的にはやむを得ないという文言が盛り込まれていたものですから。
(答)ただ取りまとめを見ますと、タクシー運賃の引上げについては否定的な意見があったということです。引上げ幅も含め慎重に検討すべきであるとの意見が多かったとなっております。また、「運賃引上げを認める場合には」という話であり、認めるかどうかは、まだ物価安定政策会議の取りまとめには出て来ていません。もともと物価安定政策会議は認める、認めないという決定を下す場ではありません。意見を言う場ですので、この意見のすべてをしっかりと踏まえなくてはいけないと思っています。
(問)先程のタクシー運賃の続きですが、厚生労働省の意見を踏まえてと大臣は仰ったんですが、運賃の改定に関して厚生労働省はどのように関与しているのですか。
(答)意見を踏まえてというより、この労働条件の改善は運賃引上げだけでは解決しないのではないかという意見が出ております。運転手の収入が下がっている背景には労働条件の問題はないのか。これは恐らく厚生労働省の管轄だと思いますので、そこも併せてご検討いただく必要があるのではないかと思っています。
(問)それは、閣僚会合にその意見を持ってきてもらうということですか。
(答)そこまで具体的には申し上げていません。収入が下がっていることが値上げの一つの根拠として挙げられているのだと思いますが、労働条件自体は問題ないのかということです。収入が下がっているときに、単純に運賃を上げれば収入は本当に上がるのかどうか、労使間の問題はないのかということは、これは厚生労働省の管轄であろうということで申し上げました。
(問)確認なのですが、大臣の意見としては、ある程度しっかり分析ができない限り上げるべきではないということでよろしいのでしょうか。
(答)分析ができない限り、そういう後先論ですといつまでも決着がつかないことになり得ます。少なくとも昨日出た意見を踏まえて、これに対してご説明いただきたいと思っています。私自身もそれをしっかりと参考にして考えたい、政府部内の検討に反映させて活かしていきたいと思っています。

(以上)