みどりの学術賞選考経過報告

第18回みどりの式典 みどりの学術賞選考経過報告

みどりの学術賞選考委員会委員長 江面 浩

 選考委員会を代表し、第18回みどりの学術賞受賞者の選考経過について、ご報告申し上げます。

 選考委員会は、みどりに関する学術研究に造詣の深い全国の学識経験者約450名の方々に候補者の推薦を依頼し、その結果、大変幅広い研究分野から、62名の候補者の推薦が得られました。これらの方々について、その業績を約半年の期間をかけて慎重に調査・審議し、選考を進めてまいりました。

 その結果、みどりの学術賞受賞者として、奈良先端科学技術大学院大学理事の西村 いくこ博士と、東京大学総括プロジェクト機構特任教授の横張 真博士の2名を推薦することに決定いたしました。

 西村博士は、動くことができない植物が環境変化に備えるため、植物細胞に特徴的な細胞内膜系が重要な役割を果たしていることや、「植物の器官がまっすぐに伸びる」という基本的な器官運動の原理に関わる仕組み等を明らかにされました。世界に先駆けた独創的な研究を通じ、国内外の植物科学の発展に大きく貢献されました。

 横張博士は、農林地のもつ国土保全機能や景観保全機能の解明等を通じて「緑の多面的機能」を体系化するとともに、農林地と市街地の小規模混在による持続的なグリーンインフラ計画論を構築されました。また、研究成果の社会還元にも尽力し、学術的基盤にもとづく緑の多面的機能の都市・地域計画への社会実装に大きく貢献されました。

 いずれも、学術的な観点から極めて優れた業績であるのはもちろんのこと、国民に「みどり」の重要性を伝え、みどり豊かな持続的な社会の形成を導く上で重要な役割を果たした研究として、高く評価いたしました。

 両博士におかれましては、みどりの学術賞受賞を契機としまして、さらに「みどり」に関する探求を深めて頂きますとともに、持続可能な未来社会の基盤となる「みどり」に関する深い知識を、国民の方々に一層広めて頂くことを強く期待いたします。

 以上をもちまして、選考経過の報告とさせて頂きます。