大田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成18年11月10日

(平成18年11月10日(金) 9:12~9:24  於:記者会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
 本日の閣議では外務大臣から、レバノンへの人道支援に対する緊急無償資金協力について御発言がありました。閣議での発言は、以上です。
 閣僚懇談会で、まず第1に飲酒運転を根絶するための今後の取組について、国家公安委員長と少子化・男女共同参画担当大臣から御発言がありました。
 次いで、19年度予算での再チャレンジ支援策について、各閣僚は追加要求を出すようにという要請が以前に財務大臣からございました。それについて合計319億円の追加要求があり、合計額が1,691億円になったという御発言が財務大臣、再チャレンジ担当大臣からありました。
 次に、WHO事務局長選挙で中国のマーガレット・チャン氏が選出されて、日本が推薦しておりました尾身茂候補は選出に至らなかったという御発言が厚生労働大臣、外務大臣からありました。
 最後に、企業の戦略的立地促進等を通じた地域産業活性化について各省の連絡会を立ち上げるという話が経済産業大臣からございました。
 閣議に関しては、以上です。
 諮問会議は、今日の夕刻に開かれます。その次の諮問会議については、来週にAPECの会議がありますので開催の予定はありません。再来週後半で現在調整中です。決まり次第ご報告いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)9月の景気動向指数の先行指数が3カ月連続で50%割れとなり、来週行われる改定で一致指数も50%割れになるのではないかという見方が優勢ですけれども、現状の景気認識について御所見をお願いします。
(答)一致指数については発表を待ってからお話ししたいと思います。一致指数自体は4月から8月まで5カ月連続で50%を上回っておりますので、腰折れの懸念はないと見ております。ただ足元は少し消費が弱く、IT関連の在庫調整がやや懸念されますので、注意しながら見ていく必要があると考えています。
(問)今朝の一部の新聞で福井総裁のインタビューが載っていまして、その中で景気の下振れリスクにばかり目を奪われて必要な整理調整をしないとかえって景気の波を大きくするリスクを作り出すということで、前回の諮問会議での民間議員の発言、あるいは大田大臣の下振れリスクの方をより注視していくべきだという発言に対する再反論の形になっていますけれども、改めて大田大臣のお考えをお伺いします。
(答)足元の景気動向を見ますと、私は下振れリスクをやや注意する必要があると。つまり、上振れと下振れは同じ確率ではなく下振れリスクをより注意したいと考えておりますが、諮問会議でも福井総裁から、リスクは足元ではなくてこれから先に起こり得ることとして捉えてほしいという御発言がありましたので、福井総裁の今回の御発言はそれを踏まえてのものだと思っています。
(問)法人税の件について、昨日の政府税調の会合でも法人税の実効税率引下げに向けた議論をするべきだという意見が出されたようですが、法人税の実効税率を下げることでマクロ経済にどういうメリットがあるのかをお伺いしたい。例えば日本の企業の設備投資が増えるとか、日本に対する投資が増えるとか、あるいは税収が一時的には減るものの、企業が活性化することによって再び増えるとか、そのあたりについての基本的な認識はいかがでしょうか。
(答)法人税の実効税率を下げることによって投資にどれぐらい影響を与えるのかというのは、幾つか理論的な見解もあります。それについては、今、中でも少し議論を整理したいと考えております。
 いずれにしても、法人税率をどうするかは税制全体の中で検討していきたいと考えています。御存じのように、法人税というのは法人だけが負担するわけではなく、帰着は多様なわけで、それがどう影響するのかは少し整理した議論をしたいと考えています。
(問)本日の諮問会議について、社会保障と公共事業を議論するということですが、もう少し議論のポイントになりそうなところを教えていただきたいと思います。やや具体的ではあるのですけれども、社会保険庁改革や道路特定財源の問題なども俎上に載る可能性があるのでしょうか。
(答)俎上に載る可能性はあると思います。ただ、社会保険庁の議論あるいは道路特定財源の議論がどれぐらい深い議論になるかは、ちょっと今の時点ではわかりません。夕方の実際の議論の中で出てくると考えております。
(問)大臣の直接の御担当ではないのですけれども、タウンミーティングのやらせの件で、原因はどこにあるとお考えになっているのかということと、官僚が想定問答集なども作って責任があるのではないかという見解もあるのですけれども、責任が官僚にあるのか、それとも政治家にあるのか、当時の大臣にあるのか、どうお考えかお聞かせください。
(答)本当に、遺憾としか言いようがないことだと思っています。責任が官僚にあるのか、その上の大臣にあるのかというのは、大臣も内閣を構成しているわけですから、恐らくそこの責任というのは、区別できないものだと思うのですね。恐らく、よりスムーズに審議を進めたいという気持ちはあったのだと思うのですけれども、やってはならないことだと思います。タウンミーティングは率直に国民の意見を聞くということでスタートしてうまくいっていただけに、大変残念だと思っています。
(問)景気の関連で、来週QEの発表がありますけれども、民間予測の中で今回は消費がしばらくぶりにマイナスに出るのではないかという見方が出ています。企業収益が上がって、次第に家計に波及していくのがこれまでの消費拡大のルートだったと思うのですが、足元の各指標を見ていますとなかなかそういう波及が鈍いというか、ここに来て流れが止まった感もあるのですけれども、こうした今の状況について改めて伺いたい。
(答)QEは出てみないとわかりませんのでコメントは控えたいと思いますが、消費の足元の弱さは私も気にしています。一時の波及がこのところ少し弱くなっておりまして、この消費の弱さが夏の気候のせいだと一時期捉えておりましたけれども、しばらく持続しています。足元の暖冬もありますけれども、それで果たして説明できることなのか、あるいは他に要因があるのか、私も少し注意してみたいと考えています。
(問)やはり企業の姿勢として、かつては賃金の下方硬直性がありましたけれども、今回リストラでそこが打破されて、やや企業側の方が賃上げに消極的というか、賃上げに積極的に取り組まないという姿勢が窺えるのですが、それに関してどのように見ていらっしゃるのか。
(答)昨年賃金への波及が確かに見られた時期があったのですが、それがこのところ少し止まっております。ただ、新卒採用などは好調だったわけですね。ですから、企業がかつてと同じように労働コストを抑えるだけの一辺倒だとも思えないところもあります。
 背景として、例えば団塊の世代がリタイアの年齢を迎えていて代わりに若い層を採っていますので、その影響も幾分考えられます。あるいは、成果主義賃金がだんだん広がってきていますので、二極化を反映して平均値がそれほど上がらないという可能性も考えられます。この要因は、少し分析してみませんと、何とも申し上げられません。
(問)ややざっくりした質問で恐縮ですけれども、法人税の税収がよくなってきまして、実際に06年度の税収額も上振れると見られており、07年度も恐らくその結果は続くと思うのですが、これによって経済政策を変えていく必要があるのかどうか。例えば、06年の「骨太」で決められた歳出削減の工程では弾力条項のようなものも入っており、経済の状況に合わせて変えていくことは可能であるということですけれども、この税収増の見込みを踏まえて、改革の工程のスピードを緩めたり、あるいは歳入側の税の見直し、消費税の議論等に影響は出てくるのか。
(答)歳出・歳入一体改革はあくまで5年間のプランとしてつくられています。来年度予算については、まだ諮問会議でも今後議論していくことになりますけれども、税収増を安易な歳出増に結び付けないということは1回目の諮問会議から民間議員は提案しておられますので、飽くまでこの方向に沿って検討するということだと思います。
(問)歳入改革についてはいかがでしょうか。
(答)今のところ、具体的には税収増を何らかの減税に充てるという議論は、今までの諮問会議では出てきておりません。これは、今後の諮問会議で、税制改革や来年度予算について議論いたしますので、その時の課題になると考えています。

(以上)