大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年1月22日

(平成19年1月22日(火) 18:47~19:20  於:記者会見室)

1.発言要旨

 本日、月例経済報告に関する関係閣僚会議が開かれましたので、概要を私の方からご説明いたします。
 今月の景気判断につきましては、「景気は、消費に弱さが見られるものの、回復している」と先月から変えておりません。
 今月のポイントとしまして、家計所得が鈍化していることから、家計消費については引き続き概ね横ばいと判断しております。
 一方、企業面を見ますと、生産が緩やかに増加しているなど、引き続き企業部門の好調さが持続しております。したがって、景気回復の基調はしっかりしたものであると判断しています。
 先行きについては、企業部門の好調さが家計部門に次第に波及してきて、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見ております。
 その後の質疑につきまして、詳しくは後ほど事務方から御報告いたしますので、私の方から簡単に幾つか重要なものを御紹介したいと思います。
 まず、中川政調会長から、企業から家計に波及するという見方については、政府・日銀ともに同じ見方ですけれども、これは今後本当に波及するのか、足下はどうなっているのかという質問でした。足下は伸び悩んでいるけれども徐々に波及するという回答を政府がいたしまして、日銀からも、厳しいグローバル競争の中ですので、賃金コストは世界的に見ても抑制的である。したがって、企業から家計へのパイプが急に太くなるということはないにせよ、雇用市場は徐々にタイトになってきておりますので、家計への波及が進むのではないかという見方が紹介されました。それから、給与のルート以外に配当、退職金といった家計への多様なルートがあるという話がありました。
 それから、中川幹事長から需給バランスの見方について、日銀の推計ではやや需要超過である。しかし、政府の推計ではマイナス0.1%になっているわけで、供給超過である。このように見方が違うのはおかしいのではないか、諮問会議の場で認識の共有をしっかりとしてほしいという御指摘がありました。
 それから甘利大臣から、中小企業の収益が伸び悩んでいる、特に小さいところほど収益が伸び悩んでいる、年度末にかけて資金繰りが懸念されるために、経産省としても注視していきたいので、日本銀行としても、その点を十分に踏まえてほしい、という御指摘がありました。
 あと、内閣府の資料の中で、中小企業の収益が伸び悩んでいる背景として、人件費が圧迫要因になっているというグラフがございますが、これをめぐって、人件費として家計へ還元しているという見方ができるのではないかという意見と、なかなか人件費を転嫁できないから収益が伸び悩んでいるのではないかというような幾つかの見方が提起されました。
 以上が主な発言です。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、中川幹事長の発言として、需給バランスについて、政府と日銀の認識を諮問会議でしっかり議論して共有してほしいということですけれども、これに対してどうお答えになったのかと、あとその対応をどうされるのか。
(答)これまでも諮問会議ではマクロ経済運営について議論してきております。これからも基本的な視点を政府・日銀が共有して一体となった取り組みを行うように議論を深めていきたいというふうにお答えいたしました。
 実際、これまでも節目節目でマクロの議論をしております。前回やりましたのは、安倍内閣での諮問会議がスタートした直後でした。年明けなるべく早い時期に、またマクロ経済の議論はやりたいというふうに考えております。
(問)今の議論を深めていきたいというところなんですけれども、現時点では基本的視点というのが示されて、それを共有するという枠組みができていますけれども、議論を深めるというのは、さらにもう少し具体的に目標を共有する、例えば、中川幹事長は名目成長率目標を共有するとか、アコードを結んだらどうかとかそこまで仰っているわけなんですけれども、大臣が今仰った議論を深めていくということのお考えを。
(答)基本的にはマクロ経済の見方について認識を共有していくようにするということです。格別それ以上の何らかの枠組みとか、そういうことを意味しているわけではありません。
(問)中川幹事長の認識を共有してほしいという指摘に対して、福井総裁は何か回答はされましたか。
(答)いえ、御発言はありませんでした。
(問)年明けの早い時期にマクロ経済の議論を行いたいということなんですが、これは具体的には、2月20、21日の金融政策決定会合の前という意味なんでしょうか。
(答)なるべく早くやりたいと思っています。前回は今年の課題という大きい話がございました。次回も、時間がしっかりと取れたらやりたいと考えております。これは、諮問会議の時間がどれぐらい取れるか、あるいはほかの議題とどう調整するかといったようなこともあります。具体的にはいつということはまだ申し上げられません。
(問)マクロ経済といっても幅広いですが、その議論では何をテーマにするんですか。
(答)今、マクロ経済についての認識がお互いに共有されているかどうかですが、11月もまず経済の認識を内閣府と日銀で共有するというところから始めておりますので、そのように議論をしていきたいと思っています。
(問)現状は、政府と日銀の間でマクロ経済運営について認識が共有されていないというふうな認識なんでしょうか。
(答)いえ、私自身は共有されていると思っております。
(問)中川幹事長が指摘されたのは、需給ギャップについての見方がプラスとマイナスで違うではないかとその1点であって、マクロ経済運営全体の認識が政府と日銀の間でギャップがあるというふうな御指摘だったんでしょうか。
(答)需給ギャップについて、これが例示なのかどうか、今日の御発言からは明確でありませんが、日銀と政府とで数字が違うではないか、この見方が違うのはおかしいと。ただ、需給ギャップの推計の仕方が少し違うという点はありますので、この点は私の方からお答えいたしました。
 さはさりながら、認識を共有するということの重要性はありますので、推計方法が違うからそれでいいというわけではありません。ただ、推計方法が違うということはご説明しております。
(問)中川幹事長の御発言の中にアコードとか政策協定とか、あるいは政策協調というような言葉はありましたでしょうか。
(答)いえ、ありません。基本的な認識を共有すべきだという御意見でした。
(問)確認ですけれども、大臣としては日銀と政府の間で認識は共有されていると考えるけれども、今後、諮問会議で議論していくことになるということですか。
(答)マクロの見方、基本的認識、適切なマクロ経済政策をやるということは、非常に重要な柱ですので、折に触れてやりたいと考えています。
(問)その次の次の今度の諮問会議でマクロ金融政策について話すときの中身ですけれども、マクロの経済財政運営についての認識が共通しているかということと、その共通した認識に基づいて実際の運営がなされていくか、両方について議論がされるということでしょうか。
(答)まずは認識を確認するというのはありますね。
(問)去年の民間議員のペーパーの中で、認識の共有とそれに基づいて政策がなされているか、両方について検証するという指摘がありましたけれども。
(答)恐らく認識が共有されていれば、それに基づいて政策がなされていると、お互いにそこは発言するということになると思います。
(問)例えば、需給ギャップの話ですけれども、推計の仕方はいろいろと思うんですけれども、これ自体統一したやり方である方が望ましいなというお考えですか。
(答)基本的には稼働率の問題ですので、実際、GDPとの差をとればそれほど変わらないわけで、そこがしっかりと説明できるものであるならば、お互いそれぞれ判断する材料として推計しているわけですから、問題ないというふうに考えています。
(問)同じような質問で恐縮なんですけれども、諸外国がやっていますアコード、ある意味目標を設定して、それについて政府・日銀がコミットするというような枠組みの必要性というのは、大臣はどう考えますか。
(答)その点は諮問会議でもまだ議論していないということです。
(問)甘利大臣から、中小の収益が伸び悩んでいると。日銀についてもその点を踏まえてほしいという、中小に対する配慮と景気に対する懸念みたいなのが出されましたけれども、この景気認識というのは大臣も同じようなことをお持ちですか。
(答)中小企業の収益が伸び悩んでいるというのは、今日の内閣府の資料の中にもございます。甘利大臣の御発言は、資金繰りに十分に注意を払ってほしいという、配慮した政策をやってほしいという表現でした。
(問)その認識自体は大田大臣も同じような認識ですか。
(答)はい、そうです。甘利大臣の御発言も今日の資料に関連してということで、中小企業の経常利益の前年比が下がってきている点についてですので、これは同じ認識です。
(問)質問がダブってあれなんですけれども、この間の金融政策の結果について、総裁の方から何かしら説明があったのでしょうか。それから、あった場合、それに対する意見はどのようなものであったのか。
(答)日銀からのご説明の中で展望レポートの中間評価がございました。金融政策決定会合では政策についてはノーチェンジであると。そして、展望レポートについて、これは紹介されているとおりですけれども、そのご説明がありました。それに対して格別の意見はありません。
(問)くどいようですけれども、日銀と政府の需給ギャップの見方に違いがあるというような指摘について、大臣はそれは問題としてお考えなのか、それともそうじゃないとお考えなのか。
(答)基本は、推計方法に若干の違いはありますけれども、ほぼ同じ方向をしていますので問題はないと考えています。ただ、基本的認識を共有する、そしてマクロ経済運営をやっていくということは、既に諮問会議でも何度も確認しておりますし、諮問会議でもその議論は必要だと考えておりますので、需給ギャップが違うからやるのではなくて、マクロ経済運営の共通認識を持つというのは折に触れてやっていきたいと考えております。
(問)幹事長は以前から、望ましい物価上昇率を政府と日銀で共有すべきだという主張をされていると思いますが、今日の会合では、幹事長から物価について何か言及があったのか。もしくは、なかったとして、今後の諮問会議で物価について何か議論することがあったら教えてください。
(答)物価については、円安が進んで輸入物価が上がっているにもかかわらず、物価はゼロ近傍にあるわけですね。これはやはりデフレから脱却していないということではないかというご発言がありました。
(問)それは幹事長からですか。
(答)そうです。需給ギャップというのは、需給バランスをどう見るかという上で非常に重要な指標であるということで、さっき御紹介した発言になってきています。
 物価上昇率というよりも、物価の安定と民需主導の経済運営、これは非常に密接に関連しますので、両方について諮問会議で見ていくということは重要です。これは前回の基本的視点の中にも入っているものであります。
(問)確認なんですけれども、マクロについての議論を諮問会議でやりたいということは、前々からお考えになっていたことなのか、それともやはり今回の金融政策決定会合に向けたいろいろな動きを見て、早い段階でやりたいというお考えになったのか、そこら辺いかがでしょうか。
(答)まず11月の諮問会議でやりました。これは展望レポートが出たということで、なるべく早くやりたいということでやりました。今回、中間レビューも行われておりますので、そろそろ節目という感じだなと思っております。

(以上)