大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年1月16日

(平成19年1月16日(火) 10:40~10:52  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議では、環境大臣から生物の多様性条約等について御発言があり、その後、各閣僚が年明けにいろいろな国を訪問されましたので、それについての御報告がございました。詳細は省略いたします。
 今週、18日に諮問会議があります。テーマは、「進路と戦略」の最終の議論ですね。それと、今年の諮問会議の課題、これは骨太に向けての議論のスタートということでもありますが、その2つを考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)既に各種報道で「進路と戦略」の参考試算について報道されておりますが、この中で2011年度となっているプライマリーバランスの黒字化を達成する目標時期を前倒ししないというお考えが書かれているようですが、これはなぜなのか。昨日、日本記者クラブでの会見の中でも、新しく財政再建に取り組む目標設定のあり方について、内部で検討を始めたところだというお話をされていたかと思いますが、今後の財政再建をどう実現していくのか、という2点についてのお考えを改めてお聞かせください。
(答)歳出・歳入一体改革で2011年にプライマリーバランスを均衡させていく計画は来年度から始まります。5年間にわたって歳出をしっかりと管理しながら、目標とされている11.4~14.3兆円の歳出削減を達成していくと。これは、しっかりと5年間やっていかなくてはいけないと思います。したがって、計画を予定どおり達成し、2011年にプライマリー収支を均衡させる、これがもう第一の目標です。歳出改革については、どういう制度改革で進めていくのか、その裏付けあるいは改革の工程はまだ決まっておりませんので、これを骨太方針に向けて、しっかりとやっていくと。これが第一の目標です。
 ただ、安倍内閣としては成長戦略と財政再建を車の両輪と位置付けています。順調に経済が成長して税収が上がっていった場合、これについては何らか将来世代の負担も考えて、財政再生には取り組むべきだと考えています。それについては、今どういうことが考えられるのか、内部で検討を始めているということです。
(問)それから、あともう1点、金融政策の関係ですけれども、連日の質問で恐縮なんですけれども、17、18日に金融政策決定会合があるので、どういった方針で政府としてこの会合に臨まれるのか、お考えを改めてお聞かせください。
(答)具体的に、金融政策決定会合で内閣府の代表者がどういう発言をするか、どういう態度で臨むかというのは、今の時点では申し上げられません。基本的には、利上げ自体は日銀の専管事項です。ただ、政府としては、今デフレ脱却できるかどうか、極めて重要な時期を迎えていると思いますし、夏以降消費が弱くなっているという、この点については、日銀と認識を共有しきていると考えています。
 12月19日に前回の金融政策決定会合がありましたけれども、それ以降格別重要な経済データは出てきておりません。家計調査は発表されて、足元上がっておりますけれども、家計調査は振れるデータですので、そこは均してみなくてはいけないと私どもも考えており、消費については依然として慎重な見方をしております。かつ今回の金融政策決定会合では、展望レポートの中間レビューがなされます。やや想定より経済、物価が弱く動いていますので、これと併せて日銀には説明責任を果たしていただき、デフレ脱却の重要な時期ですので、それに向けての道筋も明らかにしていただきたいと考えています。
(問)政治資金の事務所費の取扱いについて、閣僚への統一質問ですが、2点お願いします。まず1点目、大臣はないと思いますが、御自身の政治団体や選挙管理団体で、事務所費として飲食費や冠婚葬祭費、世論調査費など施行規則には明示されていない支出を事務所費としたケースはありますか。
(答)ありません。
(問)そもそも政治団体や選挙管理団体がないということですよね。
(答)はい。
(問)それから2点目ですが、政治資金規正法は事務所費を含む経常経費について、領収書の添付は不要としていますが、領収書の添付を義務付ける法改正が必要と考えていますか。
(答)これについて私は余り詳しく承知しておりません。ルールを明確にしていくことが必要だと考えています。
(問)金融政策の点で改めて確認ですけれども、政府として内閣府がどういう発言、態度で臨むかは言えないということですが、日銀の議決に関して延期の請求権を行使するかについて、改めてお考えをお伺いしたいのですけれども。
(答)まだ、それは仮定の話ですので、今の時点で申し上げることはできません。政府としてどういう対応を取っていくのか、今後検討していきたいと考えています。
(問)歳出・歳入一体改革の中で、今後順調に税収が伸びていった場合、何らかの形で将来世代の負担を考えて仰いましたけれども、もう少しこれは今検討中ということなんですけれども、どのようなイメージを大臣は持って、今こういうことを仰ったのか伺いたいんですが。
(答)財政再建というのは、安倍内閣にとっても重要な課題です。繰り返しになりますが、2011年のプライマリーバランス、これはもうしっかりと担保すると、これがもうまず第一。仮に好調な経済が続いた場合に、やはり将来世代の負担を減らしていく。なおかつ、その経済成長と両輪という形で財政再生を果たしていくという、安倍内閣らしい何らかの目標設定ができないか、今まさに内部で検討しております。ちょっと今の時点でこれ以上の答えができません。まだアイデアを作っている段階です。
(問)昨日も記者クラブで若干仰っていましたけれども、今仰ったようなことは、今度の、今年骨太に向けて議論を進めていきたいというお考えでしょうか。
(答)はい、そうです。
(問)それは骨太に盛り込みたいということでしょうか。
(答)まずは諮問会議でしっかりと議論をして、それを踏まえてということです。
(問)これは民間議員が提案なさる重要テーマの一つの項目として入ってくることになるでしょうか。
(答)まだ詰めている段階ですので、余り生煮えの段階では案として提案できませんので、民間議員と詰めていきたいと思っています。
(問)本日の閣僚懇の中で、利上げに向けて、何か閣僚の方々から金融政策について御発言があったのでしょうか。
(答)格別ありません。
(問)政府としての対応については今後検討するということですけれども、今日、明日の何らかの時点で官房長官、総理も含めて財務大臣と一度調整されるような場を設けられますか。
(答)これは基本的には総理の御判断ですので、どういう形になるか、ちょっと私もまだわかりませんが、少し動きを見ながら検討したいと考えています。
(問)政府の今年の最重要課題にデフレ脱却があると、昨日も仰っていますけれども、今利上げをすると、デフレに後戻りしかねないと見ていらっしゃるのでしょうか。
(答)利上げをするとどうなるかは、飽くまで仮定の問題ですのでコメントは控えたいと思っております。足元の景気状況で申し上げますと、夏以降、少し消費が弱くなってきておりますし、ユニットレーバーコストは依然としてマイナスにあります。需給も引き締まってきてはおりますが、まだゼロ近傍ですので、デフレの状態に後戻りする可能性がないとまでは言い切れないと考えています。
(問)情報通信省という構想を菅総務大臣が提案をされていて、これに対して経産省は反対をしています。21世紀にふさわしい行財政システムのあり方を考える中でテーマの一つかと思われるのですが、今後諮問会議などの議論もあり得るものなのか、また、情報通信省自体の議論を進めるべき必要があるのかお伺いしたい。
(答)どういうスキームで情報通信省という議論が出てきているのか、ちょっと私もまだ把握しておりません。21世紀にふさわしい行財政システムというのは、当然骨太でも重要な柱になりますが、具体的に省のあり方を議論するかどうか、ちょっとまだ私の今の段階では申し上げられません。
(問)大臣、しつこいようで恐縮です。議決延期請求に関して見送りの方向という報道があるのですけれども、これは……。
(答)まだ、何ら判断しておりませんので、その報道は誤りだと思います。見送るのか請求するのか、それはまだ何ら検討しておりません。今の時点では申し上げることはありませんので、いずれの報道も当たっていないと思います。
(問)デフレの状態に後戻りする可能性もまだあると、先程仰ったと思うのですけれども、今デフレは物価が持続的に下落するということですよね。
(答)はい。
(問)わずか1、2カ月ちょっとマイナスというだけではなくて、それが続いていくことがデフレの定義だと思うのですけれども、まだ日本経済はそのリスクを抱えたままだと大臣は思っていらっしゃるのでしょうか。
(答)今、そのデフレから本当に、完全に脱却できるかどうかについては、もう長く続いたデフレですので、十分注意しなくてはいけないと思っています。
(問)今は足元はデフレではないと内閣府は言っていて、でも完全に脱却できていない、でもデフレではないというところだと思うのですけれども。
(答)つまり、持続的に物価が下落する状態というのは明らかに止まっております。そして、御存知のようにCPIやGDPデフレーターも向けて上がってきておりますけれども、これで完全にデフレ脱却したかどうか。つまり、もう後戻りする可能性はないところまで来ているかどうかについては、まだ注意が必要だと思っています。

(以上)