大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成18年11月14日

(平成18年11月14日(火) 9:31~9:42  於:第4合同庁舎6階643号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議では豪雪地帯対策基本計画の変更について、冬柴国土交通大臣から御発言がありました。それから、北朝鮮への奢侈品の輸出禁止措置について、外務大臣、経済産業大臣から御発言がありました。
 以上が閣議での御発言です。閣僚懇談会では会計検査院の検査報告の活用について総理から、「歳出の無駄があるのはまことによくない。遺憾なことであり、この排除を徹底しなければならない」という御発言があり、同じような趣旨で財務大臣から御発言がありました。
 閣議と閣僚懇談会の御報告は以上です。
 次の諮問会議は、来週後半に開催の方向で今最終調整をしております。次回の記者会見ではご報告できると思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先ほど7-9月期のGDP速報が発表になりまして、実質で0.5%、年率2.0%という高い成長率になり、CPIの改定で実質の数字が引上がって、名実逆転という現象がまた起きているわけですけれども、今回のGDPについてどう見るかをお願いします。
(答)まず今御指摘の点については、GDPデフレータは依然としてマイナスになりましたが、4-6月期よりマイナス幅が縮小しておりますので、デフレ脱却は視野に入ってきていると考えています。
 それから、GDPの回復は確認されましたけれども、一番気になりますのは家計消費がマイナスに転じたことです。民間最終消費支出で0.7%のマイナス、家計消費だけに限定しますとマイナス0.8%となっており、その理由としては、たばこが値上がりしたこと、天候不順で娯楽施設、宿泊施設サービスが落ちたこと、ワールドカップの反動で薄型テレビなどの売行きが落ちたことはありますけれども、背景として一人当たりの賃金が伸びていないということがありますので、この点は大変注意が必要だと思っています。
(問)その消費が伸びないことの背景にある賃金の伸び悩みですけれども、その原因については、今後何か調べたりされる御予定はございますか。
(答)少し幾つかの角度から調べてみる必要があると思っています。昨年は少し企業から家計への波及が進みまして、賃金も底を打った感があったのですけれども、このところまた波及が少し止まっている感じがあります。その背景として、例えば全体的に賃金水準が横這っている以外にも、団塊の世代がリタイアして若い層が雇用されているという点もあるかもしれませんし、あるいは成果重視型の賃金が広がっているという背景もあるかもしれませんので、少し丁寧に見てみたいと思っています。
 雇用の実態としては、新卒採用が進むなど決して悪くはないのですけれども、なかなかそれが賃金の高まりに繋がっていない点の背景は、今後とも精査したいと考えています。
(問)デフレ脱却が視野に入ってきているということですが、GDPデフレータのマイナス幅が(CPI改訂により)拡大したことによって、若干遠のくのかどうか、デフレ脱却宣言が遠のくのかどうかという点についてお願いします。
(答)変化の方向は上方を向いており、この後2次QEやSNAの17年度の確報を見て判断したいと考えています。
(問)今のお話の関連で、従前、企業部門の好調さが家計部門に波及して消費の拡大が続いているという説明がなされていたと思いますけれども、その構成に変化があるという御認識はあるのでしょうか。
(答)消費も、また一時的な要因も考えられ、大きな流れとしては、企業から家計への波及は、じわりじわりと進んでいると考えますので、この成長を持続的に長く続けることによって、家計部門へは確実に波及していくと考えております。ただ、足元のこの消費の弱い動きについては、注意して見ていきたいと考えています。
(問)今日のGDPは7-9月期の数字ということで、少し前の景気の姿を表していると思うのですけれども、足元では少し弱い指標も出ています。現時点での景気認識について、先月いざなぎ景気に並び、今月はいざなぎ越えが懸かっているわけですけれども、そのあたりも含めてお願いします。
(答)足元で、機械受注が少し弱い数字になりましたけれども、機械受注は特徴として大きく振れるということもありますし、10-12月はまた上昇が見込まれておりますので、全体として基調は変わっていないと見ております。
(問)今の家計支出について、今、消費の弱い動きを注意して見ていく必要があると仰いましたけれども、家計部門の今後の見通しはどのように御覧になっていますか。
(答)またこの暖冬ですので、今後の動きはやや気掛かりだと考えています。クリスマス商戦がどのような具合になるかというのも、IT関連生産財の在庫に影響しますので、年内の消費の動きは少し気に掛けながら見ております。
(問)確認ですが、「全体として基調は変わっていない」と仰ったのは、当面景気の拡大傾向が続くということでしょうか。
(答)今までのデータからは、少なくとも腰折れの懸念は今のところないと考えています。注意して見ていかなければいけないのは消費の動き、それからIT関連生産財の在庫調整の動きですね。ただ、IT関連生産財も先行指標と言われているBBレシオを見ますと低い数値ではないので、それほど大きな調整にはならないと考えています。
(問)重なる質問で恐縮なんですけれども、踊り場入りの可能性はどのように考えておられますか。
(答)今の時点では何も申し上げられません。可能性を完全には否定できませんし、今までのデータでその可能性が高いとも言えませんので、今の時点では何とも言えません。
(問)今回、成長率が高かったのは外需の影響が大きいですが、今後外需の方はどう見ておられますか。
(答)アメリカ経済がソフトランディングできるかどうかが大きいと思います。ただ、その外需が大きいというより、少し内需が消費を中心に弱かったということだと受け止めています。
(問)常々、景気の上振れリスクよりも下振れリスクに注意していきたいとお話ですけれども、7-9月期のGDPの結果を踏まえても、そういった認識は変わらないのかどうか、お願いします。
(答)消費が少し弱いのが数字の上でも現れてきましたので、見解は変わりません。
(問)日銀の金融政策についてお伺いしたいのですけれども、今回設備投資は、機械受注が悪い割には高い数字が出ていますが、年内利上げも排除しない日銀の金融政策に対して、大臣御自身現時点でどのようにお考えでしょうか。
(答)この間の諮問会議で大きな方向を確認しましたように、政府・日銀は一体となってデフレ脱却に取り組むという点は変わりません。政府も構造改革にしっかりと取り組む必要がありますし、日銀も金融面から責任を持って経済を支えていただきたいと考えています。
(問)今回のQEで、民間の事前予測が内閣府の予測とはちょっとずれがあるのかなという印象を持ったのですけれども、それについて何か御意見はありますか。
(答)いつでもずれはあり、今回少し民間の予測よりも上に来たと。民間の予測と比べますと、消費が少し予測よりも低かった。逆に設備投資は予測よりも高く出ました。それと、在庫の寄与度が若干大きかった。在庫の寄与度は、いつでも判断が分かれる点で、IT関連生産財の在庫は気になるところなので果たしてこれをプラスと見るかどうか、判断は分かれるところだと思います。民間の予測との違いは以上の3項目から出てきているわけです。

(以上)