大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年1月19日

(平成19年1月19日(金) 10:43~10:54  於:記者会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
 今朝の閣議ですが、財務大臣から「平成19年度税制改正の要綱について」という御発言がありました。それから、厚生労働大臣から新型インフルエンザ対策について発言がありました。
 閣議での発言は以上2つです。閣僚懇談会では発言はありません。  閣議の御報告は以上です。
 諮問会議ですけれども、来週は予定しておりません。再来週開催の方向で日程調整中です。  私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨夜、テレビ東京で「増税なき財政再建」について大臣が言及されましたけれども、この真意について少しお伺いしたいと思います。
(答)言葉足らずでしたので、ここで改めて申し上げます。  昨日の発言は、2011年度にプライマリー収支を均衡させるために歳出削減を最大限に行って、増税幅を可能な限り縮小させていくという趣旨で、「骨太 2006」に沿ったことを申し上げております。
 ただ、昨日答申されました「進路と戦略」の試算を御覧いただくとわかりますように、14.3兆円の歳出削減を行い、名目成長率が3%台後半を視野に入れ る形で進めた時に、プライマリー収支の黒字化が達成されるわけで、このこと自体のハードルは決して低くはない、高いハードルですけれども、それをしっかり と目指していくという意味で申し上げました。
(問)それは、今までの成長に軸足を置いて増税幅をできるだけ圧縮していくという方針に全く変わりはないと。
(答)はい。最大限の14.3兆円の歳出削減を行っていくことを優先することを意味しております。「骨太2006」のとおりです。
(問)今の関連ですが、まずは歳出削減を徹底的に行うと。それによって、国民負担の縮小化を目指すという骨太の方針を大臣なりに言葉で表現したという感じでしょうか。
(答)はい、そういうことです。それは、本当に低いハードルではありませんので、そこを「進路と戦略」で描いた成長移行シナリオが実現するように「骨太2007」でも歳出削減の制度改革の工程を明らかにしていくと、そのことを目指していきたいと考えています。
(問)3.9%の成長率の達成をして、14.3兆円の削減が正しく実行できれば、増税は不要になるというシナリオだと思うのですけれども、それが例 えば理想形だとしても、その後の債務残高を圧縮させていかなければならない。その時は例えば消費税を上げるといった増税の必要性を否定したものではない と。
(答)否定したものではありません。プライマリーバランスは一里塚です。この場でも申し上げました が、今後、団塊世代がリタイアしたり、少子高齢化が進んだりということを考えますと、財政の在り方というのは常に点検していかなければいけないと。特に、 世代間の公平を維持するために、財政の在り方というのは常に点検していかなければいけないと考えています。
 昨日の有識者議員の提案の中にも、「世代間不均衡の是正」という一言がありましたけれども、これについてはまた内閣府でもその在り方を検討していきたい と考えています。
(問)消費税の関連で、一般的に基礎年金の国庫負担割合を引き上げる09年に消費税を上げるのではないかという見方がずっと強かったと思うのですけ れども、大田大臣の「増税なき財政再建」というのが、目標どおり達成できるような流れになっていれば、この秋の税制改正論議でも、特段09年に向けて引上 げは必要ないというか、引き上げない方向で議論が進んだ方がいいというお考えですか。
(答)基礎年金の国庫負担率の引上げに当たっては、安定的な財源ということが書かれております。これがどういう財源であることが望ましいかは、秋以降の議論だと思っております。  それから、予定どおりに進めばといっても、まだ歳出・歳入一体改革は始まっておりませんので、そこは本当にしっかり目指して、制度改革の工程表をしっかり作らないと、達成は担保されないわけですね。まだ始まってもいないという段階だと思います。
(問)この秋ぐらいまで、「進路と戦略」の政策が効果を発揮し、順調に経済が推移したとしても、09年の引上げ論議というのを否定するものではないということですか。
(答)否定するものではありません。そこは安定的な財源をどう見るか、あるいは歳出改革の工程表をどれくらいしっかりしたものができるかにかかっているのだろうと思います。
(問)歳出改革の工程表について、大臣は14.3兆円という数字を繰り返し強調していらっしゃいますけれども、工程表を作る時は、あくまでも 14.3兆円の達成を目指しておやりになるのか、11.4~14.3兆円という幅がありますので、その範囲内で最低11兆円を確保できるものを作ろうとな さるのか、という点についてお考えはいかがですか。
(答)今の時点では14.3兆円を目指します。ただ、これも数字として例えば1年間に幾らというよう なことではありませんで、その裏打ちとなる制度改革をやっていくということです。例えば社会保障であれば、高コスト構造是正プログラムを今やっております し、公共事業ですと、公共事業をどういうルールでやるかということを冬柴大臣に検討をお願いしています。公共事業も幅を持って書かれておりますので、その 最大限のところを目指していくということですね。
(問)工程表のイメージがもうひとつわかりにくいのですが、前もそういう議論がありましたが、この年にこの金額を削減するというものではないのであれば、結局どういうものになるんでしょうか。
(答)制度改革です。制度改革は、毎年同じだけやっていくものではありませんので、例えば高コスト構 造の是正の場合と、着手してしばらく時間がかかるものもあると思うのですね。また、決まった時から毎年減っていくものもありますので、そこは1年間に幾ら という考え方は採れないと思っております。むしろコスト構造の是正でどれぐらいの金額が削減できるのか。これは、今内閣府でも推計をしようとしておりま す。その中で、社会保障ですと、国で1.1兆円となっておりますけれども、そのどれぐらいが高コスト構造是正でできるのか、という改革の姿を示すというこ とです。
(問)工程表には、順番が書いてあるということですか。
(答)工程というと、どういうスケジュールで改革していくかというのをこれまでも工程表と呼んでおります。2011年までにどういう形で制度改革をやっていくかということですね。
(問)歳出改革で、14.3兆円の圧縮を目指すということですが、与党は、景気回復もあって歳出圧力を高めていくものですけれども、14.3兆円の最大限の圧縮・削減を目指すことについて、総理、官房長官との調整はどのような感じで行われているのでしょうか。
(答)まだその調整はやっておりません。ただ、当然最大限の歳出削減を目指すそして国民負担を最小化させていくということは総理もかねがね、言っておられます。私なりに最大限というのは、「骨太2006」で書かれた最大限の数字を目指していくことだと解釈しています。
(問)増税なきプライマリーバランス黒字化という話と、大臣が先般から口にされている新たな財政再建の目標との関係について、再度お伺いいたします。
(答)後段の新たな目標といいますか、ルールはまだこれから詰めていきたいと思っておりますが、団塊世代がリタイアしたり、少子高齢化が一段と進んだりする中で、より長期的に財政の姿を描いてみて、そこで特に私は世代間の公平がどうなるのかを重視しております。
 そこで、財政の在り方として、将来世代に負担をつけ回ししないような、何らかのルールがあるのではないかと考えております。それを少し詰めてみたいと考えています。
(問)それはいつ頃までに決めて、「骨太」に盛り込むお考えなんでしょうか。
(答)いえ、格別「骨太」にということではなくて、今着手しておりますので、少し推計を始めているというところです。
(問)歳出改革の削減幅についてですが、昨年の「骨太」の下限の方の数字は、次はどのように位置付けられるものなのでしょうか。例えば、公共事業の1~3%の1%の扱いは、次はどうなるのでしょうか。
(答)全体としていろいろな歳出を組み合わせて、歳出削減がルートに乗っているかどうかを内閣府がチェックしながらやっていくわけですね。ですから、それは他の歳出改革はどれぐらいできるかということによっても違ってきます。
 ただ、やはりなるべく公共事業費も削減していくと。ただ、その裏には制度改革が必要になってまいりますので、そのルールづくりを今冬柴大臣にお願いしています。
(問)削減額の11.4兆円はもう止めてしまう、14.3兆円に統一するということではないのですか。
(答)もちろん14.3兆円を目指しますけれども、全体として5年間でその幅になっていくわけです ね。最終的にその幅になるように目指していくということです。目標を一つにするほど、歳出改革はまだ担保されておりません。やはり飽くまでそこにどれぐら いの制度改革を盛り込んでいけるのかというところで違ってくると思います。飽くまで目指しますけれども、実際の制度改革の裏打ちをこれからやっていくとい うことです。

(以上)