みどりの学術賞選考経過報告

第17回みどりの式典 みどりの学術賞選考経過報告

みどりの学術賞選考委員会委員長 丹下 健

 選考委員会を代表し、第17回みどりの学術賞受賞者の 選考経過について、ご報告申し上げます。

 選考委員会は、みどりに関する学術研究に造詣の深い全国の学識経験者約440名の方々に候補者の推薦を依頼し、その結果、大変幅広い研究分野から、80名の候補者の推薦が得られました。この80名の方々について、その業績を約半年の期間をかけて慎重に調査・審議し、選考を進めてまいりました。

 その結果、国立遺伝学研究所 名誉教授 の 春島(倉田) のり博士と 筑波大学 生命環境系 教授の津村 義彦博士の2名を推薦することに決定いたしました。

 春島博士は、国際連携によるイネゲノムプロジェクト研究に参画し、ゲノム解読に大きく貢献されるとともに、ゲノム情報が整ったイネを用いて、生殖器官発生で働く遺伝子の機能を解明されました。また、イネの品種改良の研究基盤構築にも尽力されるなど、食糧の安定的な生産につながる植物科学や植物遺伝学の発展に大きく貢献されました。

 津村博士は、分子集団遺伝学的手法を用いて、我が国の森林の成立過程や主要樹種の遺伝的地域性を解明されました。そしてその成果から、森林の持続的管理のためには、森林の遺伝的保全管理が重要であることを提言されました。さらに、熱帯材からDNAを抽出し、樹種識別する技術開発を主導されるなど、国内外の森林の保全に大きく貢献されました。

 いずれも、学術的な観点から極めて優れた業績であるのはもちろんのこと、国民に「みどり」の重要性を伝え、みどり豊かな持続的な社会の形成を導く上で重要な役割を果たした研究として、高く評価いたしました。

 両博士におかれましては、みどりの学術賞受賞を契機としまして、さらに「みどり」に関する探求を深めて頂きますとともに、持続可能な未来社会の基盤となる「みどり」に関する深い知識を、国民の方々に一層広めて頂くことを強く期待いたします。

 以上をもちまして、選考経過の報告とさせて頂きます。