大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成18年12月8日

(平成18年12月8日(金) 9:50~10:02  於:記者会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
 今日の閣議ですが、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について内閣官房長官から御発言があり、外務大臣の臨時代理としても官房長官から同じく御発言がありました。また防衛庁長官から御発言がありました。その後、国土交通大臣から油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画について、厚生労働大臣から昨日7日に開かれた第7回世界健康安全保障イニシアチブ閣僚級会合について、御発言がありました。
 閣議は以上です。
 閣僚懇談会では、格別の御発言はありませんでした。
 御報告は以上です。
 次回の諮問会議は12月14日に開催いたします。総理が外遊から帰られた直後ですので、おそらく時間が1時間ぐらいしか取れないと思います。議題は今調整中ですが、中期方針の原案を議論することが確実です。それ以外の議題については、未定です。時間も考えながら検討したいと思っています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)GDPの2次速報ですが、実質、名目ともに下がっていて、実質の方は設備投資が法人企業統計も大きく下がったということでよく分かりますが、名目の方が大幅に下がって、四半期ベースでマイナス0.0%まで下がったのですが、その理由をまず教えていただきたい。
(答)実質が下がっている理由と基本的にはそれほど変わらないと思います。
(問)それで、同じ理由であったとしても、名実の差の開きが非常に大きくなっています。9四半期ぶりに名目がマイナスとなって、名目成長率と実質成長率の幅も非常に大きくなったことに対する評価は。
(答)CPIの基準改定、それを受けてのGDPデフレーターの改定以来、少し名目、実質の幅が開くようになってきておりますけれども、趨勢的には今年に入ってから同じような動きであると考えています。GDPデフレーターも(前年比で)少しずつマイナスの度合いは縮小してきており、このところ改善はしてきていると考えています。やはり消費の弱さを受けて、実質、名目ともに少し足踏みが見られます。
(問)趨勢的に同じような動きというのは、具体的にどういうことでしょうか。
(答)名目と実質の動きですね。2005年の10-12月期はかなり接近しましたけれども、2006年に入ってから大体0.2%から0.3%ポイントぐらいの乖離が生じているということです。
(問)それと、この名実の差が大分開いていることが、デフレ脱却に対する判断に影響を与えることはありますか。
(答)GDPデフレーター自体のマイナス幅は縮小してきております。あと、ユニットレーバーコスト、GDPギャップは、この2次QEを見て今計算をしております。それを見て判断したいと考えています。
 デフレ脱却は視野に入ってきているという基本的な見方は変えておりません。
(問)それから、今回数字が下方改定されたことで、政府の今年度の成長率見通しの達成が、ちょっとこれだけを見ると、厳しくなってきたのかなと思えるのですけれども、大臣のお考えを教えてください。
(答)18年度の実績見込み、19年度の見通しは年末にもうしばらくして発表しますので、その時にコメントさせていただきます。
(問)そもそも今回の2次QEそのものに対する大臣の御感想をお聞かせください。
(答)法人季報が、前期比ほぼ横ばいという結果でしたので、おおむね予想していた数字だと思います。民間の見通しも大体同じような見通しでしたので、その意味では予想の範囲内だという感じがいたします。やはり、このところの消費の弱さが反映されていると。ただ、設備投資自体は他の指標を見てもそれほど弱くはなく、法人季報でも前年同期比で見ると11.9%の増加になっておりますので、少しこのところ足踏みは見られますが、これで腰折れ懸念はないと見ていますし、まだ踊り場に入る兆候も見られないと思います。
(問)日銀の金融政策への影響についてお伺いしたい。日銀は年内利上げも排除していないのですが、こういった弱い数字が裏付けられて、改めてどのような御認識をお持ちかお聞きしたいのですが。
(答)景気認識はそれほど変わっておりません。足元、少し政府は下振れリスクを注視していると。足元のユニットレーバーコストが弱いということは日銀も共通認識です。少し企業から家計への波及に足踏みが見られるという認識は共有していると考えています。
(問)今週5日に安倍総理と福井総裁始め日銀幹部が会談された際に同席されましたが、その時の会談の概要をもしお披瀝できるのであれば教えていただきたい。また、今景気認識は変わらないということですが、政府が言っている下振れリスクだけを注視しているという認識も政府・日銀の間で一致しているということでよろしいのでしょうか。
(答)基本的に、景気の現状を巡っていろいろなお話がありました。企業から家計への波及が当初の予定より少しずれてきており、弱いという点でも一致はしております。ただ月例経済報告にも表しましたように、少し私どもの方が足元の消費の弱さ、これが必ずしも一時的要因だけでは説明できない部分もありますので、賃金がなかなか上がらない、伸びが鈍化している点を重視しているということですね。ただ、大きな方向としては一緒だったと思います。
 今回の2次QEでは、雇用者報酬も横這い圏内ではありますが、プラスで出てきています。ただ、これが雇用者の伸びで出てきておりまして、一人当たり賃金は0.1%増とごくわずかの増に留まっていますので、やはり今後の賃金、消費の動きにはまだ目が離せないと考えます。
(問)今の日銀総裁等との会談のお話の中で、企業から家計への波及がずれてきているということで、ほぼ一致したという御説明でしたが、ずれているということは企業の業績が好調を続けていけば戻ってくるという考え方で一致したと考えていいですか。
(答)あの会合は認識が一致したとか、そういうものではなく、フランクな意見交換ということです。今後企業の好調が続けば、それは次第に雇用、賃金に波及してきて、消費に波及するという見方は一緒です。
(問)構造的な問題があるということではなくて遅れているという認識ですか。
(答)はい、そうです。
(問)その意味で、今回設備投資が下方修正されているわけですけれども、企業の好調が続けば、というところも含めた政府の景気認識は、今回の2次QEを受けてこれまでと変わるのでしょうか。
(答)変わりません。先ほどの点で、賃金に関しては、構造的な要因がないかというと、そういうこともありませんで、団塊の世代がリタイアして若い人に代わってきている、あるいは成果主義賃金が入ってきているという点では、若干構造的な要因はあると考えています。全面的に循環的な要因だけではないと。むしろ、雇用は構造的要因もあるのだろうと思います。
(問)景気認識と金融政策に絡んでですが、政府では若干足踏み懸念といったものがあり、特に消費のところにあると仰っているわけですが、例えば家計の部分で金利感応度もそれほど高くないので、例えば今利上げをしても、少しは懸念があるけれども、景気自体に大した影響は出ないということなのでしょうか。それとも、やはり景気にも影響を与えるのでしょうか。
(答)消費の要因には一時的な要因もかなりあると。特に長雨ですね。ただ、それが剥落した後も低下しているところをこちらは注視しており、その背景に何があるのか、賃金がどれぐらい影響しているのかは見ております。ちょっと金利との関係は今のところ何とも言えません。
(問)繰り返しで恐縮ですけれども、今利上げをすると景気にマイナスの影響が出るとは御覧にならないのでしょうか。
(答)それは、利上げの幅にもよりますし、マーケットが事前にどれぐらい織り込むかということにも関係してくると思います。それが福井さんの言われる市場との認識の一致ということだろうなと思います。

(以上)