大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成18年12月22日

(平成18年12月22日(金) 9:31~9:51  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議では、まず私から公共サービス改革基本方針の一部変更についてお諮りいたしました。これについては後から申し上げます。
 それ以外では独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長の人事、閣議が26日で今年は最後になるということ、多重債務者対策本部の設置について御発言がありました。閣僚懇談会では、日本の将来推計人口について、厚生労働大臣と少子化担当大臣から御発言がありました。
 公共サービス改革基本方針について、今日閣議決定しましたので報告いたします。
 今回の基本方針の改定は、民間事業者や地方公共団体から頂いた要望等について、官民競争入札等管理委員会における議論や関係府省との協議を経て、新たに統計関係、登記関係、独立行政法人関係、窓口業務、徴収業務等を対象事業として追加するものです。実質2カ月半という限られた期間ですけれども、公共サービスの改革に一定の成果があったと考えています。
 ただ限られた時間でしたので、引き続き検討が必要なものは残されております。特にハローワークにつきましては、先日報告いたしましたとおり私の下の懇談会において集中的に議論し、来年2月末を目途に論点を整理の上、次回の改定に向けて成果を得られるよう頑張っていきたいと思います。昨日1回目の会合を開きました。
 閣議では、安倍総理からも、政治のリーダーシップが重要であり、各閣僚におかれては、改革の先頭に立って一層の取組をよろしくお願いしたいという旨の御発言がありました。
 来年以降もこの公共サービス改革法の理念を実現して、公共サービスの改革を更に進めるべく、大臣として私も全力を尽くしたいと思います。
 閣議関連は以上です。
 次回の諮問会議は、来週火曜日を予定しています。新しい中期方針「日本経済の進路と戦略」について審議を行う予定です。また、財務省から19年度の予算政府案について御報告をいただく予定です。これで今年の諮問会議は終わりです。来年の諮問会議については、まだ日程は決まっておりません。現在調整中です。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)本間税調会長の辞任についてですけれども、本間さんと大田さんは、本間さんが諮問会議の民間議員をやられていた頃からの付き合いということもありますし、かつ学者人脈としても非常に近いということで、まず辞任に対しての率直な感想からお願いします。
(答)残念な結果になったと思います。その一言に尽きます。
(問)本間さんの官舎入居は、諮問会議議員時代からの話でありますので、制度運用上について問題があったのかなかったのか、そのあたりからコメントをお願いします。
(答)制度運用については、財務省も問題なかったと言っておられますし、それは詳しく精査されてのことだと思っています。
(問)官邸サイドでも、特にルール上は問題なかったという判断を示されていますけれども、それにもかかわらず辞任という形になった。本間さんの一身上の都合ということになっていますが、結果的には官邸が本間さんを守り切れなかったという判断もされていると思うのですけれども、それについてのお考えはいかがですか。
(答)辞任はあくまで本間先生の御判断だと聞いております。
(問)本間さんが税調の会長になられて、税調と諮問会議の連携が強調されてきましたけれども、これも影響が出てくるのでしょうか。
(答)前回、税調会長においでいただいた時に、来年4月を目途に、それまでの税調での議論を諮問会議にご報告いただき、諮問会議としても税の基本的考え方を検討していくことは合意が得られておりますので、これはそのまま新しい会長の下で進めてまいります。
 あの時に新しい税調が発足するに当たって、総理からもマクロとミクロの経済分析をベースにして、国民生活にとってどういう税がよいのかしっかりと検討してほしいというお考えが出されましたので、それについては、税調会長がどなたになろうとも、引き継がれるべき話だと思っています。諮問会議としての税の検討の考え方についても、全く変化はありません。
(問)引き続いて、本間会長辞任の関係なのですが、本間会長の方はもともと法人税減税について大分強い意向をお持ちでしたけれども、この法人税に対する議論の流れが変わってくる可能性はどう見られますか。
(答)基本的には政府税調全体で議論されることですが、法人税をどうするかについても、税調ではまだ議論されておりません。今回の答申にはそれは書かれておりませんし、大きな方向だけですので、これについては税調として今後議論されるのだろうと思います。政府としても、来年秋以降所得税、消費税全体の中で議論することになっておりますので、今回の会長が代わったことも影響はないと思っています。
(問)先ほど言われた新しい将来推計人口なのですが、それを基に実施した社会保障の議論はどういう予定でされるのでしょうか。
(答)まず、これが年金財政にどういう影響を与えるかについては、厚生労働省で推計なさると聞いています。諮問会議としても社会保障制度の一体的見直し、持続可能性は重要な論点だと考えています。それを受けて厚労省も推計なさると思いますので、それを受けて諮問会議でも議論していきたいと思っています。
(問)昨日のハローワークの懇談会ですけれども、報告書が論点整理という形で、何か一つの意見としてまとめるという方向ではないとお伺いするのですけれども、一つの意見にまとめない理由はどういうものなのでしょうか。
(答)メンバーを選んでいただく時に、私はこういう労働法とか国際法は専門ではありませんので、どういう学者の方がおられるかも私自身はよくわからないわけですが、両方のお考えを持った方を選んでほしいと。そして、民間議員から出された2つの提案が、ILO88号条約とどう関連するか、その考え方をしっかり整理してほしいとお願いしてあります。
 したがって、一つの意見に収斂するための懇談会ではありません。もし議論の中で一つの方向に収斂されれば、それはそれでありがたく受けとめたいと思いますし、収斂しない場合もこの点がさらに検討すべき問題だということがあれば、その後さらに考えていけばいいわけです。要は2つの提案がILO88号条約との整合性の面でどうなのかというのは、詳しく議論してみないとわからない話ですので、予め1つにまとめてくれというようなことはお願いしておりません。
(問)本間さんの関係ですけれども、大臣御自身は本間さんが辞任すべき理由があったとお考えですか。
(答)すみません。そこはコメントを控えさせてください。私もよくわかりませんし、本間先生と連絡も取っておりませんので、辞任に至った経緯や本間先生のお考えはよく把握しておりません。
(問)市場化テストの関係ですけれども、1つは先日の落合委員長の会見で個別の閣僚というよりは特に安倍総理とか塩崎官房長官といった、もう少し高いレベルでの政治のリーダーシップについて、少し踏み込んだ要望があったと思うのですけれども、そのあたりは担当大臣の大田さんとしてはどう受けとめていますか。
(答)落合委員長の御発言は、政治のリーダーシップということだったと私は受けとめています。もちろん官邸主導でしっかりと引っ張っていきませんと改革はできません。今回も総理がしっかりとその発言をされています。
 政治のリーダーシップについては、私は政治家出身ではありませんけれども、大田大臣もしっかり頑張れという話をいただきましたので、これはやはりトップレベルでしっかりと考えていかなければいけない問題だと思っています。
(問)ハローワークとILO条約の懇談会が始まりましたけれども、ハローワーク事業に焦点を当てていく意味合いを改めて伺いたいのですが、数あるヒアリングをした事業の中で、なぜこれを特に焦点を当てるべきなのですが。
(答)まず1つは、規制改革・民間開放推進会議の時からもう長く議論されているテーマであるということですね。
 2番目に、この問題が他の市場化テストと少し性格が違いますのは、国際法が絡んでいるということですね。国際法によって、世界共通のルールが定められていると。したがって、単にある役所との間でそれは官がやるべきかやらざるべきかという議論ではない部分がありますので、このILO88号条約に規定されている条文との整合性がどうかというところに絞って議論が必要だと考えた点。
 それから3番目、あるいはこれが一番大事かもしれませんが、安倍政権として再チャレンジを重要な柱に掲げているわけですね。諮問会議としても労働市場改革は重要なテーマとして掲げています。その時に就職斡旋、職業紹介という事業の機能を充実させていくことは大変大事なことですので、特にハローワークについては重要視していくということです。
(問)本間先生の問題なのですけれども、法的には官舎に入居していたことが問題ではないとしても、やはり資産売却の旗振り役だった本間さんが、そういう国民から見るとやはりちょっと考えにくいような条件であそこに入居していたことが、一種の道義的なところも結構問題視されたということがあると思いますけれども、そのあたりも含めて、大臣としては問題がないとお考えでしょうか。
(答)入居していたことの問題性については、先ほど申し上げたとおり官邸や財務省で精査されていることだと思います。資産債務管理と今回の問題は本間先生も切り離しておられたでしょうし、それによってあそこで得られた結論ですとか今後の取組は、何ら変わらないと思います。
(問)切り離した問題として考えるべきであるというのは、国民の受取め方とちょっとずれがあると思うのですけれども。
(答)その点、本間先生がどうご判断なさるのかは私にはちょっとコメントできませんけれども、少なくとも資産債務管理の専門調査会を預かる者としては全く変わらずに改革を進めていくということですね。
(問)予算の19年度予算の財務省原案が出ましたが、そもそも財務省原案に対する評価を改めてお伺いしたい。予算改革が今回の財務省原案でどの程度進んでいるのか。例えば公会計改革や予算執行の効率化なども財務省から出ていますが、これについて、諮問会議でも議論をこれまで進めてきたと思いますが、この予算改革の評価と、課題がまだあるのであれば教えていただけますか。
(答)今回は歳出・歳入一体改革の1回目ということで、それに沿った方向が出されていると思います。諮問会議でも歳出・歳入一体改革に沿って、社会保障とか公共事業を初年度どれだけ削減するかということは議論してまいりました。それを受けてのメリハリある予算が組まれたと思います。それから、諮問会議でも予算の原則を示しましたけれども、今回それに沿ってまずは初年度が組まれたと思います。
 予算改革ですが、これは始まったばかりですね。特別会計改革もこれからやっていかなければいけませんし、歳出・歳入一体改革も初年度については予め沿った路線で、それがしっかりと予算に組まれたということは評価できますが、今後4年間については、まだ制度改革の工程も示されておりませんので、これはこれから諮問会議で議論していくということだと思います。あそこに書かれた額がしっかりとできるかどうか、制度改革の裏付けをこれからしていかなければいけないと思います。
(問)個別項目の効率化という意味では、PDCAサイクルが財務省の予算編成に組み込まれているかどうかという問題もあると思うのですけれども、その個別の効率化の点ではいかがでしょうか。
(答)それは、もう二、三年前から、予算を出す時点で「目標なくして予算なし」ということで言ってきましたので、目標を付けて予算要求する範囲は広がってきています。それは安倍内閣になってからというより、その前からの継続として少しずつ進んでいると。平成20年度に向けて、予算書、決算書の見直しがなされて、予算の単位が項というものになるわけですね。これは継続しているということです。
 なかなか予算制度というのはすぐには変わらないのですね。決算が出てそれをまた予算に反映するというサイクルですので、逆にそれを諮問会議でずっとフォローアップしていきます。
(問)歳出・歳入一体改革の平成23年度でのプライマリーバランス黒字化という目標なのですけれども、尾身大臣が前倒しの可能性について言及されています。これについてはいかがお考えでしょうか。
(答)まだ歳出・歳入一体改革に書かれた歳出額をしっかりと確実にできるという制度改革の裏打ちもできておりませんので、やはりその前に前倒しというのは議論としては早過ぎるのかなと。やはり制度改革の動向を見ながら考えていく必要があると。それから、諮問会議でも議論されましたように、中期で管理していく時に、税収が思い切り上がった時は償却を早めていく、ボーナスが出た時は財政再建のスピードを早めると。だけれども、景気が少し落ちてきた時は緩めるという柔軟な対応をしなくてはいけない。だから、中期の取組が必要なのだということは、何度も議論してきております。ですから早急に今年度の税収だけを見て、あるいは来年度の税収見込みだけで前倒しというのではなくて、やはりそこは今後、中期的視野の中で考えていく必要があると思います。
(問)関連で、要対応額をローリングして見直していくという話をなさっていますけれども、その最初の見直しの時期はいつになるのでしょうか。今回は?
(答)今事務方で計算しております。なるべく早い時期にお示ししたいと思っています。
(問)これが来年の1月に決定される「進路と戦略」のベースにも新たな要対応額が入ってくるのでしょうか。
(答)要対応額は今年の「骨太2006」に基づいています。これは名目成長率3%という前提を置いて、乗数も1.1という一定の前提の下で計算されています。したがって、これはその前提の下で計算していくことになります。
(問)そうすると、新たな要対応額を計算し直す最初の時期は来年の「骨太」の時になるのでしょうか。
(答)要対応額を計算する意味は、予算案が決まっても、国ベースですので、国・地方を合わせてプライマリーバランスはどうなるか、SNAベースで計算していかなくてはいけませんので、それを内閣府でやるという意味なのですね。ですから、予算案が決定した時から計算を始めて、なるべく早くお示しするということになります。
(問)それを示す時期は、いつ頃になるのでしょうか。
(答)今計算しておりますので、もう少し発表は待っていただきたいと思います。
(問)それは、諮問会議の中で示されるのですか。
(答)そうですね。

(以上)